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北欧デザイン愛によってよみがえった、イギリスの住まい
1930年代に建てらた住宅を北欧デザインによってリノベーション。その中心となったのは、クライアントが大切にしていたアイテムの数々と、大胆なデザイン手法でした。
Jill Morgan
2023年3月28日
インテリアデザイナーのKatie Malik(ケイティ・マリック)さんが声を掛けられたのは、ハートフォードシャーで売りに出されていた不動産に出会ったというクライアント。実際にはクライアントがこの物件を購入するまでには至りませんでしたが、その代わりにクライアント家族はケンブリッジシャーにあるこの一軒家を見つけたのでした。「建物の内部を見ると、部屋のレイアウトはとても優れていて、動線もよく考えられていました」とケイティさんは言います。「インテリアの造作は古びていて、ご夫婦が希望するスタイルとはまったく違ったものでしたが、この家を良いものにできそうなことははっきりとわかりました」
建物の裏手にある地上階の相当な広さの建て増し部分を除き、この家は20年近くも改修されていませんでした。床は全体的に剥がれたり交換されたりしており、キッチンユニットも修理が必要でした。その他にも浴室の造作は新しくする必要があり、レイアウトについても利用可能なスペースを広げるために改善が必要でした。2020年9月にケイティさんがこの家を見てから3ヶ月後に計画が最終決定され、2021年2月に工事が始まりました。作業開始から7ヶ月後、最初に家を見てからちょうど1年後に工事は完了しました。
建物の裏手にある地上階の相当な広さの建て増し部分を除き、この家は20年近くも改修されていませんでした。床は全体的に剥がれたり交換されたりしており、キッチンユニットも修理が必要でした。その他にも浴室の造作は新しくする必要があり、レイアウトについても利用可能なスペースを広げるために改善が必要でした。2020年9月にケイティさんがこの家を見てから3ヶ月後に計画が最終決定され、2021年2月に工事が始まりました。作業開始から7ヶ月後、最初に家を見てからちょうど1年後に工事は完了しました。
どんなHouzz?
住まい手: 夫妻+娘
所在地:イギリス・ケンブリッジシャー
設計: Katie Malik Design Studio
写真:Maciek Platek
ご夫婦は自分たちの新しい住まいに使いたい色や仕上げ、素材に対して強い考えを持っており、既存のAGAクッカーや化粧板のワークトップを備えたクリーム色のカントリー風キッチンは彼らが望むものではありませんでした。
キッチンのキャビネットは丈夫で作りも良く、またギャレーキッチンのレイアウトはこの空間に適していたため、ケイティさんは骨組みを残し、ユニットの扉と引き出しの前板を新しくすることにしました。既存のAGAクッカーはすっきりとした見た目のIHクッキングヒーターと換気扇に取り替えられ、レンジ下のスペースは深い収納引き出しとして活用されています。オーブンは調理台近くの背の高いユニット内に組み込まれました。
住まい手: 夫妻+娘
所在地:イギリス・ケンブリッジシャー
設計: Katie Malik Design Studio
写真:Maciek Platek
ご夫婦は自分たちの新しい住まいに使いたい色や仕上げ、素材に対して強い考えを持っており、既存のAGAクッカーや化粧板のワークトップを備えたクリーム色のカントリー風キッチンは彼らが望むものではありませんでした。
キッチンのキャビネットは丈夫で作りも良く、またギャレーキッチンのレイアウトはこの空間に適していたため、ケイティさんは骨組みを残し、ユニットの扉と引き出しの前板を新しくすることにしました。既存のAGAクッカーはすっきりとした見た目のIHクッキングヒーターと換気扇に取り替えられ、レンジ下のスペースは深い収納引き出しとして活用されています。オーブンは調理台近くの背の高いユニット内に組み込まれました。
化粧板のワークトップは、耐久性が高く継ぎ目のない大理石調のものに交換されました。この製品はこのスペースに合わせて工場製作することができ、設置も簡単です。また非常に衛生的なため、小さい子どものいる若い家族には非常に適しています。
背の高いユニット:塗装仕上げ『Twilight Zone 2127-10』
ベースユニット:塗装仕上げ『Cement Gray 2112-6』(共にベンジャミンムーア)
ワークトップ:Minerva Work Surface
背の高いユニット:塗装仕上げ『Twilight Zone 2127-10』
ベースユニット:塗装仕上げ『Cement Gray 2112-6』(共にベンジャミンムーア)
ワークトップ:Minerva Work Surface
これまた建物裏手の地上階増築部分の一部であるユーティリティルームは、巧みな作りの実用的なスペースになっています。ダブルドアの冷凍冷蔵庫を組み込んだ背の高い作り付けユニットをランドリーエリアの両側に配置し、中央のユニットには天井の高さを利用してハンガーレールを取り付けました。
家電製品:Samsung
壁:塗装仕上げ『Edgecomb Gray HC-173』(ベンジャミンムーア)
家電製品:Samsung
壁:塗装仕上げ『Edgecomb Gray HC-173』(ベンジャミンムーア)
ご夫婦は、書斎兼くつろぎのためのエリアには、彼らが愛してやまないミッドセンチュリーのモダンデザインを収めたいと強く希望していました。寄木貼りの床や天井まで高さのある作り付けのオープンシェルフ、またレザーの引手や三脚式のフロアランプなどが、居心地の良いクラブルームのような雰囲気をつくり出しています。
もともとあったタイル張りの暖炉と共に、Eames(イームズ)のラウンジチェアとオットマンがこのスペースの主役となっています。
もともとあったタイル張りの暖炉と共に、Eames(イームズ)のラウンジチェアとオットマンがこのスペースの主役となっています。
ご夫婦が前の家から持ち込んだ大型のL字形のソファは彼らが非常に愛着を持っているもので、家族のためのリビングルームの中心をなす存在となっています。
注意深く選ばれた家具や照明器具をモノクロのカラーパレットで強調しつつ、窓周りは抑えたデザインとすることで、外の緑とケンカしないようにしています。
ペンダントランプ:Formakami JH3(Skandium)
注意深く選ばれた家具や照明器具をモノクロのカラーパレットで強調しつつ、窓周りは抑えたデザインとすることで、外の緑とケンカしないようにしています。
ペンダントランプ:Formakami JH3(Skandium)
この住宅の中央部分にあるのは明るく開放的な階段です。ケイティさんは、以前は暗かったこのエリアに可能な限りの自然光を巧みに取り入れるようにデザインしました。透明な強化ガラスのパネルや、薄い色の木製の踏板と蹴込板、またこれらと調和の取れた手すりが、新鮮ですっきりした雰囲気を生み出しています。黒いスチール製のボルトがディテールを加え、この機能的なデザインを引き立てています。
デザイン主導の内装がよく表れているのが、廊下のすっきりしたシンメトリーです。壁掛け式の収納ユニットと組み合わされた鏡は実用性を備えたもので、中央の空間全体に日光を反射し、洗練されたエレガンスを加えています。
ウォールランプ:『Material』
キューブユニット:『Frame 35』(すべてNordic Nest)
ウォールランプ:『Material』
キューブユニット:『Frame 35』(すべてNordic Nest)
この階下のバスルームには、パターンを大胆に取り入れることで強い個性を与えています。白いメトロタイルやネイビーカラーの壁、モノクロパターンの床タイルが、お互いに美しくバランスを取り合い、調和しています。
Walls painted in Old Navy 2063-10, Benjamin Moore. Elm mini basin in Fossil, Kast Concrete Basins.
Walls painted in Old Navy 2063-10, Benjamin Moore. Elm mini basin in Fossil, Kast Concrete Basins.
2階の広々とした踊り場をうまく利用して、オープンタイプの収納が設置されています。庭が眺められる窓の下に設けられているベースキャビネットが、小さな読書コーナーをつくり出しています。
ご夫婦のベッドには、両端が折り返された生地張りのヘッドボードが付いており、控えめでありながらエレガントな雰囲気を添えています。
スチール製のレールから吊り下げられた白い塗装仕上げの引戸は、限られたスペースをうまく利用できるようにするもので、この住まいのリフォーム全体に共通する「機能的なディテール」というテーマを強調する要素となっています。
木製の飾り棚とエンジニアードウッドの床が空間に温かみを与えています。
スチール製のレールから吊り下げられた白い塗装仕上げの引戸は、限られたスペースをうまく利用できるようにするもので、この住まいのリフォーム全体に共通する「機能的なディテール」というテーマを強調する要素となっています。
木製の飾り棚とエンジニアードウッドの床が空間に温かみを与えています。
ほとんどの家族向け住宅と同様に、収納は重要な検討事項でした。十分な量の収納を、各部屋にシームレスかつ注意深く一体化させることは、穏やかで落ち着きのある雰囲気を実現する上で非常に重要でした。
主寝室と一続きになったシャワールームは改修と配置の見なおしが必要でした。カプチーノカラーの壁タイルやコンクリート製の洗面台、黒い真鍮金物がこの空間にすっきりとした印象を与えつつ、温かみがあり心地よい雰囲気を作り出しています。
シャワー室の壁をふかすことで、配管を巧みに隠すだけでなく、バス用品を置くためのニッチをデザインすることが可能になりました。
シャワー室の壁をふかすことで、配管を巧みに隠すだけでなく、バス用品を置くためのニッチをデザインすることが可能になりました。
2階の子ども部屋は中間色の色使いやシンプルな白い家具によって、開放的で安らぎを与えるような雰囲気に仕上げました。
家族のためのバスルームも改修が必要でした。スペースが細く長いため、レイアウトが難しいという問題がありましたが、ケイティさんは高さが半分の袖壁を2つ用いてスペースを区分けることでこの問題を解決しました。これらの壁によってプライバシーを確保し、トイレを戸口から隠しつつ、利用可能な壁のスペースを増やし、浴室エリアにくつろいだ雰囲気を加えています。
コントラストをきかせた床のタイルが、2つのスペースの区分を強調します。
コントラストをきかせた床のタイルが、2つのスペースの区分を強調します。
右側の袖壁の背後には壁付けの洗面台があり、基本的な収納スペースを備えています。黒い真鍮金物と照明器具は、ご夫婦の北欧デザイン愛を強調するもので、大理石調の壁タイルによく映えます。黒い目地も全体の仕上げを引き締めています。
転用したロフトにはゲストルームが含まれています。シャワールームは白いメトロタイルと黒の目地で仕上げ、装飾的になり過ぎないながらもディテールを加えています。
真鍮の金物がラグジュアリーな雰囲気を添えつつ、この家の他の水回りよりも柔らかな雰囲気を生み出しています。ビンテージ風の仕上げも、フローリングの暖かいトーンを強調しています。
この家のオーナーは、彼女自身のための隠れ家的なスペースを強く希望していました。そこでロフトの寝室内に、縁を巻き込んだ脚付きのロールトップバスタブ(フチを巻き込んだ浴槽)を設置することを決めました。天窓の下に置かれたこの浴槽には窓から光が満たされ、空を眺めながらくつろぐことができます。
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