サステナブルに住まいを楽しむ。ミラノサローネ2021のデザイントレンド8選
ミラノサローネが「スーパーサローネ」として戻ってきました!ミラノで発表された最新の家具とトレンド、そして見本市そのものの変化についてご紹介します。
9月5日から10日にかけて、2年ぶりに開催された2021年のミラノサローネ国際家具見本市(以下、ミラノサローネ)。春から秋に開催時期をずらし、特別展「スーパーサローネ」として開かれた今回の見本市は、建築家のステファノ・ボエリ氏をキュレーターに迎えた国際的なチームの協力によって実現。国内外の425ブランドと6万人にも上る来場者が集まりました。
ミラノの中心地に新製品や革新的なアイデアが集まり、長い間失われていたデザインの息吹がまたこの街に吹き込まれました。一方で、感染症対策として、来場者が密にならないようブースの代わりに各出展者に均等にスペースが割り当てられ、動線を考慮したレイアウトも組まれました。
今回注目したい8つのトレンドは、住まいにいながらにして仕事とリラクゼーションを楽しむための、多彩で実用的なアイデアばかり。まさに今の世の中を反映しています。
ミラノの中心地に新製品や革新的なアイデアが集まり、長い間失われていたデザインの息吹がまたこの街に吹き込まれました。一方で、感染症対策として、来場者が密にならないようブースの代わりに各出展者に均等にスペースが割り当てられ、動線を考慮したレイアウトも組まれました。
今回注目したい8つのトレンドは、住まいにいながらにして仕事とリラクゼーションを楽しむための、多彩で実用的なアイデアばかり。まさに今の世の中を反映しています。
2. バイオフィリア
サステナビリティを考えるとき、自然を住まいに取り入れる、いわゆるバイオフィリアのテーマがあります。
その具体的な例として、植物と散水装置がモジュールに組み込まれているUSM Hallerシステムの新バージョン(上の写真)があります。USM社のプレスリリースでは「室内に植物を置くことで、ストレスの軽減や生産性の向上など、私たちの健康状態を大きく改善することができます」と記されています。
会場周辺に植えられた200本の樹木が「フォレスタミ(ミラノ都市圏においてグリーンインフラの導入を進めるプロジェクト)」に寄付されるなど、バイオフィリアは会場やミラノの街全体に浸透していました。展示会終了後、これらの樹木はノルド・ミラノ公園に移植される予定です。
「通りや広場、中庭、家の屋根やファサードに植栽を植え、その数を増やすことは、地球温暖化を遅らせ、エネルギー消費を削減し、空気を清浄し、人々のウェルビーイングを向上させる最も効果的で経済的かつ魅力的な方法です」と、ミラノサローネの主催者はプレスリリースの中で述べています。
サステナビリティを考えるとき、自然を住まいに取り入れる、いわゆるバイオフィリアのテーマがあります。
その具体的な例として、植物と散水装置がモジュールに組み込まれているUSM Hallerシステムの新バージョン(上の写真)があります。USM社のプレスリリースでは「室内に植物を置くことで、ストレスの軽減や生産性の向上など、私たちの健康状態を大きく改善することができます」と記されています。
会場周辺に植えられた200本の樹木が「フォレスタミ(ミラノ都市圏においてグリーンインフラの導入を進めるプロジェクト)」に寄付されるなど、バイオフィリアは会場やミラノの街全体に浸透していました。展示会終了後、これらの樹木はノルド・ミラノ公園に移植される予定です。
「通りや広場、中庭、家の屋根やファサードに植栽を植え、その数を増やすことは、地球温暖化を遅らせ、エネルギー消費を削減し、空気を清浄し、人々のウェルビーイングを向上させる最も効果的で経済的かつ魅力的な方法です」と、ミラノサローネの主催者はプレスリリースの中で述べています。
3. 大胆な色使いを取り入れる
スーパーサローネは、次に来るカラートレンドを知るのにも最適な場所です。近年は、もっぱら白やアースカラーなどが定番色となる一方で、展示家具には非常にカラフルなものも多く見受けられました。
複数の原色を並べて配置したり、一つの家具に使ったり、大胆で対照的な色調を並べることで、生き生きとした環境を作りだしているのが印象的でした。
例えば、Flos社のブラケット照明 MOD.265(写真)は、黄色、青色、赤色を組み合わせることで、クラシックなランプに新しい表情を持たせています。また、クリスティーナ・チェレスティーノのマスタード色、緑色、紫色を組み合わせた壁紙にも同様のトレンドが見られます(次の画像を参照)。
スーパーサローネは、次に来るカラートレンドを知るのにも最適な場所です。近年は、もっぱら白やアースカラーなどが定番色となる一方で、展示家具には非常にカラフルなものも多く見受けられました。
複数の原色を並べて配置したり、一つの家具に使ったり、大胆で対照的な色調を並べることで、生き生きとした環境を作りだしているのが印象的でした。
例えば、Flos社のブラケット照明 MOD.265(写真)は、黄色、青色、赤色を組み合わせることで、クラシックなランプに新しい表情を持たせています。また、クリスティーナ・チェレスティーノのマスタード色、緑色、紫色を組み合わせた壁紙にも同様のトレンドが見られます(次の画像を参照)。
ピエロ・リッソーニがGlas Italia社のためにデザインしたパーティションとインテリアドアのSherazadeシステム
5. 多機能スペースを作りだす間仕切り
ここ18ヶ月のパンデミックによって大きく変化した住まいに対応したことが明らかな製品も登場しています。
個別空間の必要性から、私たちはどう部屋を分割するかを考えるようになりました。大きな空間を共有する代わりに、家族の各自が自分だけの守られた小宇宙を持てるように複数の空間があることが優先されるようになり、オープンプランのレイアウトの人気が衰えつつあります。
こういった流れの中、光を採り入れながら空間を小さく分割することができる可動式の壁や柔軟なバッファー、大きなガラスのスライドドアなどが登場しています。
大きくして壁のようにしたドアや、ワークステーションを備えたクローゼットなど、ドアやウォークインクローゼットシステムの機能も拡張されました。
5. 多機能スペースを作りだす間仕切り
ここ18ヶ月のパンデミックによって大きく変化した住まいに対応したことが明らかな製品も登場しています。
個別空間の必要性から、私たちはどう部屋を分割するかを考えるようになりました。大きな空間を共有する代わりに、家族の各自が自分だけの守られた小宇宙を持てるように複数の空間があることが優先されるようになり、オープンプランのレイアウトの人気が衰えつつあります。
こういった流れの中、光を採り入れながら空間を小さく分割することができる可動式の壁や柔軟なバッファー、大きなガラスのスライドドアなどが登場しています。
大きくして壁のようにしたドアや、ワークステーションを備えたクローゼットなど、ドアやウォークインクローゼットシステムの機能も拡張されました。
ruga.perissinottoがBolzan社のためにデザインしたFlagコレクションに新たに追加されたパッド付きデスク
7. 机が必要だ!
ここ18ヶ月に自宅で仕事をするようになったため、リビングルームやベッドルームに設置できるデスクのニーズが高まっています。
デザイナーはこの状況に反応しました。写真は、コンピューターデスクからエレガントなドレッシングテーブルに変身するベッドルーム家具です。防音対策が施され、引き出しや棚を備えた、よりオフィスライクなバージョンもあります。
家庭用、特に子供用の学習机の種類も明らかに増えています。
こういった新しいタイプのデスクも、先に述べた軽く、薄く、カラフルなトレンドをきちんと押さえています。
7. 机が必要だ!
ここ18ヶ月に自宅で仕事をするようになったため、リビングルームやベッドルームに設置できるデスクのニーズが高まっています。
デザイナーはこの状況に反応しました。写真は、コンピューターデスクからエレガントなドレッシングテーブルに変身するベッドルーム家具です。防音対策が施され、引き出しや棚を備えた、よりオフィスライクなバージョンもあります。
家庭用、特に子供用の学習机の種類も明らかに増えています。
こういった新しいタイプのデスクも、先に述べた軽く、薄く、カラフルなトレンドをきちんと押さえています。
Starpool社のWellness Coachは、5つのガイド付きマインドフルネス瞑想プログラム、5つの呼吸法、音楽や自然サウンドが含まれたバーチャルガイド
8. 整理(とリラクゼーション)のためのテクノロジー
テクノロジーで生活をより快適にし、リラックスできるようにすることが注目されています。例えば、バスルームの中で、ガイド付きの瞑想やマインドフルネス訓練ができるスStarpool社のWellness Coach(写真)がそのひとつです。他にも、クロモセラピーや、バスソルトを直接浴槽に入れるインフューザーなどがあります。
また、キッチン家電の分野でもプログラム化が進み、生活の利便性向上やエネルギー消費の削減に役立っています。
今では住宅の構造体にテクノロジー・ハードウェを組み込めるようになり、必要なときにだけ現れ、スマホで操作する、といったことも可能になりました。
8. 整理(とリラクゼーション)のためのテクノロジー
テクノロジーで生活をより快適にし、リラックスできるようにすることが注目されています。例えば、バスルームの中で、ガイド付きの瞑想やマインドフルネス訓練ができるスStarpool社のWellness Coach(写真)がそのひとつです。他にも、クロモセラピーや、バスソルトを直接浴槽に入れるインフューザーなどがあります。
また、キッチン家電の分野でもプログラム化が進み、生活の利便性向上やエネルギー消費の削減に役立っています。
今では住宅の構造体にテクノロジー・ハードウェを組み込めるようになり、必要なときにだけ現れ、スマホで操作する、といったことも可能になりました。
サローネが開催された建物の入口。写真:Salone del Mobile Milano
変わる見本市のあり方
スーパーサローネは従来のミラノサローネとは一線を画すものでした。中でも印象的だったのは、各ブランドが個別ブースを持たず、広い通路に並列した可動式の壁によって、来場者がスムーズに移動できるようになっていたことです。
こうした変化の主な要因は、感染症の拡大を防ぐことでしたが、同時に公平性を保つことにもなりました。各出展者は、均等なサイズのユニット割り当てられたため、足し算と引き算によって作品を効果的に展示できるように考えなくてはなりませんでした。特に大手ブランドは、お金をかけた巨大ブースで来場者を圧倒するのではなく、周りよりも目立ち、来場者に訴えかけるようなアイデアを思いつかなくはなりませんでした。
例えば、Molteni & C | Dada社のロン・ギラッドによるFlight 154.5というインスタレーションでは、飛行機のインテリアを再現し、アームチェアを座席に見立てていました。一方、Knoll社は色によって注目を集め、Gebrüder Thonet Vienna社はさまざまな椅子を垂直に吊るして展示をしました。
ミラノサローネの新会長に就任したマリア・ポッロは以下のように語りました。「私たちは、システムが貧弱になることでミラノサローネが業界のイベントリーダー的地位を失うような状況にならないよう、発想の転換をおこないました。もちろんこれは容易なことではありませんでしたが、ブランドや製品が、新しいビジョンをつかむ場を提供するために新たな道を切り開くことは、私たちイタリアンデザインの強みでもあるのです。文化的な伝統、創造性、業界の革新的な能力、そして様々な地域からの多彩なアイデアを組み合わせることで、自信を持って未来を見据えることができるのです」
変わる見本市のあり方
スーパーサローネは従来のミラノサローネとは一線を画すものでした。中でも印象的だったのは、各ブランドが個別ブースを持たず、広い通路に並列した可動式の壁によって、来場者がスムーズに移動できるようになっていたことです。
こうした変化の主な要因は、感染症の拡大を防ぐことでしたが、同時に公平性を保つことにもなりました。各出展者は、均等なサイズのユニット割り当てられたため、足し算と引き算によって作品を効果的に展示できるように考えなくてはなりませんでした。特に大手ブランドは、お金をかけた巨大ブースで来場者を圧倒するのではなく、周りよりも目立ち、来場者に訴えかけるようなアイデアを思いつかなくはなりませんでした。
例えば、Molteni & C | Dada社のロン・ギラッドによるFlight 154.5というインスタレーションでは、飛行機のインテリアを再現し、アームチェアを座席に見立てていました。一方、Knoll社は色によって注目を集め、Gebrüder Thonet Vienna社はさまざまな椅子を垂直に吊るして展示をしました。
ミラノサローネの新会長に就任したマリア・ポッロは以下のように語りました。「私たちは、システムが貧弱になることでミラノサローネが業界のイベントリーダー的地位を失うような状況にならないよう、発想の転換をおこないました。もちろんこれは容易なことではありませんでしたが、ブランドや製品が、新しいビジョンをつかむ場を提供するために新たな道を切り開くことは、私たちイタリアンデザインの強みでもあるのです。文化的な伝統、創造性、業界の革新的な能力、そして様々な地域からの多彩なアイデアを組み合わせることで、自信を持って未来を見据えることができるのです」
1. サステナビリティを意識した会場と製品
見本市の設営や出展製品には、サステナビリティへの配慮が見られました。リサイクル可能な素材を多用したり、エネルギーや資源の削減を図る革新的なサプライチェーンを採用したりするなど、サステナブルな特徴を備えたものが多数ありました。
「(ボエリ氏の国際チームのメンバーの1人である)アンドレア・カプート考案のインスタレーション(特定の商品カテゴリーのための並行する長い展示セクション)やStefano Boeri Interiorsによる共用エリア(フードコート、アリーナ、ラウンジ)のインスタレーションに使用されたすべての素材と部品は、使用するチップボードパネルの量をできるだけ抑えて実現されています。この100%再生木材を使用したチップボードは、循環型の生産サイクルに戻すことで、大気中に放出されるCO2を553,500キログラム削減しています。すべてが解体、再利用されるようにデザインされています」と、プレスリリースには紹介されています。