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沿岸部に建つデザイナー自身のコテージ
セーリングを愛する夫婦が、アメリカ・メリーランド州マゴシー川沿いの素敵な住宅を改修しました。
Becky Harris
2023年3月23日
インテリアデザイナーのTracy Schlegel(トレーシー・シュリーゲル)さんと夫のマイクさんは、ふたりともセーリングに情熱を持っています。結婚後すぐにヨットを共同で購入、週末には米国チェサピーク湾でセーリングを楽しんできました。
「週末になるとヨットを第二の家として使っていましたが、この辺りはあまりにも暑くて湿気が多いので、とある年の独立記念日(7月4日)の週末には、エアコンにあたるために何度もセブンイレブンに車で行く羽目になりました」とトレーシーさんは話します。そんなことがあったため、マイクさんは近場でコテージ物件を見て回ろうと提案しました。
「週末になるとヨットを第二の家として使っていましたが、この辺りはあまりにも暑くて湿気が多いので、とある年の独立記念日(7月4日)の週末には、エアコンにあたるために何度もセブンイレブンに車で行く羽目になりました」とトレーシーさんは話します。そんなことがあったため、マイクさんは近場でコテージ物件を見て回ろうと提案しました。
Photos by Robert Radifera for Stylish Productions.
どんなHouzz?
住まい手:4人家族の別荘
所在地:アメリカ・メリーランド州
面積:167 平方メートル
設計:Waterlily Interiors
不動産の神のいたずらか、夫婦がある住宅を見に車で向かっていた時に長い渋滞に巻き込まれました。マイクさんが見つけた物件情報を他にもたくさん持っていたふたりは、引き返して別の家を見に行くことにしました。それがメリーランド州のマゴシー川沿いに建つ1930年代築のコテージでした。トレーシーさんは家の前に着いた瞬間からここが運命の家だと確信していました。
「水辺が見えただけでなく、コテージが突端に建っているため三方に向かって川を見渡すことができました」とトレーシーさんは言います。「次に目に入ったのが川で泳ぎを楽しんでいる一家で、この川は自分たちのヨットを停めるのに十分な深さがあることもわかりました」。コテージの内部は暗かったものの、マイクさんもこれが運命の家だと感じました。「『この家を買うお金を工面するためならヨットを売るよ』とマイクも言ってくれました」とトレーシーさん。
どんなHouzz?
住まい手:4人家族の別荘
所在地:アメリカ・メリーランド州
面積:167 平方メートル
設計:Waterlily Interiors
不動産の神のいたずらか、夫婦がある住宅を見に車で向かっていた時に長い渋滞に巻き込まれました。マイクさんが見つけた物件情報を他にもたくさん持っていたふたりは、引き返して別の家を見に行くことにしました。それがメリーランド州のマゴシー川沿いに建つ1930年代築のコテージでした。トレーシーさんは家の前に着いた瞬間からここが運命の家だと確信していました。
「水辺が見えただけでなく、コテージが突端に建っているため三方に向かって川を見渡すことができました」とトレーシーさんは言います。「次に目に入ったのが川で泳ぎを楽しんでいる一家で、この川は自分たちのヨットを停めるのに十分な深さがあることもわかりました」。コテージの内部は暗かったものの、マイクさんもこれが運命の家だと感じました。「『この家を買うお金を工面するためならヨットを売るよ』とマイクも言ってくれました」とトレーシーさん。
夫婦は自分たちのデザインとDIYスキルを使って暗い内装を明るく風通しの良い空間につくり替えたため、大切なヨットを犠牲にする必要はありませんでした。「すべて自分たちの手でつくりました。夫は素晴らしい大工であり、何でも屋さんなんです」とトレーシーさんは言います。加えて、トレーシーさんの姉妹と、デザインビジネスのパートナーであるWaterlily InteriorsのKelcey Huff(ケルシー・ハフ)さんにもデザインの手伝いを頼みました。
夫婦がこの物件を見た瞬間に魅了されたことに不思議はありません。ふたりともコテージの魅力をそのまま活かしたいと考えました。外観について唯一変更したのは、より多くの光を採り入れるために窓とドアを加えたことでした。
夫婦がこの物件を見た瞬間に魅了されたことに不思議はありません。ふたりともコテージの魅力をそのまま活かしたいと考えました。外観について唯一変更したのは、より多くの光を採り入れるために窓とドアを加えたことでした。
できる限りの要素を再利用することは、既存の建物を大切にするだけでなく、厳しい予算に収めるという面でも有効でした。コテージの元々の天井高は2.1メートルだったため、高くできる場所ではなるべく高さを上げています。そのうえでシップラップパネルと模造梁を加えることで、元々そこにあったかのような天井をつくり出しています。
メインの玄関は直接キッチンへとつながっており、かつては冷蔵庫に面していました。トレーシーさんとマイクさんは冷蔵庫を部屋の反対側に移動し、冷蔵庫があったくぼみにはオープンな棚を取り付けました。機器類は取り替えましたが、キャビネットやシンク、作業台は元のままです。また、リノリウムの床材を剥がしたことで、その下にあったオーク材の床が無傷で残っていたことを発見しました。
キャビネットはシーフォームグリーンに塗装しています。「私は青が大好きなのですが、家の中はティールやシーフォームグリーン寄りの色にしました」とトレーシーさんは言います。トレーシーさんによると、海岸の雰囲気は出したかった一方で、船のモチーフやありきたりなカラーパレットでやり過ぎることは避けたかったそうです。
メインの玄関は直接キッチンへとつながっており、かつては冷蔵庫に面していました。トレーシーさんとマイクさんは冷蔵庫を部屋の反対側に移動し、冷蔵庫があったくぼみにはオープンな棚を取り付けました。機器類は取り替えましたが、キャビネットやシンク、作業台は元のままです。また、リノリウムの床材を剥がしたことで、その下にあったオーク材の床が無傷で残っていたことを発見しました。
キャビネットはシーフォームグリーンに塗装しています。「私は青が大好きなのですが、家の中はティールやシーフォームグリーン寄りの色にしました」とトレーシーさんは言います。トレーシーさんによると、海岸の雰囲気は出したかった一方で、船のモチーフやありきたりなカラーパレットでやり過ぎることは避けたかったそうです。
「以前から、チェッカーボード柄の床に憧れていたんです」とトレーシーさんは言います。まずキッチンとダイニングの床を白く塗装し、柄を正確に描くためにチョークで線を引いてからマスキングして黒い四角を塗装しました。
塗装といえば、夫婦が最初に取り掛かったのが、焦げ茶色だった木製パネルを爽やかな白に塗り替えることでした。木製パネルはコテージらしくて気に入っていましたが、色のせいで家の中がとても暗くなっていたのです。
「真っ白にするのに五度塗りする必要がありました」とトレーシーさん。ここでも勾配天井とすることができ、既存のパネルの上にシップラップパネルを張っています。「この家を見ると、新しく塗装することでどれだけ変わるのかがわかります」とトレーシーさんは語ります。
この部屋では、ティールカラーの木製ビーズでつくられた一対のシャンデリアが色味をもたらしています。また、藤製の椅子は、海岸らしいテクスチャを加えるのに役立っています。「壁をニュートラルなものにしたことで、さまざまなテクスチャを加えやすくなりました」とトレーシーさんは語ります。
塗装といえば、夫婦が最初に取り掛かったのが、焦げ茶色だった木製パネルを爽やかな白に塗り替えることでした。木製パネルはコテージらしくて気に入っていましたが、色のせいで家の中がとても暗くなっていたのです。
「真っ白にするのに五度塗りする必要がありました」とトレーシーさん。ここでも勾配天井とすることができ、既存のパネルの上にシップラップパネルを張っています。「この家を見ると、新しく塗装することでどれだけ変わるのかがわかります」とトレーシーさんは語ります。
この部屋では、ティールカラーの木製ビーズでつくられた一対のシャンデリアが色味をもたらしています。また、藤製の椅子は、海岸らしいテクスチャを加えるのに役立っています。「壁をニュートラルなものにしたことで、さまざまなテクスチャを加えやすくなりました」とトレーシーさんは語ります。
この家にはいくつか魅力的な造り付け家具がありましたが、その機能を最大限に活かすためには調整が必要でした。
写真の食器棚に似た棚が、ダイニングの壁の不便な位置に取り付けられていました。マイクはこれを外し、ファミリールームのテレビを隠すための造り付け家具につくり替えました。
それから、壁に取り付けられていた棚を改造して、必要な収納のためのきちんとした食器棚とし、変化を出すために木製の天板を加えました。
棚の背に取り付けたシップラップパネルは、キッチンキャビネットと同じシーフォームグリーンに塗装しています。
写真の食器棚に似た棚が、ダイニングの壁の不便な位置に取り付けられていました。マイクはこれを外し、ファミリールームのテレビを隠すための造り付け家具につくり替えました。
それから、壁に取り付けられていた棚を改造して、必要な収納のためのきちんとした食器棚とし、変化を出すために木製の天板を加えました。
棚の背に取り付けたシップラップパネルは、キッチンキャビネットと同じシーフォームグリーンに塗装しています。
ファミリールームはより広くオープンで、明るく、風通しの良い空間につくり替えました。かつてはソファの後ろの側面窓はなく、家の後方では半壁に囲まれたガラス張りのポーチが川への視界を遮っていました。天井が斜めになっているところがガラスポーチのあった場所です。
夫婦は半壁を取り除き、家の後方までファミリールームを拡張しました。奥にはガラスドアを、そしてソファの上には両開き窓を3つ加えました。
夫婦は半壁を取り除き、家の後方までファミリールームを拡張しました。奥にはガラスドアを、そしてソファの上には両開き窓を3つ加えました。
Th大きくなった部屋には、きちんとサイズが考えられた家具が必要でした。トレーシーさんは複数のユニットソファを使って特別に長いソファをつくりました。3メートルもあるこのソファには、4人家族が全員で座ることができます。ソファはテレビに面していますが、このテレビはマイクさんがつくった棚で隠すことができます。とても大きなコーヒーテーブルも空間にフィットしています。アームチェアはすべて回転式のため、川を見たり、暖炉やテレビに向かったり、会話をするために回すことができます。
「ここにL字型のユニットソファを置きたかったのですが、部屋を通り抜けるための動線が必要でした」とトレーシーさんは言います。「ドアは川に行く時に使いますし、キッチンやダイニングに行くためにも通ります。なので、コーヒーテーブルの下に入る特大のオットマンを加えました。これをソファのところまで転がして足を載せることができます」。このオットマンのおかげで、ソファが長椅子付きのようになります。
「ここにL字型のユニットソファを置きたかったのですが、部屋を通り抜けるための動線が必要でした」とトレーシーさんは言います。「ドアは川に行く時に使いますし、キッチンやダイニングに行くためにも通ります。なので、コーヒーテーブルの下に入る特大のオットマンを加えました。これをソファのところまで転がして足を載せることができます」。このオットマンのおかげで、ソファが長椅子付きのようになります。
トレーシーさんの姉妹が内装用に選んだ生地は、すべて室内でも室外でも使える布地です。「濡れた水着のままで座っても問題ありません」とトレーシーさんは話します。
暖炉の前に置かれた椅子も回転式です。「元々あった暖炉は素晴らしいもので、煙がよく通ります。冬には家族でここに集まるのが大好きなんです」とトレーシーさんは語ります。
暖炉の前に置かれた椅子も回転式です。「元々あった暖炉は素晴らしいもので、煙がよく通ります。冬には家族でここに集まるのが大好きなんです」とトレーシーさんは語ります。
網戸で囲まれた風通しの良いポーチは元からあったものです。マイクさんとトレーシーさんは、床の塗装を剥がしてから内部と同じく仕上げ、天井のシップラップパネルはシーフォームグリーンで塗装しました。座り心地の良いウィッカー編みの白い家具と緑と青の縞模様のラグによって海辺の雰囲気がつくられており、そこに明るい黄色のアクセントが加わることで刺激的な空間になっています。
ポーチの先には有機的な形をした石敷きのパティオが加えられています。「ランドスケープの中に建つコテージの雰囲気を大切にしたかったんです」とトレーシーさんは言います。「また、砂質の土で良く育ち、管理も簡単な紫陽花などの植物についても調べました」
円形のカクテルテーブルの周りに置かれた4脚のアディロンダックチェアでは、家族4人が揃って近況を話し合い、景色を楽しむことができます。芝生の中に設置された炉の周りにも、座る場所が設けられています。
家の1階にはベッドルームが2室と、フルバスルームが1室あります。写真はトレーシーさんとマイクさんのベッドルームです。大きな変更は加えていませんが、落ち着いた海辺の雰囲気をもたらすために、既存のシップラップパネルを薄青色に塗装しています。また、家の側面には片開き窓を新たに加えています。ベッドの上に設置された3つの舷窓型ミラーによって船らしさが出ています。
ゲストルームのベッドのヘッドボードの背後にトレーシーさんが選んだのは、濃紺のアクセントウォールです。「金属製のベッドフレームはアンティーク調で、渦巻き模様が気に入りました」とトレーシーさんは言います。
既存の階段は急だったため、マイクさんはオールとドックで使う留め具を使って手すりをつくりました。また、ファミリールームのカーペットの残り布からは、トレーシーさん姉妹が階段用の細長い絨毯をつくりました。
かつては屋根裏部屋には小さな簡易バスルームがあり、ひとつのオープンな空間として使われていました。夫婦はこの空間をふたつの独立したベッドルームに分割し、子どもたちの友人が遊びに来るのに十分なスペースを確保しています。
2段ベッドはマイクさんの手によるものです。ベッドはシップラップパネルに囲まれており、舷窓を通してもう片方の子ども部屋を覗くことができます。
また、マイクさんは2つの部屋を仕切るために壁をつくり、そこに屋根の形に合わせて角を切り取ったあつらえのドアを取り付けました。
また、マイクさんは2つの部屋を仕切るために壁をつくり、そこに屋根の形に合わせて角を切り取ったあつらえのドアを取り付けました。
もうひとつのベッドルームには普通のベッドとツインマットレスにサイズを合わせてあつらえたデイベッドが置かれています。デイベッド下部の引き出し収納は、余分なシーツやまくらカバーを仕舞うのに使っています。貝殻で縁取られた鏡やラフィアを巻きつけたテーブルが海岸らしさを演出しています。
外には、泳ぎやセーリングから戻ってきた時に使うシャワーが設置されています。フルバスルームがひとつしかない家においては、外にシャワーがあることが非常に重要になります。
敷地内には船着場と小さな砂浜があります。チェサピーク湾からマゴシー川を上って5キロメートルもない位置にあるため、セーリングで移動するには最高です。
写真の面白いボートは家族から家族へと受け継がれてきたもので、トレーシーさんと娘さんが楽しみながら塗装しました。「娘がスイカ柄にすることを思いついて、ペンキの色を選んだんです。それから一緒にペンキを塗りました」とトレーシーさんは語ります。
「自分たちが好きでやっている仕事なんです」とトレーシーさんは言います。「私たち家族にとって素晴らしい隠れ家であり、維持のしやすさも住みやすさも抜群です」
Houzzで住まいの専門家を探す
「自分たちが好きでやっている仕事なんです」とトレーシーさんは言います。「私たち家族にとって素晴らしい隠れ家であり、維持のしやすさも住みやすさも抜群です」
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