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築40年超の木造家屋を大規模改修。リビングとテラスが一体化した眺めのいい家
見晴らしの良い高台に建っていた、築40年超の木造家屋。スケルトンリフォームで使いやすい住まいに生まれ変わりました。

Miki Anzai
2019年8月8日
Editor |Houzz Japan
築年数がかなり経っている戸建住宅をリノベーションする場合、建物を一度解体しないと、経年劣化の度合いなどが分からない。しかし、いったんスケルトン(骨組み・構造体)の状態にして、躯体状況を確認し、耐震補強をきちんと施せば、既存の間取りにとらわれずに、生活スタイルにあわせた自由な空間を創り出せる。今回は、築40年の木造家屋を大規模改修した、マーク・ホドビーさんと並子さんご夫妻の住まいをご紹介する。
どんなHouzz?
住まい手:ホドビーご夫妻+10代のお子様2人+愛犬マックス君
所在地:東京都品川区
敷地面積:340.74㎡
延床面積(リノベーション部分):1階128.48㎡、2階92.84㎡、テラス33.82㎡
竣工:2017年9月
工期:7ヶ月
構造:木造在来工法
設計:森吉直剛アトリエの森吉直剛さん
撮影:Satoshi Shigeta (ビフォー写真・スナップショットを除く)
東京の閑静な住宅街である島津山エリアの見晴らしのよい高台に建つホドビー邸。一家は以前、同じ敷地に建つ賃貸住宅に住んでいたが、この家の売却の話をいち早く聞きつけ、改修を前提に購入した。設計は、近くに住む友人夫妻の紹介で、彼らの築40年超の木造住宅を再生させた森吉直剛アトリエの森吉直剛さんに依頼した。
住まい手:ホドビーご夫妻+10代のお子様2人+愛犬マックス君
所在地:東京都品川区
敷地面積:340.74㎡
延床面積(リノベーション部分):1階128.48㎡、2階92.84㎡、テラス33.82㎡
竣工:2017年9月
工期:7ヶ月
構造:木造在来工法
設計:森吉直剛アトリエの森吉直剛さん
撮影:Satoshi Shigeta (ビフォー写真・スナップショットを除く)
東京の閑静な住宅街である島津山エリアの見晴らしのよい高台に建つホドビー邸。一家は以前、同じ敷地に建つ賃貸住宅に住んでいたが、この家の売却の話をいち早く聞きつけ、改修を前提に購入した。設計は、近くに住む友人夫妻の紹介で、彼らの築40年超の木造住宅を再生させた森吉直剛アトリエの森吉直剛さんに依頼した。
家の外壁は、モルタルの表面に、落ち着いた色のアクリル樹脂を左官仕上げて塗りつけた。マークさんは、「外から見ると普通の家なのに、まさかと思うような空間と見晴らしが隠されているところ」が特にお気入りだという。
屋根は、既存のコロニアル屋根に防水加工をして、その上からガルバリウム鋼板を重ねた。「エコハウスに興味があって、将来的には太陽光パネルを取り付けたいので、屋根に補強を施してもらいました」と奥様の並子さん。
屋根は、既存のコロニアル屋根に防水加工をして、その上からガルバリウム鋼板を重ねた。「エコハウスに興味があって、将来的には太陽光パネルを取り付けたいので、屋根に補強を施してもらいました」と奥様の並子さん。
こちらは、元々あった木造在来工法の住宅のビフォー写真。40年の歳月は外壁にあらわれ、排水管やガス・電気メーターも、玄関から見える場所に備えつけられていた。
玄関ホールは、リノベーション前は小上がりは無かったが、墨モルタルの土間とカーペットで少しの段差を設けてきちんと上履きと下履きの位置を分けられるようにした。
玄関脇にあったトイレは撤去し、玄関からも廊下からも入れる回遊式シューズクロークを創出している。
玄関脇にあったトイレは撤去し、玄関からも廊下からも入れる回遊式シューズクロークを創出している。
以前はリビングとダイニングの2部屋に別れていたが、広々としたワンルームに変更した。「気軽に人を呼べる家」にしたかったというマークさん。少人数でも大人数でも、それぞれが心地よい居場所を見つけて寛げるスペースを思い描いただけに大満足だという。「さすがに30名の方がいらした時は大変でしたが、楽しんで頂けました」(並子さん)
改修前のリビング。壁の奥がダイニングルームで、キッチンも独立型だった。
キッチンをアイランド型にすることで、家族で食事をしたり、来客者とパーティーができる空間になった。またテラスをもう一つのダイニングとして利用できるように、建具は引込戸とし、キッチンから行き来しやすいようにした。「BBQをよくするので、デッキスペースは絶対必要でした」というマークさん。実は、設計を依頼する前、夫妻は壁側にL字型の台所をつくってもらおうと思っていた。しかし、森吉さんが提案した「デッキとキッチンを対面に配するプラン」に即、賛同した。「BBQが楽にできるので大正解でした!」と喜ぶ。マークさんはここで毎朝、新鮮な空気を吸いながら新聞を読むのが日課だそう。
この家のキッチンの画像をみる
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以前のデッキは、タイル張りで広さも今の半分だった。スチールフェンスも落下防止の目的の、ごくシンプルなものが設置されていた。
リノベーション後は、視線を遮らない強化ガラスの手摺にし、室内の床から続くウッドデッキテラスに生まれ変わった。新しいテラスの建具は、ガラス戸と同じく、網戸もブラインドも収納できる。
テラス・中庭の写真をみる
リノベーション後は、視線を遮らない強化ガラスの手摺にし、室内の床から続くウッドデッキテラスに生まれ変わった。新しいテラスの建具は、ガラス戸と同じく、網戸もブラインドも収納できる。
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建物は解体工事でスケルトンにした。「構造体は思ったほど朽ちていませんでしたが、床のたわみが大きく、30ミリほど高さの調整を行いました」と森吉さん。補強工事も「新築の2倍以上の手間」をかけておこなったそう。LDKの大空間を支えるため、既存の鉄骨梁をさらに補強し、大黒柱も設置した。
ホドビー邸の特出すべき点は、「高気密高断熱住宅+全館空調」の家であること。住宅の隅々まで発泡させたスポンジ状の断熱材(ウレタン)を吹き付け、サッシも断熱サッシに交換した。「最後まで床暖房をつけるか悩みましたが、断熱が素晴らしく、付けずに正解でした」(並子さん)
ホドビー邸の特出すべき点は、「高気密高断熱住宅+全館空調」の家であること。住宅の隅々まで発泡させたスポンジ状の断熱材(ウレタン)を吹き付け、サッシも断熱サッシに交換した。「最後まで床暖房をつけるか悩みましたが、断熱が素晴らしく、付けずに正解でした」(並子さん)
リビング側の上部は、吹抜け空間を創出した。元々2階に寝室が4つあったので、光を取り込むためにも1室分を減築したそう。上下階で会話できるのも楽しい。既存の梁もあえて見せることで、アクセントにもなっている。暖炉は以前の家にもあったが、耐震補強をしてタイルを貼り替えた。
以前キッチンがあった場所を浴室(写真左奥)と洗面所に変更した。出入りは、玄関側(写真手前)だけでなく、パントリー(写真右奥)をはさんでキッチン側からも可能。奥様にとっては作業がしやすい間取りになった。
赤色のタオルウォーマーは、タオルだけでなく、雨の日は靴も乾かせるので重宝しているそう。
赤色のタオルウォーマーは、タオルだけでなく、雨の日は靴も乾かせるので重宝しているそう。
2階の子供部屋。手前が娘さんの部屋で奥が息子さんの部屋。
ところで、ホドビー邸の玄関の外に、大きな黒板があったのに気づかれただろうか?「遊び心が欲しかった」というマークさんのリクエストで、子供部屋にも黒板が設置されている。
ところで、ホドビー邸の玄関の外に、大きな黒板があったのに気づかれただろうか?「遊び心が欲しかった」というマークさんのリクエストで、子供部屋にも黒板が設置されている。
設計図を前に、当時を思い出しながら家づくりについて語ってくれた(写真右から)マークさん、並子さん、森吉さん
以前の家は、旧耐震基準で建てられていたため、耐震補強工事は必須だった。しかも、全部スケルトンにしないと建物の状況が分からなかったため、当初の予想よりも工事費がかかってしまったという。しかし、森吉さんいわく「戸建てのリノベーションで考え得る、最大の補強を施した」だけに、「地震がきても安心ですし、これだけ完璧なオープンスペースができて嬉しいです」と夫妻とも笑顔で語ってくれた。
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以前の家は、旧耐震基準で建てられていたため、耐震補強工事は必須だった。しかも、全部スケルトンにしないと建物の状況が分からなかったため、当初の予想よりも工事費がかかってしまったという。しかし、森吉さんいわく「戸建てのリノベーションで考え得る、最大の補強を施した」だけに、「地震がきても安心ですし、これだけ完璧なオープンスペースができて嬉しいです」と夫妻とも笑顔で語ってくれた。
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