My Houzz:夢は「家を自分でつくること」。30代 夫婦が夢を叶えるためセルフリノベーションに挑戦!
3階建ての元オフィスビルを1棟購入してから4年半、マイペースにセルフリノベーションしながら暮らしているご夫婦を訪ねました。
Erica Yamamoto
2017年2月3日
広告会社でクリエイティブディレクターとして働く高田陽介さんと、ウェディングなどのアートディレクターをしている奥様の尚子さんの自邸は、若者に人気の街、世田谷区の閑静な住宅街の一角にある。3階建ての元オフィスビルを1棟購入してから4年半、マイペースにセルフリノベーションしながら暮らしている。2人は大学生の頃からの付き合いで、お互いのセンスに感化されながら長い時を経てきたため、好みやフィーリングがとても近い。幼い頃から家を自分でつくりたいと思っていたという尚子さんの熱意と、結婚してから2人で集めてきた膨大な家づくりのアイデアストックを手に、工務店探しを始めたが、自分たちでもつくりたいという特殊な条件と、あまりにも膨大のアイデアを形にできる工務店がなかなか見つからなかったため、思い切ってセルフリノベーションという選択肢に至った。とはいえ、自分たちではどうしてもできない部分も存在する。そんな時に奇跡的に出会えたのが設計施工会社の〈Roovice(ルービス)〉だった。こうしてようやく高田さんたちの家づくりがスタートした。
どんなHouzz?
住まい手:高田陽介さん、尚子さん夫妻
敷地面積:105平方メートル
延床面積:215.12平方メートル
場所:東京都世田谷区
構造:RC造(リノベーション)地上3階地下1階
竣工年:2012年6月
設計施工:Roovice+セルフ
施工会社:Roovice
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敷地面積:105平方メートル
延床面積:215.12平方メートル
場所:東京都世田谷区
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竣工年:2012年6月
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中古物件は買ってからでないと構造に問題がないかどうか正確に知ることができない。東日本大震災の後であったということもあり、安全面の保険と考え、木造ではなくRC造に絞って家探しを行った。木造よりも建築コストがかかるRC造になると、もともと住宅の物件は少なかったので、オフィスビルも選択肢にしながら物件選びを進めていった。方々探し回った結果、「職場からの距離・今は2人暮らしでいずれ家族が増えても耐えうる広さ・1フロアを区切らずに1ルームで住める」など、2人の希望に沿うこの建物にめぐり合うことができた。
「20代で若すぎたことや、やりたいことがたくさんありすぎたこと、そしてコスト面などもあり、結婚してからふたりで集めてきた膨大な家づくりのアイデアを形にできる工務店や施工会社が見つからなかったんです」と、陽介さん。〈Roovice〉との出会いは、幼い頃から家を自分でつくりたいという野望を抱いていた尚子さんが、たまたま保管していた雑誌の切り抜きに〈Roovice〉の事例が掲載されていたのが目に止まり、思い切って連絡をしたことから始まる。初対面ながら熱い想いをぶつけたところ、真摯でかつ柔軟に受け止めてもらう。結果、施工業者にしかできない電気系統や水回りなどの大掛かりな工事以外は、自分たちのペースで自分たちだけでつくることが決まり、ようやく家づくりをスタートさせることができた。
現在、地下は未着手。1階は物置兼作業場。2階は寝室兼書斎。3階はリビングダイニング。という構成だ。
話をうかがったその日も、〈Roovice〉が2階書棚スペースの階段の取り付け工事を行っていた。
話をうかがったその日も、〈Roovice〉が2階書棚スペースの階段の取り付け工事を行っていた。
2012年6月。まずは元々オフィスだった建物の解体作業から始まった。壁を壊したり、壊したものを運んだりも全てセルフ。想像以上の粉塵や重労働で何度も心折れそうになったというが、めげずにやっとのことで取り組んできた。そんな時、頼りになったのは、自邸をセルフビルドした経験のある陽介さんのお父様のサポートだった。お父様に機材の使い方や木材のまっすぐに切る・パテの塗り方などコツを教わりながら、少しずつ作り上げていった。
できる限り自分たちで進めるが、無理はしないでできないところや難しいところはプロにお任せしたり、教わりながら進めることをルールとした。
尚子さんも、ペンキ塗りや電ノコほかプロ用機材の扱いは慣れたもの。
平日は共にとても忙しく働いている高田さん夫婦。仕事と両立するために、生活するのに最低限必要になる2階のベッドルームと3階のリビングスペースのみ先につくって住み始め、土日と、1年に1度まとまった休みをとって大々的な工事を進めているという。
平日は共にとても忙しく働いている高田さん夫婦。仕事と両立するために、生活するのに最低限必要になる2階のベッドルームと3階のリビングスペースのみ先につくって住み始め、土日と、1年に1度まとまった休みをとって大々的な工事を進めているという。
工事を行う際は、ご家族のサポートも欠かせなかった。陽介さんのお父様のサポートに加え、尚子さんのご家族も施工に加わる。「その度に家族の思い出が生まれ、家づくりという思い出の中で生活できることが幸せです」と尚子さん。
下地材が塗られた3階のキッチンカウンターは、これから仕上げる予定。
キッチンとパントリー:施工前
前は使用済みのゴルフボールを洗う事務所だった。
前は使用済みのゴルフボールを洗う事務所だった。
キッチンとパントリー:施工途中
パントリーの開口として丸く切りぬき、まるで洞窟のような雰囲気に。「パントリー部分は、元々ゴルフボールを運搬する昇降機(簡易リフト)でした」と陽介さん。
パントリーの開口として丸く切りぬき、まるで洞窟のような雰囲気に。「パントリー部分は、元々ゴルフボールを運搬する昇降機(簡易リフト)でした」と陽介さん。
キッチンとパントリー:アフター
ビフォーから想像もつかないほど素敵な空間は、2人のアイデアや工夫の賜物。
モロッコ旅行で手に入れたカラフルなタジン鍋を見えるよう置いた。天井から下がるドライフラワーを始め、家中に置かれたドライフラワーは、ウェディングのアートディレクターを務める尚子さんが職業柄いただいた花束をご自身でドライフラワーに仕立てたもの。本格的なガスコンロは、陽介さんが同僚から譲り受けたものなど、とことんコストダウンしながら賢くつくり上げている。
ビフォーから想像もつかないほど素敵な空間は、2人のアイデアや工夫の賜物。
モロッコ旅行で手に入れたカラフルなタジン鍋を見えるよう置いた。天井から下がるドライフラワーを始め、家中に置かれたドライフラワーは、ウェディングのアートディレクターを務める尚子さんが職業柄いただいた花束をご自身でドライフラワーに仕立てたもの。本格的なガスコンロは、陽介さんが同僚から譲り受けたものなど、とことんコストダウンしながら賢くつくり上げている。
洗面所(2階):施工途中の様子
元昇降機の2階の部分は、洗面所として床を張り、イチから制作した。タイルを敷き詰め、大きな洗面台を設置したところ。
元昇降機の2階の部分は、洗面所として床を張り、イチから制作した。タイルを敷き詰め、大きな洗面台を設置したところ。
洗面所(2階):アフター
ブルーのフレームが印象的な鏡は、三宿のインテリアショップ〈プエブコ〉で購入。一方、植栽は、いただき物やベランダのグリーンなどを置いた。その時々で変えることによって、毎日使う洗面所という空間に豊かさを与えている。収納は見せる収納に徹底。洗面台の下部のタオル置き場、鏡に映る棚など収納スペースを分散することでモノの多さを感じさせない工夫を凝らしている。
ブルーのフレームが印象的な鏡は、三宿のインテリアショップ〈プエブコ〉で購入。一方、植栽は、いただき物やベランダのグリーンなどを置いた。その時々で変えることによって、毎日使う洗面所という空間に豊かさを与えている。収納は見せる収納に徹底。洗面台の下部のタオル置き場、鏡に映る棚など収納スペースを分散することでモノの多さを感じさせない工夫を凝らしている。
フローリング(3階):ビフォー
フローリング材は、ブラックウォールナットを使用。
フローリング材は、ブラックウォールナットを使用。
フローリング(3階):アフター
陽介さんのお父様が中心となり2〜3日かけて完成。ワックスも塗って、風合いも変わりピカピカに。
陽介さんのお父様が中心となり2〜3日かけて完成。ワックスも塗って、風合いも変わりピカピカに。
高田邸は、多くのインテリアがセンスよく配置され、まるでセレクトショップのよう。尚子さんは、〈コンランショップ〉のモダンで気品ある雰囲気が大好きで、そのセンスから影響を受けている部分も多いという。
しかし、〈コンランショップ〉ですべてを揃えることはなかなか難しい。寝室(2階)とダイニング(3階)の革製のランプシェードと、ダイニングテーブル(3階)やソファ(3階)は〈コンランショップ〉で購入した一方、写真の2階のソファはリサイクルショップで購入、扉はアンティーク、キッチンは人から譲り受けたものを利用し、お金をかけるところはかけて、あとは徹底的にローコストに抑える工夫を家のさまざまな箇所で行っている。
しかし、〈コンランショップ〉ですべてを揃えることはなかなか難しい。寝室(2階)とダイニング(3階)の革製のランプシェードと、ダイニングテーブル(3階)やソファ(3階)は〈コンランショップ〉で購入した一方、写真の2階のソファはリサイクルショップで購入、扉はアンティーク、キッチンは人から譲り受けたものを利用し、お金をかけるところはかけて、あとは徹底的にローコストに抑える工夫を家のさまざまな箇所で行っている。
昨年、世界一周旅行に行った時に、先々で購入した戦利品たち。
モロッコで買ったタジン鍋やポットやガラス製品に大きなドライフラワーを並べる。あまりオリエンタルな雰囲気に偏っていないのが高田家の特徴だ。
モロッコで買ったタジン鍋やポットやガラス製品に大きなドライフラワーを並べる。あまりオリエンタルな雰囲気に偏っていないのが高田家の特徴だ。
階段横のくぼみには、〈ケメックス〉のコーヒーサーバーやアート系書籍、サボテン、道で拾った石などをセンスよく並べた。
日常生活の中で家づくりのことが頭の片隅にあるご夫婦。金額に限らず、至るところで家の雰囲気に合うものを見つけたら、購入したり持ち帰ったりして、検討する。置くものひとつひとつに想いやアイデアが詰まっている。
日常生活の中で家づくりのことが頭の片隅にあるご夫婦。金額に限らず、至るところで家の雰囲気に合うものを見つけたら、購入したり持ち帰ったりして、検討する。置くものひとつひとつに想いやアイデアが詰まっている。
「インテリアショップで買うとすごく高くなるのですが、専門店向けに卸している埼玉の川口緑化センターでは一般の人でも買い付けが可能で、そこで買いました。すごく安くておすすめです」と尚子さん。インテリアショップで高いからと言って諦めずに調べたり、都内に限らずわざわざ足を運ぶなど惜しみない労力を夢のマイホーム実現のために費やしている。
施工途中にも工夫を凝らす高田さん夫妻。モルタルを剥がした状態の施行途中の階段は、寂しく見えないようにサボテンや多肉植物をずらりと並べている。これから木材を貼り、木の温もりがある階段を目指しているのだと、高田さん夫妻はうれしそうに話す。
2012年6月物件購入直後の高田さん夫妻。念願のマイホームを手に入れて、うれしさ爆発!?
夢のマイハウスの今までと、これからを楽しそうに語る高田さん夫婦。
家をつくり続けていると、仕事や出掛けている最中にも家づくりのアイデアが浮かぶのだそうだ。浮かんだアイデアを夫婦で話しあい、実際に形にすることを計画する。また、ライフスタイルの変化もアイデアの元になっているという。まだ手つかずの地下室については、「(子供が生まれたら)地下室を子供部屋にするわけにはいかないので、自分たちのプレイルームか物置にしようと思って、実際そのとおり設計施工を進めていたのですが……」と陽介さん。
実は、最近犬を飼うようになって、ご近所との付き合いが増えてきたことから、仮に物置にしている1階を、いずれふたりの作業場やワークショップを開くためのスペースにして、地域との接点にしていくという構想があるのだと話す。高田夫妻の家づくりの夢はますます膨らむ一方だ。
この物件のその他の写真を見る。
教えてHouzz
セルフリノベーションの経験はありますか? どんな箇所をセルフでやりましたか? コメント欄で共有しましょう!
家をつくり続けていると、仕事や出掛けている最中にも家づくりのアイデアが浮かぶのだそうだ。浮かんだアイデアを夫婦で話しあい、実際に形にすることを計画する。また、ライフスタイルの変化もアイデアの元になっているという。まだ手つかずの地下室については、「(子供が生まれたら)地下室を子供部屋にするわけにはいかないので、自分たちのプレイルームか物置にしようと思って、実際そのとおり設計施工を進めていたのですが……」と陽介さん。
実は、最近犬を飼うようになって、ご近所との付き合いが増えてきたことから、仮に物置にしている1階を、いずれふたりの作業場やワークショップを開くためのスペースにして、地域との接点にしていくという構想があるのだと話す。高田夫妻の家づくりの夢はますます膨らむ一方だ。
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こういう人たちに夢の実現を、もっともっとしていきたいと私も強く思う記事をありがとうございます!
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