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無垢材の表情を引き出す匠の技「名栗」とは?
名栗技法による削り痕は、無垢材に柔らかな質感を与えてくれます。日本の伝統的な職人の手仕事が取り入れられた現代の住まいの事例を、Houzzでみていきましょう。
杉田真理子
2019年9月8日
数寄屋建築などに欠かせない「名栗技法」は、木材板の表面に道具の痕跡を残し、それを意匠的な味わいとする伝統的な技法です。名栗が施された木材は、素材の魅力がより引き出され、伝統的な和風建築だけでなく、現代住宅とも相性が良いとされています。名栗技法を取り入れた事例を、Houzzから集めてみました。
名栗技法とは
「名栗(なぐり)」という名前の由来は、天保年間にまでさかのぼると言われており、古くから、門扉等の門材や垣、腰板などに施されてきました。その名の通り、光沢のあり木目の美しい栗材に施されてきましたが、現在ではさまざまな種類の木材が使用されています。
伝統的な手作業で行われる場合は、刃の形や大きさ、職人の熟練度によって、仕上がりの表情に個性が生まれます。
「名栗(なぐり)」という名前の由来は、天保年間にまでさかのぼると言われており、古くから、門扉等の門材や垣、腰板などに施されてきました。その名の通り、光沢のあり木目の美しい栗材に施されてきましたが、現在ではさまざまな種類の木材が使用されています。
伝統的な手作業で行われる場合は、刃の形や大きさ、職人の熟練度によって、仕上がりの表情に個性が生まれます。
素材を楽しむ、という美意識
名栗技法が生み出された当初は、あくまでも木材の下処理であり、それだけ単体で意匠として楽しまれることはありませんでした。この加工を意匠として採り入れたのは、かの千利休と言われています。
削り跡を残し、木目を際立たせることで、素材そのものの魅力を表舞台に引き出し、ディテールに華をプラスしてくれるこの技法。華美に表面を飾り立てるのではなく、素材の魅力そのものを最大限に引き出して慈しむ考え方は、わび・さびを尊んだ千利休ならではです。
釿を使った名栗加工には、大きく分けて「山なぐり」と「化粧なぐり」の2種類が存在します。山なぐりは、山で木を伐採したのち、丸太の表皮や白太など余分な部分を削ったもの。現在も、門柱や小屋梁などで見かけることができます。化粧なぐりは、角材や板材の表面を削ったものです。
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名栗技法が生み出された当初は、あくまでも木材の下処理であり、それだけ単体で意匠として楽しまれることはありませんでした。この加工を意匠として採り入れたのは、かの千利休と言われています。
削り跡を残し、木目を際立たせることで、素材そのものの魅力を表舞台に引き出し、ディテールに華をプラスしてくれるこの技法。華美に表面を飾り立てるのではなく、素材の魅力そのものを最大限に引き出して慈しむ考え方は、わび・さびを尊んだ千利休ならではです。
釿を使った名栗加工には、大きく分けて「山なぐり」と「化粧なぐり」の2種類が存在します。山なぐりは、山で木を伐採したのち、丸太の表皮や白太など余分な部分を削ったもの。現在も、門柱や小屋梁などで見かけることができます。化粧なぐりは、角材や板材の表面を削ったものです。
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和風建築にも、モダン建築にも
木材の表面に削り痕を残す技法そのものは現代的なデザインの住宅にもマッチさせることができます。一口に名栗加工といっても、スプーンで削り取ったような丸みをおびたものや、直線的に切り取られ、シャープで規則性のあるもの、うろこ状のものなど、その模様や粒度はさまざまです。
表面に波状の凹凸をつけ、立体的でダイナミックな表情をつけているものもあります。伝統的な手作業で削ったものは、箇所によって表情が異なり、他にはないオリジナリティを楽しむことができます。
木材の表面に削り痕を残す技法そのものは現代的なデザインの住宅にもマッチさせることができます。一口に名栗加工といっても、スプーンで削り取ったような丸みをおびたものや、直線的に切り取られ、シャープで規則性のあるもの、うろこ状のものなど、その模様や粒度はさまざまです。
表面に波状の凹凸をつけ、立体的でダイナミックな表情をつけているものもあります。伝統的な手作業で削ったものは、箇所によって表情が異なり、他にはないオリジナリティを楽しむことができます。
素足で歩きたくなる、名栗フローリング
無垢材に名栗技法を施したフローリングは、裸足で歩くとさらりと心地よく、やさしい質感があります。表面に凹凸があることで、陽射しや照明が当たることによって陰影を生みだし、空間に深みと躍動感、リズム感をもたらすことができます。
無垢材に名栗技法を施したフローリングは、裸足で歩くとさらりと心地よく、やさしい質感があります。表面に凹凸があることで、陽射しや照明が当たることによって陰影を生みだし、空間に深みと躍動感、リズム感をもたらすことができます。
カウンターや家具などのポイント使いにも
名栗加工は、フローリングだけでなく、階段やカウンター、玄関など、お好きな部材にも加工が可能です。フロア全体に加工を施すのが不安な場合は、小面積のワンポイントで試してみるのも良いでしょう。
名栗加工が施された家具も存在します。木材のベンチや椅子の座面に名栗加工を施せば、独特の滑らかな座りごごちを楽しめます。シンプルなデザインでも、名栗加工を活用することで、個性的な魅力を空間にプラスすることができます。
名栗加工は、フローリングだけでなく、階段やカウンター、玄関など、お好きな部材にも加工が可能です。フロア全体に加工を施すのが不安な場合は、小面積のワンポイントで試してみるのも良いでしょう。
名栗加工が施された家具も存在します。木材のベンチや椅子の座面に名栗加工を施せば、独特の滑らかな座りごごちを楽しめます。シンプルなデザインでも、名栗加工を活用することで、個性的な魅力を空間にプラスすることができます。
畳の周りの地板に最適
畳の周りの地板も、名栗加工を施すのにぴったりな場所です。シンプルな和室に、他にはないディテールをさりげなくプラスすることができ、床の間もぱっと華やぎます。
畳の周りの地板も、名栗加工を施すのにぴったりな場所です。シンプルな和室に、他にはないディテールをさりげなくプラスすることができ、床の間もぱっと華やぎます。
無垢の表情と職人の技を楽しむ
無垢だからこその木材の魅力を引き出す名栗技法。現在は機械で装飾が施されていることもありますが、かつては職人技として、全てが手作業で行われていました。逆目やささくれを作ることなしに削り、自然の風合いを残すのは簡単なことではありません。
現在、名栗加工ができる職人は、減りつつあると言われています。自然素材を大切にする日本の伝統と職人技術を後世に引き継ぐためにも、家づくりの際に名栗技法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
三和土とは?本格的な土間のつくりかた
施主である左官職人とのコラボレーションで生まれた、こだわりの和モダン住宅
無垢だからこその木材の魅力を引き出す名栗技法。現在は機械で装飾が施されていることもありますが、かつては職人技として、全てが手作業で行われていました。逆目やささくれを作ることなしに削り、自然の風合いを残すのは簡単なことではありません。
現在、名栗加工ができる職人は、減りつつあると言われています。自然素材を大切にする日本の伝統と職人技術を後世に引き継ぐためにも、家づくりの際に名栗技法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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