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ステンレス、モルタル、無垢フローリング。「男前」要素を「優しく」アレンジしたリノベーション
男前インテリアによく使われるハードなイメージの素材を、ニュアンスのある使い方で巧みに配したインテリア。30代夫婦の中古物件リノベーションをご紹介します。
takako kawaguchi
2017年10月31日
夫妻揃って大の料理好きのオーナーが、リノベーションで掲げたコンセプトは「対面式の大きなステンレスキッチンを中心とした住まい」。広い作業スペースのペニンシュラ型キッチンをメインに据え、リノベーション計画が進行した。LDK空間全体のテイストには「かっこよすぎない男前なイメージ」を訴求。モルタルやステンレス、ガス管などのハードな素材に、オイル仕上げの木製棚板やドア、和テイストも香るタイルをミックスすることでやわらかさをプラス。クールな要素を楽しみながら、穏やかにくつろいだ気持ちになれる、心地よい住まいが完成した。
「家を持つなら、好きな間取りやインテリアが実現できる中古物件のリノベーション」と以前から考えていたオーナー。転勤先から東京へ戻ったタイミングで、知人からの紹介により、今回のマンション購入を決意。自然とリノベーションを実行する流れとなった。
リノベーションのいちばんのポイントは、対面式の大きなステンレスキッチン。さらに内装は「モルタル、ステンレス、無垢フローリング」の3要素へのこだわりが。そこで設計を請け負った〈空間社〉は「男前でかっこいいけれど、辛口すぎないこと」をテーマに、プランニングを進めていった。
どんなHouzz?
住まい手:30代後半の夫妻
所在地:東京都豊島区
間取り:1LDK+W.I.C.
延床面積:72.40平方メートル
設計:株式会社 空間社
竣工:2015年3月
リノベーションのいちばんのポイントは、対面式の大きなステンレスキッチン。さらに内装は「モルタル、ステンレス、無垢フローリング」の3要素へのこだわりが。そこで設計を請け負った〈空間社〉は「男前でかっこいいけれど、辛口すぎないこと」をテーマに、プランニングを進めていった。
どんなHouzz?
住まい手:30代後半の夫妻
所在地:東京都豊島区
間取り:1LDK+W.I.C.
延床面積:72.40平方メートル
設計:株式会社 空間社
竣工:2015年3月
まずはこの家の主役、キッチンを見てみよう。料理好きな夫妻とあって、2人で並んで立つこともしばしば。そこでもとのキッチンよりもサイズアップして、位置もLDへ向けた形に変更。30.51平方メートルのLDK空間の中心的存在となる、大きなペニンシュラ型キッチンが誕生した。
背面の壁一面にはモルタルを塗り、ラフな表情に。バックセットにはカウンター式カップボードと吊り戸式オープン棚を造り付けた。天板や棚板はオイル仕上げのタモ材を使用。
ステンレスキッチンの腰壁は、和の雰囲気がほのかに漂うボーダータイル。選んだのは〈LIXIL〉の《インテリアモザイク 窯変ボーダー》。深いグリーンの色味は1枚1枚にニュアンスがあり、面白味を感じさせる。
硬質なステンレスカウンターやモルタル壁をメインとしたキッチン空間に、オイル仕上げの棚板や繊細なタイル使いがほどよい優しさをプラス。結果として「辛口すぎない、でも男前でかっこいい」スペースに仕上がっている。
左に見える扉は、〈 VINTAGE +(ビンテージプラス)〉(岡崎製材)のパイン材ドアを使用。ダークオーク色のオイルを塗り込んだ、落ち着いた風合いが魅力的だ。
背面の壁一面にはモルタルを塗り、ラフな表情に。バックセットにはカウンター式カップボードと吊り戸式オープン棚を造り付けた。天板や棚板はオイル仕上げのタモ材を使用。
ステンレスキッチンの腰壁は、和の雰囲気がほのかに漂うボーダータイル。選んだのは〈LIXIL〉の《インテリアモザイク 窯変ボーダー》。深いグリーンの色味は1枚1枚にニュアンスがあり、面白味を感じさせる。
硬質なステンレスカウンターやモルタル壁をメインとしたキッチン空間に、オイル仕上げの棚板や繊細なタイル使いがほどよい優しさをプラス。結果として「辛口すぎない、でも男前でかっこいい」スペースに仕上がっている。
左に見える扉は、〈 VINTAGE +(ビンテージプラス)〉(岡崎製材)のパイン材ドアを使用。ダークオーク色のオイルを塗り込んだ、落ち着いた風合いが魅力的だ。
ステンレストップやキャビネット、〈IKEA〉のパーツなどを組み合わせて、〈空間社〉がデザインしたキッチン。サイズは幅2550mm×奥行き800mm×高さ850mm。
コンロ右手の壁面タイルには《メイプルブリック》というレンガ調タイルを使用。「二丁掛」と「ボーダー」の2サイズを組み合わせてグレーの目地を入れ、独特のパターンを演出している。ビルトインのコンロはスタイリッシュで手入れもしやすい〈ハーマン〉の《プラス・ドゥ》。食洗機はご主人の強い希望から、たっぷりした容量の〈ガゲナウ〉に。レンジフードはシンプルで美しい〈アリエッタ〉の《バルケッタ》を採用。混合水栓はスイスの〈KWC〉製でスパウト引き出しタイプを選択した。
キッチン下キャビネットには調理器具や調味料などを収納。普段からよく使うもの、飾りながら使いたいものは背面のオープン棚へ。機能的で使い勝手がいい「魅せるキッチン」が実現した。
コンロ右手の壁面タイルには《メイプルブリック》というレンガ調タイルを使用。「二丁掛」と「ボーダー」の2サイズを組み合わせてグレーの目地を入れ、独特のパターンを演出している。ビルトインのコンロはスタイリッシュで手入れもしやすい〈ハーマン〉の《プラス・ドゥ》。食洗機はご主人の強い希望から、たっぷりした容量の〈ガゲナウ〉に。レンジフードはシンプルで美しい〈アリエッタ〉の《バルケッタ》を採用。混合水栓はスイスの〈KWC〉製でスパウト引き出しタイプを選択した。
キッチン下キャビネットには調理器具や調味料などを収納。普段からよく使うもの、飾りながら使いたいものは背面のオープン棚へ。機能的で使い勝手がいい「魅せるキッチン」が実現した。
キャビネットの一部には、奥様が趣味の刺繍などに没頭できるデスク機能も。「居心地がよく、ここで8時間も連続で作業したこともあります(笑)」と奥様。
ダイニング脇には南東に向いた窓が。終日、穏やかな陽光で満たされ、落ち着いて過ごすことができる空間だ。
ダイニング脇には南東に向いた窓が。終日、穏やかな陽光で満たされ、落ち着いて過ごすことができる空間だ。
リビングは既存収納を撤去し、代わりにオープンな本棚を新設。固定式棚板はシナ材を白くペイントしたもの。長年大切にしてきた書籍類などを並べ、読んで、眺めて、楽しめる一角となっている。棚板サイズは幅1240mm×奥行き250mm。
無垢フローリングへのこだわりを叶え、選んだのはオーク無垢材の床暖房対応品。塗装は〈リボス〉製の《カルデット》。亜麻仁油が主成分の天然オイルで、木目を引き立てる美しい仕上がりとなっている。色はインテリアの色彩と調和させ、グレーをセレクト。オーナー自ら、DIY塗装を楽しんだそう。
ハンス・J・ウェグナーの名作ソファ《GE290》が、男前な空間を格上げして見せている。
無垢フローリングへのこだわりを叶え、選んだのはオーク無垢材の床暖房対応品。塗装は〈リボス〉製の《カルデット》。亜麻仁油が主成分の天然オイルで、木目を引き立てる美しい仕上がりとなっている。色はインテリアの色彩と調和させ、グレーをセレクト。オーナー自ら、DIY塗装を楽しんだそう。
ハンス・J・ウェグナーの名作ソファ《GE290》が、男前な空間を格上げして見せている。
こちらは玄関部分。リノベーション前は小さな靴箱が付いただけの、昨今のマンションで標準的な玄関だったそう。「帰宅時に明るく広々とした玄関で迎えられたい」というオーナーの希望を汲み、使用頻度が低いと考えられた玄関脇の洋室を取り壊すことで、大きな土間の空間を生み出した。
いっぽう、土間と隣接した寝室も、扉をなくして壁はガラスブロックに。土間が廊下や寝室とも自然につながり、開放感と明るさの確保に成功している。
全体的な収納の少なさも懸念されたため、寝室脇には大型のウォークインクローゼットを設置。寝室と廊下、両方からアクセスできる回遊性を持たせた、使いやすさ抜群の間取りだ。
靴収納は玄関扉右手に、足場板を用いた4段のオープン棚を新設。
いっぽう、土間と隣接した寝室も、扉をなくして壁はガラスブロックに。土間が廊下や寝室とも自然につながり、開放感と明るさの確保に成功している。
全体的な収納の少なさも懸念されたため、寝室脇には大型のウォークインクローゼットを設置。寝室と廊下、両方からアクセスできる回遊性を持たせた、使いやすさ抜群の間取りだ。
靴収納は玄関扉右手に、足場板を用いた4段のオープン棚を新設。
土間部分の広さは8.92平方メートル。登山、テニス、自転車、マラソンなど、たくさんの趣味の道具をどっさり置いても余裕のある、贅沢なスペース。木製扉の中は趣味の道具の他、スーツケースなども入る、便利な大型収納だ。「ここで旅行の支度が一気にできます」と夫妻は非常に満足している。
天井についているのは武骨なガス管。こちらはなんと「懸垂用」だとか! 天気の悪い日にここで体を鍛えるためのオリジナリティあふれるアイデアだ。ちなみにリビングにも同じガス管が設置されており、そちらは物干し用として活用している。
たたきはマット感のあるグレーのタイル。30cm角の大判な磁器質タイルで、目地色もグレー。キッチンでも同じものを使用している。
天井についているのは武骨なガス管。こちらはなんと「懸垂用」だとか! 天気の悪い日にここで体を鍛えるためのオリジナリティあふれるアイデアだ。ちなみにリビングにも同じガス管が設置されており、そちらは物干し用として活用している。
たたきはマット感のあるグレーのタイル。30cm角の大判な磁器質タイルで、目地色もグレー。キッチンでも同じものを使用している。
トラディショナルとモダン、二面性を感じさせる壁紙が目を惹くレストルーム。ペーパーホルダーは真鍮製。フラップ部分は素材感を活かした鋳肌仕上げ、アーム部分は磨き仕上げの品。
LDKや土間に男前な要素をちりばめながら、辛口一辺倒にならない絶妙バランスの空間づくり。素材やパーツへのこだわり、取り入れ方は、お手本にしたいセンスに満ちあふれている。夫妻それぞれの趣味を後押しする、こまやかなプランニングも秀逸な好事例である。
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LDKや土間に男前な要素をちりばめながら、辛口一辺倒にならない絶妙バランスの空間づくり。素材やパーツへのこだわり、取り入れ方は、お手本にしたいセンスに満ちあふれている。夫妻それぞれの趣味を後押しする、こまやかなプランニングも秀逸な好事例である。
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