プロから学ぶ、おうちでヨガを楽しむ空間のつくり方
ますます人気が広がるヨガ。家の中の小さなスペースでもヨガを楽しめる空間づくりのヒントを取材しました。
渡辺安紀 |Aki Watanabe
2016年9月11日
健康法のひとつとして日本に広がったヨガ。ヨガ人口は年々増え、サッカー選手などプロの選手もコンディションを整えるための手法として取り入れています。私もヨガを楽しむひとりですが、ヨガにはまればはまるほど、スタジオに通うだけでは飽き足らなくなってきています。 眠りが浅い、肩凝りがひどいなどの不調を感じたら、5分でも10分でも習ったヨガの呼吸やポーズを家でするだけで、体調が改善したり眠れるようになったりします。
しかしながら、狭い日本の家では広いスペースを確保することも難しく、マットを敷いてみたけれども思うように集中できないという声もよく耳にします。海外のHouzzような広いヨガスペースは無理でも、普通の家でもっとヨガを楽しむために、ヨガスペースからヨガルームまで、集中できる空間づくりをご紹介します。
しかしながら、狭い日本の家では広いスペースを確保することも難しく、マットを敷いてみたけれども思うように集中できないという声もよく耳にします。海外のHouzzような広いヨガスペースは無理でも、普通の家でもっとヨガを楽しむために、ヨガスペースからヨガルームまで、集中できる空間づくりをご紹介します。
必要な広さとは
「ヨガに必要な最小の広さは約2平方メートル。手や足を左右前後に伸ばしてもぶつからない広さです」と話すのはヒマラヤ山脈の麓、ヨガの聖地と言われるインド、リシケシ生まれのヨガ師範プラサード・ニーラヴさん。妻であり、スタジオのディレクター、プラサード・真理さんと東京都町田市で〈リシケシ・ヨガシャラ〉を主催している。「日本は土地が広いわけではありませんが、ヨガはあくまで精神の内面を見つめるもの。日本は世界の最初に太陽が昇る素晴らしい国ですから、ヨガをするのには最適の土地と言えます」。
「ヨガに必要な最小の広さは約2平方メートル。手や足を左右前後に伸ばしてもぶつからない広さです」と話すのはヒマラヤ山脈の麓、ヨガの聖地と言われるインド、リシケシ生まれのヨガ師範プラサード・ニーラヴさん。妻であり、スタジオのディレクター、プラサード・真理さんと東京都町田市で〈リシケシ・ヨガシャラ〉を主催している。「日本は土地が広いわけではありませんが、ヨガはあくまで精神の内面を見つめるもの。日本は世界の最初に太陽が昇る素晴らしい国ですから、ヨガをするのには最適の土地と言えます」。
最適な場所とは
「インドの伝統的なヨガは、川のほとりのように大地のパワーを受けやすい自然に囲まれた場所、もしくはそれに近い場所で行います。スペースに限りのある日本では難しいと思うかもしれませんが、工夫次第ですよ」と真理さん。
「インドの伝統的なヨガは、川のほとりのように大地のパワーを受けやすい自然に囲まれた場所、もしくはそれに近い場所で行います。スペースに限りのある日本では難しいと思うかもしれませんが、工夫次第ですよ」と真理さん。
集中力を高める空間づくり
1. 窓のある静かな部屋を選ぶ
まず大切なのは「静かな環境であることです。そして自然を見ることができる窓があることでポジティブに練習に取り組めます。」とニーラヴさん。写真は〈クレール・アーキラボ〉設計の自宅兼オフィスにある12畳の部屋。寝室の上に作られ、ゲストルームや趣味の部屋として使用しています。北(写真左)側のピクチャーウィンドウは、ガラスをはめ込んだフィックス窓ですが、海に面した東側の開口部からはベランダにも出られます。高い位置から海を見下ろすことができ、ヨガをするのに向いていそうです。
Houzzツアー:沖縄の海をダイナミックに望む、建築家の自邸兼オフィス
1. 窓のある静かな部屋を選ぶ
まず大切なのは「静かな環境であることです。そして自然を見ることができる窓があることでポジティブに練習に取り組めます。」とニーラヴさん。写真は〈クレール・アーキラボ〉設計の自宅兼オフィスにある12畳の部屋。寝室の上に作られ、ゲストルームや趣味の部屋として使用しています。北(写真左)側のピクチャーウィンドウは、ガラスをはめ込んだフィックス窓ですが、海に面した東側の開口部からはベランダにも出られます。高い位置から海を見下ろすことができ、ヨガをするのに向いていそうです。
Houzzツアー:沖縄の海をダイナミックに望む、建築家の自邸兼オフィス
〈moi-design〉が設計した《シーンのある住まい》にあるこちらの部屋は、まさにヨガスペースとして作られた空間です。上の写真の一段上がった小上りのようなスペースは、椅子のようにちょっと腰掛けるにも便利な高さ。寝具をしまう床下収納になっています。寝室との間を引き戸で仕切ることができるため、朝日が当たる時間はホームオーナーの奥様が好きなヨガを行うミニスタジオに。ダイニングやキッチンからは死角になるため、アーサナ(ヨガのポーズ)にしっかり集中できそうです。
Houzzツアー : 多趣味な夫妻の暮らしを優しく彩る、光と風を回遊させたソフトなゾーニング
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2. 小物を使って集中力を高める
もしも部屋に大きな窓がなかったり、あっても景色がよくない場合は、目につくところに観葉植物を置きましょう。ほかの小物と組み合わせやすい万能なアイテムです。
もしも部屋に大きな窓がなかったり、あっても景色がよくない場合は、目につくところに観葉植物を置きましょう。ほかの小物と組み合わせやすい万能なアイテムです。
写真:小坂仁都美
「小物として定番はパワーストーンですが、小さな仏像やガネーシャ(象の頭をもつ神様)の像もおすすめです。」また、ヨガスタジオに行くとお香を焚いているところもあります。よく使うのは心を鎮めてくれる白檀(サンダルウッド)の香りだそう。「ただし、呼吸法を集中して行うときは少し離れた場所に置いてくださいね。気管支の弱い方も置き場所に注意してください。」と真理さん。
「小物として定番はパワーストーンですが、小さな仏像やガネーシャ(象の頭をもつ神様)の像もおすすめです。」また、ヨガスタジオに行くとお香を焚いているところもあります。よく使うのは心を鎮めてくれる白檀(サンダルウッド)の香りだそう。「ただし、呼吸法を集中して行うときは少し離れた場所に置いてくださいね。気管支の弱い方も置き場所に注意してください。」と真理さん。
写真:小坂仁都美
意外に聞こえるかもしれませんが、ヨガをする部屋に鏡はできるだけ置かないこと。「伝統的にヨガはもともと意識を内面に向かわせるための修行です。鏡があると少しでも自分を良く見せようとエゴが働いてしまいます。」と話すのはニーラヴさん。鏡が部屋にある場合、ヨガをしている間は布をかぶせておきましょう。
意外に聞こえるかもしれませんが、ヨガをする部屋に鏡はできるだけ置かないこと。「伝統的にヨガはもともと意識を内面に向かわせるための修行です。鏡があると少しでも自分を良く見せようとエゴが働いてしまいます。」と話すのはニーラヴさん。鏡が部屋にある場合、ヨガをしている間は布をかぶせておきましょう。
3. BGMの選び方
前述で「静かな環境を作る」と書きましたが、音楽も選び方しだいで集中力を高めてくれます。ニーラヴさんのおすすめは「スピリチュアル・チャントやマントラ・サウンド、もしくはフルートやピアノなどのクラシックもいいですね。」集中力を高めるポイントはスローサウンドであること。逆にスパで流れているようなリラクゼーション音楽はリラックスし過ぎてしまうので、アーサナ(ヨガのポーズ)をするときには向かないそう。「風鈴を窓際にかけるのもおすすめ。自然が奏でる音は心を落ち着けてくれます。」音楽をかけるときにはボリュームにも注意して。「音が大きすぎると人間の脳は違うことを考えてしまいますから」とニーラヴさんはアドバイスします。
前述で「静かな環境を作る」と書きましたが、音楽も選び方しだいで集中力を高めてくれます。ニーラヴさんのおすすめは「スピリチュアル・チャントやマントラ・サウンド、もしくはフルートやピアノなどのクラシックもいいですね。」集中力を高めるポイントはスローサウンドであること。逆にスパで流れているようなリラクゼーション音楽はリラックスし過ぎてしまうので、アーサナ(ヨガのポーズ)をするときには向かないそう。「風鈴を窓際にかけるのもおすすめ。自然が奏でる音は心を落ち着けてくれます。」音楽をかけるときにはボリュームにも注意して。「音が大きすぎると人間の脳は違うことを考えてしまいますから」とニーラヴさんはアドバイスします。
4. アウトドアスペースでヨガを
ビーチや公園といったアウトドアでのヨガイベントに参加したことがある人は、太陽や月の光を直接浴びることができる屋外でのヨガに憧れるでしょう。「水の流れる音がする自然あふれる庭ならヨガにぴったりです」と真理さん。
ビーチや公園といったアウトドアでのヨガイベントに参加したことがある人は、太陽や月の光を直接浴びることができる屋外でのヨガに憧れるでしょう。「水の流れる音がする自然あふれる庭ならヨガにぴったりです」と真理さん。
専用の部屋を作るなら
「家事や雑音が気にならないように、非日常の空間作りを意識してください」と話すのは横浜界隈のスタジオや企業のオフィスでヨガを伝える山下恵さん。「注意が散漫にならないように、テレビやパソコンなどを置くのはできるだけ控えましょう。蛍光灯ではなく、間接照明を設置して明かりを調整できると良いです。また、窓が大きく自然光が入る部屋が好ましいですね。窓が大きければ空気の通りが良くなり、ヨガの基本である呼吸をより意識することができます。」
写真の〈アーキテクト憧〉設計の《H−house [Race Round the house]》の和室はまさにこの条件にぴったり当てはまります。そもそも和室は用途を限定せずに使われてきました。ときに客間に、ときに書斎となってきた部屋。私も家では和室をヨガスペースとして活用しています。最近は和室もモダンなデザインが取り入れられ、ヨガルームとして益々魅力的なデザインが増えています。
「家事や雑音が気にならないように、非日常の空間作りを意識してください」と話すのは横浜界隈のスタジオや企業のオフィスでヨガを伝える山下恵さん。「注意が散漫にならないように、テレビやパソコンなどを置くのはできるだけ控えましょう。蛍光灯ではなく、間接照明を設置して明かりを調整できると良いです。また、窓が大きく自然光が入る部屋が好ましいですね。窓が大きければ空気の通りが良くなり、ヨガの基本である呼吸をより意識することができます。」
写真の〈アーキテクト憧〉設計の《H−house [Race Round the house]》の和室はまさにこの条件にぴったり当てはまります。そもそも和室は用途を限定せずに使われてきました。ときに客間に、ときに書斎となってきた部屋。私も家では和室をヨガスペースとして活用しています。最近は和室もモダンなデザインが取り入れられ、ヨガルームとして益々魅力的なデザインが増えています。
また、1年を通じてヨガをするためには背中や手足が冷えない対策が必要です。(ヨガには最後にシャバアーサナという瞑想のポーズで仰向けになるためです。)「もちろん冬はマットを二重にしたり、暖房とブランケットでしのぐことはできますが、贅沢を言えるのなら床暖房完備だったら最高ですね」と山下さんはアドバイスしてくれました。
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この記事を読んで、家でヨガモードに入り込めない理由がやっとわかりましたw。シャバーサナーで自然と自分がとろけるような感覚、家でも実現させたいです。いつかこんな気持ちのいいルーフトップのある自宅を作って、毎朝太陽礼拝したいな!ちなみにヨギニーハウザーのみなさんは、ヨガマットどんな風に収納されてますか?
どこにいようと、幸せな気持ちでヨガが行えれば一番なのですが、やっぱり環境はすごく大事ですよね!
私の今までのベストヨガはハワイ島のヨガ・リトリートで体験したものです。
安紀さんがオススメされている通り、海を見下ろす高台にあるお部屋やデッキで行うヨガは格別なものでした。BGMは風の音、ゆれる風鈴の音のみ、木々や海の香りの中で行うヨガで身体だけではなく、心も開放されました。
家で行うヨガとして、和室も素敵ですね!畳の香りがあれば理想的!ですが、残念ながら我が家の畳は新しくないため、お香を探してみようと思います。。。
恭子さん 私はヨガマット2本とヨガタオル、それにストレッチポールを大きめのカゴにまとめて和室の隅に置いてます。目につくので思い立ったらすぐできるところがGoodです。投稿してくれた写真みたいなルーフトップデッキがあったら月の光を全身に浴びることができますね。
Michiyoさん ハワイでヨガ、コメント読んでいて私もその空間に行きたくなりました。私はセドナでヨガをしたことがありますが、スケールの大きさと岩の温かさを感じることができましたよ。和室もヨガをやろうと思うと積極的に掃除をするようになるので、オススメです。