My Houzz:家は生き方を反映する――アーティストが暮らすインダストリアルなロフト
1890年築の元工場を改装したロフト。世界中で集めたユニークな雑貨や家具を使った、アーティスティックでインダストリアルな空間をご紹介します。
Chris Dorsey
2015年7月3日
デザイナーでありアーティストでもあるアリーナ・プレシアード (Arina Pleciado)さんは、世界中を旅し、美しいものや創作のきっかけになるものを見つけてくる。インド、スペイン、日本、中東などを訪ね、各地で見つけたハンドメイドの品を輸入し、自分のサイト「ダール・ジタン (Dar Gitane)」で販売。「”dar”はアラビア語で『家』、”gitane”はフランス語で『ジプシー』の意味です。私の生き方を一言で表す造語なんです」とプレシアードさん
彼女が暮らすロフトは、ブルックリンにある1890年代築の建物の中にある。元は工場だったこの建物と同じく、家の中には古いものと新しいものが混在している。「この建物はもとは木工所でした。大型の機械がいくつもあったそうで、床には傷やくぼみが残っています。歴史を感じられるのは素敵なことですよね」とプレシアードさん。
どんなHouzz?
居住者:アリーナ・プレシアードさんと2匹の猫
所在地:ニューヨーク市ブルックリン区のフォートグリーン地区
規模:約185平方メートル、ベッドルーム1、バスルーム(トイレ含む)x1
My Houzzのシリーズをもっと読む
彼女が暮らすロフトは、ブルックリンにある1890年代築の建物の中にある。元は工場だったこの建物と同じく、家の中には古いものと新しいものが混在している。「この建物はもとは木工所でした。大型の機械がいくつもあったそうで、床には傷やくぼみが残っています。歴史を感じられるのは素敵なことですよね」とプレシアードさん。
どんなHouzz?
居住者:アリーナ・プレシアードさんと2匹の猫
所在地:ニューヨーク市ブルックリン区のフォートグリーン地区
規模:約185平方メートル、ベッドルーム1、バスルーム(トイレ含む)x1
My Houzzのシリーズをもっと読む
開放感にあふれるロフト。大きな窓と高い天井のおかげで明るく、気持ちのよい風が抜ける空間だ。「ハンモックの上でゆっくり過ごすことが多いですね。友人の子どもも大のお気に入りです。天井から吊り下げたバーはストレッチに最適です」とプレシアードさん。革製のソファは1960年代のヴィンテージ、立てかけてあるはしごはとある倉庫の廃品をもらってきた。
リビングスペースには大型の薪ストーブがある。インダストリアルな雰囲気にもぴったりだし、冬場には暖房器具としての役割をしっかり果たしてくれる。「全体がオープンな空間で、この床と窓のつくりでは少し寒いのですが、ストーブの火のそばに座ると身体も心もあたたまる居心地のよさが好きです」とプラシアードさんは話す。「煙突は二重断熱の構造になっているので、直接火を焚くことができます。ストーブの火は見た目にもきれいですし、何より暖かいですね。柑橘類の皮をストーブの上に少し載せて、香りが広がるのを楽しんだりしています」
ニューヨーク市内のアパートメントは概して収納が少なく、ここも例外ではない。そこで一角に収納用のスペースを設け、上は寝る場所としても使えるロフトにした。
家のいたるところに世界各地で集めてきたものを飾っている。モロッコで見つけた100年ものの金属製香炉もその1つ。中東へ行ったときに3台手に入れた金属製テーブルの上に置いてある。「これは特にお気に入りですね。セージを入れて焚くと、煙がかすかに立ち上ってとても美しいんです」
壁で囲ったベッドルームをつくり、開口部にはカーテンを取り付けた。カーテンを開ければ光が入り、閉めればプライベートな空間になる。
壁に掛かっている髪を使ったアートも、家を飾るユニークなアイテムの1つ。「織ったり編んだりするのが好きなんです。以前、ある企画で使うために髪を買ったんですが、それが少し余っていました。純粋にきれいだなと思ったので、オブジェとしてつるしてみることにしました」
90年前のダイニングチェアは、手間と愛情をかけて再び使えるようにした。「手に入れたときはかなり傷んでいました。でも、相当年季の入った革でも手入れして保護すれば息を吹き返すとわかったんです。時間と手間はかかりますが、正しく手入れしていくと、古い革も本来の美しさを取り戻せます」とプレシアードさんは話す。
旅先では友人へのおみやげとして、さまざまなスパイス類を買うのだそう。「イランの染料や、固形状のフランキンセンス(乳香)やミルラ(没薬)、金属類、一点もののトレーのような雑貨など、私のサイトにはまだ登場していないものを見つけるようにしています。ウェブサイト用に最初に旅先から持ち帰ったのは、一点もののティーポット数点でしたね」。キッチンのオープン棚の上には、ティーポットのコレクションが並んでいる。
ワークテーブルは木工所時代からここにあったもの。彼女のスタイルにもしっくりなじんでいる。「このワークテーブルも大好きです。木工所だったころから使われていて、前のオーナーが置いていったものです。たぶん、重すぎるからでしょうね。厚さ6ミリほどのスチール製のテーブルトップは丈夫でフラット、耐久性もあって、デザインの作業にぴったりです。いつか引っ越すときがきたら、どうしようかなとは思いますが……。外に運び出せるかどうかわからないので」
「ちょっとした工夫で、家に居心地のよさやあたたかさが生まれるんです」とプレシアードさんは言う。この一角はそんな彼女の哲学が表れたスペースだ。どこかで見つけてきたり自分でデザインしたりしたもの、つまり古いものと新しいものを取り混ぜて、ガラスクローシュ(釣鐘型のガラスケース)に入れて飾っている。
ゆったりとしたバスルームにも彼女らしいスタイルが現れている。世界を巡る旅の軌跡がさりげなく感じられる空間だ。「思い入れがあるものを家に取り入れるのが大事だと思います。家は生きていると私は考えています。そこに暮らす人とともに生き、呼吸している。だからいつだって、美しくかつ使い勝手のいいものをそばに置いておきたいんです」そうプレシアードさんは話してくれた。
こちらもあわせて
ブルックリンスタイルの写真を見る
教えてHouzz
My Houzzのシリーズでは、クリエイティブな暮らしをご紹介しています。素敵な家を建てた方、リノベーションや模様替えをした方は、ぜひHouzz エディトリアルチームまでご連絡ください。ご連絡の方法はこちらをご覧ください。
こちらもあわせて
ブルックリンスタイルの写真を見る
教えてHouzz
My Houzzのシリーズでは、クリエイティブな暮らしをご紹介しています。素敵な家を建てた方、リノベーションや模様替えをした方は、ぜひHouzz エディトリアルチームまでご連絡ください。ご連絡の方法はこちらをご覧ください。
おすすめの記事
ルームツアー (お部屋紹介)
心地よい時間を楽しむ、インダストリアルでモダンな部屋
リビングダイニングを使いやすく、自分らしいインテリアにしたいと考えたオーナー。思い切ってプロにトータルコーディネートを依頼しました。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
建築途中でホテルから居住用に。曲線と土間のあるスタイリッシュな賃貸住宅
コロナ禍で竣工間近のホテル計画が白紙に。それでも、柔軟性のあるデザインによって魅力ある賃貸住宅に変身した、9階建てビルのプロジェクトです。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
パリの20㎡。機能的でおしゃれな賃貸リノベーション
ブルーの壁と賢く計算されたデザインが魅力。パリで暮らす若いプロフェッショナルにぴったりのコンパクトなお部屋です。
続きを読む
My Houzz
小さな子供がいてもおしゃれに。インダストリアルでBOHOな部屋
出産を機に引っ越しをした夫婦。お互いの好みをうまくミックスし、予算内で自分たちらしいインテリアを完成させました。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
My Houzz:日本古典文学の翻訳家マクミランさんが、3匹の愛猫と暮らす家
アイルランド出身の翻訳家・詩人・版画作家のピーター・マクミランさん。3匹の黒猫と同居する築33年の3階建ての自宅兼事務所と、その素敵な暮らしをご紹介します。
続きを読む
片付け
賃貸マンション、賃貸アパート住まいの味方「突っ張り棒」の便利な活用例
便利グッズの定番「突っ張り棒」を使いこなして、賃貸の部屋をもっと便利で快適に、そしておしゃれに変身させましょう!
続きを読む
暮らしのヒント
賃貸の部屋でも使える「壁を傷つけない」便利グッズで、インテリアを楽しもう
壁を上手に利用してインテリアを楽しみたい、でも賃貸だから……とあきらめていた人へ、便利グッズを探して使ってみた筆者のレポートをお届けします。
続きを読む
コーディネート・スタイリング
ひとり暮らし向け、コンパクトな部屋のベーシックコーディネート法
春から新生活がスタートし、初めてひとり暮らしをする人のために、広くない賃貸の部屋を快適な自分のお城にする基本4ステップと役立つヒントをご紹介します。
続きを読む
暮らしのヒント
新生活の最初のステップ、新居の物件探しと内見のポイント
春の新生活に向けて住まいを探す際、気をつけるべき点は? 満足のいく部屋を見つけるための心構えやチェックポイントをまとめました。
続きを読む
世界中のユニークな雑貨やインテリアグッズを上手に取り入れていることに感心しました。一見バラバラにみえるけれどモノのテイストとレベルが同じなのでしっくりなじむのですね。