暮らしを快適にする湿度とは?
乾燥する冬には加湿器で湿度を補っている人も多いでしょう。逆に、夏場は湿気が気になりますよね。では、室内の快適な湿度とは実際どれくらいで、どのように保つのが良いのでしょうか?

荒木康史
2021年1月13日
暮らしの総合アドバイザー。ユーザーや建設会社向けにコンサルティングや講演、セミナーを行なっております。
湿度とは、空気中どれだけ水分が含まれているかを示す値です。住まいの中で快適に過ごすためには、室内の温度と湿度をコントロールする必要があります。この中でも湿度については、コントロールが難しく乾燥しすぎるとインフルエンザなどのウィルスを原因とした病気に罹りやすくなるなど、健康を害しかねません。
快適な湿度について知ることで、健康的で快適な空気空間を手に入れましょう。
いい空気とは
人にとっていい空気とはどんなものでしょうか。『空気清浄機をつけてるから大丈夫』という方もいるかと思いますが、空気中のホコリやカビなどが捕捉されたとしても、それだけではいい空気とは言えません。
空気の質を表すものにIAQ(indoor air quality)があります。厚生労働省が決めたIAQガイドラインが対象としている物質には、”二酸化炭素”、”一酸化炭素”、”粉塵”と厚生労働省指定のホルムアルデヒドなど13の化学物質です。
この日本の基準は、WHOの定めたIAQに比べて項目数も化学物質の濃度も甘い傾向にあるので、できれば世界基準に合わせたいところです。
快適な湿度について知ることで、健康的で快適な空気空間を手に入れましょう。
いい空気とは
人にとっていい空気とはどんなものでしょうか。『空気清浄機をつけてるから大丈夫』という方もいるかと思いますが、空気中のホコリやカビなどが捕捉されたとしても、それだけではいい空気とは言えません。
空気の質を表すものにIAQ(indoor air quality)があります。厚生労働省が決めたIAQガイドラインが対象としている物質には、”二酸化炭素”、”一酸化炭素”、”粉塵”と厚生労働省指定のホルムアルデヒドなど13の化学物質です。
この日本の基準は、WHOの定めたIAQに比べて項目数も化学物質の濃度も甘い傾向にあるので、できれば世界基準に合わせたいところです。
快適な空気
快適な空気とはIAQガイドラインをクリアした空気に最適な室温と湿度を加えたものになります。建築物環境衛生管理基準では、室温を17〜28℃、湿度を40〜70%と定めています。つまり有害物質が基準値以下で温度と湿度がこの範囲内にあるとき、快適な空気と言えます。
部屋を暖めると湿度は下がる
どういうこと?と思われるかもしれませんが、室温と湿度は密接に関係していて、あちらを立てればこちらが立たずといった具合にバランスを取るのが難しいのです。空気の中に含むことのできる水分量は決まっています。空気中の水分量は気温が低くなると減少し、気温が高くなると多くなります。
例えば、12月から2月の東京の平均気温は5.9℃で湿度は56%ですが、この空気を室内に入れてそのまま20℃まで暖めると、湿度は23%まで低下します。すると、快適な空気の条件である40〜70%の範囲から外れることになるので、快適な空気とは言えなくなるのです。
快適な空気とはIAQガイドラインをクリアした空気に最適な室温と湿度を加えたものになります。建築物環境衛生管理基準では、室温を17〜28℃、湿度を40〜70%と定めています。つまり有害物質が基準値以下で温度と湿度がこの範囲内にあるとき、快適な空気と言えます。
部屋を暖めると湿度は下がる
どういうこと?と思われるかもしれませんが、室温と湿度は密接に関係していて、あちらを立てればこちらが立たずといった具合にバランスを取るのが難しいのです。空気の中に含むことのできる水分量は決まっています。空気中の水分量は気温が低くなると減少し、気温が高くなると多くなります。
例えば、12月から2月の東京の平均気温は5.9℃で湿度は56%ですが、この空気を室内に入れてそのまま20℃まで暖めると、湿度は23%まで低下します。すると、快適な空気の条件である40〜70%の範囲から外れることになるので、快適な空気とは言えなくなるのです。
人が快適に生活できる空気環境は安全です!
グラフは人が快適に生活できる室温と湿度のほか、ダニやカビの繁殖範囲とウィルスの繁殖範囲を示しています。このグラフから分かるように、空気の温度と湿度を快適な範囲に保つことで、健康の害となるカビ・ダニやウィルスから体を守ることができます。
快適な湿度
温度と湿度の関係は、先ほど述べたように2つは密接に関係していて、コントロールすることが難しいのですが、こと湿度に目を向けてみると快適な範囲である湿度40〜70%においては、カビ・ダニおよびウィルスについてもその繁殖範囲から外れていることがわかります。つまり、湿度を適切にコントロールすることによって健康的で安全な環境を実現することができるのです。
もちろん、暑すぎても寒すぎても体には負担になるので温度もしっかり管理しましょう。
ジメジメしない家を作るために知っておきたいこと
グラフは人が快適に生活できる室温と湿度のほか、ダニやカビの繁殖範囲とウィルスの繁殖範囲を示しています。このグラフから分かるように、空気の温度と湿度を快適な範囲に保つことで、健康の害となるカビ・ダニやウィルスから体を守ることができます。
快適な湿度
温度と湿度の関係は、先ほど述べたように2つは密接に関係していて、コントロールすることが難しいのですが、こと湿度に目を向けてみると快適な範囲である湿度40〜70%においては、カビ・ダニおよびウィルスについてもその繁殖範囲から外れていることがわかります。つまり、湿度を適切にコントロールすることによって健康的で安全な環境を実現することができるのです。
もちろん、暑すぎても寒すぎても体には負担になるので温度もしっかり管理しましょう。
ジメジメしない家を作るために知っておきたいこと
冬の乾燥対策
日本の冬は特に乾燥しますよね。外の湿度は50%前後なのでそんなに乾燥しているように思えませんが、室内に入ると急に乾燥していると感じてしまいます。外の湿度は50%もあるのに室内の湿度は20%なんてことはよくあることなんです。
大事なのは空気に含まれている水分の量です
日常で湿度というと相対湿度のことを指します。例えば、気温が5℃くらいの冬の屋外では、湿度は50%くらいあるので乾燥しているようにはみえません。ところが、この空気1kg中に含まれる水分量は2.7gしかありませんので実際はとても乾燥しています。さらにこの空気を20度まで暖めると快適な温度になりますが、水分量は変わらないので、湿度は18%ということになってしまいます。これではお肌もノドも乾燥してしまいますね。
乾燥を防ぐためには加湿が必要です
冬の乾燥を防ぐには、加湿器や観葉植物が必要です。例えば20畳のリビングを湿度50%にしようとすれば、1時間に1リットル以上の加湿能力のある加湿器が必要になります。
また、観葉植物を置くことで室内の乾燥状況がわかりますので、加湿器と合わせて設置するといいでしょう。乾燥しているからといって植物に水をやりすぎると根腐れを起こしますので、ご注意ください。
日本の冬は特に乾燥しますよね。外の湿度は50%前後なのでそんなに乾燥しているように思えませんが、室内に入ると急に乾燥していると感じてしまいます。外の湿度は50%もあるのに室内の湿度は20%なんてことはよくあることなんです。
大事なのは空気に含まれている水分の量です
日常で湿度というと相対湿度のことを指します。例えば、気温が5℃くらいの冬の屋外では、湿度は50%くらいあるので乾燥しているようにはみえません。ところが、この空気1kg中に含まれる水分量は2.7gしかありませんので実際はとても乾燥しています。さらにこの空気を20度まで暖めると快適な温度になりますが、水分量は変わらないので、湿度は18%ということになってしまいます。これではお肌もノドも乾燥してしまいますね。
乾燥を防ぐためには加湿が必要です
冬の乾燥を防ぐには、加湿器や観葉植物が必要です。例えば20畳のリビングを湿度50%にしようとすれば、1時間に1リットル以上の加湿能力のある加湿器が必要になります。
また、観葉植物を置くことで室内の乾燥状況がわかりますので、加湿器と合わせて設置するといいでしょう。乾燥しているからといって植物に水をやりすぎると根腐れを起こしますので、ご注意ください。
夏の除湿
冬とは逆に日本の夏は高温多湿でいつもジメジメしている感じ。肌は汗ばむし部屋を出たくないと感じることも多いですよね。
実際、東京の7月の最高気温は30度くらいで湿度77%と高温多湿です。この暑く湿った空気をエアコンで冷やすと湿度90%以上になり、エアコンの吹き出し口から出てくる空気が白くなり、まるで湯気が出ているように感じになります。
これは、空気に含まれている水分が冷やされることによって結露したものです。室温は低いのになんとなくジメジメするとか体が冷えすぎるというときは、湿度が高いのが原因かもしれません。
夏は冷やすよりも除湿することが大事です
体感温度は人それぞれ違いますが、夏に快適と感じる温度は28℃前後で湿度50%くらいです。つまり、エアコンで室温だけを下げても湿度が高いままだと不快な状態になってしまいますので、エアコンの使い方にも注意が必要です。最新のエアコンには自動設定により温度と湿度をコントロールするようになっているので、エアコン任せにしてもいいですね。一方で、賃貸マンションなど古いエアコンが設置してある場合には、温湿度計を使って、部屋の状態を確かめながら温度や湿度が快適なゾーンになるようにしましょう。
熱中症の原因の一つは高湿度
最近は熱中症による家庭内での事故が増えています。環境省では夏の省エネ対策として28℃を奨励していますが、湿度が70%を超えると熱中症のリスクが高まりますので、温度だけに気をとられると大事故につながりかねません。あくまでも室温28度で湿度50%が理想なのでご注意ください。
調湿・抗菌・保温に優れる桐。ジメジメした梅雨時にこそ、インテリアに取り入れたい
冬とは逆に日本の夏は高温多湿でいつもジメジメしている感じ。肌は汗ばむし部屋を出たくないと感じることも多いですよね。
実際、東京の7月の最高気温は30度くらいで湿度77%と高温多湿です。この暑く湿った空気をエアコンで冷やすと湿度90%以上になり、エアコンの吹き出し口から出てくる空気が白くなり、まるで湯気が出ているように感じになります。
これは、空気に含まれている水分が冷やされることによって結露したものです。室温は低いのになんとなくジメジメするとか体が冷えすぎるというときは、湿度が高いのが原因かもしれません。
夏は冷やすよりも除湿することが大事です
体感温度は人それぞれ違いますが、夏に快適と感じる温度は28℃前後で湿度50%くらいです。つまり、エアコンで室温だけを下げても湿度が高いままだと不快な状態になってしまいますので、エアコンの使い方にも注意が必要です。最新のエアコンには自動設定により温度と湿度をコントロールするようになっているので、エアコン任せにしてもいいですね。一方で、賃貸マンションなど古いエアコンが設置してある場合には、温湿度計を使って、部屋の状態を確かめながら温度や湿度が快適なゾーンになるようにしましょう。
熱中症の原因の一つは高湿度
最近は熱中症による家庭内での事故が増えています。環境省では夏の省エネ対策として28℃を奨励していますが、湿度が70%を超えると熱中症のリスクが高まりますので、温度だけに気をとられると大事故につながりかねません。あくまでも室温28度で湿度50%が理想なのでご注意ください。
調湿・抗菌・保温に優れる桐。ジメジメした梅雨時にこそ、インテリアに取り入れたい
湿度管理の必需品
湿度を正しくコントロールすることが、快適な暮らしの実現への近道です。日頃から室内の湿度を意識して健康に留意しましょう。
無理せず快適な湿度環境を実現するためのオススメグッズ
快適な温度湿度の目安
健康的で快適な温度と湿度の目安は次の通りです。
冬の室内環境 室温18℃〜22℃ 湿度45%〜60%
夏の室内環境 室温25℃〜28℃ 湿度55%〜65%
湿度を上手にコントロールし、快適な空間を作ることで健康を守りましょう!
住まいづくりの専門家を探す
湿度を正しくコントロールすることが、快適な暮らしの実現への近道です。日頃から室内の湿度を意識して健康に留意しましょう。
無理せず快適な湿度環境を実現するためのオススメグッズ
- デジタル式温湿度計
- 加湿器(お使いの部屋の大きさに合わせてお求めください)
- エアコン(除湿機能が高いもの)
- 除湿機(タンクが大きいもの:一年中使えるハイブリッド式がオススメです)
- 観葉植物(水分が不足すると枯れやすく、加湿目的と言うより適切な湿度になっているかの目安になります)
快適な温度湿度の目安
健康的で快適な温度と湿度の目安は次の通りです。
冬の室内環境 室温18℃〜22℃ 湿度45%〜60%
夏の室内環境 室温25℃〜28℃ 湿度55%〜65%
湿度を上手にコントロールし、快適な空間を作ることで健康を守りましょう!
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