まもなく公開、映画『グッバイ、サマー』と夏の思い出の活かしかた、残しかた
映画監督ミシェル・ゴンドリーの自伝的青春ストーリー『グッバイ、サマー』がまもなく公開に。さりゆく夏を惜しみつつ、映画の魅力と夏の思い出の活かしかたを紹介します。
栗原晶子|Akiko Kurihara
2016年8月31日
フリーの編集&ライターとしてインテリア誌やハウジング誌を中心に取材・執筆活動する傍ら、NPO法人ハウスキーピング協会認定の整理収納アドバイザーとして、コラムの連載やセミナーの企画に携わる。暮らしがラクに楽しくなる、整理収納アイデアを研究・発信中です。
また、エンタメ好きとして演劇や映画に関するライティングも手がけています。
フリーの編集&ライターとしてインテリア誌やハウジング誌を中心に取材・執筆活動する傍ら、NPO法人ハウスキーピング協会認定の整理収納アドバイザーとして、コラムの連載やセミナーの企画に携わる。暮らしがラクに楽しくなる、整理収納アイデアを研究・発信中です。... もっと見る
夏休みが終わるとどのような気持ちになるだろうか。学校が再開しホッとする人、夏の疲れが一気に出てしまう人、今年も残り3ヵ月しかないと焦る人もいるだろう。共通しているのは、「夏が終わってしまったなぁ」という、少しセンチメンタルな気分が生まれること。映画『グッバイ、サマー』を観ると、過ぎてしまった今年の夏だけでなく、自分たちが経験してきた夏休みの風景や、子供のころに抱いていた感情がよみがえってくる。
監督・脚本は、名作映画『エターナル・サンシャイン』のほか、ビョークなどをはじめ有名ミュージシャンのミュージックビデオを手掛け、日本にもファンが多い映像作家ミシェル・ゴンドリー。最新作『グッバイ、サマー』は、14歳の少年二人のひと夏を描いた、ゴンドリーの自伝的青春ストーリーだ。
監督・脚本は、名作映画『エターナル・サンシャイン』のほか、ビョークなどをはじめ有名ミュージシャンのミュージックビデオを手掛け、日本にもファンが多い映像作家ミシェル・ゴンドリー。最新作『グッバイ、サマー』は、14歳の少年二人のひと夏を描いた、ゴンドリーの自伝的青春ストーリーだ。
写真:©Partizan Films- Studiocanal 2015
ダニエル、14歳(上の写真・右)。髪が長く女の子に間違われることがコンプレックス。絵を描くのが上手い。「クラスメイトと同じは嫌だ」と思っているが、思春期特有のモヤモヤは募るばかり。
テオ、14歳。転校生。機械いじりが大好き。まわりに流されず、わが道をいくタイプ。
学校でも浮いた存在の二人は意気投合し、その夏を共に過ごすことになる。パッとしない毎日から抜け出すために必要なのは、冒険心と友達の存在。その身軽さもまた、物語の背景が夏だからに違いない。
ダニエル、14歳(上の写真・右)。髪が長く女の子に間違われることがコンプレックス。絵を描くのが上手い。「クラスメイトと同じは嫌だ」と思っているが、思春期特有のモヤモヤは募るばかり。
テオ、14歳。転校生。機械いじりが大好き。まわりに流されず、わが道をいくタイプ。
学校でも浮いた存在の二人は意気投合し、その夏を共に過ごすことになる。パッとしない毎日から抜け出すために必要なのは、冒険心と友達の存在。その身軽さもまた、物語の背景が夏だからに違いない。
写真:©Partizan Films- Studiocanal 2015
ダニエルとテオは、集めてきた廃品を利用して車を作った。当然、14歳の二人には車を持つ権利も、運転する資格もない。そこで思いついたのが「動くログハウス」だった。
ダニエルとテオは、集めてきた廃品を利用して車を作った。当然、14歳の二人には車を持つ権利も、運転する資格もない。そこで思いついたのが「動くログハウス」だった。
写真:©Partizan Films- Studiocanal 2015
屋内(車内)には食料をストックできる棚やベッドを備え、外は窓をしっかりつくり、鉢植えを飾り、さらには路肩に停めたときに外からは小さな家にしか見えないように車輪を隠す仕掛けを用意する徹底ぶり。絵心のある少年と、メカに強い少年が生み出した動くログハウスの完成度の高さ(!?)は必見だ。
屋内(車内)には食料をストックできる棚やベッドを備え、外は窓をしっかりつくり、鉢植えを飾り、さらには路肩に停めたときに外からは小さな家にしか見えないように車輪を隠す仕掛けを用意する徹底ぶり。絵心のある少年と、メカに強い少年が生み出した動くログハウスの完成度の高さ(!?)は必見だ。
写真:©Partizan Films- Studiocanal 2015
大人と子どもの狭間の14歳。個性ゆえに家庭でもしっくりとなじめない二人が、自分の家から逃げ出すためにつくったのがまた家だった、という点も面白い。自宅に比べるまでもない、ガラクタ製の小さなささやかな家だけれど、動くログハウスには自由が詰まっている。
ベルサイユからヌムール、野山や湖などをめぐるフランスの街並みや景色とともに、少年たちが過ごしたキュートなひと夏を、ぜひスクリーンで楽しみたい。
大人と子どもの狭間の14歳。個性ゆえに家庭でもしっくりとなじめない二人が、自分の家から逃げ出すためにつくったのがまた家だった、という点も面白い。自宅に比べるまでもない、ガラクタ製の小さなささやかな家だけれど、動くログハウスには自由が詰まっている。
ベルサイユからヌムール、野山や湖などをめぐるフランスの街並みや景色とともに、少年たちが過ごしたキュートなひと夏を、ぜひスクリーンで楽しみたい。
『グッバイ、サマー』の主人公ダニエルは、絵が上手く、近所のギャラリーで個展を開くほどだったが、残念ながら集客はテオ一人という苦い経験をしたシーンもあった。
夏休みといえば、自由研究、旅の思い出の写真、旅先で手に入れたお土産など、新たなモノが増える季節でもある。これらをどうするかで困ってしまうという家は少なくない。また忙しい毎日が始まれば、楽しかった夏の思い出の品も邪魔モノ扱いされかねない。
夏休みといえば、自由研究、旅の思い出の写真、旅先で手に入れたお土産など、新たなモノが増える季節でもある。これらをどうするかで困ってしまうという家は少なくない。また忙しい毎日が始まれば、楽しかった夏の思い出の品も邪魔モノ扱いされかねない。
リビングの一角や本棚の一段をコーナーにしてもいいだろう。ポイントは、なるべく一か所に固めること。そして、次のシーズンには中身を入れ替えるのだ。
では、映画『グッバイ、サマー』に出てくる動くログハウスは、どうやって保管するの? そんな疑問を抱いた人は劇場へ。映画を観ればわかります!
そうそう、ダニエルを演じるアンジュ・ダルジャンの母親マリー・テレーズ役を、いまやフランスを代表する女優、オドレイ・トトウが好演している。『アメリ』のヒットから実に15年もの月日が経過しているのはご存じだっただろうか。そう、つまり記憶って、モノがなくてもちゃんと残るものなのだ。
映画公開情報
『グッバイ、サマー』
9月10日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ他にて全国順次公開
そうそう、ダニエルを演じるアンジュ・ダルジャンの母親マリー・テレーズ役を、いまやフランスを代表する女優、オドレイ・トトウが好演している。『アメリ』のヒットから実に15年もの月日が経過しているのはご存じだっただろうか。そう、つまり記憶って、モノがなくてもちゃんと残るものなのだ。
映画公開情報
『グッバイ、サマー』
9月10日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ他にて全国順次公開
おすすめの記事
ニュース
映画『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』にみる、彩りのある豊かな暮らしとは
カナダで最も有名な画家モード・ルイスの人生を描いた『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』は、世界中の映画祭で観客賞を受賞した注目の作品。家とは、人生を豊かにしてくれる暮らしとは何か、二人から家を見直すきっかけをもらえます。
続きを読む
家具
映画『アイリーン・グレイ 孤高のデザイナー』が明かす「近代建築の母」の波乱万丈の人生
ヒット映画『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』のストーリーの背後にある史実とは? 専門家たちの検証に基づくアイリーン・グレイのドキュメンタリー映画が公開され、静かな注目を集めています。
続きを読む
建築
南仏の白いヴィラにまつわる数奇なドラマ
建築家ル・コルビュジエとアイリーン・グレイの運命的な巡り合わせを描いた映画「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」が10月14日より日本で公開に。グレイの傑作《E.1027》をめぐる謎が解き明かされます。
続きを読む
名作住宅
コルビュジエに消されかけた女性建築家、グレイの傑作「E1027」
コルビュジエとの確執から一時は建築史から消されかけたアイリーン・グレイ。彼女を正しく再評価する2本の映画が制作され、名作住宅「E1027」がたどった数奇な運命の真相を描き出している。
続きを読む
ニュース
映画『マイ・プレシャス・リスト』から見えてくる、 片付け・整理整頓のヒント
天才だけどコミュニケーション能力がない屈折女子。セラピストから渡された6つの課題をクリアした先で出会ったものとは? 観た人に一歩踏み出す勇気をくれるこの季節にぴったりの話題作です。
続きを読む
庭づくり
映画『マイ ビューティフル ガーデン』公開!
まもなく公開の映画『マイビューティフル ガーデン』は植物嫌いの孤独な女性主人公が、隣に暮らす偏屈な老人との出会いを通じて成長していくキュートで心に沁みる物語。英国を代表する俳優たちが演じる個性豊かな登場人物たちの暮らし方に注目です。
続きを読む
ライフスタイル
映画、ドラマ、CMのロケ地に選ばれる家の条件とは?
世界の映画の中心地、ロサンゼルスでは今、個人住宅を使った撮影が増えている。アカデミー賞ノミネート数史上タイで注目を集める『ラ・ラ・ランド』で使われた家を例に、ハリウッドにおけるロケーション・サービス・ビジネス事情をレポートする。
続きを読む
インテリア
世界が注目する映画『ラ・ラ・ランド』には模様替えのヒントがいっぱい!
アカデミー賞で6部門を受賞した、本格ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』。ロサンゼルスを舞台にした美しい映画は、インテリアやライフスタイルの面でも見どころがいっぱいです!
続きを読む
イベント
映画『人生フルーツ』:雑木林の家に暮らす、90歳の建築家と妻の豊かなふたり暮らし
雑木林の中、赤い屋根の平屋で暮らす90歳の建築家・津端修一さんと妻・英子さんの日常を追った名作ドキュメンタリーが正月から劇場で公開に。自然とともにある建築を追い求め続ける夫と彼を支える妻の生活は、真に豊かな暮らしとは何かを教えてくれます。
続きを読む
動くログハウスってどうなってるのでしょう!秘密基地が移動してるみたいですね。とっても楽しみです〜!!
長谷川恭子Kyoko Hasegawa すごく可愛くて、ちょっと切ない、フランス映画だなあと感じさせる映画ですよ。初秋に観るのにピッタリです〜
長谷川恭子Kyoko Hasegawa さん、ハウスの中がどうなっているのか、ぜひ映画を見ながらチェックしてみてくださいね。少年たちのそもそも暮らしている家の雰囲気も、まったくタイプが違って面白いです。