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海外のロフトアパートメントから見つける、インダストリアルな家づくりのヒント
古い倉庫や工場をリノベーションし、アトリエを兼ねた住まいにしたNYのロフトアパートメント。海外のロフトアパートメントの写真から、インダストリアルスタイルの家づくりに役立つアイデアを見つけましょう。
ブラッキン・ヘザー
2018年4月27日
Houzz contributor.
Home Life Style インテリア、収納空間デザイン。
「贅沢な時間を過ごせる、あなたらしい心地よい住まいづくり」をモットーに、一人ひとりの個性や「好き」を引き出しながらのインテリアのコーディネーション、
より快適な暮らしのためのライフスタイルに合わせた収納計画のご提案をいたします。
著書「ふつうの住まいでかなえる外国スタイルの部屋づくり(文藝春秋)
Interior decoration and storage space planning in Tokyo, Japan. English/Japanese bilingual, with interior design and decoration experience in Europe and Japan.
Houzz contributor.
Home Life Style インテリア、収納空間デザイン。
「贅沢な時間を過ごせる、あなたらしい心地よい住まいづくり」をモットーに、一人ひとりの個性や「好き」を引き出しながらのインテリアのコーディネーション、
より快適な暮らしのためのライフスタイルに合わせた収納計画のご提案をいたします。
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屋根裏の空間という意味のロフトとは別に、古い倉庫や工場、学校、オフィスビルのような工業・商業施設を住宅に改造した空間も「ロフト」、または「ロフトアパートメント」と呼ばれます。その始まりは1960年代、NYに住む芸術家たちが古い倉庫をアトリエ兼住まいとして使うようになったことから。
彼らの暮らしが注目され、建築家やデザイナーなどクリエイターの住居としても人気となり、古い倉庫街が再開発されて今に至ります。倉庫や工場のインダストリアルな持ち味を活かしたロフトアパートメント的インテリアはアメリカ以外の国でも定着し、新築の家にもそのディテールが採用されるようになっています。
今回は世界のHouzzの写真から、リアルな「ロフトアパートメント」のインテリアをピックアップしました。男前で無骨なディテール、開放感あふれる空間の活かし方など、インダストリアルスタイルが好きな方の家づくりのヒントになる要素がいっぱいです。
彼らの暮らしが注目され、建築家やデザイナーなどクリエイターの住居としても人気となり、古い倉庫街が再開発されて今に至ります。倉庫や工場のインダストリアルな持ち味を活かしたロフトアパートメント的インテリアはアメリカ以外の国でも定着し、新築の家にもそのディテールが採用されるようになっています。
今回は世界のHouzzの写真から、リアルな「ロフトアパートメント」のインテリアをピックアップしました。男前で無骨なディテール、開放感あふれる空間の活かし方など、インダストリアルスタイルが好きな方の家づくりのヒントになる要素がいっぱいです。
天井の高いオープンな空間
もとは工場だったニューヨーク・ブルックリンのロフトアパートメントの一室。広いオープンスペースをを活かすために、細かく仕切らないのが基本です。家具やラグを使ってゾーニングしながら、全体が見渡せる開放感を大切にしています。(アメリカ、ニューヨーク)
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My Houzz:家は生き方を反映する――アーティストが暮らすインダストリアルなロフト
もとは工場だったニューヨーク・ブルックリンのロフトアパートメントの一室。広いオープンスペースをを活かすために、細かく仕切らないのが基本です。家具やラグを使ってゾーニングしながら、全体が見渡せる開放感を大切にしています。(アメリカ、ニューヨーク)
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My Houzz:家は生き方を反映する――アーティストが暮らすインダストリアルなロフト
天井の高さを利用して、工場や倉庫では「メザニン」と呼ばれる、中2階のような空間をつくることも。オープンな雰囲気はそのままに、ベッドルームや書斎などのプライベートスペースを確保できます。写真のアパートメントのように、キッチンやバスルームなど、高さがあまり必要ではない部分を上手に使うのがポイントです。(カナダ、バンクーバー)
屋根裏スペースの天窓
天窓のある開放感たっぷりのロフトアパートメント2例。屋根の形がそのまま活かされた天井の窓から、明るい光が降り注ぎます。上はアメリカ、オレンジカウンティの事例では、ハードな素材やパーツが多いなか、木の天井が全体に温かみを与えています。左はドイツ、ハノーファーのロフト。壁や天井を白く仕上げて、よりソフトな印象に。梁を残し、一面だけレンガの壁をむき出しにして、インダストリアルな風合いを効かせています。
天窓のある開放感たっぷりのロフトアパートメント2例。屋根の形がそのまま活かされた天井の窓から、明るい光が降り注ぎます。上はアメリカ、オレンジカウンティの事例では、ハードな素材やパーツが多いなか、木の天井が全体に温かみを与えています。左はドイツ、ハノーファーのロフト。壁や天井を白く仕上げて、よりソフトな印象に。梁を残し、一面だけレンガの壁をむき出しにして、インダストリアルな風合いを効かせています。
格子入りのガラス窓
黒の格子状の枠がはめられたガラス窓も、ロフトアパートメントの特色のひとつ。最初に住居としてこの環境に注目したアーティストたちにとって、何よりも大事なのが自然光がたっぷり入る大きな窓だったのでしょう。(オーストラリア、メルボルン)
黒の格子状の枠がはめられたガラス窓も、ロフトアパートメントの特色のひとつ。最初に住居としてこの環境に注目したアーティストたちにとって、何よりも大事なのが自然光がたっぷり入る大きな窓だったのでしょう。(オーストラリア、メルボルン)
この格子窓はインダストリアルスタイルのデザインアイコンとして、新しく造られた住宅でも盛んに取り入れられるように。白い壁と天井、大きなガラス窓でいつも明るいリビングダイニングです。(イギリス、ロンドン)
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Houzzツアー:ロフトを明るく優しい雰囲気にリノベーション
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窓だけではなく、部屋と部屋の間の扉にこのタイプのガラス扉やガラススクリーンを使っても、ロフトアパートメントらしさが漂います。窓枠と同じ黒をポイントに、優しい色彩のテキスタイルを取り入れた、ハードさとソフトさのバランスが絶妙なインテリア。(アメリカ、ニューヨーク)
オープンな空間を活かしながら、ガラススクリーンでさりげなく空間を区切って。黒の利かせ方が絶妙な、ソフトなインダストリアルスタイルです。(イギリス、ロンドン)
古いものやナチュラルな素材に合わせる、ブラックの旬な効かせ方
古いものやナチュラルな素材に合わせる、ブラックの旬な効かせ方
エレガントな空間にも似合うガラススクリーン。クールなアクセントになります。(スペイン)
ブリックウォール
倉庫や工場を住宅用に住み心地よく改良しながらも、建物の特徴はできるだけそのまま残すのがロフトアパートメントの基本。レンガの壁を一面だけ取り入れれば、インダストリアルな空間独特の無骨な味わいと温かみをもつアクセントになります。(アメリカ、ニューヨーク)
倉庫や工場を住宅用に住み心地よく改良しながらも、建物の特徴はできるだけそのまま残すのがロフトアパートメントの基本。レンガの壁を一面だけ取り入れれば、インダストリアルな空間独特の無骨な味わいと温かみをもつアクセントになります。(アメリカ、ニューヨーク)
白くペイントしたブリックウォールもよく見られます。レンガの風合いはペイントしても残るので、インダストリアルな雰囲気は損ないません。この部屋では、モダンで明るい色の家具が白い壁とよく似合っています。(アメリカ、ニューヨーク)
レンガの壁と天井を白く塗った明るく開放的なキッチン。バックスプラッシュに効かせた黒い壁やメタル製のアイランドカウンターが、空間の個性にぴったり似合っています。
(オーストリア、ウィーン)
(オーストリア、ウィーン)
文字入りのブリックウォールを活かしてリノベーションで窓をつけたロフトアパートメント。歴史を感じさせる書体が、部屋にパワフルなインパクトを与えています。(カナダ、バンクーバー)
レトロで新しい、ブリックウォールのスタイリングアイデア
レトロで新しい、ブリックウォールのスタイリングアイデア
コンクリートやメタル素材の壁
波状のメタルシートをアクセントウォールに使ったインダストリアルなダイニング。天井に木の梁を残し、白くペイントしたブリックウォールと組み合わせ。家具や照明選びも含め、温かみのある風合いとクールでハードな風合いのバランスが取れています。(イギリス、ハンプシャー)
波状のメタルシートをアクセントウォールに使ったインダストリアルなダイニング。天井に木の梁を残し、白くペイントしたブリックウォールと組み合わせ。家具や照明選びも含め、温かみのある風合いとクールでハードな風合いのバランスが取れています。(イギリス、ハンプシャー)
同じコンクリートの壁や配管を残しながら、家具の選び方で印象が変わってきます。
左のアメリカ、デンバーのダイニングはインダストリアルスタイルの特徴を前面に出したハードな印象の空間ですが、上のアメリカ、ロサンゼルスのリビングではコンクリートの壁やむき出しの配管に近い色のソファやラグ、カーテンをあえて選び、ベースをグレイッシュトーンでまとめています。色が近い分、素材感の違いが際立ち、普通のインダストリアルスタイルとはまた違うラグジュアリーな雰囲気を引き出しています。
左のアメリカ、デンバーのダイニングはインダストリアルスタイルの特徴を前面に出したハードな印象の空間ですが、上のアメリカ、ロサンゼルスのリビングではコンクリートの壁やむき出しの配管に近い色のソファやラグ、カーテンをあえて選び、ベースをグレイッシュトーンでまとめています。色が近い分、素材感の違いが際立ち、普通のインダストリアルスタイルとはまた違うラグジュアリーな雰囲気を引き出しています。
柱や梁を大胆に残す
ロフトアパートメントでは、むき出しのままの柱や梁がインテリアのアクセントとなり、広い空間のゾーニングの役割を果たすことも。写真では斜めに走る太い梁がリビングとダイニングエリアを軽く分けています。(アメリカ、サンフランシスコ)
ロフトアパートメントでは、むき出しのままの柱や梁がインテリアのアクセントとなり、広い空間のゾーニングの役割を果たすことも。写真では斜めに走る太い梁がリビングとダイニングエリアを軽く分けています。(アメリカ、サンフランシスコ)
こんなコンクリートあらわしの天井は、日本のリノベーション住宅でもよく見られますね。ダークな木の床や、インダストリアルな空間と相性のいいチェスターフィールドソファと合わせた定番スタイルです。(アメリカ、ヒューストン)
タイムレスデザインの名作椅子:チェスターフィールドソファ
タイムレスデザインの名作椅子:チェスターフィールドソファ
倉庫のエッセンスを残すために天井の梁を残し、壁や床、階段など他の部分にはかなり手を加えたリノベーション。白い空間のクリーンなイメージとほどよいインダストリアルのタッチがしゃれています。(アメリカ、フィラデルフィア)
配管を楽しいアクセントに
ここまでの例でもいくつか出てきているように、天井や壁を縦横に走るむき出しの配管も、ロフトアパートメントのインテリアの特徴。写真のダイニングキッチンのように、一部ペイントすればさらに個性的なアクセントに。照明のレールを含めて、配管がつくり出すラインがまるで立体アートのようです。(イギリス、ロンドン)
インダストリアルスタイルのクールなインテリアスパイス、配管の活かし方
ここまでの例でもいくつか出てきているように、天井や壁を縦横に走るむき出しの配管も、ロフトアパートメントのインテリアの特徴。写真のダイニングキッチンのように、一部ペイントすればさらに個性的なアクセントに。照明のレールを含めて、配管がつくり出すラインがまるで立体アートのようです。(イギリス、ロンドン)
インダストリアルスタイルのクールなインテリアスパイス、配管の活かし方
収納はオープンが基本
ロフトアパートメントでは、収納をあまりつくり込んでしまうとせっかくの開放感が失われるためか、「見せる収納」が主流です。ハードな要素の多い内装の中にあって、住まい手の暮らしぶりを表す温かみのある要素が、チャーミングなポイントに。(イギリス、ロンドン)
ロフトアパートメントでは、収納をあまりつくり込んでしまうとせっかくの開放感が失われるためか、「見せる収納」が主流です。ハードな要素の多い内装の中にあって、住まい手の暮らしぶりを表す温かみのある要素が、チャーミングなポイントに。(イギリス、ロンドン)
この小さな一人暮らし用ロフトアパートメントでは、ベッドルームとリビングエリアを天井までのオープン棚で軽く仕切っています。完全に分けるのではなく、オープン棚で抜け感を残し、ロフトアパートメントらしさを楽しんでいます。棚のポールやシーリング照明、壁のフレームなど、窓枠に合わせて黒で揃えているのもおしゃれ。(ロシア、サンクトペテルブルク)
本好きのオーナーなのか、天井まで積み上げられた本が印象的な部屋。モノトーンのすっきりしたインダストリアルなロフトで、カラフルな本の背表紙がアートのようなアクセントになっています。(イギリス、ロンドン)
インダストリアルスタイルの事例写真をみる
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