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心地よい暮らしを探求する7つのトレンド【ロンドン・デザイン・フェスティバル2021】
今年のイベントでは、柔らかな質感、丸みのある家具、植物など、暮らしを心地よく豊かにするためのアイデアが注目を集めました。
Amanda Pollard
2021年10月21日
昨年は規模を縮小していたロンドン・デザイン・フェスティバルが、以前の活気を取り戻して帰ってきました(9月18日から26日まで開催)。ここ1年の間、デザイナーたちが注目してきたテーマと、それらに影響を受けている製品には、どんな傾向が見られるのでしょうか?7つのトレンドを見ていきましょう。
くつろぎの空間を育む
今年のフェスティバルで共通してみられたキーワードは「快適性」でした。椅子の場合でいうと、できる限りのくつろぎを与えることが重視されていました。
ロック・ガルピンがMorgan社のためにデザインしたLuganoコレクション(写真)は、「育む」というアイデアに着想を得たものです。その狙いについて、「包み込まれること、温かさを感じること、集中力と活力を与えらえること、そして最終的には自由に自己表現できること」であると彼は話します。
今年のフェスティバルで共通してみられたキーワードは「快適性」でした。椅子の場合でいうと、できる限りのくつろぎを与えることが重視されていました。
ロック・ガルピンがMorgan社のためにデザインしたLuganoコレクション(写真)は、「育む」というアイデアに着想を得たものです。その狙いについて、「包み込まれること、温かさを感じること、集中力と活力を与えらえること、そして最終的には自由に自己表現できること」であると彼は話します。
ソファの方はというと、柔らかく丸みのある快適なものが多く見られました。アーロン・プロビンがAnother Country社のためにデザインしたSlowソファ(写真)は、限られた空間でもくつろげる、柔らかな場所を作りだします。
「座面はその場にぴったりはまりますが、ソファ自体はもっと大きく奥行きがあるため、快適性や大きさを妥協する必要はないのです」と彼は言います。
「座面はその場にぴったりはまりますが、ソファ自体はもっと大きく奥行きがあるため、快適性や大きさを妥協する必要はないのです」と彼は言います。
人間中心のデザイン
人間とデザインの関わり方に対する意識は、現在のカジュアルな住まいの使い方を考慮した家具など、展示会から明らかに見てとることができました。
レナータ・アミニアンのCanopyコレクションの一部では、堅苦しくない印象のダイニングエリアが展示されました。彼女の6人掛けダイニングテーブル(写真)は、住まいの団らんの場に子どもたちを受け入れることを意図した、彼女の得意とするデザインの一つです。天板の表面は機能的でありながら、テーブルの下は子どもたちの遊び場になっています。
人間とデザインの関わり方に対する意識は、現在のカジュアルな住まいの使い方を考慮した家具など、展示会から明らかに見てとることができました。
レナータ・アミニアンのCanopyコレクションの一部では、堅苦しくない印象のダイニングエリアが展示されました。彼女の6人掛けダイニングテーブル(写真)は、住まいの団らんの場に子どもたちを受け入れることを意図した、彼女の得意とするデザインの一つです。天板の表面は機能的でありながら、テーブルの下は子どもたちの遊び場になっています。
イルゼ・クロフォードとオスカー・ペーニャがSCP社のためにデザインしたBrunoアームチェア(写真)などのアイテムから、姿勢を正して座ることからかけ離れていることが分かります。
この椅子はブルーノ・ムナーリの1944年のエッセイ「すわり心地の悪い椅子に、いかに快適に座るか追求する」に影響を受けて、片方のアームレストが低くデザインされ、利用者が気軽に脚や膝を掛けられるようになっています。
この椅子はブルーノ・ムナーリの1944年のエッセイ「すわり心地の悪い椅子に、いかに快適に座るか追求する」に影響を受けて、片方のアームレストが低くデザインされ、利用者が気軽に脚や膝を掛けられるようになっています。
植物を取り入れる
フォートナム・アンド・メイソンで注目を集めたフランス人建築家、アーサー・マモウ・マニによるインスタレーション「Mellifera: The Dancing Bee Hives(メリフェラ:踊るハチの巣)」や、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)で披露された日本人建築家、藤本壮介による圧巻のインスタレーション「Medusa(メデューサ)」など、自然からインスパイアされたデザインは展示会で多く見られ、現代の暮らしの中での自然の役割に目を向けることを促しています。
キングス・クロス駅で行われた「Planted Unplugged(プランテッド・アンプラグド)」では如何に都市が自然と再びつながることができるかに着目したトークセッションを3日間に渡って開催しました。
植物に関連するデザインが多く展示される中、注目すべきは、観葉植物のトレンドが衰える気配が全くないことです。スコットランドの照明デザインプロジェクトUrpflanzeは、モンステラを模したシャンデリア(写真)など遊び心たっぷりのボタニカル・デザインを住まいに取り入れています。この照明はLocal Heroesがキュレーションをおこなった「Future of Home(住まいの未来)」の中に展示されています。
フォートナム・アンド・メイソンで注目を集めたフランス人建築家、アーサー・マモウ・マニによるインスタレーション「Mellifera: The Dancing Bee Hives(メリフェラ:踊るハチの巣)」や、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)で披露された日本人建築家、藤本壮介による圧巻のインスタレーション「Medusa(メデューサ)」など、自然からインスパイアされたデザインは展示会で多く見られ、現代の暮らしの中での自然の役割に目を向けることを促しています。
キングス・クロス駅で行われた「Planted Unplugged(プランテッド・アンプラグド)」では如何に都市が自然と再びつながることができるかに着目したトークセッションを3日間に渡って開催しました。
植物に関連するデザインが多く展示される中、注目すべきは、観葉植物のトレンドが衰える気配が全くないことです。スコットランドの照明デザインプロジェクトUrpflanzeは、モンステラを模したシャンデリア(写真)など遊び心たっぷりのボタニカル・デザインを住まいに取り入れています。この照明はLocal Heroesがキュレーションをおこなった「Future of Home(住まいの未来)」の中に展示されています。
多目的なインテリア
自宅でプライベート、仕事、学び、運動をする機会が増えたこの一年で我々に必要となったものを一つ挙げるとしたら、それはマルチタスクを叶えるインテリアでしょう。デザイナーたちは、ニーズに合った製品を制作することでこの変化に応えました。
例えば、TAKTによるThe Cross Table 120(写真)は、日中は机として、夜にはダイニングテーブルとして使える「カメレオン的な家具」として設計されました。
自宅でプライベート、仕事、学び、運動をする機会が増えたこの一年で我々に必要となったものを一つ挙げるとしたら、それはマルチタスクを叶えるインテリアでしょう。デザイナーたちは、ニーズに合った製品を制作することでこの変化に応えました。
例えば、TAKTによるThe Cross Table 120(写真)は、日中は机として、夜にはダイニングテーブルとして使える「カメレオン的な家具」として設計されました。
在宅ワークをする人たちは、快適で見た目も良いデスクチェアを見つけるのに苦労しています。
デザイン・ロンドン(Design London)のIcons of Denmark社のブースに展示されたHans Thyge & CoによるCrossoverコレクションはその難問に挑んだものです。人間工学に基づいて繊細に設計された椅子は住まいのインテリアデザインと美しく調和するでしょう。
今回、展示されたマルチタスクに関連するデザインのひとつに、独創的なLoftRobeがあります。この製品はリモコン操作で昇降できるプラットホームで、収納棚やテレビ台、机などとして機能し、天井内に収納することができます。
デザイン・ロンドン(Design London)のIcons of Denmark社のブースに展示されたHans Thyge & CoによるCrossoverコレクションはその難問に挑んだものです。人間工学に基づいて繊細に設計された椅子は住まいのインテリアデザインと美しく調和するでしょう。
今回、展示されたマルチタスクに関連するデザインのひとつに、独創的なLoftRobeがあります。この製品はリモコン操作で昇降できるプラットホームで、収納棚やテレビ台、机などとして機能し、天井内に収納することができます。
暖色系のカラー
寒色系のグレーやブルーに代わって、より暖かみのあるカラーパレットが住まいで人気を集めています。例えばArtifort社のブースでは、さまざまな緑の色合いがコーラルやティールなどの鮮やかなアースカラーで補完されています。
寒色系のグレーやブルーに代わって、より暖かみのあるカラーパレットが住まいで人気を集めています。例えばArtifort社のブースでは、さまざまな緑の色合いがコーラルやティールなどの鮮やかなアースカラーで補完されています。
バスルームにも暖色が取り入れられています。例えばIdeal Standard社は新コレクションAtelierの中でIpalyssという洗面器を発表しました。この洗面器は、淡い漆喰色から写真の濃厚なザクロ色まで幅広いカラーラインナップから選ぶことができます。
柔らかな質感
これらの暖かい色合いとともに、質感のある表面、張地やテキスタイルも注目を浴びています。そこには天然の生地や石肌の表面、柔らかくてサステナブルなコルクの座面、暖かなブークレの張地を施した家具などがありました。
展示会では特に織物の人気が高く、アレクサンダー・ローズが座面に使用した特大の織物がひときわ目を引いていました。「Woven Form(織りの形状)」展では、織物自体が美しい芸術作品として展示されていました(写真)。
これらの暖かい色合いとともに、質感のある表面、張地やテキスタイルも注目を浴びています。そこには天然の生地や石肌の表面、柔らかくてサステナブルなコルクの座面、暖かなブークレの張地を施した家具などがありました。
展示会では特に織物の人気が高く、アレクサンダー・ローズが座面に使用した特大の織物がひときわ目を引いていました。「Woven Form(織りの形状)」展では、織物自体が美しい芸術作品として展示されていました(写真)。
サーキュラーデザイン
サステナビリティは展示会の主要なトピックであり、特に製品のライフサイクルの終わりに如何に廃棄物や無駄を避けるかという問いが注目されました。「The Circular Design Project(サーキュラーデザインプロジェクト)」は、「Global Design Forum(グローバル・デザイン・フォーラム)」でこのトピックに関するトークセッションシリーズを開催し、イベントを通して数々の革新的なサーキュラーデザインを事例が展示されました。
イギリスのブランドDeadgood Studioは、で新しい製品Sprungを展示会で発表しました。この座り心地の非常に良い椅子はリサイクル素材から作られ、椅子のライフサイクルの終わりには解体されリサイクルできるように設計されています。
「Designing for Circularity(サーキュラリティのためのデザイン)」のブースでは、デンマークの12人の家具デザイナーが、素材を捨ててしまうのではなく、使い続けるための知恵を展示しました。例えば、Warm Nordic社によるエメラルドグリーンの表面材(写真)は廃棄されたプラスチック製のビール用ケグから作られています。
サステナビリティは展示会の主要なトピックであり、特に製品のライフサイクルの終わりに如何に廃棄物や無駄を避けるかという問いが注目されました。「The Circular Design Project(サーキュラーデザインプロジェクト)」は、「Global Design Forum(グローバル・デザイン・フォーラム)」でこのトピックに関するトークセッションシリーズを開催し、イベントを通して数々の革新的なサーキュラーデザインを事例が展示されました。
イギリスのブランドDeadgood Studioは、で新しい製品Sprungを展示会で発表しました。この座り心地の非常に良い椅子はリサイクル素材から作られ、椅子のライフサイクルの終わりには解体されリサイクルできるように設計されています。
「Designing for Circularity(サーキュラリティのためのデザイン)」のブースでは、デンマークの12人の家具デザイナーが、素材を捨ててしまうのではなく、使い続けるための知恵を展示しました。例えば、Warm Nordic社によるエメラルドグリーンの表面材(写真)は廃棄されたプラスチック製のビール用ケグから作られています。
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