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ファブリックで彩るインテリア、ソフトファニシングの楽しみ方:窓まわり編
ファブリックを使ったインテリア装飾の総称「ソフトファニシング」を解説する3回シリーズの最終回は、伝統的なウィンドウトリートメントを取り上げます。
西谷典子|Noriko Nishiya
2018年1月30日
美しいファブリックのつくり出すエレガントな表情をインテリアで楽しむことのできる、ヨーロッパ伝統のソフトファニシング。中世ゴシックの時代に初めてインテリアに布が使われるようになり、室内装飾の文化が大きく発展したロココ時代に美しい装飾が多く開発され、20世紀初頭には家庭婦人のたしなみとして習うことが流行したこともあります。ソフトファニシングの楽しみ方をお伝えしてきたこのシリーズの最後は、ドレープをたっぷりとって仕立てられたトラディショナルなデザインのカーテンを中心に、ウィンドウトリートメントの種類や使い方、生地の選び方についてお伝えします。
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それまで服装に使われていた美しいファブリックと、タッセルやフリンジなどの装飾がインテリアに使われるようになったのは、フランスのロココ時代からのことです。それ以降、ファブリックを使ったインテリア装飾はいっそう華やかになり、バリエーションも増えていきました。
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トラディショナルなカーテンは3枚仕立て
ウィンドウトリートメント(窓まわりのデコレーション)には、大きな窓から入る隙間風、埃、そして日光を遮断する役目があります。その機能を果たすために、伝統的なデザインのカーテンは1枚仕立てではなく、3枚の生地を重ねてしっかりと厚めに仕立てるのが基本です。表面のファブリックの下には、保温効果を高める「インターライニング」と呼ばれる裏打ち布をはさみ、その下に「ライニング」、つまり裏地を重ねます。遮光性のあるライニングを使えばカーテン自体の遮光機能が高まり、表に使ったファブリックも紫外線から守ってくれます。
ウィンドウトリートメント(窓まわりのデコレーション)には、大きな窓から入る隙間風、埃、そして日光を遮断する役目があります。その機能を果たすために、伝統的なデザインのカーテンは1枚仕立てではなく、3枚の生地を重ねてしっかりと厚めに仕立てるのが基本です。表面のファブリックの下には、保温効果を高める「インターライニング」と呼ばれる裏打ち布をはさみ、その下に「ライニング」、つまり裏地を重ねます。遮光性のあるライニングを使えばカーテン自体の遮光機能が高まり、表に使ったファブリックも紫外線から守ってくれます。
トラディショナルなインテリアによく使われるカーテン生地は、淡い色のリネンや厚手シルク、ベルベット素材やダマスク柄など。これらのファブリックの特色は、なんといっても美しいドレープがつくりやすいことです。こういった高級素材の中には、薄くデリケートなシルクやサテンなどもあり、これらを使う場合は、インターライニングをつけるのがほぼ必須です。ドレープもよりきれいにつくれ、重厚感も加わって、いっそう豪華なイメージになります。
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カントリーコテージに似合う、伝統のプリント柄
フランスの伝統柄「トワル・ド・ジュイ」や、インド更紗がもととなったチンツ柄などは、カントリースタイルの部屋に似合うファブリックです。淡いピンクは小さなコテージ風の部屋によく使われ、フェミニンなイメージになるので、こういったテイストが好きな方には特におすすめです。
このようなコットンのプリント生地を使う場合も、日光により生地が色褪せしないものを選ぶことが大切です。長く使うためにも、できれば先述したライニングを重ねて仕立て、紫外線から守るようにしましょう。
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カーテン生地の選び方
ウィンドウトリートメントに使う生地は、やはりカーテン専用として作られたファブリックが好ましいです。ドレープがきれいに出やすく、手洗いまたはドライクリーニングができ、その際に縮まない生地を選ぶことは必須です。
もうひとつ注意しなければならないのは、カーテン生地は広げた状態で素敵に見えても、ドレープをつくると印象が変わってしまうこともある、ということ。生地を選ぶときはカーテンのデザインを考慮し、ギャザーを寄せてみて見え方を確認しましょう。
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カーテンが美しく見える長さ
部屋のフォーカルポイントとなるカーテンは、インテリアの印象を左右する重要な部分です。ぜひプロにも相談して、部屋の天井や窓の大きさのバランスを考え、カーテンのデザインを決めましょう。目安としてひとつだけお伝えすると、カーテンがきれいに見える長さは通常、カーテンの裾がフロアに少しだけつく長さから、フロアから5cmほど離れた長さの間といわれています。
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部屋のフォーカルポイントとなるカーテンは、インテリアの印象を左右する重要な部分です。ぜひプロにも相談して、部屋の天井や窓の大きさのバランスを考え、カーテンのデザインを決めましょう。目安としてひとつだけお伝えすると、カーテンがきれいに見える長さは通常、カーテンの裾がフロアに少しだけつく長さから、フロアから5cmほど離れた長さの間といわれています。
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カーテンの小道具、タイバック
カーテンを束ねる「タイバック」は、カーテンと同じ生地で作られたカーテンアクセサリーの一種。どちらかといえばトラディショナルに見えますが、フリル付きや生地を三つ編みにしたものなど、伝統的なデザインがあります。
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もう少し華やかさを加えたいなら、コードとタッセルが付いたタイバックがおすすめです。このタイプのタイバックは、トラディショナルな3枚仕立てのカーテンには特にぴったりです。カーテンと相性のいい別の色を使ってアクセントにしたり、ビーズなどのトリムも加えて凝ったデザインにすることもでき、ファブリックの魅力を引き立て、ドレープをより美しく見せるアクセサリーとして効果的です。
カーテンを束ねる際、最近ではファブリックのタイバックを使わずに、おしゃれなメタル製のカーテンホルダーを使うのも人気となっています。これらを使うと、トラディショナルなカーテンをモダンに見せることができます。
カーテンを束ねる際、最近ではファブリックのタイバックを使わずに、おしゃれなメタル製のカーテンホルダーを使うのも人気となっています。これらを使うと、トラディショナルなカーテンをモダンに見せることができます。
カーテンの上飾り、おすすめは「ペルメット」
カーテントップやレールを隠す目的があるカーテンの上飾り「バランス」にも多くの種類がありますが、写真のものは「ペルメット」と呼ばれ、「ストレートバランス」のうち、薄い木を芯材にしてインターライニングを重ね、メインの生地をのせてソフトな印象になるようにつくられたものです。ペルメットだけでもさまざまな形があり、オーダーメイドのカーテンには欠かせない伝統的なアクセサリーのひとつです。
カーテントップやレールを隠す目的があるカーテンの上飾り「バランス」にも多くの種類がありますが、写真のものは「ペルメット」と呼ばれ、「ストレートバランス」のうち、薄い木を芯材にしてインターライニングを重ね、メインの生地をのせてソフトな印象になるようにつくられたものです。ペルメットだけでもさまざまな形があり、オーダーメイドのカーテンには欠かせない伝統的なアクセサリーのひとつです。
ペルメットは上飾りの中でも比較的シンプルなデザインなので、あまり天井の高くない日本の家でも無理なく取り入れることができます。天井ぎりぎりに取り付け、カーテンの長さと釣り合いのとれるサイズを検討しましょう。ペルメットは、薄手のモスリンなどの1枚仕立てのカーテンにも調和しますし、日光をほどよく遮断できるというメリットもあります。
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ドレープの魅力を引き出すデザイン
伝統的なカーテンの美しさのポイントは、やはりその美しいドレープにあると思います。ドレープは自然につくられているように見えても、実はソフトファニシングデザイナーによってあらかじめ計算されています。この「スワッグ&テール」と呼ばれる最も豪華なデザインは、上飾りの部分も同じ一枚の生地に見えますが、実はドレープの部分だけ切り離された構造になっています。天井が高い部屋に向くデザインですが、ノーブルなインテリアには定番のデコレーションです。
伝統的なカーテンの美しさのポイントは、やはりその美しいドレープにあると思います。ドレープは自然につくられているように見えても、実はソフトファニシングデザイナーによってあらかじめ計算されています。この「スワッグ&テール」と呼ばれる最も豪華なデザインは、上飾りの部分も同じ一枚の生地に見えますが、実はドレープの部分だけ切り離された構造になっています。天井が高い部屋に向くデザインですが、ノーブルなインテリアには定番のデコレーションです。
こういったオーダーメイドの伝統的なカーテンには、必ず手作業の部分があり、長く使えるようにしっかりつくられています。中世ゴシックの時代から500年以上もの間、ファブリックやテキスタイルによるインテリアの伝統を継承しているともいえるのが、ソフトファニシングデザインです。今度ソファやチェア、ベッドまわりや窓まわりのファブリックを新しくするときは、さまざまなデザインを見て、ソフトファニシングの長い歴史にも思いを馳せてみてください。
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