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2021年秋、欧州インテリア見本市にみるデザイントレンド
オフラインでの見本市が再開される中、この秋ヨーロッパで注目のデザイントレンドをご紹介します。
Julia Bolotina
2021年11月18日
今シーズンの見本市に共通する最もエキサイティングなトレンドは、対面での展示会の開催そのものといえるでしょう。ヨーロッパを代表する見本市の多くが1年半ぶりに会場で開催されることとなり、専門家やデザイン愛好家からの大きな期待が感じられました。
メゾン・エ・オブジェの「What’s New」エリアの彫刻的な展示。テーマは「シェア(Share)」。 写真:Aethion
もちろん、パンデミックがもたらした大きな影響は引き続き感じられます。まず、今年の展示会は、今までとは一味違いました。例えば、ミラノサローネの主催者は、感染対策をクリエイティブな機会として捉え、今回はすべての出展者に均等に展示スペースを割り当てることで、密を避けるための動線を配慮すると同時に、出展者にとって対等の場を設けました。有名ブランドも小さなスタジオも、目立つための工夫が等しく求められたのです。これを機に、フェアの名称をスーパーサローネに変更し、ミラノで9月5日から10日にかけて新たなスタートを切りました。
今年のヨーロッパの展示会での主要なトレンドは、コロナ禍から導かれた2つの衝動に起因しているといえます。1つは(環境)危機に対する非常に強い意識、もう1つは住まいの快適さに対する新たな関心です。
もちろん、パンデミックがもたらした大きな影響は引き続き感じられます。まず、今年の展示会は、今までとは一味違いました。例えば、ミラノサローネの主催者は、感染対策をクリエイティブな機会として捉え、今回はすべての出展者に均等に展示スペースを割り当てることで、密を避けるための動線を配慮すると同時に、出展者にとって対等の場を設けました。有名ブランドも小さなスタジオも、目立つための工夫が等しく求められたのです。これを機に、フェアの名称をスーパーサローネに変更し、ミラノで9月5日から10日にかけて新たなスタートを切りました。
今年のヨーロッパの展示会での主要なトレンドは、コロナ禍から導かれた2つの衝動に起因しているといえます。1つは(環境)危機に対する非常に強い意識、もう1つは住まいの快適さに対する新たな関心です。
多面的な持続可能性
ヨーロッパの展示会で最も強いテーマとなったのが、サステナビリティです。各ブランドによる持続可能性の議論では「グリーンウォッシュ」への懸念が常に存在しているものの、持続可能性というトピックが非常に多くの観点から検討されるという変化を目の当たりにすることができました。
リサイクル。再生素材や再生可能素材を利用して作られた製品も展示されました。写真はメゾン・エ・オブジェ(9月9日〜13日にパリで開催)で展示されたZuiver社の Oceanチェアの試作品です。100%再生可能なメタルフレームと、再生された海のプラスチックごみが使用されています。
スーパーサローネでは、再生素材や、持続可能な素材が数多く紹介されました。また、主催者によると、見本市自体もサステナブルであるように企画されたといいます。展示ブースは100%再生木材で作られており、展示終了後この木材を生産サイクルに返すことで、553,500キログラム以上のCO2の排出を防ぐことができます。
ヨーロッパの展示会で最も強いテーマとなったのが、サステナビリティです。各ブランドによる持続可能性の議論では「グリーンウォッシュ」への懸念が常に存在しているものの、持続可能性というトピックが非常に多くの観点から検討されるという変化を目の当たりにすることができました。
リサイクル。再生素材や再生可能素材を利用して作られた製品も展示されました。写真はメゾン・エ・オブジェ(9月9日〜13日にパリで開催)で展示されたZuiver社の Oceanチェアの試作品です。100%再生可能なメタルフレームと、再生された海のプラスチックごみが使用されています。
スーパーサローネでは、再生素材や、持続可能な素材が数多く紹介されました。また、主催者によると、見本市自体もサステナブルであるように企画されたといいます。展示ブースは100%再生木材で作られており、展示終了後この木材を生産サイクルに返すことで、553,500キログラム以上のCO2の排出を防ぐことができます。
麻の繊維は、将来的に持続可能性の高い素材となる可能性が示唆されています。写真:Spott for Heimtextil
サーキュラリティ―(循環性)。数年前はまだ急進的であった「サーキュラリティ(循環性)」という考え方が、今年はヨーロッパ中の見本市で取り上げられました。
来年開催予定のハイムテキスタイル(2022年1月11日〜14日にフランクフルトで開催予定)のオンライントレンドプレビューでは、イギリスのクリエイティブスタジオ、Franklin Till社のキャロライン・ティル氏 が、生産工程で廃棄物を出さないための2つのアプローチを紹介しました。それは、「自然由来の素材を生物学的なサイクルの中にとどめ腐蝕させる」あるいは「技術的なサイクルの中に完全にとどめることができる合成素材のみを利用して、無限のループを実現する」というものです。
ロンドン・デザイン・フェスティバル(9月18日〜26日にロンドンで開催)では、サーキュラリティをテーマにしたパネルディスカッションが行われたほか、デンマークの家具デザイナー12名による展示「サーキュラリティのためのデザイン(Designing for Circularity)」が開かれ、素材を使い続けるためのアプローチが紹介されました。
3デイズ・オブ・デザイン(9月16日〜18日にコペンハーゲンで開催)では、Bang & Olufsen社が1970年代のターンテーブルをアップグレードするキットを展示し、製品の寿命を延ばすことを提案しました。また、家具メーカーのSkagerak社 は、製品を買い取り、修復して再販する「古典の再生(Re-Classic) 」という取り組みを続けています。Skagerak社のCEOであるイェスパー・パンドゥロ氏は「パンデミックの期間全体を通じて、私たちはこのような『かつて愛されたアイテム』の需要の大幅な伸びを目の当たりにしたのです」と話しています。
サーキュラリティ―(循環性)。数年前はまだ急進的であった「サーキュラリティ(循環性)」という考え方が、今年はヨーロッパ中の見本市で取り上げられました。
来年開催予定のハイムテキスタイル(2022年1月11日〜14日にフランクフルトで開催予定)のオンライントレンドプレビューでは、イギリスのクリエイティブスタジオ、Franklin Till社のキャロライン・ティル氏 が、生産工程で廃棄物を出さないための2つのアプローチを紹介しました。それは、「自然由来の素材を生物学的なサイクルの中にとどめ腐蝕させる」あるいは「技術的なサイクルの中に完全にとどめることができる合成素材のみを利用して、無限のループを実現する」というものです。
ロンドン・デザイン・フェスティバル(9月18日〜26日にロンドンで開催)では、サーキュラリティをテーマにしたパネルディスカッションが行われたほか、デンマークの家具デザイナー12名による展示「サーキュラリティのためのデザイン(Designing for Circularity)」が開かれ、素材を使い続けるためのアプローチが紹介されました。
3デイズ・オブ・デザイン(9月16日〜18日にコペンハーゲンで開催)では、Bang & Olufsen社が1970年代のターンテーブルをアップグレードするキットを展示し、製品の寿命を延ばすことを提案しました。また、家具メーカーのSkagerak社 は、製品を買い取り、修復して再販する「古典の再生(Re-Classic) 」という取り組みを続けています。Skagerak社のCEOであるイェスパー・パンドゥロ氏は「パンデミックの期間全体を通じて、私たちはこのような『かつて愛されたアイテム』の需要の大幅な伸びを目の当たりにしたのです」と話しています。
照明器具メーカーのPooky社は、Athenaシャンデリアの新バージョンをデコレックスで展示しました。
持続的な古典製品に賭ける。 その逆の動きとして見られるのが、長持ちする新製品を作り出すことへの関心です。「何もかもが非常に短期的になってしまう数年間を私たちは過ごしました」とデコレックス(10月10日〜13日にロンドンで開催)において語ったのはHelen Green Design Studioのアレクサンドラ・ユルキェビッチ氏です。「人々は今、家族とともにある、あるいは家が売られた時にも存在し続けるようなものに喜んで投資します」
こうした考え方は、特にKarl Hansen & Son社やFritz Hansen社といったデンマークの製造会社では、長年にわたって社風となってきました。彼らによると、現在デンマーク国内外の住宅向け販売が爆発的に伸びているといいます。
持続的な古典製品に賭ける。 その逆の動きとして見られるのが、長持ちする新製品を作り出すことへの関心です。「何もかもが非常に短期的になってしまう数年間を私たちは過ごしました」とデコレックス(10月10日〜13日にロンドンで開催)において語ったのはHelen Green Design Studioのアレクサンドラ・ユルキェビッチ氏です。「人々は今、家族とともにある、あるいは家が売られた時にも存在し続けるようなものに喜んで投資します」
こうした考え方は、特にKarl Hansen & Son社やFritz Hansen社といったデンマークの製造会社では、長年にわたって社風となってきました。彼らによると、現在デンマーク国内外の住宅向け販売が爆発的に伸びているといいます。
3 デイズ・オブ・デザインにおけるRoyal Copenhagen社の展示。
新世代のためのヴィンテージやアンティーク、そしてオークション。当然のことながら、今年の3デイズ・オブ・デザインでは、ヴィンテージやアンティークのアイテムが人気を集めていました。新世代の消費者が、サステナビリティの観点からアンティークやオークションをどのように捉えているのかに焦点が当てられました。
デンマークのオークション会社であるLauritz.comのCEOメッテ・ローデ・スンドストロム氏は次のように考えます。「これまで、人々がオークションで物を購入するのは、古くなった物が持つ美しさや歴史的背景、もしくは品質の高さが最大の理由でした。しかし今、私たちは、入札する主な理由として持続可能性を挙げる、全く新しい世代の顧客を目にするようになりました」
新世代のためのヴィンテージやアンティーク、そしてオークション。当然のことながら、今年の3デイズ・オブ・デザインでは、ヴィンテージやアンティークのアイテムが人気を集めていました。新世代の消費者が、サステナビリティの観点からアンティークやオークションをどのように捉えているのかに焦点が当てられました。
デンマークのオークション会社であるLauritz.comのCEOメッテ・ローデ・スンドストロム氏は次のように考えます。「これまで、人々がオークションで物を購入するのは、古くなった物が持つ美しさや歴史的背景、もしくは品質の高さが最大の理由でした。しかし今、私たちは、入札する主な理由として持続可能性を挙げる、全く新しい世代の顧客を目にするようになりました」
手工芸や技術に当てられるスポットライト
展示会において強調されていたのは、技術や知識、手工芸のオブジェクトとしての側面だけではありません。小規模生産や、ローカルで追跡可能な製造やサプライチェーンを象徴することから、伝統的な技術がサステナブルな資源として挙げられました。
トレンド予測を専門とするヴァンサン・グレゴワール氏は、原産地表示や追跡可能性、地産地消の保護といったメゾン・エ・オブジェのサステナブルな取り組みは、「食の世界からデザインへと波及した」ものであると話します。
「私たちは革命の時代にいます」とデンマークのSpott Trends & Business社のアーニャ・ビスガード・ゲーデ氏は言います。「私たちは現在も大量生産をおこなってはいますが、より持続可能な方法にシフトしていかなければなりません。サステナブルな生産への働きかけを続けるとともに、その方法についてのアイデアを皆さんに提供していきたいと考えています」
展示会において強調されていたのは、技術や知識、手工芸のオブジェクトとしての側面だけではありません。小規模生産や、ローカルで追跡可能な製造やサプライチェーンを象徴することから、伝統的な技術がサステナブルな資源として挙げられました。
トレンド予測を専門とするヴァンサン・グレゴワール氏は、原産地表示や追跡可能性、地産地消の保護といったメゾン・エ・オブジェのサステナブルな取り組みは、「食の世界からデザインへと波及した」ものであると話します。
「私たちは革命の時代にいます」とデンマークのSpott Trends & Business社のアーニャ・ビスガード・ゲーデ氏は言います。「私たちは現在も大量生産をおこなってはいますが、より持続可能な方法にシフトしていかなければなりません。サステナブルな生産への働きかけを続けるとともに、その方法についてのアイデアを皆さんに提供していきたいと考えています」
このトレンドは、上の写真のAudrey Jezic Céramiques社によるシャモットストーンウェア花瓶Les Inséparablesのような、王道から外れたユニークで巧みな作りの製品に反映されています。
メゾン・エ・オブジェでは、刺繍やマクラメの復活、写真のMaxime Perrolleの彫刻に見られるような、木を使った新しく繊細な手法、そして特に若いデザイナーによる、芸術にインスピレーションを受けた製品が登場しました。メゾン・エ・オブジェのテーマ別エリアのキュレーターで
あるエリザベス・ルリッシュ氏は、スプラッター(飛び散り)やドリッピング(滴り)のテクニック、フリーフォーム(自由形状)など、20世紀の芸術的潮流を彷彿とさせるモチーフが多いことを指摘しています。
デコレックスでは、伝統的な手法が新しい使われ方をしているのが見受けられました。例えば、Annika Reedは、伝統的な木版画を使った壁紙を展示しました。
メゾン・エ・オブジェでは、刺繍やマクラメの復活、写真のMaxime Perrolleの彫刻に見られるような、木を使った新しく繊細な手法、そして特に若いデザイナーによる、芸術にインスピレーションを受けた製品が登場しました。メゾン・エ・オブジェのテーマ別エリアのキュレーターで
あるエリザベス・ルリッシュ氏は、スプラッター(飛び散り)やドリッピング(滴り)のテクニック、フリーフォーム(自由形状)など、20世紀の芸術的潮流を彷彿とさせるモチーフが多いことを指摘しています。
デコレックスでは、伝統的な手法が新しい使われ方をしているのが見受けられました。例えば、Annika Reedは、伝統的な木版画を使った壁紙を展示しました。
Sedilia社のRoll Topソファ。
住まいの心地よさ、一体感
3デイズ・オブ・デザインでは、家庭での「儀式」、特に食事を再評価するムーブメントの一部として、伝統的な技術が取り上げられました。人々を集める場としての食事を強調するディナーウェアコレクションも多数見られました。
メゾン・エ・オブジェでも同様に、家にいることの楽しさに焦点が当てられました。「家にいると気持ちが落ち着きます。パンデミックの前から盛り上がっていた 『家にいること(To be home)』というテーマは、私たちの生活と完全に共鳴しています。私たちは人の内面に対する関心や、住まいというものの多孔性について提示したかったのです。それは革命的と言えるものではありませんが、私たちはこういった物たちを新しい視点で見ようとしているのです」とルリッシュ氏は言います。
住まいの心地よさ、一体感
3デイズ・オブ・デザインでは、家庭での「儀式」、特に食事を再評価するムーブメントの一部として、伝統的な技術が取り上げられました。人々を集める場としての食事を強調するディナーウェアコレクションも多数見られました。
メゾン・エ・オブジェでも同様に、家にいることの楽しさに焦点が当てられました。「家にいると気持ちが落ち着きます。パンデミックの前から盛り上がっていた 『家にいること(To be home)』というテーマは、私たちの生活と完全に共鳴しています。私たちは人の内面に対する関心や、住まいというものの多孔性について提示したかったのです。それは革命的と言えるものではありませんが、私たちはこういった物たちを新しい視点で見ようとしているのです」とルリッシュ氏は言います。
ロンドン・デザイン・フェスティバルやデコレックスでは、このトレンドを反映して、Sedilia社によるRoll Topソファ(1つ前の写真)や、ロック・ガルピンが「育む」という考え方にインスピレーションを受けてデザインしたMorgan Furniture社のLuganoコレクション(次の写真)のような、柔らかく曲線を帯びた、非常に居心地の良い家具が登場しました。
ロンドン・デザイン・フェスティバルのもうひとつのハイライトが、イルゼ・クロフォードとオスカー・ペーニャがSCP社のためにデザインしたBrunoアームチェア(写真)に見られるような、人間を中心に据えたデザインでした。ブルーノ・ムナーリによる1944年のエッセイ『不快な椅子に快適さを追い求める(Seeking Comfort in an Uncomfortable Chair)』にインスピレーションを受けたこの椅子は、ユーザーが低い方の肘掛けに気兼ねなく足を置き、より快適で自然な位置に座ることができるようになっています。
ロンドン・デザイン・フェスティバルのもうひとつのハイライトが、イルゼ・クロフォードとオスカー・ペーニャがSCP社のためにデザインしたBrunoアームチェア(写真)に見られるような、人間を中心に据えたデザインでした。ブルーノ・ムナーリによる1944年のエッセイ『不快な椅子に快適さを追い求める(Seeking Comfort in an Uncomfortable Chair)』にインスピレーションを受けたこの椅子は、ユーザーが低い方の肘掛けに気兼ねなく足を置き、より快適で自然な位置に座ることができるようになっています。
リラクゼーションを目指したもの。住まいでくつろぐための製品も見られました。スーパーサローネで披露されたStarpool社のWellness カウチ(写真)には、マインドフルネスのプログラムと、音楽や自然の音からなる音源が内蔵されています。同様に、ジャクージもジェットバス機能に加えて色彩療法やソルトバス用の塩の注入機能を一体化したものが出品されていました。
チェルサイエでは、モーションセンサー上にLEDを備え、照明の色温度が時間によって調整される鏡が展示されていました。
チェルサイエでは、モーションセンサー上にLEDを備え、照明の色温度が時間によって調整される鏡が展示されていました。
手触りの体験。 その他に目についたのは、触感の強調と、五感に訴えかけるというテーマです。「パンデミックは私たちが持っていた基準の数々を喪失させました。そして味覚や嗅覚だけでなく、視覚や触覚といった私たちの五感を強調させることとなったのです」とグレゴワール氏は話します。この点は、チェルサイエ国際見本市で見られたテクスチャのあるタイルや、デコレックスに出品されたハリエット・キャスリンのセラミック(写真)に反映されていました。
「私がデザインしたマグカップを誰かが使った時に、その人たちの手の中にいかに快適にマグカップが収まっているか、そして独特の起伏のあるデザインに施したサテン仕上げの釉薬がどのように手に感じられるかを想像することが大好きなのです」とキャスリンは彼女のウェブサイト上で述べています。
「私がデザインしたマグカップを誰かが使った時に、その人たちの手の中にいかに快適にマグカップが収まっているか、そして独特の起伏のあるデザインに施したサテン仕上げの釉薬がどのように手に感じられるかを想像することが大好きなのです」とキャスリンは彼女のウェブサイト上で述べています。
Ceramiche Gardenia Orchidea社によるイギリス風模様の内装壁タイルGioia(パターン:Brit)
引き続き人気のバイオフィリア。バイオフィリアは住まいにおけるウェルビーイングと強く関係していて、そのトレンドは今も続いています。チェルサイエでは、タイルに描かれた植物のパターン(写真)、デコレックスでは、Timorous Beasties社の壁紙やファブリックの新しいラインをはじめ、自然にインスパイアされたオーガニックなデザインが多く見られました。
引き続き人気のバイオフィリア。バイオフィリアは住まいにおけるウェルビーイングと強く関係していて、そのトレンドは今も続いています。チェルサイエでは、タイルに描かれた植物のパターン(写真)、デコレックスでは、Timorous Beasties社の壁紙やファブリックの新しいラインをはじめ、自然にインスパイアされたオーガニックなデザインが多く見られました。
スーパーサローネでは、ステファノ・ボエリ・アーキテッティがAran Cucine社のために製作した一体型キッチンOasi(写真)をはじめ、植物が組み込まれた家具が見られました。また、会場周辺には200本の木が植えられ、見本市全体の構造にもバイオフィリアが織り込まれています。展示会終了後、都市緑化プロジェクト「フォレスタミ」の一環として、木はミラノ北公園に植え替えられます。
メゾン・エ・オブジェにおけるPuik社のブース。 写真:Aethion
未来に戻ってきたカラー
確かなことは、カラーが大きくリバイバルを遂げたということです。今年のカラーへの注目は、3つの明確なトレンドに分けられます。
大胆なブロッキング。一時代前のロマンやノスタルジーを微かに感じさせる大胆な色使いが特徴です。80年代や90年代を彷彿させる、対照的な色調のカラーブロッキング。70年代の象徴的なバーントオレンジ、ブラウン、モスグリーンも含まれ、クラインブルーも復活しています。
対照的であったのが、このトレンドを未来的に解釈したハイムテキスタイルのプレビューです。バーチャル世界での消費の人気上昇に伴い、鮮やかな紫や不自然なネオングリーンが使われていました。
未来に戻ってきたカラー
確かなことは、カラーが大きくリバイバルを遂げたということです。今年のカラーへの注目は、3つの明確なトレンドに分けられます。
大胆なブロッキング。一時代前のロマンやノスタルジーを微かに感じさせる大胆な色使いが特徴です。80年代や90年代を彷彿させる、対照的な色調のカラーブロッキング。70年代の象徴的なバーントオレンジ、ブラウン、モスグリーンも含まれ、クラインブルーも復活しています。
対照的であったのが、このトレンドを未来的に解釈したハイムテキスタイルのプレビューです。バーチャル世界での消費の人気上昇に伴い、鮮やかな紫や不自然なネオングリーンが使われていました。
Lelièvre Paris社のMaison Leleu復刻コレクションの壁紙。
スーパーサローネでは、コントラストの強いパレットに、よりダークでムーディーな青も見られました。
「今は、デザインにとってエキサイティングで多様性に満ちた時代です。ルールはありません。クライアントはもっと大胆なデザインを求めています」(Sims Hilditch社のルイーズ・ウィックスティード氏)
スーパーサローネでは、コントラストの強いパレットに、よりダークでムーディーな青も見られました。
「今は、デザインにとってエキサイティングで多様性に満ちた時代です。ルールはありません。クライアントはもっと大胆なデザインを求めています」(Sims Hilditch社のルイーズ・ウィックスティード氏)
Magis社のためにステファン・ディーツがデザインしたCostumeソファ。
パワフルなパステルカラー。ハイムテキスタイルのプレビューでは、ピスタチオ、ピーチ、ダスティスカイブルーなどのカラーが、一見逆説的な「パワフルなパステルカラー」と呼ばれ、話題になりました。サローネやメゾン・エ・オブジェでも同じようなトレンドが見られました。
パワフルなパステルカラー。ハイムテキスタイルのプレビューでは、ピスタチオ、ピーチ、ダスティスカイブルーなどのカラーが、一見逆説的な「パワフルなパステルカラー」と呼ばれ、話題になりました。サローネやメゾン・エ・オブジェでも同じようなトレンドが見られました。
Ethimo社のためにイタリア出身のデザイナーデュオのザネラート/ボルトットがデザインしたRotinコレクション。
秋のブーケ。最後のハイライトは、アーストーン。ハイムテキスタイルのトレンドプレビューで注目されたカーキやブラウンや、Houzz Franceの編集者クレア・ターディ(Claire Tardy)が「秋のブーケ」と呼んだテラコッタ、バーントオレンジ、大胆なイエロー、モスグリーンなどが注目されました。
ハイムテキスタイルのプレビューでは、無染色の生地に見られるカーキ色や自然なニュートラルカラーが強調されていました。
秋のブーケ。最後のハイライトは、アーストーン。ハイムテキスタイルのトレンドプレビューで注目されたカーキやブラウンや、Houzz Franceの編集者クレア・ターディ(Claire Tardy)が「秋のブーケ」と呼んだテラコッタ、バーントオレンジ、大胆なイエロー、モスグリーンなどが注目されました。
ハイムテキスタイルのプレビューでは、無染色の生地に見られるカーキ色や自然なニュートラルカラーが強調されていました。
チェルサイエで展示された、エンリコ・チェザーナがArdeco社のためにデザインしたVintage Collection(カラー:matt mustard、シルクスクリーン:Penta、アンスラサイト)
バスルームにもカラーを
バスルームに色を取り入れるトレンドは数年前から目にしてきましたが、今年はその人気に火がつきました。チェルサイエとロンドン・デザイン・フェスティバルの両方で、バスルームはカラフルな空間に生まれ変わり、洗面台もありきたりな白から鮮やかなトーンに染められました。
ロンドン・デザイン・フェスティバルでは、暖色系の色が強調され、チェルサイエでは、カラートレンドの多くがタイルや備品に反映されていました。
バスルームにもカラーを
バスルームに色を取り入れるトレンドは数年前から目にしてきましたが、今年はその人気に火がつきました。チェルサイエとロンドン・デザイン・フェスティバルの両方で、バスルームはカラフルな空間に生まれ変わり、洗面台もありきたりな白から鮮やかなトーンに染められました。
ロンドン・デザイン・フェスティバルでは、暖色系の色が強調され、チェルサイエでは、カラートレンドの多くがタイルや備品に反映されていました。
チェルサイエに出展された、Cordivari Design社のためにマルコ・ピサッティがデザインしたTessutoラジエーター。
今秋、ヨーロッパで開催されたさまざまな見本市で注目されたトレンドをまとめてみました。各見本市の詳しいレポートをご覧になりたい方は、こちらも合わせてどうぞ!
見本市の詳しいレポートを読む
・チェルサイエ
・スーパーサローネ(ミラノサローネ特別展)
・メゾン・エ・オブジェ
・ロンドン・デザイン・フェスティバル
・3デイズ・オブ・デザイン
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