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斜めの屋根が自然豊かな景観になじむ「北白川の角家」
全体をホワイトでまとめたスタイリッシュな住宅。斜めに突き出た屋根が独特な外観をつくり、周囲の環境とうまく溶け込んでいます。
杉田真理子
2019年11月20日
2人目の子供が出来たタイミングで、マイホームづくりを考え始めた夫妻。建築家と共に土地探しを始めて、この土地に出会えたのは出産の1日前だった。
近くに白川疎水が流れる京都・北白川の土地は、東側には有名な大文字、南に吉田山、北側には道路を挟んで大学植物園の自然豊かな畑、隣には児童公園、という自然が美しいひっそりとした場所。周囲の景観をめいっぱい楽しみつつ、家そのものも景観の一部としてエリアに馴染ませた、北白川の角家を訪ねた。
近くに白川疎水が流れる京都・北白川の土地は、東側には有名な大文字、南に吉田山、北側には道路を挟んで大学植物園の自然豊かな畑、隣には児童公園、という自然が美しいひっそりとした場所。周囲の景観をめいっぱい楽しみつつ、家そのものも景観の一部としてエリアに馴染ませた、北白川の角家を訪ねた。
Photo: Yasushi Ichikawa
どんなHouzz?
住まい手:夫妻と、6歳と11歳の息子
場所:京都市左京区
敷地面積:91.62㎡
建築面積:54.93㎡
延床面積:119.80㎡
構造:鉄骨造
設計:UME architects(梅原 悟)
施工:株式会社 テン・プランニング
竣工時期:2014年5月
京都市内の大学で務める夫とその妻。建築家・梅原悟さんとは、共通の友人の紹介で出会ったという。両者とも、アート好きという部分で共通していた。
最初はリノベーションも考えていたという夫妻は、なかなか良い物件にめぐり合えなかったこともあり、土地探しから新築で建築家にお願いすることにした。「せっかく建築家に依頼をするので、建築家自身の個性もどんどん出してもらいたい、と思っていました」と奥さま。
どんなHouzz?
住まい手:夫妻と、6歳と11歳の息子
場所:京都市左京区
敷地面積:91.62㎡
建築面積:54.93㎡
延床面積:119.80㎡
構造:鉄骨造
設計:UME architects(梅原 悟)
施工:株式会社 テン・プランニング
竣工時期:2014年5月
京都市内の大学で務める夫とその妻。建築家・梅原悟さんとは、共通の友人の紹介で出会ったという。両者とも、アート好きという部分で共通していた。
最初はリノベーションも考えていたという夫妻は、なかなか良い物件にめぐり合えなかったこともあり、土地探しから新築で建築家にお願いすることにした。「せっかく建築家に依頼をするので、建築家自身の個性もどんどん出してもらいたい、と思っていました」と奥さま。
Photo: Yasushi Ichikawa
ヨーロッパにしばらく住んでいたという梅原さん。「ヨーロッパでは、建築もアートも、分野横断的に融合させる文化がありました。今回も、両者の繋がりを意識しています」と、アート好きな夫妻のための家づくりについて説明する。家全体は、アート作品を飾っても映え、自分たちでも塗り直して補修しやすい白を基調にまとめた。
ヨーロッパにしばらく住んでいたという梅原さん。「ヨーロッパでは、建築もアートも、分野横断的に融合させる文化がありました。今回も、両者の繋がりを意識しています」と、アート好きな夫妻のための家づくりについて説明する。家全体は、アート作品を飾っても映え、自分たちでも塗り直して補修しやすい白を基調にまとめた。
玄関は、ベビーカーや自転車などを乗り入れられる、広々としたデザイン。段差を最小限にし、土間のような感覚で入れるようにした。
エントランスにもアート作品が飾れるように、壁は清潔感のある白。「白であれば、お子さんが壁に落書きしても、上から塗れば自分たちでも修復できます」と梅原さん。フローティング階段は視線が抜け、光も入るため広々とした雰囲気を演出できる。
京都府の建築家を探す
エントランスにもアート作品が飾れるように、壁は清潔感のある白。「白であれば、お子さんが壁に落書きしても、上から塗れば自分たちでも修復できます」と梅原さん。フローティング階段は視線が抜け、光も入るため広々とした雰囲気を演出できる。
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家族のための空間は2階にまとめ、1階にはバスルームと寝室を配置した。
広々としたバスルームは自然光がふんだんに入り込み、明るい雰囲気。外からも直接出入りできるように、勝手口がついている。隣の児童公園で遊んで帰ってきた子供が、そのまま洗面所に入って汚れた身体を洗える、嬉しい工夫だ。
セメントに白の塗料を混ぜて作った床は、通常のセメントの床よりワントーン明るい。バスルームの印象が暗くなるのを夫妻は心配していたが、明るい清潔感のある仕上がりとなった。「さらりと心地よいので、家にいる時は、いつも裸足です」と奥さまは笑う。お風呂場と洗面所を区切るドアはガラス張りとし、開放感を持たせつつ、コミュニケーションが生まれるようにした。
半地下に位置するベッドルームは、冬は暖かく、夏は涼しい。「半地下だからこそ静かですし、プライバシーも守られます」と梅原さん。
Houzzでバスルームの写真をみる
広々としたバスルームは自然光がふんだんに入り込み、明るい雰囲気。外からも直接出入りできるように、勝手口がついている。隣の児童公園で遊んで帰ってきた子供が、そのまま洗面所に入って汚れた身体を洗える、嬉しい工夫だ。
セメントに白の塗料を混ぜて作った床は、通常のセメントの床よりワントーン明るい。バスルームの印象が暗くなるのを夫妻は心配していたが、明るい清潔感のある仕上がりとなった。「さらりと心地よいので、家にいる時は、いつも裸足です」と奥さまは笑う。お風呂場と洗面所を区切るドアはガラス張りとし、開放感を持たせつつ、コミュニケーションが生まれるようにした。
半地下に位置するベッドルームは、冬は暖かく、夏は涼しい。「半地下だからこそ静かですし、プライバシーも守られます」と梅原さん。
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階段をあがると、広々としたリビングダイニングが広がる。「家族のために、”行き止まり”のない空間を作りたいと思いました」という梅原さんは、仕切りのない循環できる導線設計を意識した。3階へと続く階段の右手には、トイレと洗面台、収納スペースが隠れている。導線が連続的にデザインされていることで、家事もしやすい、と奥さま。
家族は、明るく風通しの良い家を所望していた。「緑の美しい敷地の良さを生かし、外の風景を最大限に生かすデザインを考えました」という梅原さん。大きな窓が随所に配置され、自然光がふんだんに入る。
フローリングは、白味がかった塗装を施した、ナラ材を使用。白が基調のスタイリッシュな空間に、木材の温もりが映えている。
フローリングは、白味がかった塗装を施した、ナラ材を使用。白が基調のスタイリッシュな空間に、木材の温もりが映えている。
キッチンでは、2人がスムーズに行き来できるほどのスペースを確保した。真っ白な人造大理石を使用したアイランドキッチンは空間全体に溶け込み、清潔感がある。
キッチンに立つとリビングを見渡せ、声も通るため、料理をしながらでも家族とコミュニケーションが弾むという。目の前には、大きな窓。緑の美しい外部空間も見通せ、それがインテリアの一部として楽しめる。また、リビングダイニングはキッチンよりも一段高く設けられているため、キッチンに立つ人とリビングダイニングで座る人が、同じ目線でコミュニケーションできるのも嬉しい。
Houzzでキッチンの写真をみる
キッチンに立つとリビングを見渡せ、声も通るため、料理をしながらでも家族とコミュニケーションが弾むという。目の前には、大きな窓。緑の美しい外部空間も見通せ、それがインテリアの一部として楽しめる。また、リビングダイニングはキッチンよりも一段高く設けられているため、キッチンに立つ人とリビングダイニングで座る人が、同じ目線でコミュニケーションできるのも嬉しい。
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夫妻は、家族の気配が常に感じられる空間も重視にしていたという。その要望に応え、梅原さんは、風通しがよく視線も抜ける仕掛けを、随所に設けることにした。リビング側からキッチン側を見渡すと、3階の一部が透けて見えるようになっている。3階に続く階段にも一部ブロック型に切り抜き、視線が随所で抜けるデザインとなった。
2階と3階の間の開口部分に飾り棚が仕込まれているのも、アート作品を飾りたい夫妻に合わせた工夫だ。室内にはアート作品の他にも植物がふんだんに置かれ、ナチュラルで健やかな雰囲気となっている。
2階と3階の間の開口部分に飾り棚が仕込まれているのも、アート作品を飾りたい夫妻に合わせた工夫だ。室内にはアート作品の他にも植物がふんだんに置かれ、ナチュラルで健やかな雰囲気となっている。
2階に多く設置された窓のカーテンを全て開けると、内部空間と外部が緩やかに融合する。「家は四角い構造を基調としつつ、中から外にブロックを押し出すような形で、窓枠やバルコニーを突き出させてデザインしています」と梅原さん。
内部から突き出すような形で窓が仕込まれているため、出窓のように使用でき、バルコニーの塀は、ベンチにもなる。バルコニーのデッキは外用でありつつも、できるだけ内部空間の延長のように見えるよう、見た目が近いものをセレクトした。
内部から突き出すような形で窓が仕込まれているため、出窓のように使用でき、バルコニーの塀は、ベンチにもなる。バルコニーのデッキは外用でありつつも、できるだけ内部空間の延長のように見えるよう、見た目が近いものをセレクトした。
内部空間と外部が緩やかに融合する窓辺。
白いブロックを積み重ねたような階段を2階から登ると、斜めの天井が印象的な3階となる。「階段は、家具の一部として捉えています。箱の中に浮いている感じでブロック式に重ね、切り抜きを数カ所つくることで視線を抜けさせ、遊び心のあるデザインとしました」と梅原さん。
この階段がそのまま、3階の本棚とデスクと繋がった構造となっている。木材にホワイトの塗料を施して、シンプルに仕上げた。
この階段がそのまま、3階の本棚とデスクと繋がった構造となっている。木材にホワイトの塗料を施して、シンプルに仕上げた。
Photo: Yasushi Ichikawa
現在は書斎として使用されている3階は、将来的に子供部屋として使用される予定だ。
現在は書斎として使用されている3階は、将来的に子供部屋として使用される予定だ。
将来2人の子供が成長したら、3階全体を半分に分けて使用できるよう、計算して設計した。ロフトは広く、奥行きを持ってデザインすることで、寝室としても使用できるようになっている。椅子を合わせればデスクとしても使用可能だ。天窓と大きく公園側に開いた窓から自然光が入り込み、開放的な空間となっている。
Photo: Yasushi Ichikawa
対角線に稜線をもつ勾配屋根は、比叡山の方向を向いているという。屋根は、家の形ではなく敷地の形に合わせて、めいっぱい広げて作った。このような部屋の形は、京都市の景観条例において前例がなかったため、優良デザイン会議にて特別の審査と承認を得る必要があったという。
「京都市の景観条例に合わせ、住宅という規模から、周囲の環境に合わせた景観の一部としての家づくりに務めました」と梅原さん。スタイリッシュさと住みやすさ、周辺環境と美しく繋がる、バランスが取れた住宅だ。
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対角線に稜線をもつ勾配屋根は、比叡山の方向を向いているという。屋根は、家の形ではなく敷地の形に合わせて、めいっぱい広げて作った。このような部屋の形は、京都市の景観条例において前例がなかったため、優良デザイン会議にて特別の審査と承認を得る必要があったという。
「京都市の景観条例に合わせ、住宅という規模から、周囲の環境に合わせた景観の一部としての家づくりに務めました」と梅原さん。スタイリッシュさと住みやすさ、周辺環境と美しく繋がる、バランスが取れた住宅だ。
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