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本当に自然な家とは? ニュージーランドで実現した、パッシブソーラーの「アースシップ住宅」
究極のエコ住宅をつくりたくて、たどり着いたのは風と太陽で電気を賄うサステナブルな「アースシップ住宅」。ニュージーランドの一家が実現した、風が吹き渡る気持ちのいい家をご紹介します。
Catherine Smith
2017年8月13日
不動産業界では、「サステナブル」という言葉は「エクゼクティブ」や「夢のマイホーム」と同じようなマーケティング用語になってしまっているともいえる。しかし、ガス・アニングさんとサラ・ロウさん夫婦にとっては事情は違う。3人の子どもたちと暮らす家を自分たちで建てようと模索し始めたときから、サステナブルというテーマをとことん深く掘り下げていき、エネルギーも水もごみの処理も、本当に自足型の建物を作ろうと考えた。
3年間のリサーチ、2年間の計画期間、そして9か月の建設期間を経て、"アースシップ住宅"が完成。ニュージーランドのテレビ番組で公開された。家に付けた名前は、ニュージーランドの公用語のひとつであるテ・レオ(マオリ語)で「始まり」という意味の「テ・ティマタンガ」だ。
3年間のリサーチ、2年間の計画期間、そして9か月の建設期間を経て、"アースシップ住宅"が完成。ニュージーランドのテレビ番組で公開された。家に付けた名前は、ニュージーランドの公用語のひとつであるテ・レオ(マオリ語)で「始まり」という意味の「テ・ティマタンガ」だ。
Photos by Peter May, The Flying Kiwi
どんなHouzz?
住まい手:サラ・ロウさんとガス・アニングさん夫婦、14歳のブライオニーちゃん、12歳のトビーくん、4歳のフィオくん
所在地:ニュージーランド、コロマンデル半島、ヒクアイ
規模:延床面積240平方メートル、ベッドルーム×4、バスルーム(トイレ含む)×3、アトリウム。敷地全体は1ヘクタール。
設計:ハリエット・ピルキントン、ヤング・アンド・リチャーズ
多くの人と同じように、ロウさんとアニングさんも、太陽で家を温め、水は雨水を集めて使い、再利用建材で内包エネルギーを低くするというサステナブルデザインのおおまかな原則については把握していた。ロウさんの両親から贈られた土地が、コロマンデル山脈の東側の谷沿いに位置しており、北に向かってひらけたゆるやかな傾斜地という理想的な場所だったことも有利に働いた。
オークランドから1時間少々のところにあるヒクアイは、オルタナティブなライフスタイルを持つ人々が集まるコミュニティとして知られている。そんな土地柄のおかげで、高い技術を持つ職人や、手を貸してくれる人たち、探している素材が、いつも必要なときにどこからか見つかるという幸運に恵まれた。
どんなHouzz?
住まい手:サラ・ロウさんとガス・アニングさん夫婦、14歳のブライオニーちゃん、12歳のトビーくん、4歳のフィオくん
所在地:ニュージーランド、コロマンデル半島、ヒクアイ
規模:延床面積240平方メートル、ベッドルーム×4、バスルーム(トイレ含む)×3、アトリウム。敷地全体は1ヘクタール。
設計:ハリエット・ピルキントン、ヤング・アンド・リチャーズ
多くの人と同じように、ロウさんとアニングさんも、太陽で家を温め、水は雨水を集めて使い、再利用建材で内包エネルギーを低くするというサステナブルデザインのおおまかな原則については把握していた。ロウさんの両親から贈られた土地が、コロマンデル山脈の東側の谷沿いに位置しており、北に向かってひらけたゆるやかな傾斜地という理想的な場所だったことも有利に働いた。
オークランドから1時間少々のところにあるヒクアイは、オルタナティブなライフスタイルを持つ人々が集まるコミュニティとして知られている。そんな土地柄のおかげで、高い技術を持つ職人や、手を貸してくれる人たち、探している素材が、いつも必要なときにどこからか見つかるという幸運に恵まれた。
アースシップ建築の創始者であるアメリカ人建築家、マイク・レイノルズさんのバイオテクチャーについての映画「ガーベッジ・ウォリアー(ゴミの戦士)」と出会ったことで、3年間にわたるリサーチの方向性が定まった。自然素材とリサイクル素材を使って室温を安定させるサーマルマスをつくり、再生可能なエネルギー・水供給システムと組み合わせた、パッシブソーラー住宅である。
最初の幸運な偶然は、アニングさんが船長として乗船していたフェリーの中で、アースシップのTシャツを着た乗客に出会ったことだった。乗客によると、その夏、ニュージーランド・アースビルディング協会による家づくりの実践講座がクライストチャーチで開催されるという。すでに講座の予約は満員だったことも気にせず、アニングさんは飛行機に飛び乗って現地に向かった。
主催者側が、無断参加者がいることに気づいたときはすでに、アニングさんは工具を使って作業していたそうだ。またアニングさん夫婦は、ンガルワヒアにある初期のプロトタイプ住宅、ガブ邸も訪れている。現代の建築基準にパスする住宅を建てるには、かなりの努力が必要だということがわかった。
最初の幸運な偶然は、アニングさんが船長として乗船していたフェリーの中で、アースシップのTシャツを着た乗客に出会ったことだった。乗客によると、その夏、ニュージーランド・アースビルディング協会による家づくりの実践講座がクライストチャーチで開催されるという。すでに講座の予約は満員だったことも気にせず、アニングさんは飛行機に飛び乗って現地に向かった。
主催者側が、無断参加者がいることに気づいたときはすでに、アニングさんは工具を使って作業していたそうだ。またアニングさん夫婦は、ンガルワヒアにある初期のプロトタイプ住宅、ガブ邸も訪れている。現代の建築基準にパスする住宅を建てるには、かなりの努力が必要だということがわかった。
立地は最高だが、雨の多いコロマンデルの気候は、アースシップがつくられることの多い砂漠地帯より条件が厳しいこともわかっていた。ふたりは計画の初めから、地域の自治体と相談し、自治体もサステナブルな住宅を地域で成功させることに熱心な姿勢を持っていた。
土レンガとわらを使った「土の家づくり」はすでに珍しくなかったが、今回の計画は、土を詰めた使用済みタイヤを活用したり、パッシブ冷暖房システムを取り入れる特殊なものだ。
自治体の窓口となった担当者が、ちょうどサステナビリティの研修を終えたばかりで、コンサルタントのグレアム・ノースさんをふたりに紹介してくれた。ノースさんは、プロジェクトの設計を担当するハリエット・ピルキントンさんのアドバイザーとして、また建築基準について自治体の判断を助ける審査役として活躍した。
土レンガとわらを使った「土の家づくり」はすでに珍しくなかったが、今回の計画は、土を詰めた使用済みタイヤを活用したり、パッシブ冷暖房システムを取り入れる特殊なものだ。
自治体の窓口となった担当者が、ちょうどサステナビリティの研修を終えたばかりで、コンサルタントのグレアム・ノースさんをふたりに紹介してくれた。ノースさんは、プロジェクトの設計を担当するハリエット・ピルキントンさんのアドバイザーとして、また建築基準について自治体の判断を助ける審査役として活躍した。
アニングさんは過去にさまざまな仕事をしてきたが、じつは建築デザイナーとして賞を獲得したこともある。そこで、夫婦で最初のアイデアをスケッチしてから、学生時代からの友人であるピルキントンさんに依頼してデザインを詰めていき、自治体に提出するための施工図をつくってもらうことにした。
アースシップ(アニングさんは「熱を集めて分配するように設計されたマシン」と表現する)の第一の原則は、アトリウムだ。一面に並ぶ窓は70度に傾斜しており(傾斜角度は緯度によって決まる)、家の表側に当たる太陽の光を集める。ベッドルームとバスルームは、アトリウムの内側にある廊下に沿って配置されている。
ベッドルームのドアの上の窓と、部屋の裏から地下に通っている換気チューブ、そしてアトリウムに並ぶヴェルックスの開閉可能な窓を組み合わせることで、夏には涼しい空気を、冬には太陽で温まった空気を室内に取り入れて循環させることができる。
プライベートな部屋もガラス壁にして、アトリウムの良さを最大限に生かすことを選んだ。曲線を描く花壇の植物のおかげでプライバシーは保たれ、部屋からの眺めも美しい。
アースシップ(アニングさんは「熱を集めて分配するように設計されたマシン」と表現する)の第一の原則は、アトリウムだ。一面に並ぶ窓は70度に傾斜しており(傾斜角度は緯度によって決まる)、家の表側に当たる太陽の光を集める。ベッドルームとバスルームは、アトリウムの内側にある廊下に沿って配置されている。
ベッドルームのドアの上の窓と、部屋の裏から地下に通っている換気チューブ、そしてアトリウムに並ぶヴェルックスの開閉可能な窓を組み合わせることで、夏には涼しい空気を、冬には太陽で温まった空気を室内に取り入れて循環させることができる。
プライベートな部屋もガラス壁にして、アトリウムの良さを最大限に生かすことを選んだ。曲線を描く花壇の植物のおかげでプライバシーは保たれ、部屋からの眺めも美しい。
アニングさんとロウさんが早い段階から考えていたのが、自宅の建設現場をアースシップのワークショップにしてしまおうということだった。技術をシェアしながら、夏のあいだに早く作業を進め、建設費を抑えることができる。
2015年の夏には、何十人ものボランティアが参加費を払って集まり、1100個ものタイヤに敷地で堀った土を詰め込んで積み上げ、その上にしっくいを塗って壁をつくるという手法を学んだ。プロジェクトマネジャーとして指導したのは、アニングさんが最初に参加したクライストチャーチのワークショップで出会った、ベン・ギャラットさんとローザ・ヘンダーソンさん(スカルプテッド・アース)だ。ロウさんはパートタイムで仕事をするかたわら、みんなの食事の準備をしたり、いっしょに作業したりと参加している。アニングさんはさまざまな方面の知り合いにあたって、材料や仕上げを確保した。
2015年の夏には、何十人ものボランティアが参加費を払って集まり、1100個ものタイヤに敷地で堀った土を詰め込んで積み上げ、その上にしっくいを塗って壁をつくるという手法を学んだ。プロジェクトマネジャーとして指導したのは、アニングさんが最初に参加したクライストチャーチのワークショップで出会った、ベン・ギャラットさんとローザ・ヘンダーソンさん(スカルプテッド・アース)だ。ロウさんはパートタイムで仕事をするかたわら、みんなの食事の準備をしたり、いっしょに作業したりと参加している。アニングさんはさまざまな方面の知り合いにあたって、材料や仕上げを確保した。
家の南側は、土手のなかに埋め込まれており、土とタイヤのあいだには防水シートを幾層も入念に挟んで、水分がしみ込まないように配慮している。床の下地には防水シートとムール貝の貝殻(地元の廃棄物を活用。建設プロセス全体に通じるオーナー夫婦の哲学だ)を敷いてから、コンクリートを施工している。
内壁には、友人の家づくりで余った土レンガを手に入れて再利用している。無駄になったものは何もない。割れたレンガでさえ、壁を塗るプラスターに混ぜて使っている。
内壁には、友人の家づくりで余った土レンガを手に入れて再利用している。無駄になったものは何もない。割れたレンガでさえ、壁を塗るプラスターに混ぜて使っている。
建設に必要なタイヤを集めるには半年ほどかかった。オーナー夫妻は、タイヤをいっぱいに乗せたトラックが敷地のそばを通り過ぎるのを何週間も見かけていたのだが、ある日やっと、近所のカフェで運転手をつかまえて、廃棄場へ運ばれていくタイヤを引き受けたいと相談した。埋め立て地行きになるよりはずっといいと、運転手は喜んでプロジェクトに協力し、大きさの異なる4種類のタイヤを運び込み、積み重ねる作業をしてくれた。
家の中心になるのは、もちろんキッチンだ。ガスレンジとオーブン(ガス容器から供給。これが唯一、外から持ち込まれるエネルギー源)のほか、オーナーたちがぜひ取り入れたいと考えていたのが、昔ながらのレイバーン調理器の現代版だった。
冬場にはストーブの鍋でいつもスープが煮込まれ、付属のパイプシステムが温水供給機能も果たしてくれる。でも、家自体がとても暖かいので、ストーブには心理的な温かみを感じさせる効果のほうが大きいかもしれない。
冬場にはストーブの鍋でいつもスープが煮込まれ、付属のパイプシステムが温水供給機能も果たしてくれる。でも、家自体がとても暖かいので、ストーブには心理的な温かみを感じさせる効果のほうが大きいかもしれない。
屋根の梁は、地元産のダグラスファーを扱っているニュージーランド南島の材木店、ナチュラル・ログ・ホームから購入した。 屋根をどうするか考えていたとき、建築家のピルキントンさんが教えてくれたのが、構造断熱パネルだ。
業務用冷蔵庫によく使われている仕組みで、屋根の金属板、断熱性のある芯材、天井パネルが貼り合わされた厚さ200ミリの大きなパネルは、設置やメンテナンスのしやすさも最高だとアニングさんは言う。
業務用冷蔵庫によく使われている仕組みで、屋根の金属板、断熱性のある芯材、天井パネルが貼り合わされた厚さ200ミリの大きなパネルは、設置やメンテナンスのしやすさも最高だとアニングさんは言う。
外の折り戸の上に飾られているのは、「パレ」と呼ばれるマオリ族の木彫り。ロトルアの木彫り職人、ナタナヒラ・ポナさんの作品だ。ポナさんは、昨年ネパールのカトマンズで開かれた「世界木材の日」のイベントに、アオテアロア・ニュージーランド(アオテアロアとはニュージーランドのマオリ語名)代表として参加している。
メタルクラフト・ルーフィングのソーラーコンサルタント、ジャスパー・キャンベルさんと相談して、この家に最適なソーラーシステムを選んだ。現在は、余った電力はバッテリーに蓄電するのではなく、電力会社のグリッドに送っている。この家はモニタリング調査には参加していないが、オーナーたちはエネルギー使用量について見直しているところで、1か月の電気代をゼロにするのが目標だ(現在は契約基本料金として70NZドル(約50米ドル)も払っている)。
そのために電化製品をアップグレードし、値段が手頃になってきたスマートメーターなどのシステムを使うことも検討している。薪ストーブは純粋にムードづくりのため。1年じゅう、家のなかでは温度も湿度も一定に保たれているから不要なのだ。
そのために電化製品をアップグレードし、値段が手頃になってきたスマートメーターなどのシステムを使うことも検討している。薪ストーブは純粋にムードづくりのため。1年じゅう、家のなかでは温度も湿度も一定に保たれているから不要なのだ。
アニングさんとロウさんは、サステナブルな夢の住まいを完成させるべく、いまも作業を続けている。次のプロジェクトは、コンクリートの床を覆うこと。当初は土を突き固めた床にするつもりだったが、冬が近づき、予算の制限もあったため、コンクリートのままになっているのだ。敷地内の土を使って床用タイルを焼くための、専用の窯をつくることも考えている。でもいまのところは、黒いステイン加工をしたコンクリート床がソーラーゲインに役立っている。
ロウさんと友人たちがガラス瓶を集めてつくったアクセントウォール。瓶を入念に選別してガラスをカットし、アトリウムやオンスイートバスルームまわりの塗り壁にやわらかな色味の模様をつくり出している。特注の6角形ドアは、ボブ・ヴァン・ピアスさんが制作した。
アトリウムの庭は、季節を問わずトロピカルな雰囲気をつくるだけでなく、水処理システムに欠かせない要素でもある。雨水は料理や飲用に使われ、洗濯やシャワーから出た汚れの軽い排水はフィルターを通してアトリウムの花壇に供給される。玄関ドア付近のいちばん浅いところから、家の奥に進むにしたがって花壇は深くなっている。
川石とピートモス、そして‹ダルトン›の培養土とココナツの殻を混ぜたたっぷりの土でろ過された水は、小さなビルジポンプで高い位置にあるキッチン菜園に供給される。汚れの軽い排水は水洗トイレにも使われ、その汚水はセプティックタンク(腐敗槽)で生物処理される。タンクでは、小さな生物やそのほかの自然な方法を用いて汚水を処理し、肥料に変える。これをさらに浄化処理して土に戻し、果樹園にある伝統品種20本の木の灌漑に用いている。
川石とピートモス、そして‹ダルトン›の培養土とココナツの殻を混ぜたたっぷりの土でろ過された水は、小さなビルジポンプで高い位置にあるキッチン菜園に供給される。汚れの軽い排水は水洗トイレにも使われ、その汚水はセプティックタンク(腐敗槽)で生物処理される。タンクでは、小さな生物やそのほかの自然な方法を用いて汚水を処理し、肥料に変える。これをさらに浄化処理して土に戻し、果樹園にある伝統品種20本の木の灌漑に用いている。
家全体に流れるナチュラルな雰囲気をバスルームにも取り入れたいと、ロウさんが床とシャワーの壁に選んだのは、アイランド・ストーンで見つけたランダムな石のタイル。洗面台にはリサイクル木材や原木を使っている。
壁は、モロッコや北アフリカでよく見られるタデラクトという伝統的な左官仕上げ。石灰を使った平らな塗り壁で、耐水性があり、外壁やバスルームの水に濡れる部分の仕上げにも使用できる。やわらかな曲線と自然の色味が、ほかの空間に使われている土レンガの壁にも調和する。塗り壁は3日間かけて手作業で磨きあげ、表面をつややかに仕上げている。
傾斜したガラス窓を通して、遠くの山々の眺めを借景。このデザインを実現するために、サプライヤー側にも新しい試みをして協力してもらう必要があった。メトロ・パフォーマンス・グラスのようなメーカーに助けられ、傾斜した木の枠組みや地面の排水といった問題を解決できたとアニングさんは言う。
テレビ番組「グランド・デザインズ」ニュージーランド版の最初のシーズンに登場して以来、この家は大きな注目を集めるようになった。テムズ・コロマンデル地域の自治体からのサポートは本当に素晴らしかったと、オーナー夫婦はいう。全国の自治体の建設担当者向けにツアーを開催できたのも、ふたりにとってうれしい成果だ。
家族で旅行に出かける夏のあいだはAirbnbで家を貸し出している(アニングさんは夏のあいだ、南極歴史遺産トラストで登山家エドモンド・ヒラリーの小屋の修復活動をしていた)。訪れる人たちは、家にも、周囲の自然の美しさにも魅了される。光害のなさにみんな驚き、澄んだ空の星空に夢中になるとアニングさんは言う。
家族で旅行に出かける夏のあいだはAirbnbで家を貸し出している(アニングさんは夏のあいだ、南極歴史遺産トラストで登山家エドモンド・ヒラリーの小屋の修復活動をしていた)。訪れる人たちは、家にも、周囲の自然の美しさにも魅了される。光害のなさにみんな驚き、澄んだ空の星空に夢中になるとアニングさんは言う。
建物のシステムも仕上げも、満足のいくものをつくるため、費用は出し惜しみしたくなかった。そのため最終的な建設コストは1平方メートルあたり830~960米ドル(1,200~1,400NZドル)となったが、革新的な電力・給水システムのため、家の維持費はごくわずかで済む。そして、なにより一家にとってうれしいのは、アースシップでの生活が素晴らしいことだ。土や自然な素材に囲まれて暮らすのは心地よく、大地としっかりつながっているという感覚がある。ふたりはこれからもずっと、ほかの人たちがアースシップづくりの夢を実現する手助けをしていくつもりだ。
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