学生用ワンルームのリノベーションには、狭い空間で快適に暮らすアイデアがいっぱい!
フランスのHouzzの特集から、学生向けの超狭小ワンルームのリノベーション事例を4例をご紹介。超狭小空間を最大限に活用するアイデアが満載です。学生の勉強部屋に限らず、マンションや戸建てのリノベーション、子供部屋や書斎、収納スペースなどに活用できるアイデアとヒントが見つかります!
Agnès Carpentier
2015年10月13日
大学進学をきっかけに小さなワンルームの部屋で一人暮らしを始める人は少なくありません。初めての自分だけの城だからこそ、すっきり整った、美しく機能的な部屋にしたいと考えるのも当然です。とはいえ、スペースが限られているせいで、散らかりやすく、結果として、勉強に集中できなくなる危険も。何より勉強するための住まいなのですから、工夫をこらして暮らしやすい空間にしたいもの。
これからご紹介する4つのケースでは、わずか12平方メートル以下の狭いワンルームの部屋をリノベーションし、巧みなレイアウトやオリジナル家具の活用によって有効活用しています。収納スペースを増やして、問題を一挙に解決しているのがポイント。共通するキーワードは、オーダーメード、デザイン性、多機能性です。
12平方メートル以下といえば、日本のワンルームに比べても、狭くて小さい部屋ばかり。学生用の部屋にかぎらず、一般家庭でも活用できそうなアイデアがたくさんあります!
これからご紹介する4つのケースでは、わずか12平方メートル以下の狭いワンルームの部屋をリノベーションし、巧みなレイアウトやオリジナル家具の活用によって有効活用しています。収納スペースを増やして、問題を一挙に解決しているのがポイント。共通するキーワードは、オーダーメード、デザイン性、多機能性です。
12平方メートル以下といえば、日本のワンルームに比べても、狭くて小さい部屋ばかり。学生用の部屋にかぎらず、一般家庭でも活用できそうなアイデアがたくさんあります!
1. 魔法のようなプラットフォーム
パリ、モントルグィユ地区、バイオリニストの卵のカップルが暮らす、わずか12平方メートルのワンルームでは、魔法のようなプラットフォーム(ひな壇)をつくりつけて、空間を倍増させている。
スペースを増やすアイデアは?
木製のプラットフォームを使って、可動式スペースを生み出す
パリ、モントルグィユ地区、バイオリニストの卵のカップルが暮らす、わずか12平方メートルのワンルームでは、魔法のようなプラットフォーム(ひな壇)をつくりつけて、空間を倍増させている。
スペースを増やすアイデアは?
木製のプラットフォームを使って、可動式スペースを生み出す
2013年に建築家のジュリー・ナビュセさんがリノベーションの設計を担当し、このプラットフォームを考案。部屋自体は、右奥に狭いシャワーコーナーがついただけの、シンプルな四角いワンルーム空間だ。部屋の奥に見えるプラットフォームこそが、空間を活用するマジック。プラットフォームの上に設置した戸棚が、上部にあるキッチンスペースとリビング・ベッドルームスペースを区切るパーティションになっている。「部屋のサイズに合わせてつくった棚は、オーブンから電子レンジを置く棚や鍋や小物用の引き出しがあり、キッチンの道具をすべてを収納。リビング兼ベッドルーム側も小物を収納できる棚になっています」とジュリー・ナビュセさん。
「特にすぐれた点があるとすれば、プラットフォームの下にベッドを完全に収納できるところ。おかげでスペースを生み出すことができます。ベッドを半分引き出せばソファに、全部引き出すと、ベッドルームになるんです」とナビュセさん。
上の写真はダブルベッド全体を引き出した状態。壁の棚がベッドのヘッドボードになり、プラットフォームの上の棚はベッドサイドテーブルになる。
上の写真はダブルベッド全体を引き出した状態。壁の棚がベッドのヘッドボードになり、プラットフォームの上の棚はベッドサイドテーブルになる。
2. 6平方メートルを最大限に活用
パリの古い建物の屋根裏には、かつて住み込みの使用人が使っていた小さな部屋がありますが、そうした部屋を改装したのが、こちらの驚きのスペースです。なんとわずか6平方メートルに、ダブルベッドとデスク、シャワー、キッチンが見事に収まっています。
スペースを増やすアイデアは?
「知恵とアイデアと技を駆使すれば、どんな空間でも機能的で心地よいスペースに生まれ変わらせることができます。それを実証したかったんです」と語るのは、想像を超えた技を見せてくれた、建築家のダヴィッド・ビットンさん。
パリの古い建物の屋根裏には、かつて住み込みの使用人が使っていた小さな部屋がありますが、そうした部屋を改装したのが、こちらの驚きのスペースです。なんとわずか6平方メートルに、ダブルベッドとデスク、シャワー、キッチンが見事に収まっています。
スペースを増やすアイデアは?
「知恵とアイデアと技を駆使すれば、どんな空間でも機能的で心地よいスペースに生まれ変わらせることができます。それを実証したかったんです」と語るのは、想像を超えた技を見せてくれた、建築家のダヴィッド・ビットンさん。
活用したアイデアは3つ。「鏡を使うこと、壁面を垂直方向に高いところまで活用すること、照明は天井埋込み式のものを使うこと」
でも、いちばんのアイデアは、折りたたみ式ベッドをつくりつけたこと。シャワールーム(左)とクローゼット(右)にはさまれたニッチ空間にソファを設置。このソファを引っ張りだすとダブルベッドになる仕掛けになっている。
ソファの反対側の壁には、折りたたみ式デスクがつくりつけてあり、デスクの情報にはディスプレイを設置している。
ソファの反対側の壁には、折りたたみ式デスクがつくりつけてあり、デスクの情報にはディスプレイを設置している。
左の写真はベッドを広げたところ。
他にも、空間をすみずみまで活用するアイデアを徹底的に活用。例えば、部屋を広く、明るく見せるため、空間の色彩は白を基調とし、アクセントはさわやかなグリーン系で統一。シャワーコーナーとクローゼットもグリーン系の色にして、リビング空間と区別した。デスクの前に置かれた透明な椅子にも、家具の圧迫感を減らすためのアイデアだ。
他にも、空間をすみずみまで活用するアイデアを徹底的に活用。例えば、部屋を広く、明るく見せるため、空間の色彩は白を基調とし、アクセントはさわやかなグリーン系で統一。シャワーコーナーとクローゼットもグリーン系の色にして、リビング空間と区別した。デスクの前に置かれた透明な椅子にも、家具の圧迫感を減らすためのアイデアだ。
3. 部屋の中に大型の多機能ボックスを設置
モスクワにある、学生向けのアパートメント。サンクトペテルスブルグの建築事務所Int2.がリノベーションを手がけた物件だ。
スペースを増やすアイデアは?
空間の中に置くさまざまな家具を1つの大きなボックスにまとめる。
モスクワにある、学生向けのアパートメント。サンクトペテルスブルグの建築事務所Int2.がリノベーションを手がけた物件だ。
スペースを増やすアイデアは?
空間の中に置くさまざまな家具を1つの大きなボックスにまとめる。
「ワンルームでは、ベッドやサイドテーブル、チェスト、戸棚、クローゼット、本棚など、さまざまな家具が1つの空間の中にばらばらに置かれることになります。すると、たいていの場合、散漫でまとまりのない空間になってしまいます。そこで、機能の異なる家具を思い切って一カ所にまとめてしまう、というアイデアを実践しました」と建築家は話す。
アイデアを形にしたのが、窓の前に設置したこちらの「多機能ボックス」。カーテンをさっと引くだけで、居心地最高の篭もれる空間になる。
アイデアを形にしたのが、窓の前に設置したこちらの「多機能ボックス」。カーテンをさっと引くだけで、居心地最高の篭もれる空間になる。
夜はベッドに、日中はソファになるこの空間には、コンパクトで便利な収納があちこちに仕込まれている。ボックスの右側部分のクローゼットには衣類を掛けて収納し、ベッドしたの2つの大きな引き出しには衣類をたたんで収納。ベッドの両サイドにある棚は書類を収納できるスペースになっている。ボックス全体を取り巻く本棚には、本を飾るように収納できる。
学生向けの部屋なので、勉学に集中できるよう、デスクは部屋の真ん中に配置。
学生向けの部屋なので、勉学に集中できるよう、デスクは部屋の真ん中に配置。
左の写真を見ると、ボックス右側に設置されたクローゼットの仕組みがわかる。
空間をさらに有効活用するため、ボックスに囲まれた空間の向かい側にある壁は、多機能ゾーンとして設計。鏡、スケジュールボードとビデオプロジェクター用スクリーンを設置し、スライド式パネルによって入れ替えられるようになっている。
無駄のないデザインで空間を広く使い、部屋のカラーをウッドとアーモンドグリーンで明るく統一して、自然を感じられる空間に。さまざまな機能をぎゅっと詰め込んだ空間とゆったりとした空間を同居させることで、部屋全体に緩急のリズムを生み出した。
空間をさらに有効活用するため、ボックスに囲まれた空間の向かい側にある壁は、多機能ゾーンとして設計。鏡、スケジュールボードとビデオプロジェクター用スクリーンを設置し、スライド式パネルによって入れ替えられるようになっている。
無駄のないデザインで空間を広く使い、部屋のカラーをウッドとアーモンドグリーンで明るく統一して、自然を感じられる空間に。さまざまな機能をぎゅっと詰め込んだ空間とゆったりとした空間を同居させることで、部屋全体に緩急のリズムを生み出した。
4. 1台5役の家具を使う
多機能家具に魅せられ、狭小スペース活用を専門にしているインテリアデザイナー、ジェラルディン・ラフェルテさん。彼女が手がけたのが、女子学生が暮らす、パリ18区のワンルームのリノベーションだ。
スペースを増やすアイデアは?
組み合わせ自在の折りたたみ式家具で空間を最大限に活用。
多機能家具に魅せられ、狭小スペース活用を専門にしているインテリアデザイナー、ジェラルディン・ラフェルテさん。彼女が手がけたのが、女子学生が暮らす、パリ18区のワンルームのリノベーションだ。
スペースを増やすアイデアは?
組み合わせ自在の折りたたみ式家具で空間を最大限に活用。
建物が老朽化していたため、調査に2カ月、工事に3カ月をかけたとのこと。空間が狭くなるほど設計や作業が複雑になるため、狭小物件は広い物件以上にリノベーションの手間と時間がかかるものなのだ。
2.5×3.5メートル(8.75平方メートル)の空間をゆったりと使える秘密は、こちらの家具。ソファ、ベッド、デスク、本棚に収納という5つの機能を集約した、まるで魔法のような1台5役のモジュール家具なのだ。
1つ前の写真は「14人のゲストをもてなす」場合の使い方。ベンチは二重構造になっていて、下部からローテーブルと光沢のあるスツール2脚を引っ張りだしてセッティング。
壁収納式のライティングデスクを開けば、書斎に早変わり(上の写真)。オーク材の美しい壁の後ろには、たくさんの収納が仕込まれている。
2.5×3.5メートル(8.75平方メートル)の空間をゆったりと使える秘密は、こちらの家具。ソファ、ベッド、デスク、本棚に収納という5つの機能を集約した、まるで魔法のような1台5役のモジュール家具なのだ。
1つ前の写真は「14人のゲストをもてなす」場合の使い方。ベンチは二重構造になっていて、下部からローテーブルと光沢のあるスツール2脚を引っ張りだしてセッティング。
壁収納式のライティングデスクを開けば、書斎に早変わり(上の写真)。オーク材の美しい壁の後ろには、たくさんの収納が仕込まれている。
建築家が苦労したのは、ベッドの設計。天井高が足りず、ロフトをつくれなかったので、昼間は天井に近い高い位置に「収納」できるベッドをオーダーメードで制作した。「登り降りするときにも荷重がかかるので、設計が本当に大変でした。空気圧シリンダを採用し、ベッドがゆっくり下がってくるようなブレーキを作り、ベッドを支える革ベルドも取り付けました」
空間をすみずみまで活用する工夫はほかにもたくさん。例えばベッドサイドテーブルはヘッドボードの位置にある凹みを活用。テレビは折りたたみ式アームで高い位置に取り付けてベッドから見られるようにした。はしごを収納する細い戸棚や布団と枕を収納するスペースなどもあらかじめ設置したおかげで、物をあるべき場所に収納し、いつも部屋をすっきりときれいに使うことができるようになっている。
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空間をすみずみまで活用する工夫はほかにもたくさん。例えばベッドサイドテーブルはヘッドボードの位置にある凹みを活用。テレビは折りたたみ式アームで高い位置に取り付けてベッドから見られるようにした。はしごを収納する細い戸棚や布団と枕を収納するスペースなどもあらかじめ設置したおかげで、物をあるべき場所に収納し、いつも部屋をすっきりときれいに使うことができるようになっている。
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