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アーティストがイマジネーションを形にした、「バブル」のある部屋
ブルックリンのタウンハウスの室内に出現した大きな白い「バブル」。それは、アーティストである住まい手が人間の本質的な思いを形にした空間でした。
Alex Treaster
2017年10月16日
アーティストのクラリナ・ベゾーラさんは、恐怖と安心とのあいだのバランスを探るような作品を数多く手がけている。「人間というのは、常に、安全でありたいという願望と、外にむかって広がり成長したいという願望とのあいだを行ったり来たりしているんです」とベゾーラさんは言う。これまで、彫刻や絵画、パフォーマンスなどで何度も表現してきたテーマだが、住まいのなかに取り入れたことはなかった。しかし、ブルックリンのタウンハウスを購入したことをきっかけに、ベゾーラさんは〈ラード・ステュディオ〉とチームを組んで、このアイデアを実現させていく。
Photo by Annie Schlecter
どんなHouzz?
住まい手:アーティストのクラリナ・ベゾーラさん
所在地:アメリカ、ニューヨーク、ブルックリン
規模:延床面積206平方メートル
デザイナー:クラリナ・ベゾーラ、〈ラード・ステュディオ〉のサン・ユン・ハンとジェームズ・ラムゼイ
どんなHouzz?
住まい手:アーティストのクラリナ・ベゾーラさん
所在地:アメリカ、ニューヨーク、ブルックリン
規模:延床面積206平方メートル
デザイナー:クラリナ・ベゾーラ、〈ラード・ステュディオ〉のサン・ユン・ハンとジェームズ・ラムゼイ
Photos from Clarina Bezzola, unless otherwise noted
ビフォー
ベゾーラさんがこの家を購入したのは、アトリエに近かったのが理由で、決して見た目が気に入ったからではなかった。「やたらと飾り立てられていて、あらゆるところが石や大理石で覆われている家だったんです」とベゾーラさんは言う。「エントランスホールなんて、まるで石切り場みたいでした」。
ビフォー
ベゾーラさんがこの家を購入したのは、アトリエに近かったのが理由で、決して見た目が気に入ったからではなかった。「やたらと飾り立てられていて、あらゆるところが石や大理石で覆われている家だったんです」とベゾーラさんは言う。「エントランスホールなんて、まるで石切り場みたいでした」。
ベゾーラさんは、この物件のフルリノベーションを計画。けばけばしい素材はすべて撤去し、すっきりとしたモダンなインテリアに変えるのだ。そして暖炉とリビングエリアには、家の主役となるような、これまでにないコンセプトの仕掛けを考え始めた。
ベゾーラさんのスケッチ:
当時、ベゾーラさんは20年間の結婚生活に終止符を打ったばかりで、とくに不安を感じている時期だった。そこで、安全な守られたスペースをつくろうとスケッチしたのが、外の世界から引きこもることのできるインスタレーションだった。隔離されていながら、同時に部屋に向かって広がっていく、成長と進歩を象徴するような物体をつくりたいと考えた。
当時、ベゾーラさんは20年間の結婚生活に終止符を打ったばかりで、とくに不安を感じている時期だった。そこで、安全な守られたスペースをつくろうとスケッチしたのが、外の世界から引きこもることのできるインスタレーションだった。隔離されていながら、同時に部屋に向かって広がっていく、成長と進歩を象徴するような物体をつくりたいと考えた。
ベゾーラさんが持ってきたスケッチやアイデアをまとめたポートフォリオを見て、ジェームズ・ラムゼイさんとサン・ユン・ハンさんは、ぜひコラボレーションしたいと考えた。 「建築家の第一の役割は、クライアントを理解することなんです」とハンさんは言う。ふたりにとって、ベゾーラさんは刺激的なプロジェクトパートナーとなった。
作業チームの手で変身していく部屋のようすを見に、現場を訪れたベゾーラさん(上の写真)。
作業チームの手で変身していく部屋のようすを見に、現場を訪れたベゾーラさん(上の写真)。
まずは、オリジナルの暖炉の外側部分を取り除いたのち、インスタレーションの基本パーツを組み立てていった。「バブル」と呼ばれるようになったベゾーラさんのインスタレーションには、暖炉のほか、中にこもってリラックスできるスポットや、薪を置くための穴、上の階につながる入り口もつくられている。ラムゼイさんがエンジニアリングの知恵を絞り、金属柱や耐火レンガ、木材、コンクリート、耐火性のプラスター(ストラクトライト)、パテ、フォームといったさまざまな素材を使ってつくりあげていった。
Photo by Marco Walker
アフター
壁と同じトーンの白に仕上げた最終形の「バブル」は、まるで壁から飛び出しているように見える。ベゾーラさんの当初のデザインに加えて、最高品質のオーディオシステムを組み込んだウォルナット材サイドボードをつくったのはラムゼイさんのアイデアだ。サイドボードは機能的なだけでなく、視覚的にもバブルと作用し合っている。「バブルがふくらんで、ラムゼイさんのサイドボードを飲み込もうとしてるみたい。これは、すごく楽しんでつくったところですね」とベゾーラさんは言う。
アフター
壁と同じトーンの白に仕上げた最終形の「バブル」は、まるで壁から飛び出しているように見える。ベゾーラさんの当初のデザインに加えて、最高品質のオーディオシステムを組み込んだウォルナット材サイドボードをつくったのはラムゼイさんのアイデアだ。サイドボードは機能的なだけでなく、視覚的にもバブルと作用し合っている。「バブルがふくらんで、ラムゼイさんのサイドボードを飲み込もうとしてるみたい。これは、すごく楽しんでつくったところですね」とベゾーラさんは言う。
Photo by Marco Walker
現在ベゾーラさんは、リラックスしたり、本を読んだり、映画を見たりするスペースとしてバブルを使っている。暖炉を一体化しているので、中はかなり温かくなるだろうと予想していたが、熱は前面の開口部から放出されるため、実際はそうでもなかった。いまでは中にテレビを設置しているので、むしろ温かくなりすぎなくて良かったとベゾーラさんは言う。
現在ベゾーラさんは、リラックスしたり、本を読んだり、映画を見たりするスペースとしてバブルを使っている。暖炉を一体化しているので、中はかなり温かくなるだろうと予想していたが、熱は前面の開口部から放出されるため、実際はそうでもなかった。いまでは中にテレビを設置しているので、むしろ温かくなりすぎなくて良かったとベゾーラさんは言う。
Photo by Marco Walker
みんなの反応:
リビングルームにバブルがある楽しみのひとつは、部屋を訪れる人たちの反応が見られることだとベゾーラさんは言う。「何もないかのようにスルーする人もいれば、見たとたんによじ登って中に入ろうとする人もいます。怖がる人もいますよ」。外交大使を務める60代の男性が、スーツとネクタイ姿でバブルに入ったこともある。「あの人が入ったなら、もう誰が入っても不思議じゃないですね」とベゾーラさん。
みんなの反応:
リビングルームにバブルがある楽しみのひとつは、部屋を訪れる人たちの反応が見られることだとベゾーラさんは言う。「何もないかのようにスルーする人もいれば、見たとたんによじ登って中に入ろうとする人もいます。怖がる人もいますよ」。外交大使を務める60代の男性が、スーツとネクタイ姿でバブルに入ったこともある。「あの人が入ったなら、もう誰が入っても不思議じゃないですね」とベゾーラさん。
Photo by Annie Schlecter
上の階へ
この家には2つのフロアがあり、階段でつながっているが、バブルを使えばもっと楽しい方法で上の階に移動できる。「すごく変わったアイデアですが、階を突き抜けて成長しているような物体をつくりたかったんです」とベゾーラさんは言う。本に囲まれたこちらの階は、絵画やクラシック歌唱など、ベゾーラさんがさまざまなアート活動に取り組むための場所だ。
上の階へ
この家には2つのフロアがあり、階段でつながっているが、バブルを使えばもっと楽しい方法で上の階に移動できる。「すごく変わったアイデアですが、階を突き抜けて成長しているような物体をつくりたかったんです」とベゾーラさんは言う。本に囲まれたこちらの階は、絵画やクラシック歌唱など、ベゾーラさんがさまざまなアート活動に取り組むための場所だ。
Photo by Annie Schlecter
バスルーム
成長というテーマは2階にも続き、バスルームには植物が茂っている。このアイデアは、ロビーがまるで庭のようになっているニューヨークのビルがインスピレーションとなったそうだ。「すごく美しくて、自分の家もこんなふうにしたいと思ったんです。植物が空間を侵食していくイメージですね」とベゾーラさん。
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