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日本の住宅デザインの伝統から学ぶ、8つのデザインのアイデア
かつて東京に暮らしたことのある筆者が、日本の伝統的住まいの特長を解説します。
Tom Flanagan
2016年12月3日
日本的デザインの基礎といえば、機能性、革新性、シンプルさでしょう。日本はすぐれたインテリアデザインで知られる国ですが、これらの要素に細やかに配慮することで、機能面でもフォルムでもすぐれたデザインを生み出してきたのです。さらに、日本ではデザインが日常生活にも深く影響を与え、住まい方や暮らし方の伝統をつくりだしてきました。そこで、私たち西洋人が、すばらしい日本的デザインのエッセンスを暮らしに取り入れるための、 8つのシンプルなアイデアをご紹介したいと思います。
1. 白を基調とした、明るく軽快な部屋づくりをめざす
日本のインテリアでは、ミニマルなスタイリング、淡い色の木材、白い天井や壁が好まれます。こうした要素を重ね合わせることで、日本人が大切にしている、落ち着いた雰囲気を生み出しています。カエデやヒノキのような薄い色の木材は、部屋の中を明るくします。写真のキッチンのように、明るい色の木材や清潔感のある白い塗装、物を目につくところに置かないすっきりとした印象、シースルーなデザインの椅子が、静穏な空間をつくりだしています。
日本のインテリアでは、ミニマルなスタイリング、淡い色の木材、白い天井や壁が好まれます。こうした要素を重ね合わせることで、日本人が大切にしている、落ち着いた雰囲気を生み出しています。カエデやヒノキのような薄い色の木材は、部屋の中を明るくします。写真のキッチンのように、明るい色の木材や清潔感のある白い塗装、物を目につくところに置かないすっきりとした印象、シースルーなデザインの椅子が、静穏な空間をつくりだしています。
2. モノがない空間こそすばらしい
日本的デザインの感性を本当に自分の家に取り入れたいなら、空虚を愛せるようになる必要があります。目先のことに執着せず、息を整え、心をありのままにするためには、開放的な空間こそが必要なのです。
殺風景にみえる日本の伝統的デザインは、モノがない空間の美しさや、家のなかにバランスをもたらすことの必要性を気付かせてくれます。今度、何もない壁を飾ったり、棚をつけたりしようかな、と思ったときには、回りを見て、空間的コンテクストをとらえなおし、深呼吸して、空間に足し算するのではなく引き算できることがないか考えてみましょう。
日本的デザインの感性を本当に自分の家に取り入れたいなら、空虚を愛せるようになる必要があります。目先のことに執着せず、息を整え、心をありのままにするためには、開放的な空間こそが必要なのです。
殺風景にみえる日本の伝統的デザインは、モノがない空間の美しさや、家のなかにバランスをもたらすことの必要性を気付かせてくれます。今度、何もない壁を飾ったり、棚をつけたりしようかな、と思ったときには、回りを見て、空間的コンテクストをとらえなおし、深呼吸して、空間に足し算するのではなく引き算できることがないか考えてみましょう。
3. 職人の技を大切にする
モノがない空間は、ディテールや職人の技を際立たせるものでもあります。日本文化は、現在でも、細部と美を重んじる「職人気質(しょくにんかたぎ)」に深く影響を受けているといえるでしょう。日本では小さなお弁当までが、目で楽しむ対象なのです。
デザインのプロから清掃のプロまで、あらゆる職業に職人がいます。ひとりひとりの職人がプライドをもち、一心不乱にすばらしい成果を上げることに努めます。
家の中にあるものすべてをすばらしい職人の作品で埋め尽くすのは難しいかもしれませんが、自分なりに選び抜いたものをとりいれれば、インテリアに個性が生まれます。地元の職人を探して、自分らしさや歴史を感じられる家にしましょう。日本人は、木の家具は歳を重ねるごとに美しくなっていくと考えています。上質な木の家具を手に入れたら、長く大切に愛用しましょう。
モノがない空間は、ディテールや職人の技を際立たせるものでもあります。日本文化は、現在でも、細部と美を重んじる「職人気質(しょくにんかたぎ)」に深く影響を受けているといえるでしょう。日本では小さなお弁当までが、目で楽しむ対象なのです。
デザインのプロから清掃のプロまで、あらゆる職業に職人がいます。ひとりひとりの職人がプライドをもち、一心不乱にすばらしい成果を上げることに努めます。
家の中にあるものすべてをすばらしい職人の作品で埋め尽くすのは難しいかもしれませんが、自分なりに選び抜いたものをとりいれれば、インテリアに個性が生まれます。地元の職人を探して、自分らしさや歴史を感じられる家にしましょう。日本人は、木の家具は歳を重ねるごとに美しくなっていくと考えています。上質な木の家具を手に入れたら、長く大切に愛用しましょう。
4. 屋内と屋外をつなぐ
屋内と屋外をつなぎ、両方を楽しむことは、日本的デザインにおいて重要な原則の1つです。日本人には四季に対する繊細な感受性をもっており、多くの家は季節の移り変わりを感じられるように設計されています。
引き戸がよく使われるのは、空間をシームレスにつないでくれるからです。障子は空間をフレキシブルに分けてくれるだけでなく、光をとりこむことができますし、プライバシーを確保しながらも開放感をつくりだしてくれます。
屋内と屋外をつなぎ、両方を楽しむことは、日本的デザインにおいて重要な原則の1つです。日本人には四季に対する繊細な感受性をもっており、多くの家は季節の移り変わりを感じられるように設計されています。
引き戸がよく使われるのは、空間をシームレスにつないでくれるからです。障子は空間をフレキシブルに分けてくれるだけでなく、光をとりこむことができますし、プライバシーを確保しながらも開放感をつくりだしてくれます。
光と眺めをたっぷり取り込める障子をまねて、鉄の枠に小さな長方形の透明ガラスをはめ込んだドアや窓を使ってみるのもよいでしょう。
5. ひとりになれるコーナーをつくる
心静かにすごせる窓辺のシートがあれば、ひとりになれる空間になりますし、家に自然を取り込むことができます。仕事のためであれ、楽しみのためであれ、ちょっとした心地よいコーナーをつくれば、空きスペースを活用するすぐれた方法になります。
予算があるなら、写真のような作り付けのシートがお勧めです。あるいは小さなスペースを確保し、大きな鉢植えとシンプルな本棚を置き、フロアランプと椅子を加えてもよいでしょう。椅子の周囲を心地よくしてくれる小さなサイドテーブル、小さなラグ、ブランケットなどを用意すれば、自分だけの場所のできあがりです。
心静かにすごせる窓辺のシートがあれば、ひとりになれる空間になりますし、家に自然を取り込むことができます。仕事のためであれ、楽しみのためであれ、ちょっとした心地よいコーナーをつくれば、空きスペースを活用するすぐれた方法になります。
予算があるなら、写真のような作り付けのシートがお勧めです。あるいは小さなスペースを確保し、大きな鉢植えとシンプルな本棚を置き、フロアランプと椅子を加えてもよいでしょう。椅子の周囲を心地よくしてくれる小さなサイドテーブル、小さなラグ、ブランケットなどを用意すれば、自分だけの場所のできあがりです。
6. 植物を飾る
日常の中で自然を感じるもうひとつの方法は、室内に植物を置くこと。吊すのでも鉢植えでもかまいません。可能なら、壁面緑化を実践しても。植物はあっという間に心が穏やかにしてくれます。
日常の中で自然を感じるもうひとつの方法は、室内に植物を置くこと。吊すのでも鉢植えでもかまいません。可能なら、壁面緑化を実践しても。植物はあっという間に心が穏やかにしてくれます。
7. 室内では靴を脱ぐ
日本人はしきたりや習慣に厳しく、しかもその多くがややこしいのですが、家の中で靴を脱ぐという習慣は迷いようのない分かりやすいルールです。日本人のほとんどが、家の中と外では履物を履き替えます。室内履きに履き替えるのは、家の中に泥を持ち込まないため。これは畳があってふとんを敷く日本の家では大切なことです。でも、そのためには履き物をすべて収納できる場所が必要になります。写真の各段に引き出しを付けた階段なら、素晴らしい解決方法になりますね。
日本人はしきたりや習慣に厳しく、しかもその多くがややこしいのですが、家の中で靴を脱ぐという習慣は迷いようのない分かりやすいルールです。日本人のほとんどが、家の中と外では履物を履き替えます。室内履きに履き替えるのは、家の中に泥を持ち込まないため。これは畳があってふとんを敷く日本の家では大切なことです。でも、そのためには履き物をすべて収納できる場所が必要になります。写真の各段に引き出しを付けた階段なら、素晴らしい解決方法になりますね。
8. 竹をとりいれる
アジアンスタイルの素材といえば、西洋人の多くが竹を思い浮かべます。日本でも昔から竹をよく使います。
庭に竹を植えると、自然を感じられますし、プライバシーを守ってくれます。庭やベランダ用にあまり葉が広がらない竹を買って、こんな風に椅子の周りを囲っても素敵です。
室内では、装飾の素材として竹を使います。竹のすだれは夏の暑さを和らげてくれますし、頑丈な竹竿はステンレスのパイプの代わりとなり、服や調理用具を吊すことができます。バスルームで竹製の間仕切りを使うのもおすすめです。トイレと洗面室をわけることができますし、日本的なアクセントにもなります。
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西洋人が考える「日本的スタイル」について、みなさんはどう思われますか?
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