ミラノサローネ2018レポート:会場で見つけたトレンド・トピックス
イタリア・ミラノで年一回開催される家具デザインの見本市ミラノサローネ。インテリアコーディネーターの筆者が会場を歩いて見つけた、旬のインテリアトレンドを前後編でご紹介します。
世界中から集まった家具やインテリアのメーカーが趣向を凝らしてプレゼンテーションする、たった6日間のミラノサローネ。展示会場を歩き回り、各社のさまざまな提案を見ていくなかで、いくつかの共通項が見えてきた。本記事では、コンパクトにフレキシブルに暮らす提案や、ラフな素材を洗練されたインテリアに加えてほどよいエスニック要素を加える試みなど、トレンド発信地でピックアップした共通テーマを、ライブな会場スナップを交えてご紹介する。
※クレジット入りの写真以外は筆者撮影
※クレジット入りの写真以外は筆者撮影
4月17日から22日の6日間で、世界180ヵ国以上から史上最高の434,509人を集客した、第57回ミラノサローネ国際家具見本市(以下、ミラノサローネ) 。今年は〈サンワカンパニー〉が日本企業初のミラノサローネ・アワード受賞の快挙、若手デザイナーの登竜門とされる「サテリテ」でも氷室友里氏が3位を受賞するなど、話題も豊富だった。会場を回るなかで、いくつかのトレンドに東洋的な流れを感じるものがあったことも興味深かった。
ソファを背もたれにして床座するスタイル。遊牧民の暮らしのような自由さやフレキシビリティの象徴として、床座をポジティブに解釈していて新鮮に感じた。敷くだけでそこがパーソナルスペースになり、どこにでも移動できて、座り方次第で何人も座れる。何かにもたせかければ寝椅子にもできる多機能性。東洋からのインスピレーションを、ボリューム感や素材の風合いの作り込みによる演出で洗練させているのが印象的だ。リラックスする姿も、美しくラグジュアリーに映る。
写真協力:ウォルター ノル 問い合わせ:インターオフィス
写真協力:ウォルター ノル 問い合わせ:インターオフィス
〈ミッソーニ〉での展示でも、床座のような寝椅子の提案が。ファブリックには漢字がモチーフになっていた。
Photo Courtesy: Salone del Mobile. Milano_Luca Fiammenghi
Photo Courtesy: Salone del Mobile. Milano_Luca Fiammenghi
ミニマル&コンパクトな暮らしのお手本
サローネ国際キッチン見本市「エウロクチーナ」で、ミラノサローネ・アワード受賞の快挙を遂げた〈サンワカンパニー〉。世界各地で人口が都市部に集まり、各戸がますます狭小になりつつある中、ニーズの高まっているコンパクトキッチンには、デザイン性の高いものがあまりない。そこで同社が打ち出したのは、“The Impact of Compact”。と題し、現代的なデザインとハイテク技術を組み合わせた新しいソリューションの研究開発に基づくアイテム群だ。
プロダクトだけではなく、ミニマリズムに徹した空間づくりも、「サローネ会場のオアシスのようなブース」と評価された。インテリアスタイリングは、〈中川政七商店〉や〈堀田カーペット〉、〈DYK/株式会社高儀〉の3社とコラボレーション。
写真協力:サンワカンパニー
サローネ国際キッチン見本市「エウロクチーナ」で、ミラノサローネ・アワード受賞の快挙を遂げた〈サンワカンパニー〉。世界各地で人口が都市部に集まり、各戸がますます狭小になりつつある中、ニーズの高まっているコンパクトキッチンには、デザイン性の高いものがあまりない。そこで同社が打ち出したのは、“The Impact of Compact”。と題し、現代的なデザインとハイテク技術を組み合わせた新しいソリューションの研究開発に基づくアイテム群だ。
プロダクトだけではなく、ミニマリズムに徹した空間づくりも、「サローネ会場のオアシスのようなブース」と評価された。インテリアスタイリングは、〈中川政七商店〉や〈堀田カーペット〉、〈DYK/株式会社高儀〉の3社とコラボレーション。
写真協力:サンワカンパニー
屋内外の境界をなくし、つなぐ暮らし方
写真は、〈サンワカンパニー〉から、イタリアで活躍する建築家・アートディレクターであるキッコ・ベステッティによるデザインのワゴンキッチン《QB 01》。この10年ほどの間に各界で広まった「あらゆる区切りや境界をなくす」という流れのなか、屋内から屋外へ、どこへでも簡単に移動できる実用的で機能的なワゴンキッチンを提案。コンパクトながら必要なものはすべて揃っており、充実した木製アクセサリーで利便性も高い。同氏は今回のブースのデザインも手がけた。
写真は、〈サンワカンパニー〉から、イタリアで活躍する建築家・アートディレクターであるキッコ・ベステッティによるデザインのワゴンキッチン《QB 01》。この10年ほどの間に各界で広まった「あらゆる区切りや境界をなくす」という流れのなか、屋内から屋外へ、どこへでも簡単に移動できる実用的で機能的なワゴンキッチンを提案。コンパクトながら必要なものはすべて揃っており、充実した木製アクセサリーで利便性も高い。同氏は今回のブースのデザインも手がけた。
ミラノ市内の本会場外で行われた「フオーリサローネ」の、鮮やかな色調と、高機能なオリジナル素材でアウトドア家具に新風を吹き込んだ〈Paola Lenti(パオラ レンティ)〉から、ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンによるデザイン《TOKU(トク)》。
日本の茶室からインスピレーションを受けたリラクゼーションコーナーで、アウトドアでも使える素材でできており、畳のようなシートの素材はその名も《wara(ワラ)》。ホテルのプールサイドにもなじみそうな雰囲気にまとまっており、会場でも多くの人が寝そべっては、その感覚を楽しんでいた。
日本の茶室からインスピレーションを受けたリラクゼーションコーナーで、アウトドアでも使える素材でできており、畳のようなシートの素材はその名も《wara(ワラ)》。ホテルのプールサイドにもなじみそうな雰囲気にまとまっており、会場でも多くの人が寝そべっては、その感覚を楽しんでいた。
天然の素材感を活かしたファブリックを優美な家具に
洗練されたインテリアにほどよいエスニックムードを添える展示も目立っていた。写真は美しい収納家具で知られる〈Molteni & C(モルテーニ)〉の名作を復刻するプロジェクト〈ヘリテージコレクション〉から、ジオ・ポンティデザインの《D156.3》。サローネ会場の展示では、定番のスムースな革や布の張り地ではなく、ラフィアのような柔らかい素材を織り込んだ新生地を使用し、シックな空間に抜け感をもたらしていた。
洗練されたインテリアにほどよいエスニックムードを添える展示も目立っていた。写真は美しい収納家具で知られる〈Molteni & C(モルテーニ)〉の名作を復刻するプロジェクト〈ヘリテージコレクション〉から、ジオ・ポンティデザインの《D156.3》。サローネ会場の展示では、定番のスムースな革や布の張り地ではなく、ラフィアのような柔らかい素材を織り込んだ新生地を使用し、シックな空間に抜け感をもたらしていた。
近年ミニマルな建築にも映える風合い豊かな無垢材の家具メーカーとして人気が高まっている〈Riva 1920(リーヴァ)〉。写真のチェストの面材は後から編み込んだのではなく、木材の柔らかい部分を加工処理して残った繊維がからみ合う素材そのもの風合いを意匠に活かしている。素材実験的な背景で作られたキャビネットで、都会的なミニマルなデザインの枠体に、カジュアルさが加わっている。
近年日本でも絶大な人気を誇る、良質なレザーブランドとしてのステイタスを確立してきた〈バクスター〉は、最も印象に残った展示のひとつ。パオラ・ナヴォーネによる《マニラ》は、ボリューム感と優美な曲線とピンと張られたロープワークの対比が美しいアウトドア家具。実は、銅製のべースに籐製のフレームを組み合わせており、風合いがミックスされている。
次の記事では、会場外の「フオーリサローネ」に注目し、トレンドの最先端のブランドやアイテムをご紹介する。
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