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色の使い方の基本:色で温度を感じる暖色と寒色の効果
暖色と寒色には、目から感じる温度感のほかに、空間の奥行きや時間の経過のスピードに関連する作用もあります。それぞれの効果をもっと知って役立てましょう!
カツウラアキツ
2016年11月24日
色によって、感じる温度感が違うことにお気づきですか? 暖かく感じる色を「暖色」、寒く感じる色を「寒色」と呼ぶのはご存じだと思いますが、この視覚効果を上手に利用することで、より快適な空間をつくることができます。今回は、そんな温度感の違いに加え、暖色と寒色が及ぼす他の影響にも目を向けてみましょう。
炎の暖色、水の寒色
皆さんは、暖かく感じる色というと何色を連想しますか? おそらく、多くの人が赤やオレンジ、イエローといった炎のような色を思い浮かべるのではないでしょうか。また、逆に寒い、もしくは涼しいと感じる色を考えたときに浮かぶのは、明るい水色、ターコイズブルーといったブルー系の色なのでは。このように、色を目にして暖かいと感じる色を「暖色」、寒い、冷たいと感じる色を「寒色」と呼びます。
皆さんは、暖かく感じる色というと何色を連想しますか? おそらく、多くの人が赤やオレンジ、イエローといった炎のような色を思い浮かべるのではないでしょうか。また、逆に寒い、もしくは涼しいと感じる色を考えたときに浮かぶのは、明るい水色、ターコイズブルーといったブルー系の色なのでは。このように、色を目にして暖かいと感じる色を「暖色」、寒い、冷たいと感じる色を「寒色」と呼びます。
心理的な温度感をインテリアに活用
ちなみに、暖色と寒色とでは心理的な温度感が3℃も違うといわれています。この視覚効果を、身に着けるものだけでなく、インテリアアイテムでも有効に取り入れると、快適な空間づくりに役立ちます。たとえば、暑い季節にはクールなブルー系のカーテンで涼やかな雰囲気を演出する、寒い季節になったらレッド系などのほかほかと暖かそうな色で壁を彩る、など。今までよりさらに意識的に暖色と寒色を利用してみると、クーラーやヒーターに頼りがちな温度調節を少し軽減し、色の視覚効果で省エネに貢献することも可能になるでしょう。
ちなみに、暖色と寒色とでは心理的な温度感が3℃も違うといわれています。この視覚効果を、身に着けるものだけでなく、インテリアアイテムでも有効に取り入れると、快適な空間づくりに役立ちます。たとえば、暑い季節にはクールなブルー系のカーテンで涼やかな雰囲気を演出する、寒い季節になったらレッド系などのほかほかと暖かそうな色で壁を彩る、など。今までよりさらに意識的に暖色と寒色を利用してみると、クーラーやヒーターに頼りがちな温度調節を少し軽減し、色の視覚効果で省エネに貢献することも可能になるでしょう。
同じ色でも、方角や時間帯によって温度感が違う
光によって、暖色、寒色の見え方、つまり温度感が若干変わることにも留意しましょう。窓から入る太陽光の色は、部屋の方角や時間帯によって変化します。昼間から夕方にかけて白や赤みを帯びた太陽光が入る南向きの部屋と、光が入らず日陰のような青みを帯びた北向きの部屋では、壁の色が同じでも、そうは思えないほどトーンが違って見えます。
たとえば、北向きの部屋でブルーを使う場合、冴えた真っ青などクールなトーンだと寒々しい印象になってしまうので、少し黄みが含まれた温かいブルーを選ぶと、その印象が緩和されます。逆に、南向きならクールなトーンでもちょうどよく、問題はありません。このように、暖色と寒色、それぞれの空間によってトーンにも気を配れば、さらに完成度が上がります。
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少し専門的な話になりますが、太陽光と色については、時間帯も影響します。昼間の太陽光は寒色系の短波長の光が地表に届くため、白や青みがかっています。対して太陽が低くなる夕方は、暖色系の赤みがかった長波長の光の方が地表まで届きやすくなります。昼間の空が青く、夕焼けが赤いのはそうした理由から起こる現象です。
住まいの色は、窓から入ってくる太陽光や、室内の電球色の光によっても左右されるのです。好きな色をインテリアに取り入れる際は、その部屋で最も長く過ごす時間帯に、カラーサンプルなどでチェックをするとよいでしょう。朝、昼、晩と色の見え方や感じ方が変わります。些細な色の違いでも、大切な時間を過ごす場所には大切なこと。これという1色をぜひ見つけてください。
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暖色でも寒色でもない色
さて、ここまでにご紹介した赤、オレンジ、イエロー、ブルー系以外の色にも、温度感はあるのでしょうか? これは、ふだんカラーの仕事をしているときにもよくいただく質問です。
イエローとブルーを混ぜたグリーン系や、赤とブルーを混ぜたパープル系は「中性色」といって、温度を感じにくい色とされています(もちろん、どちらの色味に近いかによって温度差はあります)。中性色の中でも、特にリフレッシュ効果のあるグリーンは、バスルームや洗面、トイレなどの水まわりに向いている色です。
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モノトーンは寒色の仲間?
無彩色であるブラック、グレー、ホワイトは、無機質な鉄やシルバー、雪などを連想するためか、寒色とされる場合が多いです。日本では真っ白な部屋を好む人も多いですが、同じホワイトでも黄みや赤みを帯びたウォーム系、青みや薄いグレーを帯びたクール系と、実はいろいろあります。たとえば、窓が大きく太陽の光がたっぷり入るリビングはクール系のホワイトに、リビングに接した廊下や水まわり、光が入りにくい場所にはウォーム系のホワイトにと、白の温度感も使い分けてみると、より繊細で表情豊かな空間をつくることができるでしょう。
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前に出る暖色、後ろに下がる寒色
暖色と寒色には、温度感以外に別の視覚効果もあることをご存じでしょうか。 そのひとつに、「進出色」と「後退色」があります。暖色系の色は進出色で、前に出てくるように見え、寒色系の色は後退色で、遠くに下がって見える効果があるのです。使い方としては、たとえば廊下の奥行き感を出したいとき、いちばん奥に寒色系のアイテムを置くなど、色で遠近感をつくることも可能になります。
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時間の経過が速く感じる暖色、ゆっくりに感じる寒色
もうひとつ、暖色と寒色の注目すべき作用として、感じる時間の長さをコントロールする効果もあります。暖色系の壁とと寒色系の壁、それぞれで囲まれた2つの会議室のある会社で、時計を持ち込まず、それぞれ同じ時間だけ会議をしたところ、暖色系の会議室では時間が実際の2倍も経過していたように感じ、寒色系では実際の半分くらいしか過ぎていないように感じたという実験結果があります。つまり、暖色系では時間があっという間に進み、寒色系ではゆっくり進むように感じる、ということです。
お客さんの回転をよくする必要があるファーストフード店に赤系が多いのは、この特性を活かしているためです。住まいでも、部屋の目的に合わせて時間の感じ方が違う色を使ってみてください。色が家事のやりくりにも一役買ってくれそうです。
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東京タワーのライトアップ色の秘密
最後に、小ネタをひとつご紹介します。東京タワーのライトアップにも、実は暖色系と寒色系、両方の色が使われています。毎年、7月7日の夜からは「メタルハライドランプ」という、夏バージョンの涼しげな白を基調としたライトを点灯。10月初旬の夜からは「高圧ナトリウムランプ」という、暖かみのあるオレンジ色のライトが使われています。いつも優しく街に溶け込み、輝きを放っている東京タワーですが、季節に合ったライトの色で、人々の心を癒してくれていたのです。自宅や職場から東京タワーが見える人や、見に行く機会のある人は、これからの季節、ぜひ心に響く暖かい光を楽しんでくださいね。
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住まいの色の使い方について知りたいことがあれば、コメント欄で教えてください!
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