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庭づくりの専門家に聞く、コンポストを暮らしに取り入れるためのコツ
生ゴミの堆肥化ができるコンポストを自宅に取り入れるためのコツについて専門家に聞きました。
杉田真理子
2020年8月24日
現在、サステナブルな住まいづくりに注目が集まっています。家庭ゴミの多くを占める生ゴミの量を減らし、その生ゴミから堆肥をつくることができるコンポスト。匂いや管理の難しさなど、ハードルが高い印象がある人も多いかもしれませんが、コツさえ掴めば、一歩踏み出す勇気が出ます。今回は、庭づくりとコンポストに詳しい専門家3名に話を聞きました。
話をしてくれた3人の専門家たち:
鈴木邦浩さん(アトリエ心庭)、木村博明さん(株式会社木村グリーンガーデナー)、松田行弘さん(BROCANTE)
話をしてくれた3人の専門家たち:
鈴木邦浩さん(アトリエ心庭)、木村博明さん(株式会社木村グリーンガーデナー)、松田行弘さん(BROCANTE)
コンポストを導入するメリット
落ち葉や生ごみを利用して、堆肥が作れることが嬉しいコンポスト。
アトリエ心庭の鈴木さんは、コンポストを導入するメリットを、以下のように説明します。「微生物の力を利用して、土をつくる過程を実感することができます。自然のサイクルを回すことで、生ゴミの有効利用ができるのが、コンポストです」
BROCANTEの松田さんは、「庭に設けるコンポストは、除草や剪定などで発生するごみを軽減してくれると同時に、庭に還元できる肥料を作ることができるので、スペースに余裕があれば是非取り入れたいアイテムです」と話します。「ただ、完全なたい肥を作ろうとするとある程度管理が必要なので、庭の草ごみの処理が楽になり、腐葉土がとれるくらいに考えておくとよいかもしれません」
落ち葉や生ごみを利用して、堆肥が作れることが嬉しいコンポスト。
アトリエ心庭の鈴木さんは、コンポストを導入するメリットを、以下のように説明します。「微生物の力を利用して、土をつくる過程を実感することができます。自然のサイクルを回すことで、生ゴミの有効利用ができるのが、コンポストです」
BROCANTEの松田さんは、「庭に設けるコンポストは、除草や剪定などで発生するごみを軽減してくれると同時に、庭に還元できる肥料を作ることができるので、スペースに余裕があれば是非取り入れたいアイテムです」と話します。「ただ、完全なたい肥を作ろうとするとある程度管理が必要なので、庭の草ごみの処理が楽になり、腐葉土がとれるくらいに考えておくとよいかもしれません」
コンポストの種類と、自分に合うコンポストの見極め方
株式会社木村グリーンガーデナーの木村さんは、コンポストには土中タイプやミミズタイプ、回転タイプ等があると説明します。
鈴木さんは、マンション住まいの時には、ベランダにミミズコンポストを置いて堆肥を作っていたと話します。「必ずしも庭がなくても、コンポストには挑戦できます。最初から欲張らず、使える量が作れる範囲で始めれば良いでしょう」
株式会社木村グリーンガーデナーの木村さんは、コンポストには土中タイプやミミズタイプ、回転タイプ等があると説明します。
- 土中タイプ
土中で生ごみと土を重ねていくタイプのコンポストです。手軽ですが、堆肥になるのに時間がかかります。コンポストの中身を定期的に混ぜ、新鮮な空気を取り込めば、発酵も促進されます。
- ミミズタイプ
名前の通り、ミミズに生ごみを食べさせ堆肥にする方法です。ミミズが苦手な方には不向きです。
- 回転タイプ
堆肥入れを回転させることでバクテリアに空気が届きやすく、早く堆肥になるタイプです。他のコンポストに比べ、導入費が比較的高いことや、堆肥入れを回し忘れるリスクがあります。
鈴木さんは、マンション住まいの時には、ベランダにミミズコンポストを置いて堆肥を作っていたと話します。「必ずしも庭がなくても、コンポストには挑戦できます。最初から欲張らず、使える量が作れる範囲で始めれば良いでしょう」
松田さんは、葉ごみと生ごみどちらを処理したいかによって、コンポストの種類を見極めることをおすすめします。
「家庭で出る生ごみを中心に処理したい場合、市販のプラスチック製のごみ箱型や箱型のタイプで、土や腐葉土と混ぜながら行うと匂いも抑えられます。」と松田さん。「庭で出る草や葉ゴミを中心に処理する場合は、木やブロックなどで囲いを作り、そこに積み上げていくだけでも十分コンポストとして機能します」
「あまり小さいとたい肥化する前に一杯になってしまうため、最低でも1㎡くらいはほしいところです。もう少し広く取れれば、間仕切りで2~3か所に分けると、たい肥化の時間をずらすことができるので管理しやすいです。広い敷地であれば、単に穴を掘って積み上げていくだけでも立派なコンポストになります」
「家庭で出る生ごみを中心に処理したい場合、市販のプラスチック製のごみ箱型や箱型のタイプで、土や腐葉土と混ぜながら行うと匂いも抑えられます。」と松田さん。「庭で出る草や葉ゴミを中心に処理する場合は、木やブロックなどで囲いを作り、そこに積み上げていくだけでも十分コンポストとして機能します」
「あまり小さいとたい肥化する前に一杯になってしまうため、最低でも1㎡くらいはほしいところです。もう少し広く取れれば、間仕切りで2~3か所に分けると、たい肥化の時間をずらすことができるので管理しやすいです。広い敷地であれば、単に穴を掘って積み上げていくだけでも立派なコンポストになります」
コンポストを置くのに最適な場所
コンポストは、直射日光が当たらない風通しが良い日陰が良いと、鈴木さんは説明します。水捌けが良いこと、雨が当たらないことも大切です。「堆肥を作るのは好気性の微生物ですから、空気が入らない状態になると生きていけません。すると嫌気性の微生物がはびこり、腐敗してしまいます」
草ゴミが中心のコンポストであれば、匂いの心配もないので、作業しやすい場所が良いと松田さんはアドバイスします。「一般に雨のかからない場所と言われていますが、適度に水を加えないとなかなか分解されないので、家庭で行う草ゴミ中心のコンポストの場合は、雨がかかるところでも全く問題ありません」
庭づくり・植物の記事を読む
コンポストは、直射日光が当たらない風通しが良い日陰が良いと、鈴木さんは説明します。水捌けが良いこと、雨が当たらないことも大切です。「堆肥を作るのは好気性の微生物ですから、空気が入らない状態になると生きていけません。すると嫌気性の微生物がはびこり、腐敗してしまいます」
草ゴミが中心のコンポストであれば、匂いの心配もないので、作業しやすい場所が良いと松田さんはアドバイスします。「一般に雨のかからない場所と言われていますが、適度に水を加えないとなかなか分解されないので、家庭で行う草ゴミ中心のコンポストの場合は、雨がかかるところでも全く問題ありません」
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季節に合わせたコンポストの手入れの仕方
「コンポストは、積み上げた下の方から分解され、発酵してくるので、定期的にスコップなどで上下を混ぜます」と松田さん。基本のお手入れの方法です。
また、バクテリアの活動による分解には、ある程度の温度が必要です。「冬は気温が低くバクテリアの動きが鈍くなるので、余り生ごみを入れないようにしましょう」と木村さんはアドバイスします。冬は、囲いをしたりワラを被せるなどして、保温をすることも大切だと、鈴木さんも説明します。
「寒い時期は米ぬかなどを混ぜると発酵が促されます」と松田さん。
「コンポストは、積み上げた下の方から分解され、発酵してくるので、定期的にスコップなどで上下を混ぜます」と松田さん。基本のお手入れの方法です。
また、バクテリアの活動による分解には、ある程度の温度が必要です。「冬は気温が低くバクテリアの動きが鈍くなるので、余り生ごみを入れないようにしましょう」と木村さんはアドバイスします。冬は、囲いをしたりワラを被せるなどして、保温をすることも大切だと、鈴木さんも説明します。
「寒い時期は米ぬかなどを混ぜると発酵が促されます」と松田さん。
コンポストでつくった堆肥の上手な使い方
できあがった堆肥は、庭で植物を植える時に、土に混ぜ込みましょう。植物の周りの土に少しづつ埋めたり、鉢植えの元肥や追肥として利用できます。プランターで使うことも可能です。
注意点として、「完熟した堆肥でない未成熟な堆肥を土に混ぜると、土の中の微生物が分解する際に酸素を使ってしまい、植物が必要とする酸素が不足することがあります」と鈴木さんは説明します。「そのため、堆肥は完全に分解されたものを混ぜる必要があります。」
「土と混ぜぼかし肥として利用すれば、多少分解が不十分でも植物に害がなく緩効性の肥料として使えます。」と松田さん。
同時に、使いすぎにも注意が必要です。植物によっては肥料が強すぎると「根焼け」を起こすので、用土と混ぜ施肥すると良いと、木村さんは説明します。
エコ・サステナブルの記事を読む
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注意点として、「完熟した堆肥でない未成熟な堆肥を土に混ぜると、土の中の微生物が分解する際に酸素を使ってしまい、植物が必要とする酸素が不足することがあります」と鈴木さんは説明します。「そのため、堆肥は完全に分解されたものを混ぜる必要があります。」
「土と混ぜぼかし肥として利用すれば、多少分解が不十分でも植物に害がなく緩効性の肥料として使えます。」と松田さん。
同時に、使いすぎにも注意が必要です。植物によっては肥料が強すぎると「根焼け」を起こすので、用土と混ぜ施肥すると良いと、木村さんは説明します。
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分解性のある生ゴミや葉ゴミですが、可燃ゴミとして通常通り捨ててしまえば、結果として廃棄物を増やす結果となってしまいます。
日本では、年間約5000万トンの一般廃棄物が出ており、そのうち約2000万トンが、生ごみといわれています。
ゴミを減らし、さらにそのゴミを使って堆肥をつくり、その堆肥を家庭菜園や植栽に使用すれば、少しでもサステナブルな住まいに貢献できるはず。専門家の意見を取り入れて、アパート、一戸建てに関わらず、気軽にコンポストをはじめてみてはいかがでしょうか?
Houzzで造園会社・ガーデンデザイナーを探す
日本では、年間約5000万トンの一般廃棄物が出ており、そのうち約2000万トンが、生ごみといわれています。
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