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【ミラノ・サローネ2018】技術力と遊び心と。世界を魅了し続ける日本企業のインスタレーション
1300以上のイベントの中から、今年も日本の2イベントがベスト5入りしました。ミラノに通い続ける住生活ジャーナリストの藤井繁子さんの特別報告、インスタレーション編です。
藤井繁子|Fujii Vivien Shigeko
2018年5月30日
藤井繁子・住生活ジャーナリスト。
Journalist of House and Life
Consultant for Japanese housing market and industry
I have been working for 30years in Japanese housing industry as the editor in chief 「HOUSING」, the most popular monthly magazine for consumer, the chief researcher of RECRUIT Housing Laboratory and a journalist/consultant.
藤井繁子・住生活ジャーナリスト。
Journalist of House and Life
Consultant for Japanese housing market... もっと見る
今年のミラノ・サローネも、日本人デザイナーや日本企業の活躍をたくさん見る事ができました。その現地レポート前編は、Fuori salone(フオーリサローネ)と呼ぶ、ミラノ市内の街中で繰り広げられた1372イベントの中から、注目された日本企業のインスタレーションを紹介します。
訪れたのは、イベントが集まる地区のトルトナ地区、ブレラ地区、トリエンナーレ美術館に加えて、近年注目のヴェントゥラ地区です。
訪れたのは、イベントが集まる地区のトルトナ地区、ブレラ地区、トリエンナーレ美術館に加えて、近年注目のヴェントゥラ地区です。
まずはFuori saloneのメッカ、トルトナ地区。イベント会場、Superstudio Piùを中心に広がる地区に、日本企業の出展が集まっていました。現地では「Japan loves Superstudio.」と題された特集記事が出たほど。
〈Japan Design Week〉〈Yokohama Makers Village〉〈Budbrand〉といった職人や中小企業がデザイナーとコラボしてグループ出展する形や、デザイン事務所〈Yoy〉が作品展示、イタリア人キューレターAntonio Faccoによる《Homage to Kuramata》倉俣史朗の回顧展などもありました。
〈Japan Design Week〉〈Yokohama Makers Village〉〈Budbrand〉といった職人や中小企業がデザイナーとコラボしてグループ出展する形や、デザイン事務所〈Yoy〉が作品展示、イタリア人キューレターAntonio Faccoによる《Homage to Kuramata》倉俣史朗の回顧展などもありました。
《nendo : forms of movement》
中でも注目されたのはSuperstudio Piùのメイン会場で個展を披露した、世界的人気のデザイナー佐藤オオキ率いる〈nendo〉。
“movement”「動作」に着目し、我々の生活周辺にある技術や職人技を持った日本企業とコラボした「動作のデザイン」10作品を展示しました。行列の会場に入ると…ファスナー? 〈nendo〉らしい擬人化されたイラストに迎えられました。
日本を代表するファスナーのトップブランド、〈YKK〉とのコラボです。
中でも注目されたのはSuperstudio Piùのメイン会場で個展を披露した、世界的人気のデザイナー佐藤オオキ率いる〈nendo〉。
“movement”「動作」に着目し、我々の生活周辺にある技術や職人技を持った日本企業とコラボした「動作のデザイン」10作品を展示しました。行列の会場に入ると…ファスナー? 〈nendo〉らしい擬人化されたイラストに迎えられました。
日本を代表するファスナーのトップブランド、〈YKK〉とのコラボです。
photo: takumi ota
3枚の布を同時に留める、交差するなど見たことも無い形状のファスナーが、ひな壇に並んでいます。
ファスナーの構成要素を見直すことで新たな可能性を模索する《zippppper project》です。
3枚の布を同時に留める、交差するなど見たことも無い形状のファスナーが、ひな壇に並んでいます。
ファスナーの構成要素を見直すことで新たな可能性を模索する《zippppper project》です。
この個展の面白いところは、創作の過程に使われた試作物やパーツなどが展示されているところ。ここでは、分解されたファスナーのパーツが並び、ファスナーの機能を一度白紙にして見直した形跡を見ることができました。
砂の流れかたに変化を持たせることで、時間そのものをデザインする《variations of time》。透明な砂時計で時間の流れが見える、美しい空間展示でした。
砂の流れかたに変化を持たせることで、時間そのものをデザインする《variations of time》。透明な砂時計で時間の流れが見える、美しい空間展示でした。
photo: takumi ota
透明で作られた蟻の巣のような砂時計の型は、アクリル製。その加工技術は、車や家電の精密試作品を製造する愛知県の〈INAC〉によるもの。
会場でお会いした〈INAC〉の谷口社長は、「ここに居ると、欧州高級車のデザイナーや建築家など普通に営業していても会えないような方々から要望が来て驚いています」
そんな感動を同じく味わったのは、岐阜県多治見市のオリジナルタイルのメーカー、〈X’s(エクシィズ)〉笠井社長。
透明で作られた蟻の巣のような砂時計の型は、アクリル製。その加工技術は、車や家電の精密試作品を製造する愛知県の〈INAC〉によるもの。
会場でお会いした〈INAC〉の谷口社長は、「ここに居ると、欧州高級車のデザイナーや建築家など普通に営業していても会えないような方々から要望が来て驚いています」
そんな感動を同じく味わったのは、岐阜県多治見市のオリジナルタイルのメーカー、〈X’s(エクシィズ)〉笠井社長。
《press tiles》は、nendoが新たな製法にチャレンジした陶磁器タイルです。
岐阜県の地場産業を支援する補助事業に応募する際、「希望するデザイナーに“nendo”と何気なく書いたのが、このプロジェクトにつながりました」と笠井社長は語ります。
岐阜県の地場産業を支援する補助事業に応募する際、「希望するデザイナーに“nendo”と何気なく書いたのが、このプロジェクトにつながりました」と笠井社長は語ります。
photo: takumi ota
このタイルは、粘土を球体と直方体の塊で一定の間隔に並べ、平滑な面で上から押しつぶすことで成形するという方法でつくられています。立体状の粘土は潰れて横に広がる際、柔らかな形に変化するそうです。
プレスする面と粘土の間に布や木などを挟むことで、成形と同時にタイルの表面のテクスチャーも変えられます。
笠井社長によると、nendoが選んだプロジェクト案は「一番、非現実的な案」だったとのこと。
「プレス時にひび割れを起こさないよう、粘土の配合バランスや水分量などが難しく、何度も試作を重ねました」
このように、デザイナーの非凡な発想を実現するための職人や企業の挑戦がイノベーションとなって、産業の発展につながっているという現場を、nendoの個展に見ることができました。
個展の最後にあったのは……”ガチャガチャ”という愛称で知られる”カプセルトイ”。これって、THE 日本!
このタイルは、粘土を球体と直方体の塊で一定の間隔に並べ、平滑な面で上から押しつぶすことで成形するという方法でつくられています。立体状の粘土は潰れて横に広がる際、柔らかな形に変化するそうです。
プレスする面と粘土の間に布や木などを挟むことで、成形と同時にタイルの表面のテクスチャーも変えられます。
笠井社長によると、nendoが選んだプロジェクト案は「一番、非現実的な案」だったとのこと。
「プレス時にひび割れを起こさないよう、粘土の配合バランスや水分量などが難しく、何度も試作を重ねました」
このように、デザイナーの非凡な発想を実現するための職人や企業の挑戦がイノベーションとなって、産業の発展につながっているという現場を、nendoの個展に見ることができました。
個展の最後にあったのは……”ガチャガチャ”という愛称で知られる”カプセルトイ”。これって、THE 日本!
フィギュア製造の海洋堂とのコラボ、《アイデアの素》。
nendoが日々アイデアを生み出す際に意識しているいくつかの「心構え」やちょっとした「コツ」をイメージスケッチに書き起こし、それらをカプセルフィギュアにしたというもの。
1回5ユーロにて、筆者もガチャGET!
流石nendoデザインによる、上品なマシン。イタリア人も喜んで買っていたので、英語版は個数限定ということで直ぐに売り切れたに違いない。筆者への「アイデアの素」は……
nendoが日々アイデアを生み出す際に意識しているいくつかの「心構え」やちょっとした「コツ」をイメージスケッチに書き起こし、それらをカプセルフィギュアにしたというもの。
1回5ユーロにて、筆者もガチャGET!
流石nendoデザインによる、上品なマシン。イタリア人も喜んで買っていたので、英語版は個数限定ということで直ぐに売り切れたに違いない。筆者への「アイデアの素」は……
「目線を少しズラしてみる 」
“ありきたりは面白くないし、突飛なものも受け入れがたい。その、ちょうど間くらいのアイデアこそが人々の気持ちを心地よくしてくれます。そういったアイデアは「常識」や「当たり前」の、ほんの少しズレたところに存在しているのです。”(nendo紹介文)
という“アイデアの素”でした。この記事も少しズラしてみるか!
“ありきたりは面白くないし、突飛なものも受け入れがたい。その、ちょうど間くらいのアイデアこそが人々の気持ちを心地よくしてくれます。そういったアイデアは「常識」や「当たり前」の、ほんの少しズレたところに存在しているのです。”(nendo紹介文)
という“アイデアの素”でした。この記事も少しズラしてみるか!
《Crystal Rain》KAWAI(河合楽器製作所)
nendoと同じSuperstudio Piùで、小さな会場ながら人集りになっていたのは〈KAWAI〉のインスタレーション。
創業90周年を記念して新たに開発したクリスタルグランドピアノを展示。自動演奏で流れる音楽とリンクしてLEDライトが雨のように降り注ぎ、幻想的でラグジュエリーな演出になっていて、人々を魅了していました。
クリエーションパートナーは、光のインスタレーションを得意とする松尾高弘( 〈LUCENT〉代表)。
nendoと同じSuperstudio Piùで、小さな会場ながら人集りになっていたのは〈KAWAI〉のインスタレーション。
創業90周年を記念して新たに開発したクリスタルグランドピアノを展示。自動演奏で流れる音楽とリンクしてLEDライトが雨のように降り注ぎ、幻想的でラグジュエリーな演出になっていて、人々を魅了していました。
クリエーションパートナーは、光のインスタレーションを得意とする松尾高弘( 〈LUCENT〉代表)。
トルトナ地区で毎年、行列ができるオランダの人気インテリアブランド〈Moooi〉の隣に出展したのは8年ぶりのフオーリサローネとなるとなる〈SONY〉。右のベージュ・レンガ造りの建物 が〈Moooi〉の展示会場。左の建物、エントラスには、のれんのように白いバナーがはためいていました。
《Hidden Senses》SONY Design
こちらの、SONYのインスタレーション 《Hidden Senses》は、今年の「Milano Design Award 2018」の「Best Playfulness Award」に選出されました。Fuori Salone 全1372イベントの中から、大賞とともに選出される4つのテーマ賞のうちの一つです。
会場内の様々なシーンは日常的な生活空間でありながら、センサーなどの先進技術で、魔法のような驚きと楽しさが体験できる未来の日常空間になっていました。
会場は、「ECHO(聴覚)・UNDER THE LIGHT(視覚)・TACTILE OBJECT(触覚)・ABSTRACT ELECTRONICS(知覚)・DAY & NIGHT(新しい日常)」という
5つのケーススタディーで構成されています。
こちらの、SONYのインスタレーション 《Hidden Senses》は、今年の「Milano Design Award 2018」の「Best Playfulness Award」に選出されました。Fuori Salone 全1372イベントの中から、大賞とともに選出される4つのテーマ賞のうちの一つです。
会場内の様々なシーンは日常的な生活空間でありながら、センサーなどの先進技術で、魔法のような驚きと楽しさが体験できる未来の日常空間になっていました。
会場は、「ECHO(聴覚)・UNDER THE LIGHT(視覚)・TACTILE OBJECT(触覚)・ABSTRACT ELECTRONICS(知覚)・DAY & NIGHT(新しい日常)」という
5つのケーススタディーで構成されています。
TACTILE OBJECT(触覚)ケーススタディーの中の一つ、《MATERIAL SHELF》。
ディスプレイを内蔵するこの棚は、ある素材を置くことでその素材の質感を映し出すもの。目的や気分に合わせて、棚の背景(ディスプレイ)全体を、あるいは部分的にも変えることができます。
ディスプレイを内蔵するこの棚は、ある素材を置くことでその素材の質感を映し出すもの。目的や気分に合わせて、棚の背景(ディスプレイ)全体を、あるいは部分的にも変えることができます。
透明なフレームを置くことによって、絵や写真を映し出すことも。
この鏡の前に立つと……自動撮影されて隣のモニターに、描画タッチで映し出された!
会場の終わりには、既に商品化されているプロダクトが試せるコーナーもあり、来場者がインタラクティブな体験ができるようになっていました。“Playfulness”=遊び心溢れるベストイベントに選ばれたのは納得の楽しさで、近い将来の生活イメージをSONYの技術力と共に、世界に発信していました。
Photo: Akihide Mishima
《Soundscape》AGC旭硝子
次に訪れたのは、 市内北部の中央駅で開催されていた、ヴェントゥーラ・チェントラーレ。ここでも、日本企業が興味深いインスタレーションを実施していました。中央駅の高架下にあった元倉庫をイベントスペースとして活用する、イタリアらしい設えです。
〈AGC旭硝子〉は、建築・自動車・ディスプレイ用ガラスなどを製造する、昨年創立110周年を迎えたグローバル企業。
《Soundscape》AGC旭硝子
次に訪れたのは、 市内北部の中央駅で開催されていた、ヴェントゥーラ・チェントラーレ。ここでも、日本企業が興味深いインスタレーションを実施していました。中央駅の高架下にあった元倉庫をイベントスペースとして活用する、イタリアらしい設えです。
〈AGC旭硝子〉は、建築・自動車・ディスプレイ用ガラスなどを製造する、昨年創立110周年を迎えたグローバル企業。
Photo: Akihide Mishima
今年のテーマは「音(聴覚)」。開発中の“音を生む”ガラスを世界へ向けて初披露しました。
古い建物の中は、薄暗いドーム型の空間で雰囲気があり、ガラスが幻想的です。
今年のテーマは「音(聴覚)」。開発中の“音を生む”ガラスを世界へ向けて初披露しました。
古い建物の中は、薄暗いドーム型の空間で雰囲気があり、ガラスが幻想的です。
クリエーションパートナーは気鋭の日本人建築家、萬代基介。
《Soundscape》=音の風景を、ガラスのインスタレーションで作り上げました。
「一枚の大きなガラスの板を割った破片が、空中に散らばっている状態。時間が静止したような空間をつくりました。」(萬代氏)
そのガラスが空気を振るわせて音が響く。鳥の声、川のせせらぎ、波の音……
《Soundscape》=音の風景を、ガラスのインスタレーションで作り上げました。
「一枚の大きなガラスの板を割った破片が、空中に散らばっている状態。時間が静止したような空間をつくりました。」(萬代氏)
そのガラスが空気を振るわせて音が響く。鳥の声、川のせせらぎ、波の音……
〈AGC旭硝子〉が開発した2枚のガラスの間に特殊な中間層を有する、新しい形態の合わせガラスが音を生み出します。
「ガラスがスピーカーになるので、音の出る窓や壁、照明やテーブル、ショーウィンドウなどで面白い事が出来そうです」(萬代氏)
日本企業の技術開発力をアートで見せる、素敵なマッチングのインスタレーションでした。
「ガラスがスピーカーになるので、音の出る窓や壁、照明やテーブル、ショーウィンドウなどで面白い事が出来そうです」(萬代氏)
日本企業の技術開発力をアートで見せる、素敵なマッチングのインスタレーションでした。
《HARU stuck-on design; bring color into your life》二トムズ
ヴェントゥーラ・セントラーレ地区、同じ並びにもう一つの日本企業がありました。
二トムズは、粘着カーペットクリーナー「コロコロ」を製造する会社。
巻かれた培ってきた技術を応用して、貼ってはがせるテープは、一枚ごとに簡単にはがせるのが特殊技術であり、その技術を、貼ってはがせる空間装飾テープ《HARU stuck-on design;》として商品化しています。
ヴェントゥーラ・セントラーレ地区、同じ並びにもう一つの日本企業がありました。
二トムズは、粘着カーペットクリーナー「コロコロ」を製造する会社。
巻かれた培ってきた技術を応用して、貼ってはがせるテープは、一枚ごとに簡単にはがせるのが特殊技術であり、その技術を、貼ってはがせる空間装飾テープ《HARU stuck-on design;》として商品化しています。
2016年に誕生したこちらの商品。8種類のカラーファミリーからなる豊富なカラー展開、多彩なサイズ構成が特徴です。
《HARU stuck-on design;》の商品開発に携わるのは、クリエイティブユニット〈SPREAD〉の小林弘和と山田春奈。
「今回は、経年変化した高架下の暗く、決して美しいとは言えない空間 に、色を貼り、彩ることで、人々の感覚や感性にいかに影響 を与えるか、大きな挑戦です」
《HARU stuck-on design;》の商品開発に携わるのは、クリエイティブユニット〈SPREAD〉の小林弘和と山田春奈。
「今回は、経年変化した高架下の暗く、決して美しいとは言えない空間 に、色を貼り、彩ることで、人々の感覚や感性にいかに影響 を与えるか、大きな挑戦です」
実はこの展示、16人の芸術家たちが残した「色」にまつわる言葉をインスピレーションに構成したと言います。
ダ・ヴィンチやゴッホ、ゲーテのなどの中に、日本からは千利休の言葉「黒は古き心なり。赤は雑なる心なり」。それを《HARU》で表現した展示の前で、お二人に立っていただきました。
壁や窓に貼っても、簡単にはがせるテープ《HARU》。商業施設だけでなくホームパーティでも活躍しそうです。
ダ・ヴィンチやゴッホ、ゲーテのなどの中に、日本からは千利休の言葉「黒は古き心なり。赤は雑なる心なり」。それを《HARU》で表現した展示の前で、お二人に立っていただきました。
壁や窓に貼っても、簡単にはがせるテープ《HARU》。商業施設だけでなくホームパーティでも活躍しそうです。
《Air Inventions(空気の発明)》Panasonic
Fuori saloneの中でも市内中心部にあって、ショップやショールームなどが多いブレラ地区。
毎年、出展数も拡大し、216のイベントが開催されました。
ブレラ地区にある歴史的建築物、国立ブレラ絵画館の中庭でインスタレーションを実施したのが〈パナソニック〉です。
『Brera Design District』と書かれた赤いバナーが目印。
Fuori saloneの中でも市内中心部にあって、ショップやショールームなどが多いブレラ地区。
毎年、出展数も拡大し、216のイベントが開催されました。
ブレラ地区にある歴史的建築物、国立ブレラ絵画館の中庭でインスタレーションを実施したのが〈パナソニック〉です。
『Brera Design District』と書かれた赤いバナーが目印。
古い建物の中庭に、直径20mの未来的なエアドームが誕生。
この中に誘導されると、中の照明が暗転……
この中に誘導されると、中の照明が暗転……
霧のようなミストに包まれた幻想的な空間に、光のショーが繰り広げられました。これはパナソニックが持つ、空調・映像・音響・照明の技術を掛け合わせた総合インスタレーションです。
空気を浄化するデバイス技術「ナノイーX」、高圧の圧縮空気を用いて水を微細化する「シルキーファインミスト」を組み合わせ、超高輝度4Kレーザープロジェクターと高性能魚眼レンズを用いて、映像が映し出されました。
空気を浄化するデバイス技術「ナノイーX」、高圧の圧縮空気を用いて水を微細化する「シルキーファインミスト」を組み合わせ、超高輝度4Kレーザープロジェクターと高性能魚眼レンズを用いて、映像が映し出されました。
この《Air Inventions》は、『Milano Design Award』のテーマ賞「Best Technology Award」に選出されました。〈パナソニック〉は3年連続でテーマ賞に入賞しています。
展示テーマの“TRANSITIONS(遷移)”には、これまではモノをデザインしてきたパナソニックが、カタチの無い人の気持ちや体験までもデザインしていくというメッセージが込められています。100年を越えた日本のリーディングカンパニーの、変革に向けた強い意志を感じました。
展示テーマの“TRANSITIONS(遷移)”には、これまではモノをデザインしてきたパナソニックが、カタチの無い人の気持ちや体験までもデザインしていくというメッセージが込められています。100年を越えた日本のリーディングカンパニーの、変革に向けた強い意志を感じました。
最後に訪れたのは、夜9時頃のトリエンナーレ美術館。
欧州の日は長く、まだ明るさが残る中ドンドン人が集まって来るのに驚かされます。
初日はミッドナイトまで公開とあって、仕事終わりや学生達で溢れ、アートが身近にある日常がイタリアの文化であることを実感しました。
《THE FLOW OF TIME》Grand Seiko
こちらに出展したのは〈セイコー〉の高級ブランドである〈グランドセイコー〉。
Fuori saloneでは、インテリアや建築に関係の無いように思う企業も多く出展しています。
ジャーナリストが世界から5000人以上、デザイン・コンシャスな人々が40万人以上集まるデザイン・ウィークを、ブランディングの好機としてこれまで日本からも〈キヤノン〉や〈アイシン精機〉などが出展してきました。車のレクサスや時計のシチズンは、正しくライフスタイル提案のブランドとして海外の競合他社とイベントでもしのぎを削っています。
欧州の日は長く、まだ明るさが残る中ドンドン人が集まって来るのに驚かされます。
初日はミッドナイトまで公開とあって、仕事終わりや学生達で溢れ、アートが身近にある日常がイタリアの文化であることを実感しました。
《THE FLOW OF TIME》Grand Seiko
こちらに出展したのは〈セイコー〉の高級ブランドである〈グランドセイコー〉。
Fuori saloneでは、インテリアや建築に関係の無いように思う企業も多く出展しています。
ジャーナリストが世界から5000人以上、デザイン・コンシャスな人々が40万人以上集まるデザイン・ウィークを、ブランディングの好機としてこれまで日本からも〈キヤノン〉や〈アイシン精機〉などが出展してきました。車のレクサスや時計のシチズンは、正しくライフスタイル提案のブランドとして海外の競合他社とイベントでもしのぎを削っています。
photo: Daisuke Ohki
今回、初出展となるグランドセイコーが展示のモチーフに選んだのは『スプリングドライブ』。高い精度と長時間駆動を兼ね備えた独自の『スプリングドライブ』とは、構想から20年以上の開発期間を経て、究極の省エネルギー設計と流れるように動く秒針を実現した機構のことだそうです。
「時は刻むものではなく、 流れるもの」という、日本人の美意識の中にある時の流れを表現していました。
今回、初出展となるグランドセイコーが展示のモチーフに選んだのは『スプリングドライブ』。高い精度と長時間駆動を兼ね備えた独自の『スプリングドライブ』とは、構想から20年以上の開発期間を経て、究極の省エネルギー設計と流れるように動く秒針を実現した機構のことだそうです。
「時は刻むものではなく、 流れるもの」という、日本人の美意識の中にある時の流れを表現していました。
photo: Daisuke Ohki
クリエイターは、デザインスタジオ〈TAKT PROJECT〉。時計のムーブメントの200に及ぶ部品を封入した透明なオブジェを12体並べ、その背後には時がうつろいゆく映像を投影していました。
クリエイターは、デザインスタジオ〈TAKT PROJECT〉。時計のムーブメントの200に及ぶ部品を封入した透明なオブジェを12体並べ、その背後には時がうつろいゆく映像を投影していました。
「時の本質に迫り、時の移ろいを感じさせる新しい次元に辿り着いたスプリングドライブ の世界観を、空間として表現しました」と、会場でお会いしたTAKT PROJECTの吉泉さん。
映像は、映像クリエイター阿部伸吾とフォトグラファー大木大輔による作品。
東京の喧騒や、太陽や星など自然のうつろいなどが美しく展開し、「刻む時」と「流れる時」の対比を映像表現していました。
映像は、映像クリエイター阿部伸吾とフォトグラファー大木大輔による作品。
東京の喧騒や、太陽や星など自然のうつろいなどが美しく展開し、「刻む時」と「流れる時」の対比を映像表現していました。
photo: Daisuke Ohki
世界最高峰と認定されているグランドセイコーの『スプリングドライブ』。今回初めて知った仕組みですが、これで私も時計の秒針を見る目が変わりました。
1300以上もあるFuori saloneイベントの中から、たった5イベントしか選出されない『Milano Design Award』ですが、毎年のように日本企業やデザイナーが入選しています。今年も日本から2イベントが選ばれた理由は、その展示内容だけでなく、日本企業や日本人の持つ技術やポリシーなどの底力のなせる技だろうと、取材を通じて感じました。
世界最高峰と認定されているグランドセイコーの『スプリングドライブ』。今回初めて知った仕組みですが、これで私も時計の秒針を見る目が変わりました。
1300以上もあるFuori saloneイベントの中から、たった5イベントしか選出されない『Milano Design Award』ですが、毎年のように日本企業やデザイナーが入選しています。今年も日本から2イベントが選ばれた理由は、その展示内容だけでなく、日本企業や日本人の持つ技術やポリシーなどの底力のなせる技だろうと、取材を通じて感じました。
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