建主夫妻が設計した、自然体が心地よい町になじむ家
設計の仕事をしているだけあって、自邸の場所と、つくりにはこだわりたかったご夫妻。そんなふたりの心をとらえた心地よい町にある家とは?
Mamiko Nakano
2019年7月26日
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設計の仕事をしているご夫妻。職場近くの都心のデザイナーマンションに住んでいたが、ある日、仕事に疲れ果てて寝て過ごすだけの週末ライフを変えようと決意する。自然を感じられる場所に引越そうと、1年かけて100件以上の土地に足を運んだ結果、見つけたのが、東京・東村山を拠点に住まいづくりをしている工務店、相羽建設が開発した「ソーラータウン西所沢」にある土地だった。
「夕陽に染まる八国山、タウンの美しい町並み、駆け回る子供達、井戸端会議をする大人達、聞こえてくる鐘の音など、懐かしい情景が気に入った」というご夫妻。なんとか家の中だけは自分たちで設計できるように交渉できないかと思っていた時、相羽建設の営業責任者と偶然出会い、特例が許されたのだという。
「奇抜な家をつくるのでは?と心配されていたようなのですが、直接話したら大丈夫になりました」とご主人は照れながら笑う。
家の外観は、古い蔵のような町並みの統一感を保つために揃え、屋根は切妻、外壁は他の家と同様の色と素材になっている。どの家も、上半分はべージュ系のジョリパッド吹付、下半分はダークグレーのガルバリウム鋼板で、落ち着いた雰囲気だ。
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「奇抜な家をつくるのでは?と心配されていたようなのですが、直接話したら大丈夫になりました」とご主人は照れながら笑う。
家の外観は、古い蔵のような町並みの統一感を保つために揃え、屋根は切妻、外壁は他の家と同様の色と素材になっている。どの家も、上半分はべージュ系のジョリパッド吹付、下半分はダークグレーのガルバリウム鋼板で、落ち着いた雰囲気だ。
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公共建築などを主に設計するご主人だが、戸建住宅設計は自邸が初めて。戸建住宅の設計経験豊富な奥さまの厳しい指導のもと、100ものプランを考えたのだそうだ。
室内に入ると、すでに5年ほど住んでいるのにも関わらず、最近建ったばかりなのでは?と思わせるような綺麗な佇まい。
室内に入ると、すでに5年ほど住んでいるのにも関わらず、最近建ったばかりなのでは?と思わせるような綺麗な佇まい。
土地の購入前、タウンの恒例イベントで未来の隣人たちと打ち解けた時間を過ごし、タウンの人たちの良さに感激したというご夫妻。
ご主人は自邸の設計に際し、タウンの人が気軽に立ち寄れる場になったら、と思ったのだそうだ。
ご主人は自邸の設計に際し、タウンの人が気軽に立ち寄れる場になったら、と思ったのだそうだ。
そこで考えたのが、古民家などに見られる「通り庭」を設けること。玄関を入ると、キッチンとダイニングまで大胆に大谷石を床に敷き詰めた土間が広がり、内と外をつなぐような風情がある。OM ソーラーを導入しているため、夏は石がひんやり涼しく、冬は暖かく過ごせるそうだ。
庭に面して引き込み戸があり、ガラス、障子、格子、網戸が入っている。溶岩を組み合わせて作った打水塀には水が通るようになっていて、室内に入ってくる風を冷やしてくれるそうだ。
ダイニングには、建主ご夫妻が設計し、相羽建設の大工さんが作ったテーブルが二つある。脚の下の部分は外せるようになっていて、高さが変えられる。
ダイニングには、建主ご夫妻が設計し、相羽建設の大工さんが作ったテーブルが二つある。脚の下の部分は外せるようになっていて、高さが変えられる。
一段低くなっている玄関脇スペースには薪ストーブが設置してある。バーモントキャスティングス製イントレビットIIというモデルだ。壁の後ろ側にはあえて隙間を開けていて、薪ストーブの輻射熱が抜けやすいようにしている。
玄関よりも低くなっているこのエリアにも、ご夫妻が設計し、大工さんが作ったソファがある。地窓からは、相羽建設とつながりのある秋津園芸の角田さんが設えた坪庭が見える。
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玄関よりも低くなっているこのエリアにも、ご夫妻が設計し、大工さんが作ったソファがある。地窓からは、相羽建設とつながりのある秋津園芸の角田さんが設えた坪庭が見える。
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大谷石の土間の向こうには和室がある。学生時代に全国の日本建築を見て回ったご主人は、和のテイストの建築をいつか手がけたいと思っていたそう。猫間障子に漆喰の色が美しい。
また、この家は木造2階建ではあるが、7つの階層がある。季節や時間帯によって、心地よい場所が探せるように設計したそうだ。ところどころに茶室のような小窓も設けてあり、様々な景色や光が楽しめる。
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設計の仕事をする場所でもある図書室は中二階にある。図書室の奥、机部分を上がって歩いていける書架。「使いづらいかな?と思ったけれど、結果的には重宝している」とのこと。
さらに階段を上ると、アウトドアリビングのある部屋がある。ここからは「隣のトトロ」の舞台にもなったという八国山が見える。
虫や鳥の声、子供たちが遊ぶ声なども聞こえ、リラックス効果満点のスペースだ。「夏は、花火を見ながらビールを飲むのが最高」(ご主人)なのだそう。
虫や鳥の声、子供たちが遊ぶ声なども聞こえ、リラックス効果満点のスペースだ。「夏は、花火を見ながらビールを飲むのが最高」(ご主人)なのだそう。
「自分を生き返らせるための家を作りたかった」と話すご主人。土地探しには苦労したが「相羽建設さんに出会えてよかった」と振り返る。
自分で設計した自邸だけあって、ご夫妻のこだわりは人一倍だった。そんな中でも、相羽建設の大工の秋山さんと柳原さんには一度も「できない」とは言われたことがなかったという。今では土地も、建物も、ご近所付合いも、理想的な住まいにたどり着けたと感じているそうだ。
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自分で設計した自邸だけあって、ご夫妻のこだわりは人一倍だった。そんな中でも、相羽建設の大工の秋山さんと柳原さんには一度も「できない」とは言われたことがなかったという。今では土地も、建物も、ご近所付合いも、理想的な住まいにたどり着けたと感じているそうだ。
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