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実はさまざま。障子の種類と特徴
様々な桟の組み方があるなど、障子にもいくつかのタイプが存在します。今回は、基本的な種類をご紹介します。
安井俊夫
2023年3月30日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
障子と聞くと、伝統的な和風住宅に採用されている建具を、思い出される方が多いと思います。あるいは昔の大掃除のイメージとして、子供たちが楽しそうに障子紙に穴を開け、お父さんがそれを張り替える。そんな光景を思い出される方も居るかもしれませんね。
「近頃はあまり見かけることが無くなった」と、思われがちな障子ですが、実際には今も様々な場面で用いられ、室内の雰囲気と環境を整えることに一役買っています。今回はそんな障子の実例を見ながら、その種類や特性をご紹介しましょう。和風住宅だけでなく、洋風でモダンな住宅にも似合うデザインも多いので、住まいに取り入れる際の参考にしてみて下さい。
「近頃はあまり見かけることが無くなった」と、思われがちな障子ですが、実際には今も様々な場面で用いられ、室内の雰囲気と環境を整えることに一役買っています。今回はそんな障子の実例を見ながら、その種類や特性をご紹介しましょう。和風住宅だけでなく、洋風でモダンな住宅にも似合うデザインも多いので、住まいに取り入れる際の参考にしてみて下さい。
そもそも障子とは?
障子とは木の枠で囲んだ中に細い桟を縦横に設置し、その上に紙を貼って仕上げた室内建具のことを言います。
使用される木の種類としては、檜、サワラ、杉、米ヒ、米ヒバなどがありますが、スタンダードな物とすればスプルースと呼ばれる輸入材料でしょう。このスプルースが普及する前は、国産の杉材が多く使われていましたが、高級品には檜、なかでも木曾檜で造られた障子が最高級品として扱われていました。
木に種類があるように、障子に貼る紙にも多くの種類があります。障子紙と言えば和紙が一般的ですが、和紙には色・柄・厚みなどに多種多様なデザインがあります。
近頃では張り替える手間を少なくするために、和紙に塩化ビニール樹脂を接着させた、破れにくく燃えにくく、水拭きにも耐えられる障子紙もあります。掃除も楽になりそうですね。
障子とは木の枠で囲んだ中に細い桟を縦横に設置し、その上に紙を貼って仕上げた室内建具のことを言います。
使用される木の種類としては、檜、サワラ、杉、米ヒ、米ヒバなどがありますが、スタンダードな物とすればスプルースと呼ばれる輸入材料でしょう。このスプルースが普及する前は、国産の杉材が多く使われていましたが、高級品には檜、なかでも木曾檜で造られた障子が最高級品として扱われていました。
木に種類があるように、障子に貼る紙にも多くの種類があります。障子紙と言えば和紙が一般的ですが、和紙には色・柄・厚みなどに多種多様なデザインがあります。
近頃では張り替える手間を少なくするために、和紙に塩化ビニール樹脂を接着させた、破れにくく燃えにくく、水拭きにも耐えられる障子紙もあります。掃除も楽になりそうですね。
障子の種類は多種多様
障子は桟の組み方によって様々な種類があるので、代表的な障子をご紹介しましょう。
障子は桟の組み方によって様々な種類があるので、代表的な障子をご紹介しましょう。
- 荒組障子(あらくみしょうじ)縦横の桟を荒く大きめに組んだ障子で、和室には勿論ですが洋風のインテリアにも採用しやすい落ち着いたデザインの障子です。もっともスタンダードなデザインですので、どんなスタイルにしようか迷った際には、この形を選んでおけば間違いないでしょう。
- 縦繁障子(たてしげしょうじ) 縦の桟を数多く組んでいるのが縦繁障子です。こちらの事例では、縦繁障子が食堂・台所を落ち着いた雰囲気に演出しています。カーテンなど設けなくても陽射しを調節できて、居心地の良い空間に仕上がっています。縦桟のラインが強調され上下が意識されるので、室内の高さを演出したい場合には適したデザインです。
- 横繁障子(よこしげしょうじ) 横の桟を細かく組んでいるのが横繁障子です。こちらの事例では、玄関脇から室内へと続く空間に、横繁障子を設けています。これによって奥行きをより感じさせる設えになっています。外の明るさを感じつつ室内への誘いを演出する、障子の桟の演出はとても綺麗です。このように室内の広がりをより強調させたい場合には、適した桟のデザインだと言えます。
- 雪見障子(ゆきみしょうじ)障子の中にもう一つ障子が組み込まれ、その部分が上に動くことで外を眺めることが出来るようになっています。文字通り座ったままで外の雪景色を眺められるよう、障子の下部だけを開けられる設えにしたことから、その名が付けられています。また雪景色だけでなく、強い日差しを避けることにも役立ちます。雪見障子には、下の部分にガラスが嵌め込まれている物もあります。障子の動き方から「摺り上げ障子」呼ばれることもあります。
- 猫間障子(ねこましょうじ)雪見障子と同じように、障子の中にもう一つの障子が組み込まれていますが、こちらは小さな障子を左右に動かします。猫間障子とは文字通り「猫が居る間」から出入りするための出入口の役割を果たしており、それが名前の由来と言われています。障子の開閉具合の様子が、猫の目のようにも見えますね。
- 腰付き障子(こしつきしょうじ)障子の下から30cmあるいは60m(90cmの腰高障子と呼ばれるものもあります)程の高さまで板が貼られた障子で、板の高さは尺寸法(303mm)で、変わってきます。
腰板が貼られるようになった理由は、一説によれば雨が掛かる障子の下部に対して、障子紙が破れないように配慮して板を用いたと言われています。ずっと昔の家は部屋の外に廊下があり、その向こうは直ぐに外で、横殴りの雨が吹き込む形になっていたからです。
今では濡れる心配は無くなりましたが、掃除機を掛ける際には腰板が貼られていたほうがと障子を傷める心配がなく安心でしょう。ちなみに腰板の無い障子のことを「腰無し障子」あるいは「水腰障子」と、呼ぶこともあります。
これらの代表的な障子の他にも障子の中央部にガラスの入った「額入り障子」などもあります。
障子は実は断熱性能も備えている
障子は見た目の美しさだけでなく、断熱や防音性能にも優れています。世界文化遺産にも登録されている合掌造りで有名な白川郷の建物は、雪深い地域にあるにもかかわらず、窓に設けられているのは障子だけです。つまり雪の降る冬の昼間は、障子1枚で外部の寒さから凌いでいるのです。
デザイン性に富み、機能的にも優れた障子を上手に用いることで、きっと和モダンで洗練された家になると思います。
住まいの専門家を探す
障子は見た目の美しさだけでなく、断熱や防音性能にも優れています。世界文化遺産にも登録されている合掌造りで有名な白川郷の建物は、雪深い地域にあるにもかかわらず、窓に設けられているのは障子だけです。つまり雪の降る冬の昼間は、障子1枚で外部の寒さから凌いでいるのです。
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