おしゃれに高気密高断熱を実現。夏は涼しく、冬は暖かい住まい
外断熱+充填断熱のダブル断熱に加え、自然エネルギーを最大限に使用。サステナブルで心地よい家が実現しました。
杉田真理子
2019年9月2日
京都府長岡京市を中心に活動する、建築家・田代ゆかりさん。この愛着のある長岡京に、念願の高気密高断熱の事務所兼自邸を構えることを決めた。「もともと寒がりな体質なので、自邸を建てるなら、高気密高断熱の家にしたい思っていました。結果、冬に暖かいことはもちろん、夏も涼しく快適で、体調が整い、仕事も家事も捗っています」と田代さん。快適さへのこだわりがつまった住まいを訪ねた。
どんなHouzz?
住まい手:建築家・田代ゆかりさん一家
所在地:京都府長岡京市
敷地面積:85.14㎡
建築面積:55.22㎡
延床面積:107.53㎡
構造:木造(在来軸組工法)
設計:アプリコット建築研究所
施工:快成建設株式会社
竣工時期:平成29(2017年)年3月
真夏の京都。玄関に足を踏み入れると、極暑の外気とは一切無縁な、さらりとした室内が迎えてくれた。「京都は、夏は非常に暑く、逆に冬は寒いやっかいな場所です。今までの住まいでは、そうした気温差に身体が参ってしまって、疲れやすい体質になっていたと思います」と田代さんは当時を振り返る。
玄関から右手に進むと、すっきりとナチュラルな雰囲気が心地良い事務所がある。床には、無垢のパーチ材を使用。メープルに似た、独特な可愛らしい模様が魅力だ。
住まい手:建築家・田代ゆかりさん一家
所在地:京都府長岡京市
敷地面積:85.14㎡
建築面積:55.22㎡
延床面積:107.53㎡
構造:木造(在来軸組工法)
設計:アプリコット建築研究所
施工:快成建設株式会社
竣工時期:平成29(2017年)年3月
真夏の京都。玄関に足を踏み入れると、極暑の外気とは一切無縁な、さらりとした室内が迎えてくれた。「京都は、夏は非常に暑く、逆に冬は寒いやっかいな場所です。今までの住まいでは、そうした気温差に身体が参ってしまって、疲れやすい体質になっていたと思います」と田代さんは当時を振り返る。
玄関から右手に進むと、すっきりとナチュラルな雰囲気が心地良い事務所がある。床には、無垢のパーチ材を使用。メープルに似た、独特な可愛らしい模様が魅力だ。
事務所の隅に、半分地下に埋め込まれたエアコンを見つけた。「エアコンは、1階と2階に1台ずつ置いています。暖かい空気は上に登り、冷たい空気は下に移動するので、1階のエアコンは暖房をメインに使用します。これで自然に、優しく全館空調されます。」と田代さん。いつも家中が小春日和のような快適な温度で、外が寒い日に間違って薄着で出かけてしまうことも多いという。
高気密高断熱住宅のメリットのひとつは、このエネルギー効率だ。「冷暖房を24時間つけっぱなしでも、光熱費は今まで住んでいた住宅の半分以下になりました」と田代さん。太陽光パネルも採用し、自然エネルギーを極力使用するサステイナブルさにもこだわった。
エアコンが半分下に埋め込まれているのにも、理由がある。「通常の高気密高断熱住宅では、床下すぐに断熱材を敷くことが多いのですが、この家では、基礎構造をぐるりと囲む形で断熱材を設けています。エアコンを半分地下に潜らせ、暖かい空気、もしくは涼しい空気を床下に流し、断熱材でぐるりと囲むことで、床下も居住空間と同じ温度となります。なので、冬は、床暖房が入っているかのように、床下からじんわりと暖かいんです」と田代さんは説明する。
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高気密高断熱住宅のメリットのひとつは、このエネルギー効率だ。「冷暖房を24時間つけっぱなしでも、光熱費は今まで住んでいた住宅の半分以下になりました」と田代さん。太陽光パネルも採用し、自然エネルギーを極力使用するサステイナブルさにもこだわった。
エアコンが半分下に埋め込まれているのにも、理由がある。「通常の高気密高断熱住宅では、床下すぐに断熱材を敷くことが多いのですが、この家では、基礎構造をぐるりと囲む形で断熱材を設けています。エアコンを半分地下に潜らせ、暖かい空気、もしくは涼しい空気を床下に流し、断熱材でぐるりと囲むことで、床下も居住空間と同じ温度となります。なので、冬は、床暖房が入っているかのように、床下からじんわりと暖かいんです」と田代さんは説明する。
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事務所横の造作洗面所は、すっきりとしたシンクとタイルの組み合わせが美しい。
玄関から左手の階段を登ると、居住空間である2階へと繋がる。玄関脇には、給気・排気を行う熱交換型の換気扇がついており、窓を開けることなく、室内に新鮮な空気をいつでも取り込んでくれる。
階段を登り、すっきりとした収納棚が壁に沿って伸びる通路を抜けると、開放的なリビングダイニングが広がる。南向きの窓から自然光がふんだんに差し込み、ナチュラルに統一された室内とマッチして、明るい雰囲気だ。
キッチンを中心に、ぐるりと囲むように導線がしかれている。「収納場所は決して多くありませんが、効率的に家事を行えるよう、ゴミ箱やパントリーの位置を計算しました」と田代さん。キッチンにはナチュラルな木材のダイニングテーブルを併設し、料理したものをすぐに机のうえに出すことができる。
屋根は斜めに切り取り、北側にも窓を設けることで風通しをよくした。ロフトスペースは、シーズンものの収納に使用している。
断熱材に穴を開けないため、天井への照明の設置はさけ、代わりに随所に間接照明を配置した。ナチュラルな色合いの灯りが、部屋全体を暖かく照らす。
屋根は斜めに切り取り、北側にも窓を設けることで風通しをよくした。ロフトスペースは、シーズンものの収納に使用している。
断熱材に穴を開けないため、天井への照明の設置はさけ、代わりに随所に間接照明を配置した。ナチュラルな色合いの灯りが、部屋全体を暖かく照らす。
冬は、南向きの窓から太陽光をふんだんに取り込む。トリプルサッシの西側・北側の窓と異なり、南側の窓はあえて少なめのダブルサッシ。太陽熱を少しでも多く取り込めるよう、工夫した。「冬は太陽光が暖房がわりになるので、暖房なしで過ごすことも多いんです」と田代さん。「”もったいない”といって冷暖房を我慢する人がいますが、家ではやはり、快適に過ごしたいもの。我慢をせず、かつ省エネで快適さを追求することができたら、最高ですよね」
住み心地を左右する窓の種類と選び方
住み心地を左右する窓の種類と選び方
キッチンは、「できるだけ楽をした、見せる収納」を心がけたという。手間をかけることなく綺麗に保つため、フライパンや調理器具などを、洗った後にさっとかけられるよう、収納のあり方を計算した。
リビングダイニングから繋がる脱衣所兼お風呂場は、あえて南向きとした。南向きの窓に加え、リビングとの仕切りにも適度に隙間を設け、空気が流れる仕掛けを作った。このため、湿気がこもることはない。
「高気密高断熱住宅は、お風呂上がりも寒くないのが、本当に快適です」と田代さん。
「高気密高断熱住宅は、お風呂上がりも寒くないのが、本当に快適です」と田代さん。
新築に限らず、リノベーションでも高気密高断熱住宅は可能だ。「初期投資は確かに通常の住宅よりも高いかもしれませんが、長期的な視点で見ると、光熱費も下がりますし、何よりも圧倒的に快適です。メリットばかりですね」と田代さんは説明する。
阪神大震災時、西宮に住んでいた田代さんは、高耐震にも気をつけている。「地震の恐ろしさや、それに耐えうる建物の耐久性の大切さを、身を持って実感しました」と語る田代さんは、間取りの設計段階から、地震時の揺れのあり方を考慮したと言う。壁体内や屋根の通気、計画換気にも配慮し、建物の劣化を最小限に防ぐ工夫も施した。
高気密高断熱住宅に加え、耐震性・耐久性も高い田代さんの自邸。「快適さ」にとことんこだわったからこそ実現した、良いことづくめの理想郷だ。
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阪神大震災時、西宮に住んでいた田代さんは、高耐震にも気をつけている。「地震の恐ろしさや、それに耐えうる建物の耐久性の大切さを、身を持って実感しました」と語る田代さんは、間取りの設計段階から、地震時の揺れのあり方を考慮したと言う。壁体内や屋根の通気、計画換気にも配慮し、建物の劣化を最小限に防ぐ工夫も施した。
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おはようございます。
「できるだけ楽をした、見せる収納」のお写真、Houzzに限らずインテリアの写真を掲載したものは沢山ありますが、普段使っているそのままを切り取ったようなお写真で、他の部分の白木を使ったインテリアと相まって本当にナチュラルな感じがしました。
ところで、パッシブエネルギータイプの家に熱交換型の換気扇を付けるのは、やはり効果的なのだと京都の夏と冬を軽やかに乗り切れるというお話を読んで改めて感じました。
素敵なお宅の紹介、どうもありがとうございました。
白い壁と白木を基調にした、すっきりと洗練されたデザインですね。女性の建築家さんらしい柔らかなデザインと動きやすい導線計画は暮らしていてストレスなく居心地良さそうで大変気に入りました。デザインだけでなく、建物のエネルギー効率が高いため京都のように夏は暑いけれど冬は寒い地域には大変適した住宅だと思います。耐震性という家づくりをする上で実は一番大切な部分にもしっかり対応されているのも良いですね。
バランスのとても良い素晴らしい住宅のご紹介をありがとうございます。