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1年中快適。パッシブソーラーデザインのモダンな家
シドニーにある間口3.8メートルほどのテラスハウスには、涼しいそよ風と暖かい日射し、そして洗練されたインテリアを照らす明るい光があふれていました。
Rebecca Gross
2020年2月28日
ニューサウスウェールズ州シドニーの西部に位置するこのモダンな住宅は、長年にわたり大幅に改造されてきたテラスハウスのあった場所に建てられました。
オーナーは、採光・換気・熱性能・機能性を改善すべく、アンダーソン・アーキテクチャーに、パッシブソーラーデザインに基づくサステナブルな住宅の設計を依頼することにしました。「パッシブ(受動的)かつ高い保温性、環境的にも高い性能を持つ家を作ることが、このプロジェクトのメインテーマでした」と語るのは、同社の取締役であるサイモン・アンダーソンです。
オーナーは、採光・換気・熱性能・機能性を改善すべく、アンダーソン・アーキテクチャーに、パッシブソーラーデザインに基づくサステナブルな住宅の設計を依頼することにしました。「パッシブ(受動的)かつ高い保温性、環境的にも高い性能を持つ家を作ることが、このプロジェクトのメインテーマでした」と語るのは、同社の取締役であるサイモン・アンダーソンです。
写真:トム・ファーガソン
どんなHouzz?
住まい手:カップル
場所:ニューサウスウェールズ州・シドニー
敷地面積:140平方メートル(ベッドルーム2部屋、バスルーム2つを含む)
設計:アンダーソン・アーキテクチャー
施工:インビュー・ホームズ
ランドスケープ設計:ゲコ・プラントスケープズ
既存のテラスハウスには建築的な歴史遺産価値がほとんどなかったため取り壊すことになったものの、新築する際に、以前のテラスハウスの趣を残すよう、行政から要求がありました。
アンダーソン・アーキテクチャーは、屋根付きポーチや突き出したバルコニーなどの特徴を取り入れることで、伝統的な外観を残した現代版テラスハウスを設計しました。
ゲコ・プラントスケープズのロビー・レヌがフロントヤードの壁に作ったミツバチの巣には、在来種のミツバチが少しずつ集まり始めています。
クラディング:アントラジンク(VMZinc社)
玄関ドア:FSC認定ブラックバット材
どんなHouzz?
住まい手:カップル
場所:ニューサウスウェールズ州・シドニー
敷地面積:140平方メートル(ベッドルーム2部屋、バスルーム2つを含む)
設計:アンダーソン・アーキテクチャー
施工:インビュー・ホームズ
ランドスケープ設計:ゲコ・プラントスケープズ
既存のテラスハウスには建築的な歴史遺産価値がほとんどなかったため取り壊すことになったものの、新築する際に、以前のテラスハウスの趣を残すよう、行政から要求がありました。
アンダーソン・アーキテクチャーは、屋根付きポーチや突き出したバルコニーなどの特徴を取り入れることで、伝統的な外観を残した現代版テラスハウスを設計しました。
ゲコ・プラントスケープズのロビー・レヌがフロントヤードの壁に作ったミツバチの巣には、在来種のミツバチが少しずつ集まり始めています。
クラディング:アントラジンク(VMZinc社)
玄関ドア:FSC認定ブラックバット材
このテラスハウスが立つ土地は、幅最大3.8メートルの狭小かつ急勾配であり、家の裏側が北西に面しています。「家の奥まで光と換気が行き届くようにして、空間感覚をめいっぱい広げることが課題でした」とアンダーソン。家の裏側では、特徴的な傾斜を持った屋根が、高い境界壁とのバランスを取っています。
「隣家のレンガ壁を活かすために屋根に傾斜をつけたおかげで、内部に大空間を得ることができたんです」とアンダーソンは話します。「このレンガ壁がなければこの空間は生まれなかったのですが、皮肉なことに、のちにこの隣家は再開発されることになり、レンガの壁は壊してもよいことになってしまったんです」
「隣家のレンガ壁を活かすために屋根に傾斜をつけたおかげで、内部に大空間を得ることができたんです」とアンダーソンは話します。「このレンガ壁がなければこの空間は生まれなかったのですが、皮肉なことに、のちにこの隣家は再開発されることになり、レンガの壁は壊してもよいことになってしまったんです」
傾斜した高い屋根の形状により生まれた大空間には、地下にリビング、ダイニング、キッチン、一階にライブラリー、書斎、ランドリー兼バスルームがあり、最上階にベッドルーム2部屋とバスルームがあります。
土地が傾斜しているため、玄関は三階建ての真ん中の階にあります。通風のために玄関ドアの延長線上に設置されたスケルトン階段は、一階と三階へ続きます。
ウォークインパントリーの上にある中二階は、本棚・読書スペース・通路として機能します。オープンな手すりからは、リビングルーム越しに中庭と空を眺めることができます。
最上階には、通りに面した主寝室と、裏手に面した来客用ベッドルームがあります。
床:サネ加工FSC認定ブラックバット材
床:サネ加工FSC認定ブラックバット材
猛暑日には建具上部に設置されたエアコンを利用しますが、通常は外からの風とファンで部屋を充分涼しく保つことができます。
バスルームと廊下の天井には開閉可能なトップライトを設け、昼には明るさを確保し、夜には家の熱気を外に放出できるようになっています。
「これら全てのパッシブソーラーデザインの手法を組み合わせたことで、この家はNatHERS(オーストラリアの住宅エネルギー評価スキーム)で8つ星を獲得しました」とアンダーソンは言います。
「これら全てのパッシブソーラーデザインの手法を組み合わせたことで、この家はNatHERS(オーストラリアの住宅エネルギー評価スキーム)で8つ星を獲得しました」とアンダーソンは言います。
一階、地下一階ともに、床は金ゴテ仕上げに浸透性シーラーを施した、グリーンスター規格の打ち放しコンクリートスラブです。
「この複雑なディテールが特徴的な階段は、プロの設計家と熟練した職人とのコラボによって生まれた、高い技術の賜物です」とアンダーソン。
オーナーは、美味しい料理で人をもてなすことが大好き。家の中心的スペースである地下一階のキッチンには、広いアイランドキッチン、長いワークトップ、ウォークインパントリーがあります。
キッチンの写真をもっと見る
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オーナーにとって使いやすい、ベストな配置を決めるなど、スペースの効率化は入念に考えられました。たっぷりとした作業スペースのあるアイランドキッチンには、動線を妨げないよう出し入れできるゴミ箱が、作業スペースの片側に備えられています。
ワークトップ: シーザーストーン
ワークトップ: シーザーストーン
壁側のワークトップにはシンクと、その横に食洗機を設置しました。食洗機近くにカトラリー用の引き出しと食器棚を設け、洗ったものはすぐに決まった場所へしまうことができます。
ウォークインパントリーには小型の電化製品が設置されているほか、調理器具や乾物なども保管されています。
高窓とトップライトからは、自然光がたっぷりと注ぎます。キッチンとリビングの壁にはアッパーライトが備え付けられ、吹抜の高い天井を照らすことで、空間の広がりを効果的に見せることができます。
「これらの照明は十分明るさがあり、天井に光を反射させることで、空間を美しく柔らかなイメージにしてくれるのです」とアンダーソン。
高窓とトップライトからは、自然光がたっぷりと注ぎます。キッチンとリビングの壁にはアッパーライトが備え付けられ、吹抜の高い天井を照らすことで、空間の広がりを効果的に見せることができます。
「これらの照明は十分明るさがあり、天井に光を反射させることで、空間を美しく柔らかなイメージにしてくれるのです」とアンダーソン。
リビングの窓とガラスドアからは、日光がさんさんと降り注いでいます。隣家との共有壁には、コンクリートの断熱壁パネルを使用。太陽の熱を吸収して、夜間に家中に放熱する効果があります。コンクリート製の床にも同様の効果があり、冬季には埋込式温水暖房も使用可能です。
これらのコンクリートのサーマルマスのおかげで、家の中は季節を問わずいつも快適です。窓のブラインドと通風および温度差換気があれば、真夏でも室温は27度を超えません。
暑さ対策の定番、グリーンカーテンとつる植物の基礎知識
これらのコンクリートのサーマルマスのおかげで、家の中は季節を問わずいつも快適です。窓のブラインドと通風および温度差換気があれば、真夏でも室温は27度を超えません。
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リビングエリアと中庭は、緑豊かな背景となる壁面緑化を実現。リサイクル製品で作られ、在来昆虫の多様性を促進するために、在来植物が植えられています。
この壁は客室、簡易キッチン、バスルームを備えた離れの南側に設置されています。 その下には独立したガレージがあり、トイレと庭に接続されている2,500リットルの雨水タンクが完備されています。
Houzzツアー(お宅訪問)記事をもっと読む
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