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メゾン・エ・オブジェ2018年デザイナー・オブ・ザイヤー:セシリエ・マンツに聞く
デンマークのデザイナー、セシリエ・マンツにとっては機能性こそがもっとも優先されるべきもの。完璧主義と言われる彼女が語る、本当の彼女自身とは?
Kasper Iversen
2018年4月3日
「私の仕事には、もうこれで満足、ということがありません。品質は最高でなくてはならず、デザインには常に改善の余地があります。ちょっと完璧主義なところがあるんでしょうね」。
セシリエ・マンツは、平凡なデザインや「そこそこ優れた」デザインに甘んじないデザイナーで、いつも求めるのは最高の結果だ。
この完璧主義なアプローチが実を結んでいるようで、先ごろフランスのデザイン見本市メゾン・エ・オブジェで「デザイナー・オブ・ザ・イヤー2018」に選ばれている。才能ある44歳のデンマーク人デザイナー、セシリエ・マンツにとって、またひとつ受賞歴が増えたというわけだ。
セシリエ・マンツは、平凡なデザインや「そこそこ優れた」デザインに甘んじないデザイナーで、いつも求めるのは最高の結果だ。
この完璧主義なアプローチが実を結んでいるようで、先ごろフランスのデザイン見本市メゾン・エ・オブジェで「デザイナー・オブ・ザ・イヤー2018」に選ばれている。才能ある44歳のデンマーク人デザイナー、セシリエ・マンツにとって、またひとつ受賞歴が増えたというわけだ。
「かなりの数の賞をいただいていますが、これからも慣れることはないでしょうね。大変な栄誉ですし、この賞に限らず自分のデザインを褒められるたびに喜びで満たされます」と彼女は言う。
マンツは、アートに親しみながらクリエイティブな環境で育ち、1997年にデンマーク王立芸術アカデミーを卒業。以来、椅子から磁器、ふきん、ハンドバッグ、洗面台、スピーカーまで、さまざまな製品のデザインを手掛けている。
マンツは、アートに親しみながらクリエイティブな環境で育ち、1997年にデンマーク王立芸術アカデミーを卒業。以来、椅子から磁器、ふきん、ハンドバッグ、洗面台、スピーカーまで、さまざまな製品のデザインを手掛けている。
セシリエ・マンツがこれほど優れたデザイナーである理由は、いったいどこにあるのだろうか?
メゾン・エ・オブジェは彼女について「インダストリアルデザイン界やインテリアデザイン界において、世界で最も傑出した存在のひとり」と表現し、「ベストセラーであるだけでなくロングセラーを生み出す」と言う。また、スカンジナビアの伝統の影響が「作品からあらゆる余分な要素を削ぎ落とそうとするところに、明らかに表れている」と指摘する。
セシリエ・マンツ本人に尋ねてみると、彼女はペンダントライト『カラヴァジオ』を例に挙げた。ライトイヤーズから発売され、今や世界中で何千もの住まいやレストランで使われている、大成功をおさめたデザインのひとつだ。「このデザインはきわめてシンプル。光を効率的に提供し、電球を覆うシェードがあるだけという、この上なく簡素なものです。おそらくそれが人気の理由でしょうね」とマンツは言う。
北欧スタイルのホワイトインテリア、白のさわやかさを引き立てる要素とは?
メゾン・エ・オブジェは彼女について「インダストリアルデザイン界やインテリアデザイン界において、世界で最も傑出した存在のひとり」と表現し、「ベストセラーであるだけでなくロングセラーを生み出す」と言う。また、スカンジナビアの伝統の影響が「作品からあらゆる余分な要素を削ぎ落とそうとするところに、明らかに表れている」と指摘する。
セシリエ・マンツ本人に尋ねてみると、彼女はペンダントライト『カラヴァジオ』を例に挙げた。ライトイヤーズから発売され、今や世界中で何千もの住まいやレストランで使われている、大成功をおさめたデザインのひとつだ。「このデザインはきわめてシンプル。光を効率的に提供し、電球を覆うシェードがあるだけという、この上なく簡素なものです。おそらくそれが人気の理由でしょうね」とマンツは言う。
北欧スタイルのホワイトインテリア、白のさわやかさを引き立てる要素とは?
マンツのデザインにおけるキーワードは「機能性」だ。「実際に使われることを考えて設計しているのかな?と思うようなデザインを見かけることも多いですよね。その意味では、私のアプローチはちょっと古風なのかもしれません。デザインするものが実際の場面でどう使われるのか、リサーチして実感することをとても大切にしています。ニーズを把握し、何をつくろうとしているのか、真の意味で理解することが必要なんです」と説明する。
言い換えれば、人に使われるという関係性を考えてつくるのがよいデザインなのだ。セシリエ・マンツがバング & オルフセン Playのためにデザインした『A1スピーカー』はその好例だろう。高級家具やアクセサリーには見た目も繊細で豪華なものが多い。しかしマンツ自身も言うように、このバング & オルフセンの丸型スピーカーはまったく気取りを感じさせないため、すぐにでも手に取って使い、持ち歩きたくなってしまう。
言い換えれば、人に使われるという関係性を考えてつくるのがよいデザインなのだ。セシリエ・マンツがバング & オルフセン Playのためにデザインした『A1スピーカー』はその好例だろう。高級家具やアクセサリーには見た目も繊細で豪華なものが多い。しかしマンツ自身も言うように、このバング & オルフセンの丸型スピーカーはまったく気取りを感じさせないため、すぐにでも手に取って使い、持ち歩きたくなってしまう。
品質、機能性、厳格なミニマリズムを重視するセシリア・マンツのデザインは、スカンジナビアンデザインの伝統にかなうものだ。彼女によると、北欧デザインのもうひとつの特徴は、細部まで綿密につくられ、堅苦しさがないところだと言う。「私たちにとって、椅子は上下をひっくり返しても美しくあるべき、というのは当然のことなんです」と説明する。
インスピレーションの源は、ショールームや家具見本市とは遠く離れたところで見つかることが多いようだ。「ビジュアルアートや、森の中の散歩、美しい素材、そのほかさまざまなものがヒントになります」と言う。彼女のデザインは、スカンジナビアンスタイルの範疇からはずれることはないものの、デンマークの外、とくにフランスや南ヨーロッパの文化にインスピレーションを受けることが多いと言う。
「ある面では、デンマークはかなり狭いところなんです。ミニマリズムの基本に忠実であることが私たちの強みですが、だからこそ、ちょっとだけ自由で華やかな表現を取り入れることが、私にとってよい刺激になるんです」と彼女は言う。
一方で、デザインやファッション誌の最新情報を常に追っているわけでもない。環境にどう適応し、自分をどう見せ、どのように暮らすかという点では、むしろトレンドや世間的な基準や期待というものをほとんど意識していないようだ。
一方で、デザインやファッション誌の最新情報を常に追っているわけでもない。環境にどう適応し、自分をどう見せ、どのように暮らすかという点では、むしろトレンドや世間的な基準や期待というものをほとんど意識していないようだ。
「完璧さを追い求めるのをやめれば、みんなもっと健康的に生きられるはず、というのが私の考えです。一般的なゴールとされているものを達成したり、自分のライフスタイルに合いもしない基準を守ろうと頑張ったりするよりも、自分の住まい、ニーズ、家族の生活を見つめてみるべき。もっと勇気を持ってほしいですね」。
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