憧れのプールがある暮らし。実現させるなら知っておきたいポイント
自宅にプールのある暮らしは憧れですよね。では、もし実際に自宅に導入するなら、どのように考えて進めていけば良いのでしょうか?日本の実例を手がけた専門家たちにアドバイスをいただきました。
いよいよプール・シーズンの到来です。自宅や別荘に、いつかはプールをつくりたい!と思われている方、必見です。Houzzでは世界中のお宅でプールをつくった事例を掲載しています。その中から、国内で設計や施工を手がけた専門家の方々に、プールをつくるためのヒントを伺いました。まとめてみると、以下の4つをおさえることがポイントになりそうです。
【プールづくりのポイント】
【プールづくりのポイント】
- 本格的に泳ぐためなのか、観賞用が主目的なのか用途を決める
- 設置場所を屋内か屋外にするかを決める
- 施工費やランニングコスト、工期、メインテナンスのしやすさを確認する
- 自分のニーズにあった設計士や施工業者を見つける
箱根の別荘(主に鑑賞用)
山荘の最も標高の高い場所に設えたプールテラスからは、晴れた日には富士山も望める。「海辺と違って、山奥のプールなので、川をイメージし、さざ波が光る浅瀬部分と、淵や滝壺のような深い部分をつくりました」という津野建築設計室の津野恵美子さん。浅瀬部分に椅子を出して、水に足を浸けながら読書もできる。
プールの素材:浅瀬は、白い砕石を入れたコンクリートの研ぎ出し。深い部分は、深い青緑色の縦長のモザイクタイル。
プールのメリット:水面(みなも)に映し出される木々や青空を楽しめる。水に反射した陽光を室内に取り込める。実際に泳がなくても、テラスとして利用できる。災害時の水の備蓄にもなる。
プールのデメリット:山奥の涼しいエリアのため、温水化も検討したが、保温しずらく断念した。メンテナンスと掃除に手間がかかる。
土地の調査:箱根では屋外プールの水を下水に繋ぐことが禁止されているため、土地の形状を綿密に調査し、排水時の水を敷地内に、うまく放流・浸透させるルートを設計している。直接放流システムと濾過循環機械のメーカーが異なるため「水溜め(給水オン循環放流オフ)・循環(給水オフ循環オン放流オフ)・放流(給水循環オフ放流オン)」をそれぞれ1つのスイッチで済ませるように工夫した。
メンテナンス:プール自体にカバーをするのは、雪の荷重や虫や動物の住処になる危険性などを考慮して諦め、掃除は業者に委託するようにした。
このプール付き別荘の記事を読む
山荘の最も標高の高い場所に設えたプールテラスからは、晴れた日には富士山も望める。「海辺と違って、山奥のプールなので、川をイメージし、さざ波が光る浅瀬部分と、淵や滝壺のような深い部分をつくりました」という津野建築設計室の津野恵美子さん。浅瀬部分に椅子を出して、水に足を浸けながら読書もできる。
プールの素材:浅瀬は、白い砕石を入れたコンクリートの研ぎ出し。深い部分は、深い青緑色の縦長のモザイクタイル。
プールのメリット:水面(みなも)に映し出される木々や青空を楽しめる。水に反射した陽光を室内に取り込める。実際に泳がなくても、テラスとして利用できる。災害時の水の備蓄にもなる。
プールのデメリット:山奥の涼しいエリアのため、温水化も検討したが、保温しずらく断念した。メンテナンスと掃除に手間がかかる。
土地の調査:箱根では屋外プールの水を下水に繋ぐことが禁止されているため、土地の形状を綿密に調査し、排水時の水を敷地内に、うまく放流・浸透させるルートを設計している。直接放流システムと濾過循環機械のメーカーが異なるため「水溜め(給水オン循環放流オフ)・循環(給水オフ循環オン放流オフ)・放流(給水循環オフ放流オン)」をそれぞれ1つのスイッチで済ませるように工夫した。
メンテナンス:プール自体にカバーをするのは、雪の荷重や虫や動物の住処になる危険性などを考慮して諦め、掃除は業者に委託するようにした。
このプール付き別荘の記事を読む
都心のオアシス(健康維持)
ホームジム併設の室内プール。オーナーは泳ぐことが日課のため、本格的に水泳ができる広さのプールを造作した。設置場所をジムと隣合わせにしたので、運動して体が温まった後に、プールでクールダウンすることもできる。プール脇にはジャグジーもあり、リフレッシュに最適の空間となっている。円形に切り取られたトップライトから水面に光が落ち、キラキラと輝く様をリビングからも楽しめる。
このお宅を設計したアーネストアーキテクツは、プールのある家を多数手がけているが、「日本の住宅は、隣地との距離が近く、都心になればなるほど周囲の視線などもあり、室内プールの需要が多い」という。
プール形状の選択肢:本格的に泳ぐための全長20mの大型長方形、コンパクト長方形の流水タイプ、丸型、土地の形状に合わせた変形型など。
プール素材の選択肢:「機能面、メンテナンスのしやすさを考慮し、空間にマッチさせることが重要」だという。デザイン性の高いタイル、超防水性があるFRP、ステンレス板を繋いだ工法の上に、耐久性・防水性の高いPVC(ポリ塩化ビニル樹脂)シートを貼るなど。
予算:インドア・アウトドア、規模、デザイン、設置する階層によっても異なる。プールに充てる予算が決まっている場合、その予算に合った提案ができる。
ホームジム併設の室内プール。オーナーは泳ぐことが日課のため、本格的に水泳ができる広さのプールを造作した。設置場所をジムと隣合わせにしたので、運動して体が温まった後に、プールでクールダウンすることもできる。プール脇にはジャグジーもあり、リフレッシュに最適の空間となっている。円形に切り取られたトップライトから水面に光が落ち、キラキラと輝く様をリビングからも楽しめる。
このお宅を設計したアーネストアーキテクツは、プールのある家を多数手がけているが、「日本の住宅は、隣地との距離が近く、都心になればなるほど周囲の視線などもあり、室内プールの需要が多い」という。
プール形状の選択肢:本格的に泳ぐための全長20mの大型長方形、コンパクト長方形の流水タイプ、丸型、土地の形状に合わせた変形型など。
プール素材の選択肢:「機能面、メンテナンスのしやすさを考慮し、空間にマッチさせることが重要」だという。デザイン性の高いタイル、超防水性があるFRP、ステンレス板を繋いだ工法の上に、耐久性・防水性の高いPVC(ポリ塩化ビニル樹脂)シートを貼るなど。
予算:インドア・アウトドア、規模、デザイン、設置する階層によっても異なる。プールに充てる予算が決まっている場合、その予算に合った提案ができる。
千葉県勝浦市
別荘の楽しみ(子供や孫が泳ぐ)
海を望める高台にある別荘の屋外プール(幅3mx長さ15m)。1969年創業の豪アルバトロス・プールを採用し、上部にはプールが汚れにくいように、米国から輸入したアクリル製のスライド式屋根を設置している。
予算:工事費は約1千万円(掃除キット含む)。ただし、小さいプール(幅3mx長さ5m、幅4mx長さ2m)であれは、300万円台から可能。
メインテナンス費用:自動循環システムの電気代5000円〜7000円程度。
施工を担当したヒグラシホームプールの日暮成博さんから、プールの設置を検討中の方へのアドバイスは以下の3つ。
1. まず、プールのサイズを決める。
2. 温水にするか否かを決める。
3. 設置場所を、屋内か屋外か決める。
【屋内プール】
メリット:掃除が格段に楽。温水の場合は、保温しやすい。
デメリット:塩素が内装にダメージを与えるのでカバーが必要。
【屋外プール】
メリット:直射日光の下で泳いだり、BBQなどを楽しめる。
デメリット:地域によっては、使用期間が限定される。
世界の暮らしとデザイン:夢のように美しい眺めを見渡せるプール15選
海を望める高台にある別荘の屋外プール(幅3mx長さ15m)。1969年創業の豪アルバトロス・プールを採用し、上部にはプールが汚れにくいように、米国から輸入したアクリル製のスライド式屋根を設置している。
予算:工事費は約1千万円(掃除キット含む)。ただし、小さいプール(幅3mx長さ5m、幅4mx長さ2m)であれは、300万円台から可能。
メインテナンス費用:自動循環システムの電気代5000円〜7000円程度。
施工を担当したヒグラシホームプールの日暮成博さんから、プールの設置を検討中の方へのアドバイスは以下の3つ。
1. まず、プールのサイズを決める。
2. 温水にするか否かを決める。
3. 設置場所を、屋内か屋外か決める。
【屋内プール】
メリット:掃除が格段に楽。温水の場合は、保温しやすい。
デメリット:塩素が内装にダメージを与えるのでカバーが必要。
【屋外プール】
メリット:直射日光の下で泳いだり、BBQなどを楽しめる。
デメリット:地域によっては、使用期間が限定される。
世界の暮らしとデザイン:夢のように美しい眺めを見渡せるプール15選
屋外プール(鑑賞&泳ぐ)
千葉県の個人邸に導入された2007年創業の仏Magiline社のプール。セミオーダー・スタイルのMagilineプールは、深さ・形状・ライナーの色柄などの選択肢が豊富だが、その中でも「シンプルで直線的なレクタングル形状にインナーステップを付けるのが人気」と語るのは、日本でMagilineプールの販売・アフターサービス網を全国で整備しているプールカンパニー。最近は、昇温や冷却できるプールへの関心も高いという。縦横のサイズ比は「2:1、3:1が綺麗」なので推奨しているそうだ。
工期:パッケージ化された商品のため短い。7m×3mプールで7~14日程度。
価格:サイズ、形状、仕様、設置条件にもよるが、Magilineプールは短い工期で製作できるため、在来工法プールの1/2程度でつくれる。
メンテナンス:手動式の水中掃除機が標準パッケージに含まれる。オプションで水中お掃除ロボット「ドルフィン」シリーズ(税別40万円〜75万円)も提供している。
アドバイス:植栽計画や照明計画、建物とプールの距離感やプールサイドの広さ、プールと建物、プールサイドとの関係性が重要。「水の揺らぎ、反射する光、水中照明の演出などを、建物の空間にうまく取り込み、癒やしの効果を図るとよい」
千葉県の個人邸に導入された2007年創業の仏Magiline社のプール。セミオーダー・スタイルのMagilineプールは、深さ・形状・ライナーの色柄などの選択肢が豊富だが、その中でも「シンプルで直線的なレクタングル形状にインナーステップを付けるのが人気」と語るのは、日本でMagilineプールの販売・アフターサービス網を全国で整備しているプールカンパニー。最近は、昇温や冷却できるプールへの関心も高いという。縦横のサイズ比は「2:1、3:1が綺麗」なので推奨しているそうだ。
工期:パッケージ化された商品のため短い。7m×3mプールで7~14日程度。
価格:サイズ、形状、仕様、設置条件にもよるが、Magilineプールは短い工期で製作できるため、在来工法プールの1/2程度でつくれる。
メンテナンス:手動式の水中掃除機が標準パッケージに含まれる。オプションで水中お掃除ロボット「ドルフィン」シリーズ(税別40万円〜75万円)も提供している。
アドバイス:植栽計画や照明計画、建物とプールの距離感やプールサイドの広さ、プールと建物、プールサイドとの関係性が重要。「水の揺らぎ、反射する光、水中照明の演出などを、建物の空間にうまく取り込み、癒やしの効果を図るとよい」
屋内の流水プール(健康維持)
個人邸に導入した、1977年創業の米Maax Spasのパワープール。従来の流水プール・ジャグジーは、本体を設置した後に、配管設備工事・電源工事が必要だったが、このタイプは、機器類が内蔵されているため、省スペースに設置でき、本体設置後、電源工事をするだけで完成できるのが利点だ。「パワープールを導入する方は、お医者様が多く、ご自身の健康維持のために利用されています」(同社の日本代理店として全国で販売・設置を手がけるケイ・クラフト)。流水プールの販売だけでなく、ケイ・クラフトは建築条件や予算に応じて、個人邸向けにプール本体や設備の提案・製作もおこなっている。
施工:施工会社を選ぶ際、プールについての専門知識と実績を持っている会社に依頼すること。また、購入後のメンテナンスまでしっかり行えるかを、事前によく確認すること。
個人邸に導入した、1977年創業の米Maax Spasのパワープール。従来の流水プール・ジャグジーは、本体を設置した後に、配管設備工事・電源工事が必要だったが、このタイプは、機器類が内蔵されているため、省スペースに設置でき、本体設置後、電源工事をするだけで完成できるのが利点だ。「パワープールを導入する方は、お医者様が多く、ご自身の健康維持のために利用されています」(同社の日本代理店として全国で販売・設置を手がけるケイ・クラフト)。流水プールの販売だけでなく、ケイ・クラフトは建築条件や予算に応じて、個人邸向けにプール本体や設備の提案・製作もおこなっている。
施工:施工会社を選ぶ際、プールについての専門知識と実績を持っている会社に依頼すること。また、購入後のメンテナンスまでしっかり行えるかを、事前によく確認すること。
ベランダ・プール(健康維持)
欧州への出張が多く、現地でプール付きの家を持つ知人が多いオーナーが都内の自宅につくったプール。建物の上部に計画したので、下階に水が漏れないよう、防水に気を使ったと語るのは石川淳建築設計事務所の石川淳さん。地面にあるプールと比較して「水の循環ろ過機械を設置するスペースの確保に工夫が必要だった」という。
予算:プール本体はFRP防水工事代と下地のアスファルト防水代、その他は循環器(50万円ほど)。但し、水の重量を支える構造設計と躯体量が必要なため、プール単体の価格は出しにくい。屋内プールを設置するためには「建物の面積も広くなるため、一般的には庭に設置する場合よりも費用がかかる」
欧州への出張が多く、現地でプール付きの家を持つ知人が多いオーナーが都内の自宅につくったプール。建物の上部に計画したので、下階に水が漏れないよう、防水に気を使ったと語るのは石川淳建築設計事務所の石川淳さん。地面にあるプールと比較して「水の循環ろ過機械を設置するスペースの確保に工夫が必要だった」という。
予算:プール本体はFRP防水工事代と下地のアスファルト防水代、その他は循環器(50万円ほど)。但し、水の重量を支える構造設計と躯体量が必要なため、プール単体の価格は出しにくい。屋内プールを設置するためには「建物の面積も広くなるため、一般的には庭に設置する場合よりも費用がかかる」
中庭プール(健康維持&鑑賞)
大阪の閑静な住宅街に建つ個人邸の中庭プール。二面の道路に面したL字型の敷地のため、「プライバシーの確保に配慮しつつ、綺麗な光を取り込むことに苦労しました」と語る近藤晃弘建築都市設計事務所の近藤晃弘さん。プールは、「美しさとメインテナンスのしやすさ」からタイル貼りに。南側のLDKから眺めるプールは、昼夜を問わず美しく、「キラキラと揺れるプールを見ながら食事をするのは、なかなか素敵なものです」という近藤さん。
プールサイド:プール本体だけでなく、周囲のしつらえも大切だ。テラスを設ける、観葉植物を置く、ハンモックを吊す、間接照明を利用するなど、トータルでの空間演出を心がけるとよい。
大阪の閑静な住宅街に建つ個人邸の中庭プール。二面の道路に面したL字型の敷地のため、「プライバシーの確保に配慮しつつ、綺麗な光を取り込むことに苦労しました」と語る近藤晃弘建築都市設計事務所の近藤晃弘さん。プールは、「美しさとメインテナンスのしやすさ」からタイル貼りに。南側のLDKから眺めるプールは、昼夜を問わず美しく、「キラキラと揺れるプールを見ながら食事をするのは、なかなか素敵なものです」という近藤さん。
プールサイド:プール本体だけでなく、周囲のしつらえも大切だ。テラスを設ける、観葉植物を置く、ハンモックを吊す、間接照明を利用するなど、トータルでの空間演出を心がけるとよい。
映画のワンシーンのような屋外プール、トレーニング向けの流水プール、周囲の視線を気にせずにすむ屋内プール……用途は違えど、我が家にいながらにしてリゾート気分が味わえる。そんなプールのある暮らし、始めてみたいですね!
建築家を探す
プールの写真をもっとみる
建築家を探す
プールの写真をもっとみる
東京湾を一望できる高台につくったプール(幅2.77mx長さ6.4m)は、真剣に泳ぐことよりも、小さなお子さんが遊んだり、海を眺めたりすることを主目的としている。そのため「一番深い部分でも通常より浅めの1mにおさえ、幅広の階段をつけました」と語るのは、自らプールを作図した濱田建築事務所の濱田卓志さん。現場でコンクリートを打ち、防水層を施工し、プール用の塗装で仕上げている。
メンテナンス:夏期は、独自に設計したプールカバーを取り付け、定期的に水面のゴミ取りをする。冬期は水を抜き、プールとして使用しない。
工期:約1ヶ月(新築の外構工事と併行した場合)。新築中の庭に設置する場合は、もう少し工期を短縮できる可能性あり。
プールの専門家を探す