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My Houzz: 元アトリエの天井高を活かした、宙に浮くボックス空間が心地よい家
天井の高い元アトリエの空間を活用して、高い位置に2つのベッドルームを追加。明るくて風の通る住まいができました。
Victoria Harrison
2017年2月13日
ロンドン西部にある、一風変わった家を購入したトム・スコットさん。もとはアーティストのアトリエだった建物で、1980年代に改装されてオープンプランの住まいになっていたのだが、レイアウトは理想的とは言えず、雑然とした狭苦しい空間だった。しかし、ユニークな建物に可能性を感じたスコットさんは、建築家と工務店に力を借りて、このスペースを工夫に満ちたさわやかな住まいへと大改造するプロジェクトに取りかかった。
どんなHouzz?
住まい手:トム・スコットさんとガールフレンド、幼い娘さん
所在地:ロンドン西部、シェパーズ・ブッシュ
物件:19世紀初頭から半ばごろにアーティストのアトリエとして作られた戸建て
規模:ベッドルーム×2、バスルーム(トイレ含む)×2、延床面積約65平方メートル
設計:〈ペーパー・ハウス・プロジェクト〉
施工:〈トマス・ウェスト・プロパティ・サーヴィシズ〉
設計・施工期間:2015年6月~10月
費用:125,000ポンド
Photos by Ignas Jermosenka
住まい手:トム・スコットさんとガールフレンド、幼い娘さん
所在地:ロンドン西部、シェパーズ・ブッシュ
物件:19世紀初頭から半ばごろにアーティストのアトリエとして作られた戸建て
規模:ベッドルーム×2、バスルーム(トイレ含む)×2、延床面積約65平方メートル
設計:〈ペーパー・ハウス・プロジェクト〉
施工:〈トマス・ウェスト・プロパティ・サーヴィシズ〉
設計・施工期間:2015年6月~10月
費用:125,000ポンド
Photos by Ignas Jermosenka
もとはアーティストのアトリエだったという一風変わった物件。1980年代に改装されて、壁のないオープンなメザニンが2つある、ワンベッドルームの住まいになっていた(こちらの写真は、当時のベッドルーム用メザニンのようす)。この家を購入したトム・スコットさんは、明るい自然光はそのままに、空間をもっとうまく活用し、もう1つベッドルームを増やしたいと考えた。
リノベーションを手伝ってもらうため、スコットさんが推薦されて選んだのが、建築事務所〈ペーパー・ハウス・プロジェクト〉と工務店〈トマス・ウェスト・プロパティ・サーヴィシズ〉だ。
〈ペーパー・ハウス・プロジェクト〉のジェームズ・デイヴィスさんとジョン・ウィアーさんは喜んで設計を引き受けた。「私たちは建物の再活用に力を入れているんです。ユニークな物件に再び命を吹き込むのは、やりがいのある仕事ですね」とデイヴィスさん。「スモールスペースを最大活用するのも得意分野です。」
リノベーションを手伝ってもらうため、スコットさんが推薦されて選んだのが、建築事務所〈ペーパー・ハウス・プロジェクト〉と工務店〈トマス・ウェスト・プロパティ・サーヴィシズ〉だ。
〈ペーパー・ハウス・プロジェクト〉のジェームズ・デイヴィスさんとジョン・ウィアーさんは喜んで設計を引き受けた。「私たちは建物の再活用に力を入れているんです。ユニークな物件に再び命を吹き込むのは、やりがいのある仕事ですね」とデイヴィスさん。「スモールスペースを最大活用するのも得意分野です。」
「建築家に伝えた条件は、周囲から仕切られたベッドルームを2つ作ること。そして、できるだけ光を遮らず明るく保つことです」とスコットさんは言う。
主な改装点のひとつが、2つの「宙に浮かぶ箱」を作ったこと。大きな窓が付いた「箱」は、それぞれがベッドルームになっている。
「完全に閉じられたメザニンにすると圧迫感が強すぎるんです」とデイヴィスさんは言う。「かといって、メザニンをあまり小さくすると寝室の使い勝手が悪くなってしまいます。」
建物の形を大切にし、オリジナルのデザインをできるだけ活用しながら、実用的で安全な空間を作っていく、というバランスが重要になった。
主な改装点のひとつが、2つの「宙に浮かぶ箱」を作ったこと。大きな窓が付いた「箱」は、それぞれがベッドルームになっている。
「完全に閉じられたメザニンにすると圧迫感が強すぎるんです」とデイヴィスさんは言う。「かといって、メザニンをあまり小さくすると寝室の使い勝手が悪くなってしまいます。」
建物の形を大切にし、オリジナルのデザインをできるだけ活用しながら、実用的で安全な空間を作っていく、というバランスが重要になった。
こちらの写真は、オリジナルのメザニン階。この部分が、現在のベッドルームとなっている。
個室の外側は、空間に暖かみと質感を加えてくれるオーク材合板で仕上げている。以前とは異なり、プライバシーも確保できる。「オーク材で仕上げた壁は、この家でいちばん気に入っているところかもしれません」とスコットさんは言う。
光がじゅうぶん入るように、それぞれの個室の壁には大きなガラスパネルを取り入れた。「ベッドルームを閉じ込められたような印象にしたくなかったんです」とスコットさんは言う。
ダイニングエリアにある大きな北向きの窓は、アーティストのアトリエとして使われていた当時の姿を思わせる。以前は厚いカーテンが掛かっていたが(前の写真)、カーテンを取り外し、窓を覆わずに光を最大限に取り入れている。
光がじゅうぶん入るように、それぞれの個室の壁には大きなガラスパネルを取り入れた。「ベッドルームを閉じ込められたような印象にしたくなかったんです」とスコットさんは言う。
ダイニングエリアにある大きな北向きの窓は、アーティストのアトリエとして使われていた当時の姿を思わせる。以前は厚いカーテンが掛かっていたが(前の写真)、カーテンを取り外し、窓を覆わずに光を最大限に取り入れている。
プロジェクトは常にスムーズに進んだわけではなかった。インテリアの作業にかかる以前に、建物自体の構造にもかなり手を加える必要があることが発覚したのだ。天井が雨漏りしており、その影響で壁も傾いていた。
これを解決するため、工務店チームは壁を補強し、屋根を新しくして、家じゅうの床を張り替える作業を行った。また、新しく窓とスカイライトを追加したほか、家の裏側を少し拡張して、マスターベッドルームとつながるバスルーム用のスペースも追加している。
これを解決するため、工務店チームは壁を補強し、屋根を新しくして、家じゅうの床を張り替える作業を行った。また、新しく窓とスカイライトを追加したほか、家の裏側を少し拡張して、マスターベッドルームとつながるバスルーム用のスペースも追加している。
階段の下には、造作の収納戸棚をたくさん用意したほか、冷凍庫付き冷蔵庫を置く場所も確保した。階段の隣、2つ目のベッドルームの下には、コンパクトなキッチンがある。「必要なものをぜんぶ詰め込むのは楽ではありませんでしたが、階段下のスペースに入る冷蔵庫もどうにか見つかりました」とスコットさん。
階段用の空間が広くないため、傾斜を急にする必要があった。そこで取り入れたのが、踏板が互い違いになっている珍しい階段だ。「すぐに慣れますよ。今では駆け足で昇り降りできます」とスコットさんは言う。
階段用の空間が広くないため、傾斜を急にする必要があった。そこで取り入れたのが、踏板が互い違いになっている珍しい階段だ。「すぐに慣れますよ。今では駆け足で昇り降りできます」とスコットさんは言う。
室内で大きな存在感を放っている高い天井は、スコットさんがぜひ残したいと思った部分だ。「建築家に伝えた要望のなかでも重要だったのが、高い天井を残すことでした」とスコットさんは説明する。「狭いスペースで、面積を増やすことは難しくても、この明るさだけはできるだけ強調したかったんです。晴れた日には、すごく広くて明るい部屋のように感じられますよ。」
上階のベッドルームは、シンプルで明るく穏やかな雰囲気だ。設計段階から組み込まれていた作り付け収納で、限られたスペースを効率的に使っている。
大きなガラスパネルを通して、上階の部屋と下階のリビングがつながる。「これだけ小さいスペースなので、家の前側から奥まで視線が通るような設計にすることが重要だったんです」とデイヴィスさんは説明する。「視覚的に部屋どうしがつながっていれば、空間が広く感じられます。とくに斜め方向の見通しをつくることが、空間をより広く感じさせるための鍵になるんです。」
「建築家の協力があったからこそ、この家を大変身させることができました」とスコットさんは言う。「出来上がってみるとシンプルに見えるデザインでも、建築家でなければ思いつかないようなアイデアがたくさん使われています。」
大きなガラスパネルを通して、上階の部屋と下階のリビングがつながる。「これだけ小さいスペースなので、家の前側から奥まで視線が通るような設計にすることが重要だったんです」とデイヴィスさんは説明する。「視覚的に部屋どうしがつながっていれば、空間が広く感じられます。とくに斜め方向の見通しをつくることが、空間をより広く感じさせるための鍵になるんです。」
「建築家の協力があったからこそ、この家を大変身させることができました」とスコットさんは言う。「出来上がってみるとシンプルに見えるデザインでも、建築家でなければ思いつかないようなアイデアがたくさん使われています。」
しかし、このプロジェクトでいちばん驚くべきなのは工期かもしれない。リノベーションがすべて完成するのに要した期間は、わずか3か月。オーナーたちに初めての赤ちゃんが生まれるため、急いで住むところを用意する必要があったというのも、これだけ短期間の作業が実現した一因だ。
「工事中は、すぐ角を曲がったところに家を借りて住んでいたんです」とスコットさん。「ですから、毎日のようにプロジェクトに参加することができました。いくつか解決しなくてはいけない問題もあったんです。建物の周り3方向には家があるので、ときどき出入りが難しいこともありました。」
とはいえ、スケジュール通りに工事は終わり、オーナー一家は2015年10月に引っ越しを完了。それからまもなく、娘さんが誕生した。
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「工事中は、すぐ角を曲がったところに家を借りて住んでいたんです」とスコットさん。「ですから、毎日のようにプロジェクトに参加することができました。いくつか解決しなくてはいけない問題もあったんです。建物の周り3方向には家があるので、ときどき出入りが難しいこともありました。」
とはいえ、スケジュール通りに工事は終わり、オーナー一家は2015年10月に引っ越しを完了。それからまもなく、娘さんが誕生した。
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