暗さや圧迫感を感じさせずに、ダークカラーを壁に取り入れるコツ
黒ネイビー、グレーなど、ダークな色がもたらすドラマチックな効果と、上手な取り入れ方のポイントをご紹介します。
ブラッキン・ヘザー
2023年9月25日
Houzz contributor.
Home Life Style インテリア、収納空間デザイン。
「贅沢な時間を過ごせる、あなたらしい心地よい住まいづくり」をモットーに、一人ひとりの個性や「好き」を引き出しながらのインテリアのコーディネーション、
より快適な暮らしのためのライフスタイルに合わせた収納計画のご提案をいたします。
著書「ふつうの住まいでかなえる外国スタイルの部屋づくり(文藝春秋)
Interior decoration and storage space planning in Tokyo, Japan. English/Japanese bilingual, with interior design and decoration experience in Europe and Japan.
Houzz contributor.
Home Life Style インテリア、収納空間デザイン。
「贅沢な時間を過ごせる、あなたらしい心地よい住まいづくり」をモットーに、一人ひとりの個性や「好き」を引き出しながらのインテリアのコーディネーション、
より快適な暮らしのためのライフスタイルに合わせた収納計画のご提案をいたします。
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壁を黒やダークな色に塗るのは、実際かなり勇気が必要なことだと思います。部屋が暗くなりすぎないか、圧迫感が出たり、空間が狭く感じたりするかもしれないなど、不安になるという方が多いのもわかります。実は、私自身もそう思っていました。自宅の仕事部屋の壁を、1面だけでもダークグレーに塗ってみたいという気持ちがあったのと同時に、やはり心配もあったのです。
でも、思い切って塗ってみて初めてわかったのが、黒い壁のインテリア効果の予想以上の素晴らしさです。わが家の場合、なんとなく雑然としていた仕事部屋が、ダークグレーの壁によって引き締まった印象になり、全体がまとまったように感じました。それ以来、すっかりダークな壁の大ファンになり、その魅力を人に伝えたくなりました。
黒やチャコールグレー、ブラウンやネイビーなど、壁を濃い色で塗る場合に大切なのは、その効果をよく知ったうえで、第一印象が「わぁ、黒い(暗い)!」という感じにならないように工夫することだと思います。これからご紹介する実例を見ていただくとわかると思いますが、どれもそのような印象は受けません。むしろそれぞれの空間が、ダークカラーの壁によってさらにまとまり、あるいは落ち着きが増したり、部屋にあるものが引き立って見えたりしています。今回は、そんなダークカラーの壁のインテリアに及ぼす効果と使い方、楽しみ方をお伝えします。
でも、思い切って塗ってみて初めてわかったのが、黒い壁のインテリア効果の予想以上の素晴らしさです。わが家の場合、なんとなく雑然としていた仕事部屋が、ダークグレーの壁によって引き締まった印象になり、全体がまとまったように感じました。それ以来、すっかりダークな壁の大ファンになり、その魅力を人に伝えたくなりました。
黒やチャコールグレー、ブラウンやネイビーなど、壁を濃い色で塗る場合に大切なのは、その効果をよく知ったうえで、第一印象が「わぁ、黒い(暗い)!」という感じにならないように工夫することだと思います。これからご紹介する実例を見ていただくとわかると思いますが、どれもそのような印象は受けません。むしろそれぞれの空間が、ダークカラーの壁によってさらにまとまり、あるいは落ち着きが増したり、部屋にあるものが引き立って見えたりしています。今回は、そんなダークカラーの壁のインテリアに及ぼす効果と使い方、楽しみ方をお伝えします。
ひとつのエリアとして、空間をまとめる役割
黒い壁のインテリア効果としてまず挙げたいのは、空間のまとめ役としての働きです。ある程度広さのある空間を白い壁にすると、確かに広くは見えますが、家具を置いてもなんとなく焦点がぼけて雑多に見え、まとまり感が出しにくいという問題も。
そんなときにダークな壁を1面つくると、絶好の “まとめ役” になります。こちらのリビングでも、黒い壁と同系色のラグがスペースを区切り、リビングエリアをキュッとひとまとまりに見せています。これぐらい大きな窓から自然光がたっぷり入る部屋なら、ダークカラーも怖がらずに思い切って使えそうですね。
黒い壁のインテリア効果としてまず挙げたいのは、空間のまとめ役としての働きです。ある程度広さのある空間を白い壁にすると、確かに広くは見えますが、家具を置いてもなんとなく焦点がぼけて雑多に見え、まとまり感が出しにくいという問題も。
そんなときにダークな壁を1面つくると、絶好の “まとめ役” になります。こちらのリビングでも、黒い壁と同系色のラグがスペースを区切り、リビングエリアをキュッとひとまとまりに見せています。これぐらい大きな窓から自然光がたっぷり入る部屋なら、ダークカラーも怖がらずに思い切って使えそうですね。
引き締め効果を生かし、コージーでムードのある空間に
ダークな色は部屋を狭く感じさせると言われ、視覚効果としては確かに、全体を引き締めたように見せます。これは必ずしも悪いこととは限らず、逆にそれがコージーだととらえ、あえてリビングをダーク色にする人も海外では少なくありません。
特にリビングは夜のくつろぎシーンも大切な部屋。アパートメントや小さな家で、南向きの窓があるスペースが限られている住まいでは、あえて明るい窓辺の近くを気持ちよく食事を楽しむためのダイニングとして使い、北側や奥まったエリアをリビングにするケースもあります。ここでは光の入る窓は必要なく、逆に暗さを生かして間接照明を使いながらムードのある演出を楽しむというのも一案です。
ブラウンで統一したこのコージーなリビングは、アクセントのオレンジとの組み合わせにどことなく70年代のレトロな風合いがあって素敵です。
ダークな色は部屋を狭く感じさせると言われ、視覚効果としては確かに、全体を引き締めたように見せます。これは必ずしも悪いこととは限らず、逆にそれがコージーだととらえ、あえてリビングをダーク色にする人も海外では少なくありません。
特にリビングは夜のくつろぎシーンも大切な部屋。アパートメントや小さな家で、南向きの窓があるスペースが限られている住まいでは、あえて明るい窓辺の近くを気持ちよく食事を楽しむためのダイニングとして使い、北側や奥まったエリアをリビングにするケースもあります。ここでは光の入る窓は必要なく、逆に暗さを生かして間接照明を使いながらムードのある演出を楽しむというのも一案です。
ブラウンで統一したこのコージーなリビングは、アクセントのオレンジとの組み合わせにどことなく70年代のレトロな風合いがあって素敵です。
天井までスモーキーなダークグレーに塗ったこちらのリビングでは、家具もアートもあえてダークトーンで統一して落ち着いた雰囲気に。花や本の表紙に、ほんの少しだけピンクを取り入れていることで、一気におしゃれで明るい表情が加わっています。また、暗い色の中に配置したクッションのラインや、アートの一部、ウォールブラケット、ソファの横に置いた本など、さりげない白の使い方にも注目です。
インテリアデザイナー、インテリアコーディネーターを探す
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白とのコントラストを生かす
壁の色が濃ければ濃いほど、部屋に置いた白い家具や建具がそのコントラスト効果で前に飛び出すように見え、美しく引き立ちます。黒は黒一色と思いがちですが、実はさまざまな種類のトーンがあります。黒でも少し青みが入ったこちらの壁の色は、ダークブルーに近い色。優しさがあり、エレガントなリビングルームによくお似合いです。
壁の色が濃ければ濃いほど、部屋に置いた白い家具や建具がそのコントラスト効果で前に飛び出すように見え、美しく引き立ちます。黒は黒一色と思いがちですが、実はさまざまな種類のトーンがあります。黒でも少し青みが入ったこちらの壁の色は、ダークブルーに近い色。優しさがあり、エレガントなリビングルームによくお似合いです。
広い面積に白を使えば暗く見えない
ネイビーの壁に、やや落ち着いた、ダークトーンの家具やクッションを組み合わせたエクレクティックスタイルのリビングルーム。全体のトーンが暗めでもこの通り、白いカーペットが部屋をパッと明るく見せてくれます。
ネイビーの壁に、やや落ち着いた、ダークトーンの家具やクッションを組み合わせたエクレクティックスタイルのリビングルーム。全体のトーンが暗めでもこの通り、白いカーペットが部屋をパッと明るく見せてくれます。
床だけに限らず、ベッドのような広い平面部分を白にするのも、圧迫感を避けるためには効果的です。ダークグリーンを使った壁はそれほど見かけないかもしれませんが、とても個性的で温かみのあるいい色ですね。暗く見えないのはもちろん、アンティークの写真やたくさんの本、ファーのクッションなど、たくさんのアイテムのある寝室が、この深いグリーンのおかげで求心力を持ち、キュッとまとまって見えるのがわかります。
デコレーションの印象的な背景として
濃い色のお皿に食べ物を盛り付けると、食材の色がより鮮やかに見えるとよく言われますが、ダークな壁も、コレクションやデコレーションアイテムの形や色を引き立てる背景として効果的です。グリーンやオレンジ、黄色っぽい色の数々の器がより立体的に見えるのがおわかりだと思います。それに加え、光の反射によってひとつひとつのアイテムの色により深みが出るのも、ダークな背景の魅力です。
濃い色のお皿に食べ物を盛り付けると、食材の色がより鮮やかに見えるとよく言われますが、ダークな壁も、コレクションやデコレーションアイテムの形や色を引き立てる背景として効果的です。グリーンやオレンジ、黄色っぽい色の数々の器がより立体的に見えるのがおわかりだと思います。それに加え、光の反射によってひとつひとつのアイテムの色により深みが出るのも、ダークな背景の魅力です。
赤でも、少しくすんだバーガンディーレッドなら派手になりすぎず、エレガントで落ち着いた雰囲気の背景に。あえて明るい色の家具を置かずに、風合いのあるアジアンテイストの木の家具や、ナチュラルな質感のアイテムで、個性的かつドラマチックにまとめたコーナーです。
光の美しさを感じさせる
明るい色は光を反射する一方、暗い色は光を吸収すると言われます。自然光や間接照明を浴びたときの濃い色の壁の微妙なニュアンスは、部屋に奥深い表情を与えてくれることも。こちらの玄関ホールでは、横から入ってくる光がチャコールグレーの壁にグラデーションをつくり、美しく見せていると同時に、グレーの壁そのものが光を強調してくれています。もしこの壁が白だったら、このような光の微妙な美しさを楽しめないかもしれません。
チャコールグレーにモノクロの写真もシックな演出。グレーをバックに、植物の緑にもより深みが出ているように見えます。
明るい色は光を反射する一方、暗い色は光を吸収すると言われます。自然光や間接照明を浴びたときの濃い色の壁の微妙なニュアンスは、部屋に奥深い表情を与えてくれることも。こちらの玄関ホールでは、横から入ってくる光がチャコールグレーの壁にグラデーションをつくり、美しく見せていると同時に、グレーの壁そのものが光を強調してくれています。もしこの壁が白だったら、このような光の微妙な美しさを楽しめないかもしれません。
チャコールグレーにモノクロの写真もシックな演出。グレーをバックに、植物の緑にもより深みが出ているように見えます。
気持ちを落ち着かせる心理的効果
ダークカラーが心に及ぼす効果としてはもちろん、気分を穏やかにさせ、安らぎをもたらすことも挙げられます。温かみのあるチョコレートブラウンにグレーのベッドカバーやアートが大人っぽいコンビネーションのこの部屋。気持ちを落ち着かせ、ぐっすり眠るためにも、寝室にダークカラーの壁はぴったりかもしれませんね。
ダークカラーが心に及ぼす効果としてはもちろん、気分を穏やかにさせ、安らぎをもたらすことも挙げられます。温かみのあるチョコレートブラウンにグレーのベッドカバーやアートが大人っぽいコンビネーションのこの部屋。気持ちを落ち着かせ、ぐっすり眠るためにも、寝室にダークカラーの壁はぴったりかもしれませんね。
狭い空間にあえて使って印象深く
もうひとつ、ダークカラーを試してほしい空間は、トイレ。コンパクトなスペースであるからこそ、インパクトの強い、特徴のある空間にしてみるのはおすすめです。こちらでも光の入る窓があったり、床を白っぽい色にしていることで、「わぁ、暗い!」という印象にはなっていません。壁全体に黒を使っていても、それほど圧迫感は感じられないと思います。
もうひとつ、ダークカラーを試してほしい空間は、トイレ。コンパクトなスペースであるからこそ、インパクトの強い、特徴のある空間にしてみるのはおすすめです。こちらでも光の入る窓があったり、床を白っぽい色にしていることで、「わぁ、暗い!」という印象にはなっていません。壁全体に黒を使っていても、それほど圧迫感は感じられないと思います。
こちらも狭い空間の例です。この廊下はどこへ続くのだろう、あのドアを開けると何があるのかな、と、細長い空間にどことなくミステリアスなムードを与えてくれるダークカラーの壁。やわらかなブラウンを使って、メリハリをつけるために、ドアや壁のアートは白を使っています。
ダークな壁の廊下には、ライティングも大切な要素。間接照明の光がつくるトーンの濃淡が、よりムーディーな奥行きのある雰囲気を演出しています。
ダークな壁の廊下には、ライティングも大切な要素。間接照明の光がつくるトーンの濃淡が、よりムーディーな奥行きのある雰囲気を演出しています。
こちらが、冒頭に書いた自宅の仕事部屋です。1面をチャコールグレーに塗りました。使った色は、イギリスの〈ファロー&ボール〉の深みのある黒に近いグレー、「ダウンパイプ」という色。白い壁だったときには、向かって右側にある大好きなチェストが壁に溶け込みすぎてつまらない、ということで選んだのが、かなりダークなこの色です。小さな部屋ですが、他の3面の壁、そして天井が白であるため、暗さはまったく感じません。
私はこれをきっかけに、ダークカラーの壁の魅力が実感でき、小さな部屋でも恐れる必要はないとわかりました。ちょっと個性的に強調したい壁があれば、次回はダークカラーを試してみることをおすすめします。
ダークカラーを上手に使った部屋の写真を見る
古いものやナチュラルな素材に合わせる、ブラックの旬な効かせ方
グレーを使っても暗い部屋にならないテクニックとは?
私はこれをきっかけに、ダークカラーの壁の魅力が実感でき、小さな部屋でも恐れる必要はないとわかりました。ちょっと個性的に強調したい壁があれば、次回はダークカラーを試してみることをおすすめします。
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いつも素敵な特集楽しんで拝読しております!
写真は我が家のパティオです。暗い紫でペイントしました。かなり勇気がいりましたが、とてもムードがあり大好きな部屋です。今は贅沢にも洗濯物干し場として主に使っていますが、将来はお酒を飲む部屋になる予定です。弊社では明るいお部屋を好むお客様が多くなかなか勇気がいるダークカラーですが、ヘザーさんの記事をみてまた魅了される方も増えるといいなとおもっています。
へい
ナチュラルリビングさん、ありがとうございます!ムーディーなパティオでお酒が飲める日が楽しみですね。ダークカラーは怖がらずに是非みなさんにもチャレンジしていただきたいです!
ホワイト