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空間別、ライフスタイル優先のライティング計画
その部屋で何をするのかをシミュレーションし、照明に求める機能を把握すること。自分らしい暮らし方に合わせた照明選びのヒントを、空間別に見ていきましょう。
部屋の大きさだけにフォーカスした光源選びでは、心地よいリラックス感は得られません。では、住まいの灯りはどうあるのが理想でしょうか。
陽が沈み、室内で必要な照度が得られなくなると、私たちは照明器具の力を借りなくてはなりません。光が私たちに与える影響は多大です。明るさ、色、位置、建築デザインとの関連性などで大きく変わり得るものだけに、ライフスタイルを考慮して、計画していきたいものです。
陽が沈み、室内で必要な照度が得られなくなると、私たちは照明器具の力を借りなくてはなりません。光が私たちに与える影響は多大です。明るさ、色、位置、建築デザインとの関連性などで大きく変わり得るものだけに、ライフスタイルを考慮して、計画していきたいものです。
エントランス
玄関収納家具の底板に、ランプを取り付けて床面を照らす、落ち着いた安定感のある演出です。この場合、光沢のあるタイルを使うと、光源が写り込むので注意しなくてはなりません。また、ほとんどの玄関には段差があります。収納がその段差をまたいでいる場合、下部全体に器具を取り付けると、光が届くまでの距離の違いで違和感が生じるので、配慮が必要です。
玄関収納家具の底板に、ランプを取り付けて床面を照らす、落ち着いた安定感のある演出です。この場合、光沢のあるタイルを使うと、光源が写り込むので注意しなくてはなりません。また、ほとんどの玄関には段差があります。収納がその段差をまたいでいる場合、下部全体に器具を取り付けると、光が届くまでの距離の違いで違和感が生じるので、配慮が必要です。
いっぽう、こちらのエントランスでは、壁面の両側から天井全体を照らし、ふんわりと広がる光源をつくっています。天井が高く広く見えるという効果があるので、この写真のような細長い空間や廊下などに適しているかもしれません。このスタイルは「コーブ照明」と呼ばれています。光源と天井との距離を離すほど広がりのある空間を演出でき、また天井全体を均一に照らすことができます。
海外の映画に登場するようなエントランスです。登場人物が帰宅し、玄関ドアを開けてスイッチをつけると、テーブルランプが灯る……そんなシチュエーション。日本ではあまり見かけないスタイルですが、そもそもテーブルランプはほとんどがプルスイッチで、チェーンを引っ張るタイプ。直接配線をつなげば、スイッチで入切の操作ができるはずです!
クローゼット内部
クローゼットの照明は、あくまでも収納してあるものがはっきりと認識できるように。LED照明が的確に衣類の居場所を教えてくれます。演出性というより、本来のカラーを表現することのほうが優先されるスペースです。
クローゼットの照明は、あくまでも収納してあるものがはっきりと認識できるように。LED照明が的確に衣類の居場所を教えてくれます。演出性というより、本来のカラーを表現することのほうが優先されるスペースです。
リビング
天井に施された木製のルーバーが印象的です。この場合のコーブ照明は、天井に光の帯をつくり、印象的な空間を演出しています。よく見ると、テレビボードの裏側も発光しています。折り上げ天井の立ち上がり面にはスポットライト。ダイニングテーブルの上にはペンダント。さまざまなライティングの組み合わせにリズム感を感じます。
天井に施された木製のルーバーが印象的です。この場合のコーブ照明は、天井に光の帯をつくり、印象的な空間を演出しています。よく見ると、テレビボードの裏側も発光しています。折り上げ天井の立ち上がり面にはスポットライト。ダイニングテーブルの上にはペンダント。さまざまなライティングの組み合わせにリズム感を感じます。
ダイニングキッチン
木製の天井仕上げが印象的なダイニングキッチン。白い仕上げ材に比べると照射率は高くないけれど、素材感を伝えるためのコーブ照明がよい働きをしています。
DKは、食事に関連して使用する部屋。アクティブに動くため機能性を重視する側面もあるので、蛍光色または昼白色の明るさを好まれる方もいらっしゃいますが、演色性の面を考えると、電球色の方に軍配が上がります。どちらか決めかねる場合には調色・調光型の器具をセレクトされるとよいでしょう。
木製の天井仕上げが印象的なダイニングキッチン。白い仕上げ材に比べると照射率は高くないけれど、素材感を伝えるためのコーブ照明がよい働きをしています。
DKは、食事に関連して使用する部屋。アクティブに動くため機能性を重視する側面もあるので、蛍光色または昼白色の明るさを好まれる方もいらっしゃいますが、演色性の面を考えると、電球色の方に軍配が上がります。どちらか決めかねる場合には調色・調光型の器具をセレクトされるとよいでしょう。
キッチン
キッチンのワークトップ(天板)と、キャビネットの間に光のラインを走らせ、白いパネルをさらに美しく魅せながら、床面も明るくしています。蛍光色のLEDライトを使って、いっそう輝きの増すキッチンスペースに仕立てています。
キッチンのワークトップ(天板)と、キャビネットの間に光のラインを走らせ、白いパネルをさらに美しく魅せながら、床面も明るくしています。蛍光色のLEDライトを使って、いっそう輝きの増すキッチンスペースに仕立てています。
こちらはバーコーナーでしょうか。店舗などで商品を明るくきれいに照らすための「棚下灯」を使用しているように思われます。棚下灯は、厚みがわずか15mm程度のものもあります。壁面のタイルの素材感が協調されて、贅沢なコーナーに仕上がっています。
和室
床の間には「落とし掛け」という下がり壁をつくり、その裏側に器具を取り付けるのが一般的。このように壁にデザインを施すと、同じ光源を使っていたとしても、ずいぶんと印象が変わるものです。
床の間には「落とし掛け」という下がり壁をつくり、その裏側に器具を取り付けるのが一般的。このように壁にデザインを施すと、同じ光源を使っていたとしても、ずいぶんと印象が変わるものです。
階段室
直進階段、周り階段、踊り場付き、吹き寄せ……階段室は、どこに光源を配置するのが適切か、悩ましいものです。球替えの配慮も欠かせなかったのですが、LEDの出現により随分と状況が変わりました。ともあれ、階段はやはり足元を明るく照らすのが望ましいもの。手すりに仕込むとはグッドアイデアです!
直進階段、周り階段、踊り場付き、吹き寄せ……階段室は、どこに光源を配置するのが適切か、悩ましいものです。球替えの配慮も欠かせなかったのですが、LEDの出現により随分と状況が変わりました。ともあれ、階段はやはり足元を明るく照らすのが望ましいもの。手すりに仕込むとはグッドアイデアです!
蹴込部分に張ったタイルが自慢の階段です。踏板を少し伸ばして、光源を取り付けているようです。美しさと、安全性を兼ね備えたインテリアですね。階段の上り下りが楽しくなりそう!
洗面室
最近では、住設メーカーが販売するほとんどの三面鏡には、LEDライトがセットされています。肌を特別美しく照らすライトもあり、驚きました。脱衣室や洗面コーナーは、間接照明を取り入れやすいスペースです。ちょっとホテルライクな空間演出を取り入れてみてはいかがでしょうか。
最近では、住設メーカーが販売するほとんどの三面鏡には、LEDライトがセットされています。肌を特別美しく照らすライトもあり、驚きました。脱衣室や洗面コーナーは、間接照明を取り入れやすいスペースです。ちょっとホテルライクな空間演出を取り入れてみてはいかがでしょうか。
ベッドルーム
ドラマチックな寝室に仕立てるには、照明器具のチカラは不可欠です。そもそも照度はさほど必要のないスペース。心地よい眠りへ誘うことを優先したいものです。光源が直接視界に入らないような配慮と、仕上げ材の存在感を引き立たせる演出。これらが実現できれば、優雅な気持ちで一日を終えることができそうです。
ドラマチックな寝室に仕立てるには、照明器具のチカラは不可欠です。そもそも照度はさほど必要のないスペース。心地よい眠りへ誘うことを優先したいものです。光源が直接視界に入らないような配慮と、仕上げ材の存在感を引き立たせる演出。これらが実現できれば、優雅な気持ちで一日を終えることができそうです。
いっぽうこちらは、天井にかなり集光タイプのスポットが取り付けているようです。私もそうなのですが、寝る前に本を読む習慣があるオーナーの方なのではないでしょうか。これもまた、自分らしい一日の終わり方。こんなふうに、ライフスタイルに合ったライティングが理想的です。
それぞれの空間に何を求めるか
照明計画は、シチュエーションをイメージすることが大切です。それはライフスタイルとも密接な関係にあります。以前、60代ご夫婦宅のダイニングテーブル上部にシャンデリアを取り付けたことがありましたが、食事時に新聞を読むご主人には照度が足りないという結果に。活字を読んだり細かい作業をするなど、ピンポイントで適切な照度を確保しなければ、ということを学んだのでした。
帰宅してから、ベッドに入るまで。住まいの中でどのような営みをするかをシミュレーションし、それぞれの空間に何を求めるかを考えることが、照明計画のスタートです。
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イメージチェンジはペンダントランプで
照明計画は、シチュエーションをイメージすることが大切です。それはライフスタイルとも密接な関係にあります。以前、60代ご夫婦宅のダイニングテーブル上部にシャンデリアを取り付けたことがありましたが、食事時に新聞を読むご主人には照度が足りないという結果に。活字を読んだり細かい作業をするなど、ピンポイントで適切な照度を確保しなければ、ということを学んだのでした。
帰宅してから、ベッドに入るまで。住まいの中でどのような営みをするかをシミュレーションし、それぞれの空間に何を求めるかを考えることが、照明計画のスタートです。
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