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My Houzz:3000冊の本とたくさんのマネキンに囲まれて暮らす、ヴェネチアの女性詩人の家
イタリアのHouzzから、記憶と思い入れが詰まった、女性詩人の家をご紹介します。たくさんの本とマネキンと思い出の品々が、詩を生み出す想像力を刺激する空間です。
Silvia Zanardi
2016年2月1日
美しい水の都、ヴェネチア。歴史ある通りに迷い込めば、宝石のようなこの町に心を奪われる。観光客ばかりという印象があるかもしれないが、実はヴェネチアには56,000人が暮らしている。彼らにとって、これ以上に魅力的な場所はないに違いない。
どんなHouzz?
居住者:アンナ・トスカーノさんと2匹の犬、エンマとイオーレ
規模:120平方メートル(中庭含む)
竣工年:19世紀末
詩人であり作家、大学教授も務めるアンナ・トスカーノさん。彼女も、この町こそ自分の居場所と自負する56,000人のヴェネチアっ子のひとりだ。出身は近隣の町トレヴィーゾで、現在はヴェネチアの聖ステファノ広場近くにある歴史的建物の1階に暮らしている。韻文と散文の中間のような形式の彼女の詩は、この広々としたアパートメントの中で生まれ、綴られていく。インスピレーションの源は、日々の生活とそこで出会う人々だという。
居住者:アンナ・トスカーノさんと2匹の犬、エンマとイオーレ
規模:120平方メートル(中庭含む)
竣工年:19世紀末
詩人であり作家、大学教授も務めるアンナ・トスカーノさん。彼女も、この町こそ自分の居場所と自負する56,000人のヴェネチアっ子のひとりだ。出身は近隣の町トレヴィーゾで、現在はヴェネチアの聖ステファノ広場近くにある歴史的建物の1階に暮らしている。韻文と散文の中間のような形式の彼女の詩は、この広々としたアパートメントの中で生まれ、綴られていく。インスピレーションの源は、日々の生活とそこで出会う人々だという。
毎日、家に帰ってくるアンナさんを包み込んでくれるのは、壁全体を使った棚を埋め尽くす何千冊という本と、この数年コレクションしているマネキンのボディの数々。柔らかな調和のとれた女性のマネキンは、アンナさんがゴミ捨て場や、店じまいする仕立屋や洋服屋から集めてきたものだ。
大切なものがたくさん詰まったこのアパートメントでアンナさんと一緒に暮らすのは、ドッグシェルターから引き取った犬のエンマとイオーレ。ずっと生活を共にしていく忠実な仲間たちだ。
玄関からリビングルーム、仕事場、キッチン、ベッドルームに2つのバスルームまで、どこを見ても物があふれている。でも、たとえ片付けのカリスマ・近藤麻理絵さんだって、ここにあるものを捨てろとは言わないはず。置かれているものすべてに目的があり、それぞれに命が宿っていることは、初めてこの家に来た人にでもすぐにわかるはずだ。バスルームの1つには、錬鉄製のマネキンがバスグッズ用のラックとして使われている。
玄関からリビングルーム、仕事場、キッチン、ベッドルームに2つのバスルームまで、どこを見ても物があふれている。でも、たとえ片付けのカリスマ・近藤麻理絵さんだって、ここにあるものを捨てろとは言わないはず。置かれているものすべてに目的があり、それぞれに命が宿っていることは、初めてこの家に来た人にでもすぐにわかるはずだ。バスルームの1つには、錬鉄製のマネキンがバスグッズ用のラックとして使われている。
リングホルダーとして活躍しているこちらの引出しは、長いあいだ活版印刷所で使われていたもの。ヴェネチアのチャリティーマーケットで購入した。
それぞれのマネキンに決まった居場所がある。たとえばシルバーのプラスチック製のマネキンは中庭に立つ見張り番。中庭には、植物や花で覆った井戸の縁石も置かれている。竹製のロッキングチェアとテーブルもあり、晴れた日には本を読んだり書き物をしたりするのに打ってつけの場所だ。
マネキン収集のきっかけとなったのが、パリのフリーマーケット一目惚れして手に入れたこちらの1体。閉店間際に店主が急いで片づけようとしていたのを譲ってもらった。このマネキンは、玄関ホールの特等席で木製のスツールの上に飾られている。
飛行機でヴェネチアに持ち帰るため、アンナさんはこのマネキンをバックパックのように背中にしょって搭乗したそうだ。
飛行機でヴェネチアに持ち帰るため、アンナさんはこのマネキンをバックパックのように背中にしょって搭乗したそうだ。
このアパートメントには、以前は、サン・マルコ広場で高級ファッションブティックを経営していたアンナさんの叔父が住んでいたが、彼が亡くなってアンナさんが引っ越してきた。
棚の本のほかにも、バッグ、帽子、洋服、花瓶、グラス、キャンドル、ペン、CD、ランプシェード、数えきれないほどの靴、ティーポットのコレクションなど、所せましと置かれている空間だが、以前は18世紀調のワードローブや鏡、ドレッサーが並んでいた。これらの家具の一部は売り、一部は残してインテリアに取り入れている。
棚の本のほかにも、バッグ、帽子、洋服、花瓶、グラス、キャンドル、ペン、CD、ランプシェード、数えきれないほどの靴、ティーポットのコレクションなど、所せましと置かれている空間だが、以前は18世紀調のワードローブや鏡、ドレッサーが並んでいた。これらの家具の一部は売り、一部は残してインテリアに取り入れている。
「この家は私にとって、考えにふけったり書き物をしたりするための隠れ家のような場所」と言うアンナさん。「ここにあるものにはすべて意味があります。家具や装飾品の多くは、ゴミだったものを私が拾ってきて生き返らせたものですし、亡くなった両親や祖母のものだった品々や家具にも深い思い入れがあります。この家に置かれたものを通して、そういった大切な人たちとの絆を感じることができるんです。」
アンナさんの小さい頃の夢は、ジャーナリストになること。当時から文章を書くのが好きで、最終的に今の職業に付いたが、自分の内側を見つめて創造するクリエイティビティは家作りにも表れている。表現手段は文章だけではなく、仕事部屋の棚に集めて飾られている白黒写真も彼女の作品だ。仕事部屋にはベッドも置かれている。「ここに横になって、仕事机と、3,000冊以上の本が並ぶ本棚をゆっくり眺めるんです。この家で最高の眺めですね。」
アンナさんの小さい頃の夢は、ジャーナリストになること。当時から文章を書くのが好きで、最終的に今の職業に付いたが、自分の内側を見つめて創造するクリエイティビティは家作りにも表れている。表現手段は文章だけではなく、仕事部屋の棚に集めて飾られている白黒写真も彼女の作品だ。仕事部屋にはベッドも置かれている。「ここに横になって、仕事机と、3,000冊以上の本が並ぶ本棚をゆっくり眺めるんです。この家で最高の眺めですね。」
左のドアの上には日記が並ぶ。いちばん古いものは30年以上さかのぼる。このデスクで、フランス音楽をBGMに、シナモンのインセンスの香りに包まれながら文章をつづり、自己発見の旅に出るのだ。
「日記はぜんぶ取ってあるので、年々増えていきます。この書斎という幸せな場所で、考えを文字にしたり、本を読んだり、研究したり、休息したりするんです。」
この家は隅々まで気に入っていると言うアンナさん。1平方センチたりとも嫌なところはないようだ。「でもたまに、1日中家具を動かしたり模様替えをしたりして過ごすことがあります。そういうときは、ちょうど新しい本の執筆に取り掛かる直前のことが多いんです。頭の中で無意識にいろんなことが起こっているときですね。」
「日記はぜんぶ取ってあるので、年々増えていきます。この書斎という幸せな場所で、考えを文字にしたり、本を読んだり、研究したり、休息したりするんです。」
この家は隅々まで気に入っていると言うアンナさん。1平方センチたりとも嫌なところはないようだ。「でもたまに、1日中家具を動かしたり模様替えをしたりして過ごすことがあります。そういうときは、ちょうど新しい本の執筆に取り掛かる直前のことが多いんです。頭の中で無意識にいろんなことが起こっているときですね。」
ドッグシェルターから引き取ったハウンド犬のイオーレを抱くアンナさん。何年も虐待や放置をされていたというイオーレは外の世界を怖がり、初めて家に来たときには何日もずっと家具の下に隠れていたそうだ。でも、アンナさんがやっと外に連れ出すと、イオーレは思い切り走り始めたという。アンナさんにとって、ヴェネチアでの幸せな生活の始まりを象徴するような出来事だった。
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