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色の使い方の基本:空間を引き締めるアクセントカラー
ベースカラーとアソートカラーが決まったら、仕上げにアクセントカラーを。色配分のバランスや対比効果を踏まえて、わかりやすく解説します。
カツウラアキツ
2017年4月3日
「色の使い方の基本」シリーズでは前回と前々回、ベースカラーとアソートカラーに注目し、インテリアの色配分のバランスについてご紹介してきました。今回は、3つめの構成要素であり、少量でも効果抜群の「アクセントカラー」についてご説明します。
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すでにおなじみ? アクセントカラー
ファッションのコーディネートやメイクのハウツーなど、日常のさまざまな場面で使われる「アクセントカラー」という言葉は、皆さんご存じだと思います。
では、インテリアのアクセントカラーについてはどうでしょうか。写真の部屋でのアクセントカラーは、最も目を惹くイエローのクッションです。では、なぜこの黄色が「アクセント」に見えるのでしょうか? この記事では、ベースカラーとアソートカラーの定義を踏まえ、色の分量とその対比効果に範囲を絞って、シンプルに説明します。
ファッションのコーディネートやメイクのハウツーなど、日常のさまざまな場面で使われる「アクセントカラー」という言葉は、皆さんご存じだと思います。
では、インテリアのアクセントカラーについてはどうでしょうか。写真の部屋でのアクセントカラーは、最も目を惹くイエローのクッションです。では、なぜこの黄色が「アクセント」に見えるのでしょうか? この記事では、ベースカラーとアソートカラーの定義を踏まえ、色の分量とその対比効果に範囲を絞って、シンプルに説明します。
カラー配分の基本
繰り返しご説明してきましたが、今回もまず、インテリアカラーを構成する3つの構成要素の復習から始めます。
1. ベースカラー(基調色)
面積の大きな床、壁、天井などの色で全体の約70%を占める色。
2. アソートカラー(従属色)
大きめの家具やカーペット、カーテンなど全体の約25%を占める色。
3. アクセントカラー(強調色)
雑貨やクッションなど部屋の約5%の分量を占める色。写真ではペンダントライトの赤がそれにあたります。
場合によってパーセントの数値に前後はありますが、基本的にこの3つのバランスがよいと、心地よいインテリアになります。
繰り返しご説明してきましたが、今回もまず、インテリアカラーを構成する3つの構成要素の復習から始めます。
1. ベースカラー(基調色)
面積の大きな床、壁、天井などの色で全体の約70%を占める色。
2. アソートカラー(従属色)
大きめの家具やカーペット、カーテンなど全体の約25%を占める色。
3. アクセントカラー(強調色)
雑貨やクッションなど部屋の約5%の分量を占める色。写真ではペンダントライトの赤がそれにあたります。
場合によってパーセントの数値に前後はありますが、基本的にこの3つのバランスがよいと、心地よいインテリアになります。
空間を引き締め、コーディネートを仕上げる役割
3つの構成要素の中でもアクセントカラーは、使う場所選びも色選びも、いちばん自由にできます。
ベースカラーやアソートカラーがインテリアイメージの基盤をつくる役割なら、アクセントカラーはその仕上げをする役割です。部屋で最も目線を惹きつける場所になるため、基本的にはベースカラーの色合いや明度(明るさ)、彩度(鮮やかさ)と対比するような色を配置します。それによって、空間を引き締める効果が出てくるのです。
穏やかな印象の空間にしたい場合は、アクセントカラーをあえて使わないのも手です。ただ、あまりに近い色どうしでまとめると、単調すぎて飽きてしまいます。その場合は、同色系の濃淡でアイテムを揃えたり、素材感やつや感などに差をつけることで、部屋に変化とリズム感をつけるのがおすすめです。
3つの構成要素の中でもアクセントカラーは、使う場所選びも色選びも、いちばん自由にできます。
ベースカラーやアソートカラーがインテリアイメージの基盤をつくる役割なら、アクセントカラーはその仕上げをする役割です。部屋で最も目線を惹きつける場所になるため、基本的にはベースカラーの色合いや明度(明るさ)、彩度(鮮やかさ)と対比するような色を配置します。それによって、空間を引き締める効果が出てくるのです。
穏やかな印象の空間にしたい場合は、アクセントカラーをあえて使わないのも手です。ただ、あまりに近い色どうしでまとめると、単調すぎて飽きてしまいます。その場合は、同色系の濃淡でアイテムを揃えたり、素材感やつや感などに差をつけることで、部屋に変化とリズム感をつけるのがおすすめです。
どこに使う? 何で見せる?
アクセントカラーを「何で見せるのか」もポイントです。写真では、アクティブなイメージの自転車に使われている緑や黄色をはじめ、同じように鮮やかな雑貨が壁一面の棚におさめられています。
ベースカラーやアソートカラーはナチュラルな木やモノトーンの家具ですっきりと。そこに、小さくてもひとつひとつが鮮やかなトーンの雑貨を壁一面に集めたことで、リビングルームが元気で楽しげな印象になっています。
もしここで、鮮やかな色をベースカラーにしていたら、色どうしが主張しすぎて、自転車や雑貨の存在感はもっと薄くなっていたでしょう。穏やかなベースカラーで、万人に好かれる居心地のよいリビングのイメージを守りつつ、アクセントカラーを使って、住まう人の趣味や個性が上手に表現された例です。
アクセントカラーを「何で見せるのか」もポイントです。写真では、アクティブなイメージの自転車に使われている緑や黄色をはじめ、同じように鮮やかな雑貨が壁一面の棚におさめられています。
ベースカラーやアソートカラーはナチュラルな木やモノトーンの家具ですっきりと。そこに、小さくてもひとつひとつが鮮やかなトーンの雑貨を壁一面に集めたことで、リビングルームが元気で楽しげな印象になっています。
もしここで、鮮やかな色をベースカラーにしていたら、色どうしが主張しすぎて、自転車や雑貨の存在感はもっと薄くなっていたでしょう。穏やかなベースカラーで、万人に好かれる居心地のよいリビングのイメージを守りつつ、アクセントカラーを使って、住まう人の趣味や個性が上手に表現された例です。
明度差でバリエーションをつけた反対色の対比
ここからは、ベースカラーとアクセントカラーを利用した色の対比について見てみましょう。
写真では、ピンクのベースカラー、白のアソートカラーに対し、少しダークな緑のミニスツールがサイドテーブル代わりに置かれています。緑は赤の反対色ですが、この場合、赤を薄めた色であるピンクにもほぼ同じコントラスト効果を発揮します。反対色となる濃い緑を少量、スパイスとして効かせたことで、可愛らしいだけの空間が、エッジの効いた動きのある空間となりました。
ここからは、ベースカラーとアクセントカラーを利用した色の対比について見てみましょう。
写真では、ピンクのベースカラー、白のアソートカラーに対し、少しダークな緑のミニスツールがサイドテーブル代わりに置かれています。緑は赤の反対色ですが、この場合、赤を薄めた色であるピンクにもほぼ同じコントラスト効果を発揮します。反対色となる濃い緑を少量、スパイスとして効かせたことで、可愛らしいだけの空間が、エッジの効いた動きのある空間となりました。
明度と彩度の対比によるアクセント効果
壁全面にダークな色を使った空間では、明るい色や鮮やかな色が目立つディスプレイが効果的です。写真の空間のアクセントカラーは植物。左の明るい緑の濃淡のフラワーアレンジメントは、周囲のどの色よりも存在感が際立っていて、真っ先に目線が向かいます。白い壁を背景にするよりもダークカラーにした方が、明るい色の花や植物の新鮮さや生命力が生き生きと感じられるのは、色の明度と彩度の対比による効果です。
実は、このディスプレイにはもうひとつ、とてもおもしろい工夫があります。植物を使って色相環のような関係が描かれているのがわかりますか? 黄緑の反対色であるダークレッド系の植物が右側に。そして床の上にはその2色の真ん中の色に位置するブルーパープルの紫陽花が配置されています。アクセントカラーを使った、緻密なディスプレイです。
壁全面にダークな色を使った空間では、明るい色や鮮やかな色が目立つディスプレイが効果的です。写真の空間のアクセントカラーは植物。左の明るい緑の濃淡のフラワーアレンジメントは、周囲のどの色よりも存在感が際立っていて、真っ先に目線が向かいます。白い壁を背景にするよりもダークカラーにした方が、明るい色の花や植物の新鮮さや生命力が生き生きと感じられるのは、色の明度と彩度の対比による効果です。
実は、このディスプレイにはもうひとつ、とてもおもしろい工夫があります。植物を使って色相環のような関係が描かれているのがわかりますか? 黄緑の反対色であるダークレッド系の植物が右側に。そして床の上にはその2色の真ん中の色に位置するブルーパープルの紫陽花が配置されています。アクセントカラーを使った、緻密なディスプレイです。
モノトーンもアクセントカラーになる
アクセントカラーに、必ず有彩色を使わなければいけないわけではありません。色がたくさんある空間では、息抜きできる存在としてモノトーンを使うと、アクセントカラーと同じ効果を発揮します。
写真では、デスクランプと壁にかかっている額がモノトーンで、鮮やかな緑と黄色を取り持つ「セパレーション」の役目を果たしています。たくさんの色で空間がにぎやかになりすぎてうるさく感じられるときは、どこかに少量の白、黒、グレーを配置して、息抜きの場所をつくると有効です。
色相対比、明度対比、彩度対比についてはこちらも参考に
色の使い方の基本:隣り合う色で印象が変わる色の対比効果
アクセントカラーに、必ず有彩色を使わなければいけないわけではありません。色がたくさんある空間では、息抜きできる存在としてモノトーンを使うと、アクセントカラーと同じ効果を発揮します。
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色の使い方の基本:隣り合う色で印象が変わる色の対比効果
自然の緑や空の青も。背景との対比がポイント
背景色との対比がアクセントカラーのポイントであることがおわかりいただけたでしょうか。背景との対比をつくる際、壁に限らず、窓の外の自然な色を利用するのもいいでしょう。
皆さんの部屋の窓からは、どんな風景が見えますか? 写真のような緑でしょうか。空の青でしょうか。隣の家の壁や街の風景も、ひとつの壁の色として考えてみませんか。それに美しく対比する色のスツールやアートをひとつ、窓の前に配してみましょう。お互いを引き立て合うアクセントカラーの効果で、きっと今までよりも素敵な風景が広がるはずです。今日はぜひ窓の外を眺めて、その色をチェックしてみてください。
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色の使い方の基本:色の明度と彩度が空間にもたらす効果を知ろう
色の使い方の基本:違うトーンを組み合わせて使ってみよう
色のインテリア効果:黄色で空間を明るくポジティブに
色のインテリア効果:洗練された印象で、他の色を引き立てる「グレー」
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住まいの色の使い方について知りたいことがあれば、コメント欄で教えてください!
背景色との対比がアクセントカラーのポイントであることがおわかりいただけたでしょうか。背景との対比をつくる際、壁に限らず、窓の外の自然な色を利用するのもいいでしょう。
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