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三和土とは?本格的な土間のつくりかた
三和土とは?セメントでつくる土間と何が違うのか?実際の作業工程の写真とともにご紹介します。

安井俊夫
2023年5月17日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
「三和土」と書いて「たたき」と、読みます。不思議な読み方ですよね。ですが本当の「たたき」を知ると、その読み方にも納得されると思います。今回は「三和土」のつくり方をご説明しながら、そのメリット・デメリットなども触れていきましょう。
三和土は土間の一つ
三和土と土間を混同される方もいますが、三和土は土間の一つです。
土間の定義を簡単に説明すると、地面より一段高く靴を脱いで歩く場所を「床」と呼び、地面と同じ高さで靴のまま歩く場所を土間と理解していただけると良いでしょう。三和土はその土間の一つで、他にはコンクリート土間やモルタルで仕上げられた土間、あるいはタイルが貼られた土間もあります。土間をつくる素材などで区別されていると考えれば理解しやすいでしょうか。
三和土と土間を混同される方もいますが、三和土は土間の一つです。
土間の定義を簡単に説明すると、地面より一段高く靴を脱いで歩く場所を「床」と呼び、地面と同じ高さで靴のまま歩く場所を土間と理解していただけると良いでしょう。三和土はその土間の一つで、他にはコンクリート土間やモルタルで仕上げられた土間、あるいはタイルが貼られた土間もあります。土間をつくる素材などで区別されていると考えれば理解しやすいでしょうか。
元々は汚れやすい場所に採用された
土間は本来、家の中で汚れやすい場所に採用された仕上げで、掃除をしやすいよう、水洗いや水拭きが可能なように考えられていました。例えばトイレや浴室、玄関などがその良い例ですが、現代の住宅で土間と呼べるのは玄関ぐらいかもしれません。
今回は玄関に広い三和土を設けた家の工事の様子を見ながら、ご説明します。
土間は本来、家の中で汚れやすい場所に採用された仕上げで、掃除をしやすいよう、水洗いや水拭きが可能なように考えられていました。例えばトイレや浴室、玄関などがその良い例ですが、現代の住宅で土間と呼べるのは玄関ぐらいかもしれません。
今回は玄関に広い三和土を設けた家の工事の様子を見ながら、ご説明します。
- 赤土+石灰+にがりの3種類を混ぜる
赤土を使う理由ですが、赤土は陶器の材料にも使われるほど粒子が細かく、水分を含むと適度な粘り気が出ることもあり、加工がし易い事が挙げられます。硬化すれば水にも耐性を持ち、傷や凹みにも強いからでしょう。
また水と石灰を混ぜると固まるので、そこに赤土を加えた物が玄関の土間などには使いやすかったのだと思います。
- 砂で下地を作る
この家の場合、三和土を設えた玄関だけは、基礎の耐圧板(ベタ基礎の底板部)を設けませんでした。つまり下は地面で、そこに砂を敷き詰めて均しています。こうすることによって、一年中温度変化の少ない地熱の恩恵を受けられると考えました。
コンクリートやタイルを張った土間の場合、地中とは繋がっていないので、そもそも「地熱の恩恵」などと言う発想は生まれません。どんな土間を選択するのかは、その目的からも影響を受けるのだと思います。
- 1層目は下地作りとして敲く
- 2層目は仕上げとして敲く
この時、材料が固すぎれば乾燥時に割れてしまいますが、柔らかすぎても割れてしまいます。目安は赤土を握ると、くっ付いてまとまる程度の固さが目安です。
- 仕上げは凹凸の無いことを意識して
材料の配合量ですが、正確には決まっていないのが実情のようです。使用される赤土や石灰の状態に拠っても変わるため、三和土をつくる職人の感で配合量を調整するからです。それでも大まかな目安を言うとすれば、土3、石灰1、にがり0.5くらいでしょうか。これは土が固まるための最低の配合量だと理解して下さい。
ちなみに「にがり」と書いてきましたが、現場では「塩化カルシウム」と呼ばれています。
受け継がれる伝統工法として
コンクリートやモルタルが出来る前、大抵の家の玄関はこの三和土でつくられていました。明治初期にセメントの普及が高まると、三和土は急激にその姿を消していきました。現在でも、コンクリートやモルタルを仕上げとした土間のある家は見掛けますが、本格的な三和土のある家を見る機会は無くなりました。
その理由の一つに、キチンとした三和土をつくろうとすると、費用が掛かるからです。何せ、手間と時間、それに作業員を必要とします。
また、傷に強いと言っても、コンクリートのそれには及びません。さらに言えば経年変化により、表面に凸凹も生じます。ですがそんなマイナス点を全て受け入れられるならば、三和土は住み手の成長と共に、その家だけの独特の変化をする仕上げです。また地熱の恩恵を受けることも出来るでしょう。
伝統工法を利用した古民家のような建物だけでなく、これからつくられる新しい家にも、三和土の採用に関して、建築家に一度相談されてみては如何でしょう。
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コンクリートやモルタルが出来る前、大抵の家の玄関はこの三和土でつくられていました。明治初期にセメントの普及が高まると、三和土は急激にその姿を消していきました。現在でも、コンクリートやモルタルを仕上げとした土間のある家は見掛けますが、本格的な三和土のある家を見る機会は無くなりました。
その理由の一つに、キチンとした三和土をつくろうとすると、費用が掛かるからです。何せ、手間と時間、それに作業員を必要とします。
また、傷に強いと言っても、コンクリートのそれには及びません。さらに言えば経年変化により、表面に凸凹も生じます。ですがそんなマイナス点を全て受け入れられるならば、三和土は住み手の成長と共に、その家だけの独特の変化をする仕上げです。また地熱の恩恵を受けることも出来るでしょう。
伝統工法を利用した古民家のような建物だけでなく、これからつくられる新しい家にも、三和土の採用に関して、建築家に一度相談されてみては如何でしょう。
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