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自分の「好き」をプロと探そう。幸せなインテリア改造のコツ
人気番組「クィア・アイ」のインテリアデザイン担当として活躍するボビー・バークさんから、ハッピーになれるインテリアを作るためのアドバイスをもらいました。

Gwendolyn Purdom
2020年6月26日
Netflixのリアリティ番組「クィア・アイ」は、人生に自信をなくした人たちが、5人エキスパート「ファブ5」のサポートで大変身を遂げていく人気シリーズ。ファブ5の中で住まいの大改造を毎回手がけているのが、インテリアデザイナーとして活躍するボビー・バークさんです。
大変身を遂げた自宅に帰ってきたキャンプさん(左)とファブ5。手前右がバークさん(Photo from Netflix)
住まいを改造してリセット
シリーズ1の中に、6人の子どもを抱え、整理整頓ができないまま暮らす男性、ボビー・キャンプさんが登場するエピソードがあります。生まれ変わった家をお披露目するシーンからは、インテリアが住まいにもたらすインパクトの大きさが見てとれます。
バークさんは、キャンプさんとのやりとりを振り返り、こう話します。「完成した家に彼が入ってくると、僕を見て涙を浮かべてこう言ったんです。『帰宅して、元の状態の家を目にするたび自分はやるべきことができていない人間だ、という気持ちになっていました。荒れた家を見て、自分は夫としても父親としてもだめなんだ、と』」
「でも変身後、彼はこういってくれたんです。『おかげでリセットができました。今、自分はちゃんとやれている、と感じています』」
住まいを改造してリセット
シリーズ1の中に、6人の子どもを抱え、整理整頓ができないまま暮らす男性、ボビー・キャンプさんが登場するエピソードがあります。生まれ変わった家をお披露目するシーンからは、インテリアが住まいにもたらすインパクトの大きさが見てとれます。
バークさんは、キャンプさんとのやりとりを振り返り、こう話します。「完成した家に彼が入ってくると、僕を見て涙を浮かべてこう言ったんです。『帰宅して、元の状態の家を目にするたび自分はやるべきことができていない人間だ、という気持ちになっていました。荒れた家を見て、自分は夫としても父親としてもだめなんだ、と』」
「でも変身後、彼はこういってくれたんです。『おかげでリセットができました。今、自分はちゃんとやれている、と感じています』」
シーズン1でキャンプさん(左)と庭仕事をするバークさん(Photo from Netflix)
もちろん、自宅リビングの改造がすべての人にそこまで深い発見をもたらすわけではないでしょう。
それでも、クィア・アイのシーズン1が人気を博し、多くの人が心を動かされたことからわかるように、日々暮らしている場所(と、生活のその他の部分)に手を加え、思いを注ぎ込むと、気持ちの面で大きな変化を起こせるのです。
今後も心に響くライフスタイル改造プロジェクトを見てもらえると思う、とバークさんは語ります。
もちろん、自宅リビングの改造がすべての人にそこまで深い発見をもたらすわけではないでしょう。
それでも、クィア・アイのシーズン1が人気を博し、多くの人が心を動かされたことからわかるように、日々暮らしている場所(と、生活のその他の部分)に手を加え、思いを注ぎ込むと、気持ちの面で大きな変化を起こせるのです。
今後も心に響くライフスタイル改造プロジェクトを見てもらえると思う、とバークさんは語ります。
シーズン2のファブ5。左がバークさん(Photo from Netflix)
デザインは楽しい気持ちをくれる
「クィア・アイ」では、生き方の本質に迫るような、シリアスな要素が評判を呼びました。このことは、バークさんをはじめとする5人にとって驚きだったそうです。
番組では、肌の手入れや、スマートな収納法の大切さに加え、人種間の関係性、自分に自信を持つことの大切さ、同性愛や宗教に関する偏見からの解放、といったことにもふれています。
「初めはただ出演者を改造するリアリティショー、というつもりでした」とバークさん。「(米国で2003年から2007年にかけて放送された)オリジナル版の番組同様、僕はただ新しいソファを入れたり、壁を塗り直したりするだけのつもりでした。今のようなテーマにふれることになるとは、みんな思ってもいませんでした」
バークさんがインテリアの世界に興味を持ったのは子どものころ、家で使うアイテムのデザインが、人を楽しい気持ちにさせる可能性に気づいたときだったそうです。
1999年、米大手小売店「ターゲット」が初の有名デザイナーとのコラボレーションに乗り出し、建築家のマイケル・グレイヴスと共同デザインした商品を出しました。バークさんは母親とターゲットを訪れた際、インスピレーションを受けたといいます。
デザインは楽しい気持ちをくれる
「クィア・アイ」では、生き方の本質に迫るような、シリアスな要素が評判を呼びました。このことは、バークさんをはじめとする5人にとって驚きだったそうです。
番組では、肌の手入れや、スマートな収納法の大切さに加え、人種間の関係性、自分に自信を持つことの大切さ、同性愛や宗教に関する偏見からの解放、といったことにもふれています。
「初めはただ出演者を改造するリアリティショー、というつもりでした」とバークさん。「(米国で2003年から2007年にかけて放送された)オリジナル版の番組同様、僕はただ新しいソファを入れたり、壁を塗り直したりするだけのつもりでした。今のようなテーマにふれることになるとは、みんな思ってもいませんでした」
バークさんがインテリアの世界に興味を持ったのは子どものころ、家で使うアイテムのデザインが、人を楽しい気持ちにさせる可能性に気づいたときだったそうです。
1999年、米大手小売店「ターゲット」が初の有名デザイナーとのコラボレーションに乗り出し、建築家のマイケル・グレイヴスと共同デザインした商品を出しました。バークさんは母親とターゲットを訪れた際、インスピレーションを受けたといいます。
ボビー・バーク・ホームによるダイニングルーム
「店内を歩きながら、やかんやトースター、スパチュラなどをながめていました。それまで、普段家にあるものにデザイン性があるなんて考えもしなかったし、家にあるものが人を幸せな気持ちにするなんて思いもしませんでした。トースターはただトースターでしたから。でも、あのときターゲットで見たものは、機能性があるだけでなくてセンスもよくて、見ていて楽しい気持ちにさせてくれたんです。(米中西部の)ミズーリ州で少年時代を過ごしていた僕にとって、新しい概念でした」
バークさんは、番組の中で、また自身のインテリアブランドや、デザイン事務所ボビー・バーク・インテリア+デザインを通じて、「家で感じられる幸福感」を追求しているそうです。
番組内の改造計画(ボビーは「改造=メイクオーバー」に代えて「改良=メイクベター」という言葉を好んで使う)では、生活をがらりと変えるような変化を生み出し、3日ほどで完成させなければなりません。
バークさんは、場合によってはアパートメント全体やフロア全体を造り替えます。他のファブ5メンバーが出演者の髪をセットしたり、一緒に服を買いに行ったりするのとは、少し違うプレッシャーを背負っている役割です。
「店内を歩きながら、やかんやトースター、スパチュラなどをながめていました。それまで、普段家にあるものにデザイン性があるなんて考えもしなかったし、家にあるものが人を幸せな気持ちにするなんて思いもしませんでした。トースターはただトースターでしたから。でも、あのときターゲットで見たものは、機能性があるだけでなくてセンスもよくて、見ていて楽しい気持ちにさせてくれたんです。(米中西部の)ミズーリ州で少年時代を過ごしていた僕にとって、新しい概念でした」
バークさんは、番組の中で、また自身のインテリアブランドや、デザイン事務所ボビー・バーク・インテリア+デザインを通じて、「家で感じられる幸福感」を追求しているそうです。
番組内の改造計画(ボビーは「改造=メイクオーバー」に代えて「改良=メイクベター」という言葉を好んで使う)では、生活をがらりと変えるような変化を生み出し、3日ほどで完成させなければなりません。
バークさんは、場合によってはアパートメント全体やフロア全体を造り替えます。他のファブ5メンバーが出演者の髪をセットしたり、一緒に服を買いに行ったりするのとは、少し違うプレッシャーを背負っている役割です。
Photo by Alex Generales
番組撮影の裏側は大忙し
撮影の進行上、バークさんが大変身させる家を実際に見るのは、火曜の午後遅い時間です。そこから、金曜の朝には模様替えやリノベーションを完成させなければいけないのです。
「火曜日にあとの4人がプロジェクトに着手して出かけて行く時点で、僕には大勢のチームがつくのですが、番組では外見よりも中身をよくすることに重きを置いているので、その場面は番組には出てきません。間取りや構造を造り替えるところを最初の2日間で終えたあと、最後の1日で僕のチームが行って家具類を入れていきます。だいたい、金曜の撮影前にカメラをセットしている横で、カーテンにスチームアイロンをかけて、仕上げます」
バークさんが手がけるリノベーションの裏側も、視聴者は見ることはなできません。シーズン2のある回では、使い勝手が悪く、活用されていなかったダイニングルームのクローゼットをふさぎ、反対側の壁にメインのクローゼットを新たに造ったことも。
「作業をするうち、家がシロアリにかなりやられていることがわかったんです。家を守るために壁をだいぶ剥がしました。こういう部分は番組には出てきません」
番組撮影の裏側は大忙し
撮影の進行上、バークさんが大変身させる家を実際に見るのは、火曜の午後遅い時間です。そこから、金曜の朝には模様替えやリノベーションを完成させなければいけないのです。
「火曜日にあとの4人がプロジェクトに着手して出かけて行く時点で、僕には大勢のチームがつくのですが、番組では外見よりも中身をよくすることに重きを置いているので、その場面は番組には出てきません。間取りや構造を造り替えるところを最初の2日間で終えたあと、最後の1日で僕のチームが行って家具類を入れていきます。だいたい、金曜の撮影前にカメラをセットしている横で、カーテンにスチームアイロンをかけて、仕上げます」
バークさんが手がけるリノベーションの裏側も、視聴者は見ることはなできません。シーズン2のある回では、使い勝手が悪く、活用されていなかったダイニングルームのクローゼットをふさぎ、反対側の壁にメインのクローゼットを新たに造ったことも。
「作業をするうち、家がシロアリにかなりやられていることがわかったんです。家を守るために壁をだいぶ剥がしました。こういう部分は番組には出てきません」
シーズン1でポーターさん(右)と話すバークさん(Photo from Netflix)
自分の「好き」をプロとつかもう
バークさんは「自分ならではの美意識を見つめ、正しくつかむ」作業をクライアントをすることで、どのようなインテリアにするか決める、といいます。
暮らす人のスタイルとニーズを反映した楽しい空間を創造することは、その人がどんなものに魅かれるのかを把握することから始まるのだそうです。
「家のデザインを手がけるとき、クライアントには最初に希望や夢を描いたボードを作ってみてください、と依頼します。家に関することだけではありません。好きなセーターも入れてほしいし、気に入っている絵や建物、プールに浮かべるウォーターフロートでも何でも全部、挙げてみてください、と。そうすると、クライアントも自分が何が好きなのかわかってきて、自分がハッピーな気持ちになれるものを手にできるんです」
シーズン1で登場した若い男性、レミントン・ポーターさんは、亡き祖母から譲り受けた70年代の内装そのままの家で暮らしていて、リノベーションはゼロからのスタートでした。
「自分がどんなスタイルが好きなのか、まったくわかっていなかったんです。最初の時点で私が把握していた情報は、彼がマーケティング会社を立ち上げたいと考えていること、好きな番組は『マッドメン』で、敬愛するアイコンは主人公のドン・ドレイパー、理想の休暇を過ごすならキューバ。それだけでした」
こうした要素を組み合わせて、最終的には洗練されたミッドセンチュリーモダンにキューバの空気を感じる色彩を加えた、独身男子の城ができあがりました。
「とても気に入ってくれて、『わあ、すごいな。これが自分のスタイルだなんて思いもしなかったけど、本当にすごい、まさに自分の好きなスタイルだ』といってもらえました」
自分の「好き」をプロとつかもう
バークさんは「自分ならではの美意識を見つめ、正しくつかむ」作業をクライアントをすることで、どのようなインテリアにするか決める、といいます。
暮らす人のスタイルとニーズを反映した楽しい空間を創造することは、その人がどんなものに魅かれるのかを把握することから始まるのだそうです。
「家のデザインを手がけるとき、クライアントには最初に希望や夢を描いたボードを作ってみてください、と依頼します。家に関することだけではありません。好きなセーターも入れてほしいし、気に入っている絵や建物、プールに浮かべるウォーターフロートでも何でも全部、挙げてみてください、と。そうすると、クライアントも自分が何が好きなのかわかってきて、自分がハッピーな気持ちになれるものを手にできるんです」
シーズン1で登場した若い男性、レミントン・ポーターさんは、亡き祖母から譲り受けた70年代の内装そのままの家で暮らしていて、リノベーションはゼロからのスタートでした。
「自分がどんなスタイルが好きなのか、まったくわかっていなかったんです。最初の時点で私が把握していた情報は、彼がマーケティング会社を立ち上げたいと考えていること、好きな番組は『マッドメン』で、敬愛するアイコンは主人公のドン・ドレイパー、理想の休暇を過ごすならキューバ。それだけでした」
こうした要素を組み合わせて、最終的には洗練されたミッドセンチュリーモダンにキューバの空気を感じる色彩を加えた、独身男子の城ができあがりました。
「とても気に入ってくれて、『わあ、すごいな。これが自分のスタイルだなんて思いもしなかったけど、本当にすごい、まさに自分の好きなスタイルだ』といってもらえました」
Builder magazineに掲載された、ボビー・バーク・ホームによる家
レミントンの大変身の例は、自宅をどうしたらいいかよくわからないという人に対して、インテリアデザインのプロが示せる答えの一つにすぎない、とバークさんはいいます。
「インテリアのプロである僕たちは毎日、一日中これを仕事にしてやっています。だから、相手がそうと自覚していないような場合でも、その人の話からヒントを見つけ、何が好きなのかをつかんで聞き取るのは得意なんですよ」
ファブ5の知恵を借りられない人でも、インテリアの専門家に依頼すれば、かなりの苦労は軽減されるでしょう。専門家は、大事な部分に予算をかけるように計画するので逆にコストも抑えられる場合が多い、とバークさんは教えてくれました。
インテリアデザイナー・コーディネーターを探す
レミントンの大変身の例は、自宅をどうしたらいいかよくわからないという人に対して、インテリアデザインのプロが示せる答えの一つにすぎない、とバークさんはいいます。
「インテリアのプロである僕たちは毎日、一日中これを仕事にしてやっています。だから、相手がそうと自覚していないような場合でも、その人の話からヒントを見つけ、何が好きなのかをつかんで聞き取るのは得意なんですよ」
ファブ5の知恵を借りられない人でも、インテリアの専門家に依頼すれば、かなりの苦労は軽減されるでしょう。専門家は、大事な部分に予算をかけるように計画するので逆にコストも抑えられる場合が多い、とバークさんは教えてくれました。
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