ジメジメしない家を作るために知っておきたいこと
日本の夏は蒸し暑いもの。ではその不快感を和らげる家は、どうすれば作れるのでしょうか?

安井俊夫
2020年7月1日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
梅雨のこの時期、ジメジメした空気が私たちを憂鬱な気分にしますが、その原因は湿度にあります。湿度とは空気中に含まれる水蒸気量の事で、温度が高くなるほど空気に含まれる湿度の量は増えていきます。
そこで、今回は快適で健康的な暮らしを楽しむために、住まいと湿度の関係を知り、快適に夏を乗り越えられるようご説明いたします。はじめに、家の中で湿度を上げてしまう場所やモノを理解しましょう。
そこで、今回は快適で健康的な暮らしを楽しむために、住まいと湿度の関係を知り、快適に夏を乗り越えられるようご説明いたします。はじめに、家の中で湿度を上げてしまう場所やモノを理解しましょう。
湿度を上げる物や場所
まず最初にいえるのは、住む人自身が、湿度を上げる原因の一つになっているということです。人の呼気や汗が、湿度を高くしてしまいます。ペットの呼気も湿度を高くする原因の一つです。
室内で行う様々な家事も湿度をあげます。台所で食事を作ること、洗濯や洗面、入浴やトイレといった場所での水分も湿度を高くします。部屋の中に置かれた植物や金魚の水槽なども例外ではありません。家の中で使う水が、室内の湿度を高くしてしまうのです。また、雨の日に塗れた靴で玄関に入れば、玄関の湿度は高くなります。
暮らしを快適にする湿度とは?
まず最初にいえるのは、住む人自身が、湿度を上げる原因の一つになっているということです。人の呼気や汗が、湿度を高くしてしまいます。ペットの呼気も湿度を高くする原因の一つです。
室内で行う様々な家事も湿度をあげます。台所で食事を作ること、洗濯や洗面、入浴やトイレといった場所での水分も湿度を高くします。部屋の中に置かれた植物や金魚の水槽なども例外ではありません。家の中で使う水が、室内の湿度を高くしてしまうのです。また、雨の日に塗れた靴で玄関に入れば、玄関の湿度は高くなります。
暮らしを快適にする湿度とは?
冬になると可燃性の暖房器具(ストーブやファンヒーター類)を使用することがありますが、これも湿度を高くしてしまいます。石油ストーブなどは使用する灯油と同じだけの湿度が、室内に放出されると言われています。そして乾燥を防ぐために使用する加湿器も、文字通り室内湿度を高くします。
これらの様々な原因から高くなってしまう湿度ですが、適切な数値で管理できていれば不快感はないはずです。一方で、適切な数値を超えてしまうと一挙に不快感を覚え、場合に拠っては体調を崩すことさえあります。
理想的な湿度量は40~60%が好ましいと言われており、夏は60%、冬は50%前後が理想です。
これらの様々な原因から高くなってしまう湿度ですが、適切な数値で管理できていれば不快感はないはずです。一方で、適切な数値を超えてしまうと一挙に不快感を覚え、場合に拠っては体調を崩すことさえあります。
理想的な湿度量は40~60%が好ましいと言われており、夏は60%、冬は50%前後が理想です。
湿度が高いと起きること
湿度が高くなると、室内でのカビの発生量が増えます。カビは見た目を損なうだけではなく、人体への影響も少なくありません。
害虫なども繁殖し、室内環境の悪化を招きます。屋内での熱中症が起きるのも、温度とともに高い湿度が原因と言われていますので、これからの時期は十分ご注意ください。
湿度が低いと起こること
空気が乾燥するとウィルスや病原菌が増えてしまいます。また肌が乾燥しやすくなり、人によっては痒みなどを伴う場合もあります。
静電気も起きやすく、不快な思いをすることもあるかもしれません。湿度の低下は、夏よりも気温の低くなる冬に起きやすいので、季節の変わり目の湿度管理には十分に注意しましょう。
湿度が高くなると、室内でのカビの発生量が増えます。カビは見た目を損なうだけではなく、人体への影響も少なくありません。
害虫なども繁殖し、室内環境の悪化を招きます。屋内での熱中症が起きるのも、温度とともに高い湿度が原因と言われていますので、これからの時期は十分ご注意ください。
湿度が低いと起こること
空気が乾燥するとウィルスや病原菌が増えてしまいます。また肌が乾燥しやすくなり、人によっては痒みなどを伴う場合もあります。
静電気も起きやすく、不快な思いをすることもあるかもしれません。湿度の低下は、夏よりも気温の低くなる冬に起きやすいので、季節の変わり目の湿度管理には十分に注意しましょう。
湿度を下げるには
では、高くなってしまった湿度を下げるには、どうすればよいのでしょうか?
① 風通しを良くする
人が生活している以上、室内で湿度が発生するのは仕方のないことです。それならば、発生した湿度を、適切に外へ排出すればよいのです。
水蒸気を多く含んだ空気は下へと溜まります。そのことを理解し、家全体の空気を上手に循環させ、窓を開けて空気を入れ替えればよいのです。湿度を多く含んだ空気は重くなるため下に溜まることを踏まえ、押し入れやクローゼットなどは、下の空間に隙間を作るような収納を心掛けましょう。除湿剤を置く際には下の方に置くのが効果的です。
浴室やトイレなど、湿気が溜まりやすい場所では、窓を開けておくことはもちろん、換気扇を上手に活用することを心掛けましょう。浴室乾燥機を使うと浴室内を素早く乾燥させ、湿度を下げると同時にカビの発生を抑えることができます。
では、高くなってしまった湿度を下げるには、どうすればよいのでしょうか?
① 風通しを良くする
人が生活している以上、室内で湿度が発生するのは仕方のないことです。それならば、発生した湿度を、適切に外へ排出すればよいのです。
水蒸気を多く含んだ空気は下へと溜まります。そのことを理解し、家全体の空気を上手に循環させ、窓を開けて空気を入れ替えればよいのです。湿度を多く含んだ空気は重くなるため下に溜まることを踏まえ、押し入れやクローゼットなどは、下の空間に隙間を作るような収納を心掛けましょう。除湿剤を置く際には下の方に置くのが効果的です。
浴室やトイレなど、湿気が溜まりやすい場所では、窓を開けておくことはもちろん、換気扇を上手に活用することを心掛けましょう。浴室乾燥機を使うと浴室内を素早く乾燥させ、湿度を下げると同時にカビの発生を抑えることができます。
② 内装材料を工夫する
昔から日本の住宅は木造住宅が多く、部屋を仕切る物も障子や襖、あるいは木製の板戸が使われていました。庭に面した場所には広縁や廊下が設けられ、外部と緩やかに仕切る建具で、開放性の高い仕切りとなっていました。地面からの湿気を避けるため床を上げ、床下には湿気が籠もらないように空間が設けられていました。
昔ながらの日本の家で室内に使用されていた内装材といえば、床は天然木の縁甲板か畳。壁や天井には土壁や漆喰、あるいは板材。すべての材料が夏には湿気を吸い、冬には湿気を吐き出す呼吸する、まさに日本の気候風土に適した材料が使われていました。
近年は価格とメンテナンス性に優れた新建材を利用することが増えましたが、室内の多くの面積を占める床に無垢材フローリングを採用し、壁に漆喰や珪藻土といった左官材料を使用することは、湿度を調整するという意味でも効果的です。和紙や合板類を使用することも、一定の効果が期待できます。
ニッポンの壁〜多彩な内装材の世界
昔から日本の住宅は木造住宅が多く、部屋を仕切る物も障子や襖、あるいは木製の板戸が使われていました。庭に面した場所には広縁や廊下が設けられ、外部と緩やかに仕切る建具で、開放性の高い仕切りとなっていました。地面からの湿気を避けるため床を上げ、床下には湿気が籠もらないように空間が設けられていました。
昔ながらの日本の家で室内に使用されていた内装材といえば、床は天然木の縁甲板か畳。壁や天井には土壁や漆喰、あるいは板材。すべての材料が夏には湿気を吸い、冬には湿気を吐き出す呼吸する、まさに日本の気候風土に適した材料が使われていました。
近年は価格とメンテナンス性に優れた新建材を利用することが増えましたが、室内の多くの面積を占める床に無垢材フローリングを採用し、壁に漆喰や珪藻土といった左官材料を使用することは、湿度を調整するという意味でも効果的です。和紙や合板類を使用することも、一定の効果が期待できます。
ニッポンの壁〜多彩な内装材の世界
③ 床下に調湿対策を施す
家を建てる際に地盤調査を行うことは、近頃では当然のこととなりました。それでも木造住宅の場合には、地盤の固さだけを調べ、地下水位の高さまで調べることは稀です。
ですが、地面から上がる湿度を甘く見てはいけません。そもそも家を建てる土地の名前に水や田、沼・窪・沢といった水に関連する文字が使われている場所は、地下に水を含んでいたか、それに関連した土地の利用がされていた場所と考えてみたほうが良いでしょう。
また水捌けの良し悪しも、雨の日に見にいくだけで、大まかな見当が付きます。もし不安を感じる場合には、床下に専用の調湿材を敷設する方法や、床下の換気を機械で行うものもあるので、建築家とよくご相談下さい。
家を建てる際に地盤調査を行うことは、近頃では当然のこととなりました。それでも木造住宅の場合には、地盤の固さだけを調べ、地下水位の高さまで調べることは稀です。
ですが、地面から上がる湿度を甘く見てはいけません。そもそも家を建てる土地の名前に水や田、沼・窪・沢といった水に関連する文字が使われている場所は、地下に水を含んでいたか、それに関連した土地の利用がされていた場所と考えてみたほうが良いでしょう。
また水捌けの良し悪しも、雨の日に見にいくだけで、大まかな見当が付きます。もし不安を感じる場合には、床下に専用の調湿材を敷設する方法や、床下の換気を機械で行うものもあるので、建築家とよくご相談下さい。
④ 換気性能を高める
現在、建築基準法では室内の24時間換気を義務付けしていますが、その換気方法にも三つの種類があり、どの換気方法を選択するかは建築主の判断に任されています。
一般的には吸気は自然に任せて、排気は換気扇で行う第三種換気が多く採用されていますが、吸気も排気も機械で行う第一種換気を採用することにより、室内の湿度管理の点においても有効に働きます。もちろん、エアコンや除湿器を利用して、湿度コントロールを行うことも大切です。
家族を健康にする住まいの換気とは?その種類と方法
現在、建築基準法では室内の24時間換気を義務付けしていますが、その換気方法にも三つの種類があり、どの換気方法を選択するかは建築主の判断に任されています。
一般的には吸気は自然に任せて、排気は換気扇で行う第三種換気が多く採用されていますが、吸気も排気も機械で行う第一種換気を採用することにより、室内の湿度管理の点においても有効に働きます。もちろん、エアコンや除湿器を利用して、湿度コントロールを行うことも大切です。
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木造か鉄筋コンクリート造か
湿度に関する悩みは、木造住宅に住む方よりも鉄筋コンクリート造(以下RC造と記載)のマンションに住む方の方が多いといわれています。
もともとコンクリートとは、セメントと水が混ざり合うことで固まる材料なので、多くの水分が含まれています。その水分は建物が完成した後も、少しずつ放出され続けます。新築のRC造マンションなどの場合、壁側に家具を密着させると、家具の裏にカビが発生することがあるのは、そのためです。
RC造の室内に高い湿度を感じる際には、壁際に家具を密着させる配置を避け、家具の裏側に風が抜けるような置き方をイメージで考えると良いでしょう。
RC造(鉄筋コンクリート造)一戸建て住宅の特徴
湿度に関する悩みは、木造住宅に住む方よりも鉄筋コンクリート造(以下RC造と記載)のマンションに住む方の方が多いといわれています。
もともとコンクリートとは、セメントと水が混ざり合うことで固まる材料なので、多くの水分が含まれています。その水分は建物が完成した後も、少しずつ放出され続けます。新築のRC造マンションなどの場合、壁側に家具を密着させると、家具の裏にカビが発生することがあるのは、そのためです。
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