スローなデザインをとりいれた、北欧スタイルの豊かな暮らしとは?
Houzzスウェーデン版のエディターが、日本でも人気の高い「北欧スタイル」を実践するコツをご紹介します。
Sara Norrman
2015年9月10日
優しい光をふんだんにとりいれた、ナチュラルで美しい北欧のデザインとライフスタイルは、世界を魅了してきました。北欧スタイルとは、単に床を白く塗ったり、椅子のカバーにシープスキンを使うといったテクニックだけを指すのではありません。
毎日を愛おしみながら暮らす北欧の人たちの心が、北欧スタイルをつくっているのであって、予算や家の大きさにかかわらず、誰にでも真似できることなのです。Houzzスウェーデン版のエディターが、北欧スタイルをつくるための8つのステップをご紹介します。
毎日を愛おしみながら暮らす北欧の人たちの心が、北欧スタイルをつくっているのであって、予算や家の大きさにかかわらず、誰にでも真似できることなのです。Houzzスウェーデン版のエディターが、北欧スタイルをつくるための8つのステップをご紹介します。
素敵な暮らしにはデザインが必要です
生活に優れたデザインをとりいれること。それは、近所の人をあっと言わせたり、有名デザイナーの作品を自慢するために買うということではありません。それは、心地良い暮らしをめざすということ。仕事のスペースに少し気を配ったり、居心地のよい空間づくりを心がけたり、身近なものがどのように作られたのかを気にかけたりすることから始まります。北欧におけるデザインとは、単にプロダクトに美しさを求めることではありません。求められる機能に従ってフォルムを形作っていきます。「用の美」、つまり、必要に則した、無駄のないフォルムを目指します。もちろん、そうした取り組みの中から、ファンキーで楽しいデザインが生まれることもあります。
生活に優れたデザインをとりいれること。それは、近所の人をあっと言わせたり、有名デザイナーの作品を自慢するために買うということではありません。それは、心地良い暮らしをめざすということ。仕事のスペースに少し気を配ったり、居心地のよい空間づくりを心がけたり、身近なものがどのように作られたのかを気にかけたりすることから始まります。北欧におけるデザインとは、単にプロダクトに美しさを求めることではありません。求められる機能に従ってフォルムを形作っていきます。「用の美」、つまり、必要に則した、無駄のないフォルムを目指します。もちろん、そうした取り組みの中から、ファンキーで楽しいデザインが生まれることもあります。
ステップ1: 必ずオリジナル製品を買う
たしかに、名作デザインは高価です。コピー品でも変わらない、と思う気持ちもわかります。でも、コピー品にはない価値がオリジナルにはあるのです。例えば、ポール・ヘニングセンのPH3を思い切って手に入れれば、ずっと長く使えますし、いつかお孫さんの大学の学費の足しになるかもしれません。ヘニングセンがPHシリーズの照明をデザインしたのは1920年代から30年代にかけてですが、今も変わらぬモダンな美しさがあります。
たしかに、名作デザインは高価です。コピー品でも変わらない、と思う気持ちもわかります。でも、コピー品にはない価値がオリジナルにはあるのです。例えば、ポール・ヘニングセンのPH3を思い切って手に入れれば、ずっと長く使えますし、いつかお孫さんの大学の学費の足しになるかもしれません。ヘニングセンがPHシリーズの照明をデザインしたのは1920年代から30年代にかけてですが、今も変わらぬモダンな美しさがあります。
ステップ2: 自然光を楽しむ
北欧デザインといえば、白い壁に黒を効かせたインテリア、ですよね。たしかに、ちょっとありきたりな感じがするかもしれません。でも、北欧スタイルにもカラフルな家はたくさんあります。それに、白にもさまざまなニュアンスがあります。私たちが心から愛する夏の光と冬に降り積もる雪の色に影響されているのかもしれません。この部屋の壁は、自然光をとてもきれいに反射しています。また、斜めの天井が空間全体に光を行き渡らせますし、ハイサイドウィンドウや小さな天窓のおかげで、入射角の低い冬の日光もしっかりと室内に差し込みます。
北欧デザインといえば、白い壁に黒を効かせたインテリア、ですよね。たしかに、ちょっとありきたりな感じがするかもしれません。でも、北欧スタイルにもカラフルな家はたくさんあります。それに、白にもさまざまなニュアンスがあります。私たちが心から愛する夏の光と冬に降り積もる雪の色に影響されているのかもしれません。この部屋の壁は、自然光をとてもきれいに反射しています。また、斜めの天井が空間全体に光を行き渡らせますし、ハイサイドウィンドウや小さな天窓のおかげで、入射角の低い冬の日光もしっかりと室内に差し込みます。
ステップ:サステナブルなものを買う
北欧5カ国(アイスランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド)は国土の多くを森林に覆われているので、暮らしのさまざまな場面において木を使います。スツールからサウナまで、マツやトウヒの板張りにするのが、典型的な北欧スタイルのインテリアです。そして、身近にある素材を活用することが、サステナビリティにつながっているのです。
消費者である私たちには、プロダクトをしっかりと選択することで大きな力を発揮することができます。つまり、私たちが賢く買い物をすることで、よりよいプロダクトづくりに貢献できるのです。ものづくりのプロセスを明らかにしている企業がつくるものを買いましょう。毎日の小さな心がけで、少しずつ世の中を変えていくことができるのです。
北欧5カ国(アイスランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド)は国土の多くを森林に覆われているので、暮らしのさまざまな場面において木を使います。スツールからサウナまで、マツやトウヒの板張りにするのが、典型的な北欧スタイルのインテリアです。そして、身近にある素材を活用することが、サステナビリティにつながっているのです。
消費者である私たちには、プロダクトをしっかりと選択することで大きな力を発揮することができます。つまり、私たちが賢く買い物をすることで、よりよいプロダクトづくりに貢献できるのです。ものづくりのプロセスを明らかにしている企業がつくるものを買いましょう。毎日の小さな心がけで、少しずつ世の中を変えていくことができるのです。
ステップ4: 黒と白のメリハリを効かせる
北欧スタイルはニュートラルでいろいろなスタイルに合わせやすいけれど、ちょっと退屈……だなんて思っていませんか? 決してそんなことはありません。北欧の国々には実は非常に極端な面がありますし、北欧人は激しい感情を心に秘めているのです。何しろ、夏は白夜が続くため一日中明るく、冬は闇に閉ざされる土地柄です。インテリアに白が多すぎると、室内でホワイトアウトの状態になりかねません。逆に黒が多すぎると、ひたすら憂鬱な気分になってしまいます。だから、白を基調としながら、黒でバランスよく引き締めるのが、私たちの身上なのです。世界各地にそれぞれぴったりな陰陽のバランスがあるもの。北欧スタイルもその1つなのです。
北欧スタイルはニュートラルでいろいろなスタイルに合わせやすいけれど、ちょっと退屈……だなんて思っていませんか? 決してそんなことはありません。北欧の国々には実は非常に極端な面がありますし、北欧人は激しい感情を心に秘めているのです。何しろ、夏は白夜が続くため一日中明るく、冬は闇に閉ざされる土地柄です。インテリアに白が多すぎると、室内でホワイトアウトの状態になりかねません。逆に黒が多すぎると、ひたすら憂鬱な気分になってしまいます。だから、白を基調としながら、黒でバランスよく引き締めるのが、私たちの身上なのです。世界各地にそれぞれぴったりな陰陽のバランスがあるもの。北欧スタイルもその1つなのです。
ステップ5: 子供たちのためのスペースを重視する
北欧の国々では、子供の姿はいたるところに見られますし、大きな声をあげて遊んでいます。子供が遊ぶ時間はとても重視されていますし、デンマークのレゴやスウェーデンのものづくりゲーム「マインクラフト」など、遊びを通して子供たちはさまざまな実験をしながら学んでいきます。スウェーデンにあるこちらの家では、両親の寝室の上にあるロフトが屋内ツリーハウスになっています。ネットも張ってあるので安全に遊ぶことができます。
北欧の国々では、子供の姿はいたるところに見られますし、大きな声をあげて遊んでいます。子供が遊ぶ時間はとても重視されていますし、デンマークのレゴやスウェーデンのものづくりゲーム「マインクラフト」など、遊びを通して子供たちはさまざまな実験をしながら学んでいきます。スウェーデンにあるこちらの家では、両親の寝室の上にあるロフトが屋内ツリーハウスになっています。ネットも張ってあるので安全に遊ぶことができます。
ステップ6: 自然とともに暮らす
北欧以外のヨーロッパの国々では、夏になるとみんな、人が集まるビーチを目指します。でも北欧の人々は、人混みを避け、人里離れた場所で休暇を過ごします。水道やセントラルヒーティングはなくても、北欧はインターネット事情が非常によいので、Wi-Fiはちゃんとあったりします。私たちの生活は、緑あふれる国土の景観に根ざしていますし、こちらのサマーハウスのように、新しくつくられる建築も最新の断熱技術や三重窓ガラスといった先進的技術をうまくとりいれます。自然を屋内にとりいれるのも北欧スタイルの特徴の一つ。屋外が雪に包まれる冬の3ヶ月間には、シンプルなテラコッタの鉢に植えた観葉植物を楽しみます。
北欧以外のヨーロッパの国々では、夏になるとみんな、人が集まるビーチを目指します。でも北欧の人々は、人混みを避け、人里離れた場所で休暇を過ごします。水道やセントラルヒーティングはなくても、北欧はインターネット事情が非常によいので、Wi-Fiはちゃんとあったりします。私たちの生活は、緑あふれる国土の景観に根ざしていますし、こちらのサマーハウスのように、新しくつくられる建築も最新の断熱技術や三重窓ガラスといった先進的技術をうまくとりいれます。自然を屋内にとりいれるのも北欧スタイルの特徴の一つ。屋外が雪に包まれる冬の3ヶ月間には、シンプルなテラコッタの鉢に植えた観葉植物を楽しみます。
ステップ7: 収納と整理整頓
北欧人は選りすぐりのものを、きちんと整理して置くのが好きです。シンプルなものの中に慎ましやかな美しさを見出すこと、例えばタオルをきちんとたたんで積み重ねたり、本棚の本を色別に整理して並べたりすることに喜びを見出します。「デザインを通して気づきを得ること」は、どんな暮らし方をしていても、また、お金をかけなくても実践できることなのです。
北欧人は選りすぐりのものを、きちんと整理して置くのが好きです。シンプルなものの中に慎ましやかな美しさを見出すこと、例えばタオルをきちんとたたんで積み重ねたり、本棚の本を色別に整理して並べたりすることに喜びを見出します。「デザインを通して気づきを得ること」は、どんな暮らし方をしていても、また、お金をかけなくても実践できることなのです。
ステップ8: 「ヒュッゲ」を大切にする
北欧の「スローなデザイン」の魅力を紹介するこの記事を締めくくるにあたって、北欧スタイルの精神を一言で表す、デンマーク語の「ヒュッゲ (Hygge)」という言葉をご紹介します。大好きな人と過ごす心地よい時間、光が降り注ぐ明るく気持ちのいい部屋、お気に入りの日用品を使うときに感じるほっこりとした気分を表すときに使う言葉です。
「ヒュッゲ」はお金で手に入るものでも、誰かにつくってもらえるものでもありません。北欧人が大切にする「暮らしの豊かさ」であり、それは一人ひとりが自分の家と暮らしのなかで手に入れるものなのです。
北欧の「スローなデザイン」の魅力を紹介するこの記事を締めくくるにあたって、北欧スタイルの精神を一言で表す、デンマーク語の「ヒュッゲ (Hygge)」という言葉をご紹介します。大好きな人と過ごす心地よい時間、光が降り注ぐ明るく気持ちのいい部屋、お気に入りの日用品を使うときに感じるほっこりとした気分を表すときに使う言葉です。
「ヒュッゲ」はお金で手に入るものでも、誰かにつくってもらえるものでもありません。北欧人が大切にする「暮らしの豊かさ」であり、それは一人ひとりが自分の家と暮らしのなかで手に入れるものなのです。
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