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色の使い方の基本:隣り合う色で印象が変わる色の対比効果
色どうしを対比させることで、本来の色のそれぞれの印象を強めたり弱めたりすることができます。空間における隣り合う色のコントラスト効果は3種類。インテリアの色合わせに役立つ基本知識です。
カツウラアキツ
2017年1月4日
インテリアショップなどで気に入って購入したソファや棚、ファブリックやインテリア雑貨。自宅のリビングに置いてみたけれど、お店で見た雰囲気と何か違う……と感じたことはありませんか。そんなとき、お店の様子を思い出してみてください。それらの家具や雑貨が展示されていた背景はどんな色でしたか? 今回、色の使い方で注目するのは「色の対比」。隣り合う色や背景の色によって、実は色の見え方や感じ方は変わるのです。どんな対比=コントラストの効果があるのか、さっそく見てみましょう。
空間における色の対比効果
試しに、今いる部屋を一度見渡してみましょう。たとえば壁に隣接している床や天井、カーテンを見ても、壁や床と隣接した家具や、ソファと常に隣り合ったクッションなど、それぞれに色があります。このように、色と色が空間で隣り合い、同時に目にしたときに起こる対比効果を「同時対比」といいます。色の三属性といわれる色相、明度、彩度のそれぞれについて対比効果があるので、例を挙げてご紹介します。
試しに、今いる部屋を一度見渡してみましょう。たとえば壁に隣接している床や天井、カーテンを見ても、壁や床と隣接した家具や、ソファと常に隣り合ったクッションなど、それぞれに色があります。このように、色と色が空間で隣り合い、同時に目にしたときに起こる対比効果を「同時対比」といいます。色の三属性といわれる色相、明度、彩度のそれぞれについて対比効果があるので、例を挙げてご紹介します。
隣り合う色みによって見え方が変わる「色相対比」
最もわかりやすいのが「色相対比」。背景色によって、メインに据える色の見え方が変わってくる現象です。たとえば、インテリアグリーンをメインと考えた場合を見てみましょう。赤い壁の前にあるこの写真のインテリアグリーンは、緑という色の中に含まれる青みが際立って見えると思います。ここでは、色相環において緑から遠く離れた暖色系の赤が背景にあることで対比が強まり、寒色系の色が引き出されて見えてくる、という現象が起こっています。
最もわかりやすいのが「色相対比」。背景色によって、メインに据える色の見え方が変わってくる現象です。たとえば、インテリアグリーンをメインと考えた場合を見てみましょう。赤い壁の前にあるこの写真のインテリアグリーンは、緑という色の中に含まれる青みが際立って見えると思います。ここでは、色相環において緑から遠く離れた暖色系の赤が背景にあることで対比が強まり、寒色系の色が引き出されて見えてくる、という現象が起こっています。
今度は逆に、寒色系の青が背景色にあるグリーンを見てみましょう。緑は色相環において、青よりも黄色寄りに位置するため、今度は少し温かみを感じる、黄味がかった緑のように感じると思います。
こうした対比の現象は、目の錯覚によるものです。実際に色が変化しているわけではないのですが、色の印象を微妙に変えることのできる効果のひとつです。メインにする色を少しクールに感じさせたいならその色よりも暖色系寄りの色を近くに置く、温かみのある印象を持たせたいなら、背景にその色よりも寒色系寄りの色をチョイスする、という使い方で活用できます。
色の使い方の基本:色で温度を感じる暖色と寒色の効果
色の使い方の基本:色で温度を感じる暖色と寒色の効果
この色相対比の一種に「補色」(色相環で真向かいに位置する色)による対比があります。写真は同系色でまとめた部屋ですが、シックで静謐なトーンの青がインテリア全体に使われているため、そのイメージがより強調される効果を発揮しています。では、青い部屋のどこかに青の補色を使ってみると、どんな印象に変わるでしょうか。
この写真の例は、ベッドヘッドの一部に、青の補色であるオレンジ色を使っています。するとお互いの鮮やかさを強調し、引き立て合うことがわかると思います。これが補色対比です。反対の色を使うことで、空間にダイナミックな動きを感じさせるので、大胆なイメージも演出できます。
補色対比を活用するときに注意することがひとつ。どちらも鮮やかすぎると目がチカチカして疲れてしまうハレーション現象を起こしてしまうことがあります。その場合は、どちらか一方の色の彩度や明度を下げてください。ダイナミックな印象はそのままに、心地よいバランスを見つけることができるでしょう。
補色対比を活用するときに注意することがひとつ。どちらも鮮やかすぎると目がチカチカして疲れてしまうハレーション現象を起こしてしまうことがあります。その場合は、どちらか一方の色の彩度や明度を下げてください。ダイナミックな印象はそのままに、心地よいバランスを見つけることができるでしょう。
隣り合う色の明るさによって見え方が変わる「明度対比」
次は、明るさが関係する「明度対比」です。明るさの違う2つの色が影響しあうことで、色が微妙に変わって見える効果をいいます。たとえば、写真のライトグレーのソファは、それ自体が明度の高い色ですが、背景の壁の色がさらに明るい白なので、淡いグレーでもその色味がしっかり感じられます。
色の使い方の基本:色の明るさと鮮やかさの効果とは?
次は、明るさが関係する「明度対比」です。明るさの違う2つの色が影響しあうことで、色が微妙に変わって見える効果をいいます。たとえば、写真のライトグレーのソファは、それ自体が明度の高い色ですが、背景の壁の色がさらに明るい白なので、淡いグレーでもその色味がしっかり感じられます。
色の使い方の基本:色の明るさと鮮やかさの効果とは?
では、背景の壁の色を最も明度の低い黒にしてみるとどうでしょう。同じくらいの明るさのライトグレーなのに、背景が黒に変わっただけで、ソファがより明るく見えてきます。
ここではモノトーンを例にしていますが、有彩色でも同じことがいえます。もし今持っている家具やインテリアアイテムの色の印象を今よりもう少し明るくしたい、シックに見せたいと思ったら、このように背景の明度をコントロールしてみてはいかがでしょう。
ここではモノトーンを例にしていますが、有彩色でも同じことがいえます。もし今持っている家具やインテリアアイテムの色の印象を今よりもう少し明るくしたい、シックに見せたいと思ったら、このように背景の明度をコントロールしてみてはいかがでしょう。
隣り合う色の鮮やかさによって見え方が変わる「彩度対比」
最後にご紹介するのは、鮮やかさが関係する「彩度対比」。彩度の違う色が影響しあい、その色の鮮やかさが変化して見える効果のことです。この場合、彩度の高い方の色はより鮮やかに、彩度の低い方の色はより鈍い色に見えます。写真のようにどちらも鮮やかだと、それぞれの色の印象が強く、部屋全体がにぎやかな感じになります。
最後にご紹介するのは、鮮やかさが関係する「彩度対比」。彩度の違う色が影響しあい、その色の鮮やかさが変化して見える効果のことです。この場合、彩度の高い方の色はより鮮やかに、彩度の低い方の色はより鈍い色に見えます。写真のようにどちらも鮮やかだと、それぞれの色の印象が強く、部屋全体がにぎやかな感じになります。
では、どちらか一方の色の彩度を下げるとどうなるでしょう。彩度の高い鮮やかなピンクをテーブルとクッションに、彩度が低いダークブルーを背景とベッドリネンに使った写真の例では、ピンクがより鮮やかに主張しているように見えています。このように、鮮やかで目が惹きつけられる高彩度色のアイテムは、低彩度の部屋の中ではアクセントとなります。
また逆に、鮮やかな色があふれたインテリアの中では、彩度のない白、グレー、黒のモノトーンを使うと、彩度対比の効果でそれらをアクセントとして活かすことができます。
また逆に、鮮やかな色があふれたインテリアの中では、彩度のない白、グレー、黒のモノトーンを使うと、彩度対比の効果でそれらをアクセントとして活かすことができます。
実は私たちの暮らしの中には、こうしたさまざまな色の対比がよく使われています。たとえば、赤身のお刺身やお寿司の隣に緑があしらわれているのをよく見かけますが、これは補色を合わせることでより赤みが強調され、鮮やかにおいしそうに見せているのです。この赤と緑の補色の組み合わせは、本当によく見かける対比色で、上下巻が揃う本の装丁や、お菓子のパッケージなどにもよく使われています。隣どうしに置くと、お互いを引き立てて誘目性を高め、人の手にとってもらいやすくなるのです。
インテリアでこれらの効果を活用するときは、まず何をメインで見せるのかを決めるとよいでしょう。メインをどう見せたいかによって、色の対比を考慮して隣り合うアイテムや背景の色を検討するとうまくいきます。小さなアイテム、たとえばクッションやアートなどでも気軽に試すことできる効果なので、模様替えの際などにぜひ取り入れてみてくださいね。
インテリアでこれらの効果を活用するときは、まず何をメインで見せるのかを決めるとよいでしょう。メインをどう見せたいかによって、色の対比を考慮して隣り合うアイテムや背景の色を検討するとうまくいきます。小さなアイテム、たとえばクッションやアートなどでも気軽に試すことできる効果なので、模様替えの際などにぜひ取り入れてみてくださいね。
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