コメント
専門家が教える、涼しい庭のつくり方
暑い夏を乗りきるために、自宅に涼しい庭があったら素晴らしいですよね。造園の専門家たちに庭づくりのアドバイスをもらいました。

Mamiko Nakano
2023年7月17日
editor-writer-translator
暑い日本の夏。少しでも涼をとり、ほっとできる庭がほしい……と思ったりしませんか?自宅の庭を“涼しい庭“にしたいなら知ってきたいことを、3名の造園の専門家たちに聞きました。
お話をお聞きした専門家たち:ATELIER COCONIWA|アトリエ心庭の鈴木邦浩さん、株式会社 木村グリーンガーデナーの木村博明さん、EGA 江夏庭苑事務所の江夏泰治郎さん。
お話をお聞きした専門家たち:ATELIER COCONIWA|アトリエ心庭の鈴木邦浩さん、株式会社 木村グリーンガーデナーの木村博明さん、EGA 江夏庭苑事務所の江夏泰治郎さん。
木陰を作るならモミジなどの落葉樹を
夏の暑い日、木陰に入ると生き返ったような気分になりますね。自宅の庭にも、木を植えて木陰を作れば涼しさは作れると、専門家たちは話します。
「大きく枝を張る高木は、影をつくってくれます。モミジ、アオダモ、ナンジャモンジャなどの落葉広葉樹がおすすめです」と話すのは、ATELIER COCONIWA|アトリエ心庭の鈴木邦浩さんです。
「葉が茂り過ぎると、風が通らなくなり、熱く感じます。やはりアオダモ、モミジなど、葉が密集していない木が良いでしょうね」と、株式会社 木村グリーンガーデナーの木村博明さんも続けます。
夏の暑い日、木陰に入ると生き返ったような気分になりますね。自宅の庭にも、木を植えて木陰を作れば涼しさは作れると、専門家たちは話します。
「大きく枝を張る高木は、影をつくってくれます。モミジ、アオダモ、ナンジャモンジャなどの落葉広葉樹がおすすめです」と話すのは、ATELIER COCONIWA|アトリエ心庭の鈴木邦浩さんです。
「葉が茂り過ぎると、風が通らなくなり、熱く感じます。やはりアオダモ、モミジなど、葉が密集していない木が良いでしょうね」と、株式会社 木村グリーンガーデナーの木村博明さんも続けます。
「日向があってこそ木陰の価値は引き立つものです」と話すのは、和風庭園を数多く手掛けるEGA 江夏庭苑事務所の江夏泰治郎さんです。江夏さんも、モミジ類を中心とする葉の細かい落葉高木類を取り入れるのが、涼しい木陰づくりには有効だと話します。
「高木類から低木・下草類の使い分けによって、日陰と日向を演出するのが良いでしょう」と話す江夏さん。「下草には山野草類(キキョウ・ソバナ・サラシナショウマなど夏に咲くもの)を用いると涼しげになります」と続けます。
「実は、常緑樹も効果的に使うと日陰から半日陰、日向まで複雑なグラデーションを創出できます。多様な植物を植えると、わずかな気象(微気象)の変化で風を生み出してくれます。また、葉から水分が放出される蒸散作用で、気温の上昇を抑えたりすることにもつながりますよ」(江夏さん)
造園・ガーデニングの専門家を探す
「高木類から低木・下草類の使い分けによって、日陰と日向を演出するのが良いでしょう」と話す江夏さん。「下草には山野草類(キキョウ・ソバナ・サラシナショウマなど夏に咲くもの)を用いると涼しげになります」と続けます。
「実は、常緑樹も効果的に使うと日陰から半日陰、日向まで複雑なグラデーションを創出できます。多様な植物を植えると、わずかな気象(微気象)の変化で風を生み出してくれます。また、葉から水分が放出される蒸散作用で、気温の上昇を抑えたりすることにもつながりますよ」(江夏さん)
造園・ガーデニングの専門家を探す
視覚や聴覚にも訴えかける涼しさ
涼しさを感じるには、日陰を作るだけではなく、目で見て耳で楽しむ仕掛けも重要になってきます
「涼しさとは、単に気温や湿度によるものだけではなく、視覚や聴覚にも訴えかけるような工夫で得られるものだと思います」と江夏さん。「落ち着いた色味の角の取れた川石を景石や畳石に用いたり、敷いた砂利を水で濡らしたりと、しっとりとした雰囲気を演出してくれます。またつくばいを計画する際には、水琴窟を取り入れるのも良いでしょう。金属的な響きが涼しさを感じる一助となるでしょう」
植栽を植える際のアドバイスとして、江夏さんは「同じ緑でも濃淡を使い分け、高低差も設け、また余白を効果的につくると視覚的にも涼しく感じるのではないでしょうか」と話してくれました。
涼しさを感じるには、日陰を作るだけではなく、目で見て耳で楽しむ仕掛けも重要になってきます
「涼しさとは、単に気温や湿度によるものだけではなく、視覚や聴覚にも訴えかけるような工夫で得られるものだと思います」と江夏さん。「落ち着いた色味の角の取れた川石を景石や畳石に用いたり、敷いた砂利を水で濡らしたりと、しっとりとした雰囲気を演出してくれます。またつくばいを計画する際には、水琴窟を取り入れるのも良いでしょう。金属的な響きが涼しさを感じる一助となるでしょう」
植栽を植える際のアドバイスとして、江夏さんは「同じ緑でも濃淡を使い分け、高低差も設け、また余白を効果的につくると視覚的にも涼しく感じるのではないでしょうか」と話してくれました。
手軽に涼をとるには
手軽に涼を感じるための方法を尋ねると、木村さんは「人工的にミストを使ってみるのも良いと思います」と教えてくれました。これは、夏のちょっとしたイベントとしても楽しそうです。
「水音がする小さな水場を設けるのもおすすめです」と、話すのは鈴木さんです。江夏さんは「睡蓮鉢に水生植物を育ててみたり、メダカなどを飼ってみたりしたらいかがでしょうか」と言います。
また、江夏さんは「庭や地面に水を撒くだけでも涼を感じられます」と続けます。「”打ち水効果”で、蒸散・蒸発熱の効果により気温の上昇が抑えられますよ」とアドバイスしてくれました。
手軽に涼を感じるための方法を尋ねると、木村さんは「人工的にミストを使ってみるのも良いと思います」と教えてくれました。これは、夏のちょっとしたイベントとしても楽しそうです。
「水音がする小さな水場を設けるのもおすすめです」と、話すのは鈴木さんです。江夏さんは「睡蓮鉢に水生植物を育ててみたり、メダカなどを飼ってみたりしたらいかがでしょうか」と言います。
また、江夏さんは「庭や地面に水を撒くだけでも涼を感じられます」と続けます。「”打ち水効果”で、蒸散・蒸発熱の効果により気温の上昇が抑えられますよ」とアドバイスしてくれました。
“涼しい庭”を夏以外も快適な場所にするには
夏には理想的な涼しい庭ですが、冬になったら寒い庭になってしまうのでしょうか?これに対し、専門家たちは、寒い季節には寒い時期なりの庭の楽しみ方がある、とアドバイスします。
木村さんは「足湯にお湯を張れば、暖かく庭を楽しめます。またサンルームなどがあっても良いと思いますよ」と言います。
江夏さんは「寒い庭は、工夫によって冬の風情を楽しむ庭にすることができます」と話します。「落葉樹の葉のない時期はどうしても、庭にはいろどりがなく、寂しく感じます。そのため冬に咲くツバキやロウバイ、マンサクなどを庭に取り入れると良いでしょう。苔地には敷松葉を敷いたり、藁ボッチを置いたりすると、冬の景色が作り出せます」
夏には理想的な涼しい庭ですが、冬になったら寒い庭になってしまうのでしょうか?これに対し、専門家たちは、寒い季節には寒い時期なりの庭の楽しみ方がある、とアドバイスします。
木村さんは「足湯にお湯を張れば、暖かく庭を楽しめます。またサンルームなどがあっても良いと思いますよ」と言います。
江夏さんは「寒い庭は、工夫によって冬の風情を楽しむ庭にすることができます」と話します。「落葉樹の葉のない時期はどうしても、庭にはいろどりがなく、寂しく感じます。そのため冬に咲くツバキやロウバイ、マンサクなどを庭に取り入れると良いでしょう。苔地には敷松葉を敷いたり、藁ボッチを置いたりすると、冬の景色が作り出せます」
涼しい庭づくりはいつ計画・工事するのが良い?
では、実際に庭づくりをするのであれば、いつ、どのように計画するのが良いのでしょうか?
江夏さんは、「一般的には、工事は2〜3月に行うのが最適」と話します「ちょうど植物の根が動き始める直前の時期なので、活着率が一番いい季節です。秋でもいいですが、造園業者は繁忙期となっていることも多いので、スケジュールの相談が必要になるかもしれません」
木村さんは「計画がシッカリしていれば、庭づくりは通年可能」と話します。自宅の庭の状況と個人のタイミングは、それぞれ異なるもの。専門家に実際の庭の状況を見てもらい、どういう計画にするのがベストなのか判断できると安心でしょう。
では、実際に庭づくりをするのであれば、いつ、どのように計画するのが良いのでしょうか?
江夏さんは、「一般的には、工事は2〜3月に行うのが最適」と話します「ちょうど植物の根が動き始める直前の時期なので、活着率が一番いい季節です。秋でもいいですが、造園業者は繁忙期となっていることも多いので、スケジュールの相談が必要になるかもしれません」
木村さんは「計画がシッカリしていれば、庭づくりは通年可能」と話します。自宅の庭の状況と個人のタイミングは、それぞれ異なるもの。専門家に実際の庭の状況を見てもらい、どういう計画にするのがベストなのか判断できると安心でしょう。
自分の庭の周辺環境を見極めよう
鈴木さんは、庭づくりをする前に、自分の庭がどのような環境に置かれているのか知ることで良い庭づくりができると言います。
「夏を快適に過ごすためには、夏にどのように陽が差すのか、どこが影になるのかを見極める必要があります。ひと夏を過ごしてから日陰や水場を計画すると、無駄のない計画にできるでしょう」
毎年厳しくなっているような夏の暑さ。少しでも快適に過ごすために庭を整え、自然の力で涼を感じられるようにしてみてはいかがでしょうか?
庭の写真をみる
鈴木さんは、庭づくりをする前に、自分の庭がどのような環境に置かれているのか知ることで良い庭づくりができると言います。
「夏を快適に過ごすためには、夏にどのように陽が差すのか、どこが影になるのかを見極める必要があります。ひと夏を過ごしてから日陰や水場を計画すると、無駄のない計画にできるでしょう」
毎年厳しくなっているような夏の暑さ。少しでも快適に過ごすために庭を整え、自然の力で涼を感じられるようにしてみてはいかがでしょうか?
庭の写真をみる
おすすめの記事
造園・ガーデニング
季節ごとの庭づくりやメンテナンス、どうすればいい?1年のガーデニングまとめ
文/藤間紗花
季節によって、必要となる庭の手入れや、植え付けられる植物などは異なります。シーズンごとのガーデニングについて、これまでご紹介した記事をまとめてお届けします。
続きを読む
造園・ガーデニング
庭づくりをプロに依頼する前に知っておきたい、コストとメリット
文/藤間紗花
庭づくりをプロに依頼するのには、どのようなメリットあるのでしょう?また、どのくらいの費用が必要になるのでしょう?4人の専門家の方々にインタビューしました。
続きを読む
造園・ガーデニング
お手入れが楽な庭をつくるには?
文/舩村佳織
忙しいと、ついつい後回しになってしまう庭のお手入れ。育てやすい植物や、水まきのアイテムなど、お手入れを少しでも楽にするためのアイデアをご紹介します。
続きを読む
植物
冬にしかできない作業を忘れずに行い、来春に備えよう【12月のガーデニング】
文/舩村佳織
庭仕事の中でも大切な剪定や土づくりの時期。地味な作業をしっかり行って来春の景色をより良いものにしましょう。
続きを読む
造園・ガーデニング
専門家が教える、来年の庭を劇的に変える秋の庭仕事
文/舩村佳織
庭づくりを始めるのに、秋は遅すぎると思っていませんか? 秋の庭仕事は、来年の庭を美しく演出してくれます。
続きを読む
植物
バスルームで観葉植物を育てるポイント
文/舩村佳織
一日の始まりや終わりにリラックスするバスルーム。浴室の環境でも育てやすい観葉植物を取り入れて、より充実したバスタイムを楽しんでみましょう。
続きを読む