インテリアの色と方角による自然光の色の関係
南向きの部屋と北向きの部屋では、その方角から射す自然光によって、同じ色でも見え方が少し違います。その部屋で過ごす目的や時間帯も踏まえて、インテリアの色選びをしてみましょう。
カツウラアキツ
2018年1月15日
インテリアの色を選ぶとき、最も重要なポイントのひとつに「窓の向き」があります。その理由は、せっかくお気に入りの色を選んで部屋に取り入れても、窓から入ってくる自然光、つまり太陽光の色によって、色の見え方がまったく違ってくるから。太陽光は季節や時間、天候などにも左右されますが、今回はとりわけ大きな要因である「方角」に注目して、自然光の色とインテリアカラーの関係をお伝えしたいと思います。
時間帯により色を変える太陽光
日の出や日の入りの時間には穏やかな赤みのある光を、昼間はものをはっきり、いきいきと見せる白〜青色の光を拡散させる太陽光(自然光)。夜間は照明を使って状況に応じて光の色を変えることができますが、太陽光の色を変えることはできません。生活スタイルに合わせ、その時間帯に過ごす部屋の色が、思った通りの色に見え、さらに過ごしやすい空間にするためには、色の寒暖を使って調整する方法があります。
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明るく暖かい南向きの部屋なら
みんなが集まるリビングのようなスペースは、南向きの大きな窓から採光することが多いのではないでしょうか。南からの光は、明るく景色をはっきり見せてくれる、暖かい光です。昼間の時間を家で過ごす人にとって、とても快適な空間となります。
そんな暖かい南向きの部屋では、写真のように寒色を大きな面積で使った場合、寒々とした印象にならないうえ冬も寒さを感じにくく、むしろ白〜青みの太陽光でさわやかさが際立ちます。逆に、暖色を使うと、夏はより暑さを感じる可能性が高くなります。
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北向きの部屋や日照の少ない部屋なら
逆に、暖かい光が入りにくい北向きの部屋や、光が届きにくいスペースには、写真のように赤、オレンジ、黄色など暖色系の色を大きな面積に取り入れるのもおすすめです。暖色系の視覚効果で、暖かさを感じやすくなります。寒暖色ともに、壁やカーペット、カーテンなど、ある程度広い面積で取り入れると、さらに効果が高まります。
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西陽の射し込む部屋なら
西向きの空間では、午後以降、黄〜赤みがかった暖かい光が射し込んできます。夕方にはまるでオレンジ色のフィルターをかけたような光が真横から射し込むため、部屋のすべての色がオレンジっぽく彩られます。この方角に暖色系の色をメインカラーとして取り入れている場合、冬には最適の組み合わせとなりますが、夏場は思った以上に暑さを感じることになるので、やや注意が必要です。
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方角に合わせた白の選び方
白いインテリアが好きな人なら、方角に合わせて白のニュアンスを変える方法があります。白は光を反射しやすく、少しの光でも部屋に十分な光を回し、届けてくれる効果があるため、北向きの部屋にも向いています。
白といっても真っ白だけではなく、かすかに含まれる色によって、たくさんのバリエーションがあります。ブルーやグレーが少し混ざったクールな白から、黄みを含んだクリームホワイト、写真のように少し赤みが入っているウォーム系のホワイトなど、その表情はさまざま。家じゅうの部屋を同じホワイトで統一するのではなく、窓の向きによってホワイトのニュアンスを変えることで、より居心地のよい空間をつくることができるでしょう。
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グレイッシュな色やニュアンスカラーを使う場合
太陽光が届きにくい北向きの部屋では、もとの色の彩度が抑えられて見える傾向にあります。そのため、「◯◯グレー」「グレイッシュ◯◯」と名のつくようなセンシティブなニュアンスカラーは、そのままグレーの壁に見えてしまうこともあります。
日本の住宅では、寝室を北側に配置することが多いですが、壁やファブリックの色に写真のようなグレイッシュカラーを選ぶ場合は、考えている色よりワントーン鮮やかな色を選んで、サンプルを実際の場所で確認してみましょう。きっと思い通りの色みに見えるはずです。その点、はっきりとものを映し出しやすい南向きの部屋なら、そのままの色みを楽しめます。
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色の寒暖を感じにくい色と方角の関係
グリーン、パープル系の色にも注目してみましょう。これらの色は、わかりやすい寒暖色と違い、色そのものからの温度感を感じにくいため、洗面室やバスルームなどの水回りをはじめ、どの部屋にも取り入れやすいのが特徴です。写真のようなグレイッシュな緑の壁でも、東向きの空間に取り入れることで、朝のさわやかな赤〜黄みを感じる暖色系の光と色素の顔料が反射し合い、やわらかさや暖かさを醸し出してくれます。青みの光が入りやすい北側の部屋でグリーンやパープルを使う場合、特にグレイッシュなトーンについては、先程述べた通り、色選びの際は慎重に確認しましょう。
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その部屋でどう過ごすかを考える
色選びでいちばん大切なことは、どの部屋でどう過ごすのかを考えること。方角を考慮する場合は、そこに時間軸が加わります。朝型のライフスタイルの方なら、朝を過ごす空間にさわやかな光できれいに見える色を、夜の時間を楽しみたい方なら、暖かな照明の光できれいに見える色を。そして色を決める前には、サンプルでその時間の光と色の相性を確かめることもポイントです。最適な色を見つけて、お気に入りの部屋で快適な時間を過ごしてくださいね。
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インテリア星の国さま、記事を読んでいただいてありがとうございました!