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Houzzツアー:テラスへの眺望を最優先にして改装したパリのアパルトマン
細かく区切られた暗いアパルトマンを改装し、開放的でカラフルな空間を実現。
Aurélie Roman
2015年4月3日
「施主はこのテラスに一目惚れしたんです」と建築家のマヌエル・スケーラ(Manuel Sequeira)さんは言う。彼はパリ20区にあるこの70平方メートルのアパルトマンの全面改装を担当した。「部屋を購入する決め手はこのテラスでした」とスケイラさん。しかし、当初、IT企業経営者である居住者は、空間が細かく区切られたこの暗いアパルトマンの可能性を完全に見通してはいなかった。スケーラから、光がたっぷり入るモジュラー式のワンルームの部屋を提案されて初めて、この部屋での暮らしを思い浮かべることができた。
どんなHouzz?
居住者:IT企業経営者
所在地:パリ20区
面積:70平方メートル
スケーラさんと居住者は、テラスから入る光が部屋のすみずみまで届くように設計し直すことに。そこで、大きな窓のあるモジュラー式ロフトの案が浮上してきた。
居住者:IT企業経営者
所在地:パリ20区
面積:70平方メートル
スケーラさんと居住者は、テラスから入る光が部屋のすみずみまで届くように設計し直すことに。そこで、大きな窓のあるモジュラー式ロフトの案が浮上してきた。
アパートは70年代に建てられた物件。平面図を見るとあの時代らしい特徴が目についた。壁で空間を区切って部屋をつくり、廊下でつないでいるため、どの部屋も暗く、生活空間が狭くなっていた。
「ひどい間取りでした」と言うスケーラさんは、部屋を仕切る壁を取り壊し、大きなリビング・ダイニングとゆったりとしたベッドルームに間取りを変更。「するとリビングルームとテラスに連続性が生まれました」。
「ひどい間取りでした」と言うスケーラさんは、部屋を仕切る壁を取り壊し、大きなリビング・ダイニングとゆったりとしたベッドルームに間取りを変更。「するとリビングルームとテラスに連続性が生まれました」。
「居住者はフランス南東部のアヴィニョンにも家を持っており、あの地方への強い思い入れがあるんです」とスケーラさんは言う。だからこそ、スケーラさんは、プロヴァンス地方の大胆な色彩を使うことが重要だと考えた。
スケーラさんと居住者は、白い壁と黒い家具を基調とすることにした。「背景を無彩色にすることで、空間に負担をかけすぎることなく、大胆な色を取り入れられます」とスケーラさん。施主は長年手に入れたいと思っていた紫色のソファをついに購入したのだった。
スケーラさんと居住者は、白い壁と黒い家具を基調とすることにした。「背景を無彩色にすることで、空間に負担をかけすぎることなく、大胆な色を取り入れられます」とスケーラさん。施主は長年手に入れたいと思っていた紫色のソファをついに購入したのだった。
テラスのすぐ隣の、以前はキッチンだった場所にワーキングスペースを設置。テレビの周りの壁には小さなアルコーヴ(窪み)の棚をつくった。アルコーヴを作ったのは、「前はキッチンだった場所にあった柱は構造柱だったので、手を加えることはできなかったからなんです。そこで、制約を逆に生かして、既存の柱の間にある隙間を棚にしたんです」とスケーラさん。キッチンのキャビネットとお揃いの黒いカップボードも設置した。
キッチンは以前ウォークインクローゼットがあった場所に移動。キッチンも含め、アパルトマンの中のすべての部屋からテラスを望めるのが、この設計の最大の特長だ。キッチンの設備は大手メーカーの製品を組み合わせたもの。建築家スケーラさんの工夫がよくわかる。
キッチンのカウンタートップはそのままリビングの壁沿いに伸びており、作業台に使ったり、ビュッフェ・パーティーで食べ物を置いたり、サイドボードとして使ったりすることができる。この部分も、インテリアのポイントになっている。
友人や家族を招くときには、引き戸でベッドルームを隠す。でも、普段ひとりでいるときには、戸を開け放ってテラスの眺めを楽しんでいる。ベッドルームもリビングも、フローリングはすべて同じ、明るい色のオークの無垢材を使用。スケーラさんは、「マットな仕上げが木そのものの魅力を引き立てます」と話す。
バスルームは拡張し、アパルトマンの他の部分よりも床面をあげて水はけをよくした。他の部屋と揃え、抑制の効いたモノクロでまとめている。シンクまわりの設備に合わせて、床にはグレーのスレートを使用「水平方向にはくらい色合いを、垂直方向には白を使ってコントラストを見せることにしたんです」とスケーラさん。
建築家スケーラさんのアドバイスは「制約を逆に利用すること」。パイプスペースの出っ張りを利用してアルコーヴ(窪み)をつくり、バスルーム用品を収納する棚にした。
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