色の使い方の基本:色の明度と彩度が空間にもたらす効果を知ろう
インテリア空間で上手にカラーを使いこなすために知っておきたい、色の性質や効果などの基本をわかりやすく解説。今回は、色の明るさと鮮やかさについてです。
カツウラアキツ
2016年9月25日
インテリアを考えるとき、色選びは欠かせないポイントのひとつです。でも、「色の選び方や使い方、組み合わせ方が今ひとつわからない」「どんな色にどんな効果があるのか、基本的な知識がないので何となく雰囲気で選んでしまっている」という声を耳にします。でも安心してください。このシリーズでは、そんな色の使い方の基本をしっかり解説していきます。
色にはいくつかの特性、そしてそれによる視覚や感情に及ぼす効果があります。それらを上手に使うことで、きっと望みどおりの住まいづくりをアシストしてくれるでしょう。この世にあるさまざまな色には、いったいどんな特徴があって、それらはインテリアで使うときにどんな効果が期待できるのか? 今回はまず、色の「明るさ」と「鮮やかさ」の度合いを軸にして、例を見ながら考えてみましょう。
色にはいくつかの特性、そしてそれによる視覚や感情に及ぼす効果があります。それらを上手に使うことで、きっと望みどおりの住まいづくりをアシストしてくれるでしょう。この世にあるさまざまな色には、いったいどんな特徴があって、それらはインテリアで使うときにどんな効果が期待できるのか? 今回はまず、色の「明るさ」と「鮮やかさ」の度合いを軸にして、例を見ながら考えてみましょう。
色の構成要素、「色相」「明度」「彩度」
人の目で見分けられる色は、なんと1000万色もあるといわれていますが、すべての色は3つの要素によってつくられています。初めに、そのことを少しおさらいしましょう。
3つの要素のうち、1つめは「色相」、色そのもののことです。実は色とは、可視光線という電磁波の一種なのですが、それが物体に当たり、反射した光を見ることで、私たちは色を認識しています。ここで認識する赤、黄色、青などの色系統は、写真のような色相環というシステムで、段階的にわかりやすく並べることが可能です。
人の目で見分けられる色は、なんと1000万色もあるといわれていますが、すべての色は3つの要素によってつくられています。初めに、そのことを少しおさらいしましょう。
3つの要素のうち、1つめは「色相」、色そのもののことです。実は色とは、可視光線という電磁波の一種なのですが、それが物体に当たり、反射した光を見ることで、私たちは色を認識しています。ここで認識する赤、黄色、青などの色系統は、写真のような色相環というシステムで、段階的にわかりやすく並べることが可能です。
2つめは「明度」、色の明るさの度合いです。「明るい、暗い」「ダーク、ミディアム、ライト」など、世の中ではいろいろな言葉でその程度が表現されます。
3つめは「彩度」、色の鮮やかさの度合いです。白、黒、グレーは彩度のないグループ(無彩色)になりますが、それ以外の色には必ず彩度、つまり鮮やかさが関わってきます。
今回は、この「明度=明るさ」と「彩度=鮮やかさ」の効果に注目してみましょう。
3つめは「彩度」、色の鮮やかさの度合いです。白、黒、グレーは彩度のないグループ(無彩色)になりますが、それ以外の色には必ず彩度、つまり鮮やかさが関わってきます。
今回は、この「明度=明るさ」と「彩度=鮮やかさ」の効果に注目してみましょう。
「明度」と広さ、狭さの関係
すべての色の中で、最も明度が高い、つまり明るい色が白で、最も明度が低い、つまり暗い色が黒になります。この「明度」が空間にもたらす視覚効果はいくつもありますが、まず挙げられるのが「広さ」との関わりです。同じ広さの空間でも、明るい色を使うことで、暗い色を使ったときよりも広く感じさせることができるということは、皆さんもきっとよくご存じと思います。
すべての色の中で、最も明度が高い、つまり明るい色が白で、最も明度が低い、つまり暗い色が黒になります。この「明度」が空間にもたらす視覚効果はいくつもありますが、まず挙げられるのが「広さ」との関わりです。同じ広さの空間でも、明るい色を使うことで、暗い色を使ったときよりも広く感じさせることができるということは、皆さんもきっとよくご存じと思います。
インテリア空間で、その効果をさらに強調したいなら、明度の高い色と低い色をコンビネーションで使うといいでしょう。明るい色は広く見えるという効果を利用し、写真のように、それほど広くはない奥の部屋の壁を明るめの色に、そのすぐ手前の空間の壁を暗めの色で彩ります。すると、実際に奥の部屋に足を踏み入れたときに、明度が劇的に変わることで、実際以上に狭さを感じさせない空間をつくることができます。
こういった空間は扉を閉めずにあえて奥の部屋を見せておくのもポイントのひとつに。インテリアの見せ場づくりに一役買ってくれます。明度の差によるドラマチックな視覚効果を、ぜひ住まいに活かしてみましょう。
こういった空間は扉を閉めずにあえて奥の部屋を見せておくのもポイントのひとつに。インテリアの見せ場づくりに一役買ってくれます。明度の差によるドラマチックな視覚効果を、ぜひ住まいに活かしてみましょう。
「明度」と軽さ、重さの関係
また、明度の高い明るい色は軽さを、明度の低い暗い色は重さを感じさせる効果もあります。インテリア空間の中でこの視覚効果を活かすなら、部屋の下方にあるソファや床自体の色を、天井や壁の色より少し暗めにすることで、落ち着いた安定感を演出することができます。
ちなみに、この写真はあえて上記のセオリーを逆転させた空間です。壁よりも暗く重厚感のある色が天井に配置されることで天井は低く感じますが、空間のバランスが逆転することで、普段味わえない非日常的な空間が生まれてきます。安定感のある日常の感覚とは違うこの効果は、高級ホテルなどラグジュアリーな空間で使われることの多いテクニックです。住まいの中に特別な空間をつくりたいときは、この「軽重感」にも注目してみましょう。
また、明度の高い明るい色は軽さを、明度の低い暗い色は重さを感じさせる効果もあります。インテリア空間の中でこの視覚効果を活かすなら、部屋の下方にあるソファや床自体の色を、天井や壁の色より少し暗めにすることで、落ち着いた安定感を演出することができます。
ちなみに、この写真はあえて上記のセオリーを逆転させた空間です。壁よりも暗く重厚感のある色が天井に配置されることで天井は低く感じますが、空間のバランスが逆転することで、普段味わえない非日常的な空間が生まれてきます。安定感のある日常の感覚とは違うこの効果は、高級ホテルなどラグジュアリーな空間で使われることの多いテクニックです。住まいの中に特別な空間をつくりたいときは、この「軽重感」にも注目してみましょう。
「明度」とかたさ、やわらかさの関係
明度には、かたさとやわらかさを感じさせる効果もあります。原色に白を混ぜてどんどん明るくしていくと、色味が薄くなり、ソフトでな印象になっていきます。写真のソファを見てみると、ひと目でふかふかでやわらかそうな座り心地が想像できますね。
こうした色の効果は、他のイメージを喚起させることも。たとえば、かたさは重厚感や格式の高さ、やわらかさは優しく軽やかな感じといったように、色自体とその硬軟・軽重の印象などが微妙に掛け合わせられて、多彩なイメージを引き出します。
明度には、かたさとやわらかさを感じさせる効果もあります。原色に白を混ぜてどんどん明るくしていくと、色味が薄くなり、ソフトでな印象になっていきます。写真のソファを見てみると、ひと目でふかふかでやわらかそうな座り心地が想像できますね。
こうした色の効果は、他のイメージを喚起させることも。たとえば、かたさは重厚感や格式の高さ、やわらかさは優しく軽やかな感じといったように、色自体とその硬軟・軽重の印象などが微妙に掛け合わせられて、多彩なイメージを引き出します。
たとえば、かたさを感じる色として真っ先に思い浮かんできそうな黒。実際に硬質なアイアンなどで使われていますが、インテリアでは革素材のソファ色としても見かけることが多いと思います。黒のソファは見ただけで表面の張りのある質感を強調し、座り心地も上の明るいピンクのソファに比べて、かたくしっかりとしていそうです。さらに、黒自体の印象や軽重感も引き出され、そこには高級感や重厚感も伴います。物や空間から受ける「印象」を注意深く観察すると、こうした色の効果がよくわかってきます。
明るい色は光を反射しやすい
また、明度の高い明るい色には、光を反射しやすい特性があります。これは、直接光が入らない空間で使える効果のひとつです。小さなスペースから入る限られた光を空間にまわし、部屋全体に明るさを感じさせることができるからです。
また、明度の高い明るい色には、光を反射しやすい特性があります。これは、直接光が入らない空間で使える効果のひとつです。小さなスペースから入る限られた光を空間にまわし、部屋全体に明るさを感じさせることができるからです。
また、写真のように庭の壁に明るい色を配する方法でも、明るさを活かした効果を感じることができます。広い開口部から入る白い壁に反射した光が部屋全体に行き届き、空間に広さも出てきますね。落ち着きのある和室と、まるで美術館の庭のような外の佇まいをつなぐ、光の陰影も素敵です。
有彩色で最も明るい色は
さて、白、黒、グレー以外の「有彩色」と呼ばれる色に目を向けてみましょう。赤、橙、黄、緑、紫など、色の系統はたくさんありますが、その中でいちばん明るくて白に近い色は、黄色になります。白以外で、空間に明るい色を使いたいという方は、黄色を検討してみるのはひとつの手。なお、黄色をどんどん明るくしていくと鮮やかさが抑えられ、クリーム色のようなやわらかい印象になっていくので、より使いやすくなるでしょう。
さて、白、黒、グレー以外の「有彩色」と呼ばれる色に目を向けてみましょう。赤、橙、黄、緑、紫など、色の系統はたくさんありますが、その中でいちばん明るくて白に近い色は、黄色になります。白以外で、空間に明るい色を使いたいという方は、黄色を検討してみるのはひとつの手。なお、黄色をどんどん明るくしていくと鮮やかさが抑えられ、クリーム色のようなやわらかい印象になっていくので、より使いやすくなるでしょう。
「彩度」を使って足し算・引き算
原色のような非常に鮮やかな色、つまり彩度の高い色からは、強さや派手さ、カジュアルな印象を受けますね。こうした色をインテリアで使うなら、写真のようにアクセントとして使うと効果的です。特に色味が少ない単調な空間では、彩度の高い色を少しプラスするだけで、空間に躍動感が出てきます。逆に、鮮やかな色がたくさんある部屋では、引き算の考え方で、白や黒、グレーやベージュといった、彩度の低い(=鮮やかさの少ない)色を少量使うことで、息抜きのスペースができ、バランスがとりやすいでしょう。
原色のような非常に鮮やかな色、つまり彩度の高い色からは、強さや派手さ、カジュアルな印象を受けますね。こうした色をインテリアで使うなら、写真のようにアクセントとして使うと効果的です。特に色味が少ない単調な空間では、彩度の高い色を少しプラスするだけで、空間に躍動感が出てきます。逆に、鮮やかな色がたくさんある部屋では、引き算の考え方で、白や黒、グレーやベージュといった、彩度の低い(=鮮やかさの少ない)色を少量使うことで、息抜きのスペースができ、バランスがとりやすいでしょう。
「彩度」が低いとシックでナチュラルに
このように、派手や地味といった色から受ける印象には、「彩度」が深く関わっています。写真のように色味を地味めに抑えると、シック、ナチュラルといったイメージを与えることができます。こうした色の中には、いわゆるインテリアのベーシックカラーと呼ばれるような、どんな空間でも使いやすい、落ち着きのある色が多数あります。
このように、派手や地味といった色から受ける印象には、「彩度」が深く関わっています。写真のように色味を地味めに抑えると、シック、ナチュラルといったイメージを与えることができます。こうした色の中には、いわゆるインテリアのベーシックカラーと呼ばれるような、どんな空間でも使いやすい、落ち着きのある色が多数あります。
さて、実際は同じ部屋の中で、色が何色も使われることが多いと思います。その場合、それぞれの色の明るさや鮮やかさが離れれば離れるほど、つまり、明度と彩度の差が大きくなればなるほど、空間にメリハリが生まれてきます。逆に、明度と彩度の差が小さいほど、色がなじみ、それぞれの色が同じような印象に近づいて統一感が出てきます。
このように、明度と彩度を合わせた色の要素を「トーン」と呼びます。「トーン」は伝えたいイメージを表現できる非常に優れた色の要素で、知っておくとインテリアの色の組み合わせを自由自在につくり出せるようになってきます。次回は、この「トーン」について、もう少し詳しく解説していきたいと思います。
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お忙しい中ありがとうございます❕
今回、アドバイスをお願いしたかったのは インテリア関連
とは少し異なりましたが…
ハーブに似合う鉢物に似合うカラーのヒントを
是非とも お借りしたいと思って投稿させて頂きました…
が、アキツさんのアイデアボックスに 「 在りました
在りました❕」沢山のアドバイスやヒントが目白押し♡
手を伸ばせば いつでも此のページが教科書になるんだ❕❕
と確認できて本当に助かりました. 今日も また 丁寧な1日を
過ごす事に専念できそうです* ♤ かりん ♤
かりん様、たくさんのアイデアブックを見ていただいてありがとうございます!鉢物周りのコーディネートも立派なインテリアのポイントになりますものね。素焼きの鉢なら、DIYで鉢自体をペイントする手もあるので、良いものがない時は試してみてください。簡単にできますよ!
comment「 ありがとうございます^ 」アイデアブックの中から
アクティビティの方にもアップさせて頂いたのですが…
ありましたよ♪ やっぱり 好きなブルーに目がいってしまいますね〜
でも 鉢ではなくDIYという手を見逃していました❕
ん〜 ペイント位だったら❕シッカリ、手と指を
ガードすれば私にも可能な気がします.
好きなミントやオリーブの絵など施してみますね.
お忙しい中 本当に有難うございます* ♤ かりん ♤