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専門家が教える、来年の庭を劇的に変える秋の庭仕事
庭づくりを始めるのに、秋は遅すぎると思っていませんか? 秋の庭仕事は、来年の庭を美しく演出してくれます。
舩村佳織
2023年9月22日
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています。
二児の子育て中でもあり、家族みんなが楽しめる庭造りが得意です。設計者として、主婦としての目線から、暮らしやすさに寄り添います。
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています... もっと見る
植物にとっても厳しい夏が終わり、涼しい風が感じられる秋がやってきました。夏の暑さに開花がストップしていた草花も再び花を咲かせ、のびのびとした姿を見せてくれます。ガーデニングというと春から始めるというイメージが強いかもしれませんが、秋は春への準備を始める時期でもあります。秋の準備次第で、春の庭が変わります。
この記事では、秋から始めるべきガーデニング作業をご紹介します。
この記事では、秋から始めるべきガーデニング作業をご紹介します。
秋植え球根
早春から真っ先に庭を華やかにする球根植物は秋に植えましょう。春咲きの球根植物は冬の寒さに当たることで開花のスイッチが入ります。また、秋の内に植えることで寒くなる前に根を張り、春からの成長に備えることができます。冬の間に植えつけても開花する事例もありますが、やはり秋の内に根を伸ばした株の方がより立派に育ちます。
早春から真っ先に庭を華やかにする球根植物は秋に植えましょう。春咲きの球根植物は冬の寒さに当たることで開花のスイッチが入ります。また、秋の内に植えることで寒くなる前に根を張り、春からの成長に備えることができます。冬の間に植えつけても開花する事例もありますが、やはり秋の内に根を伸ばした株の方がより立派に育ちます。
秋植えの球根でおすすめなのが、チューリップ。子どもから大人まで良く知っていて、大きな花が華やかに咲きます。
球根は暑さに弱いものがあり、植えっぱなしだと腐ってしまいます。チューリップやヒヤシンス、アネモネは、夏前に掘り上げて保管する必要があります。掘り上げが面倒な方は、掘り上げのいらない球根を選びましょう。
小さな青い花がかわいらしいムスカリや、香りの良いスイセンは掘り上げのいらない球根です。一度植えれば毎春花を咲かせてくれます。ムスカリは早くに植えつけると葉が伸びて徒長してしまうので、遅めの11月頃に植えつけるようにしましょう。スイセンの植え付けは早めの9月下旬から10月頃が適しています。
球根は暑さに弱いものがあり、植えっぱなしだと腐ってしまいます。チューリップやヒヤシンス、アネモネは、夏前に掘り上げて保管する必要があります。掘り上げが面倒な方は、掘り上げのいらない球根を選びましょう。
小さな青い花がかわいらしいムスカリや、香りの良いスイセンは掘り上げのいらない球根です。一度植えれば毎春花を咲かせてくれます。ムスカリは早くに植えつけると葉が伸びて徒長してしまうので、遅めの11月頃に植えつけるようにしましょう。スイセンの植え付けは早めの9月下旬から10月頃が適しています。
秋の種まき
春に咲く一年草の種まきは秋に行います。春になれば園芸店でも開花した苗が出回りますが、種から育てれば苗よりもかなりリーズナブルにたくさん育てられます。
種まきは手間がかかるイメージがありますが、直播(じかまき)で行えばあまり手間もかからずに種からの栽培が楽しめます。直播とは、直接花壇や庭に種をまくことを言います。プランター等に種をまき、ある程度の大きさになったら、定植する移植法よりも作業が少なくて済みます。
移植法の良さは、発芽管理のしやすさですが、直播だと発芽管理がしにくくなります。そのため種をまくタイミングが重要です。
春に咲く一年草の種まきは秋に行います。春になれば園芸店でも開花した苗が出回りますが、種から育てれば苗よりもかなりリーズナブルにたくさん育てられます。
種まきは手間がかかるイメージがありますが、直播(じかまき)で行えばあまり手間もかからずに種からの栽培が楽しめます。直播とは、直接花壇や庭に種をまくことを言います。プランター等に種をまき、ある程度の大きさになったら、定植する移植法よりも作業が少なくて済みます。
移植法の良さは、発芽管理のしやすさですが、直播だと発芽管理がしにくくなります。そのため種をまくタイミングが重要です。
種は発芽適温が20度前後のものが多いので、9月中頃からが播き時となります。早くまきすぎると徒長してしまい、遅すぎると冬前に十分成長できなくなってしまいます。気温の変化を見ながらタイミングを決めましょう。
秋の種まきでは、草原を思わせるような柔らかな草花がおすすめです。背の低いものならば、クリサンセマムやワスレナグサなど。背の高いものだとセントーレアやデルフィニウムなど。デルフィニウムは発芽適温が低く、10月以降の種まきとなりますので、注意してください。
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秋の種まきでは、草原を思わせるような柔らかな草花がおすすめです。背の低いものならば、クリサンセマムやワスレナグサなど。背の高いものだとセントーレアやデルフィニウムなど。デルフィニウムは発芽適温が低く、10月以降の種まきとなりますので、注意してください。
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家庭菜園
家庭菜園は夏が本番ですが、秋から春にかけて育てられる野菜もたくさんあります。冬をまたいでの栽培は、ゆっくりと成長するため栽培期間が長くなりますが、害虫による被害は少なく、土の乾きも遅いため、あまり手間はかかりません。冬の寒さに当たることで、味が良くなるという効果もあります。
種から育てるものと苗から育てるものがあり、どちらも9~10月中の作業となります。
家庭菜園は夏が本番ですが、秋から春にかけて育てられる野菜もたくさんあります。冬をまたいでの栽培は、ゆっくりと成長するため栽培期間が長くなりますが、害虫による被害は少なく、土の乾きも遅いため、あまり手間はかかりません。冬の寒さに当たることで、味が良くなるという効果もあります。
種から育てるものと苗から育てるものがあり、どちらも9~10月中の作業となります。
ダイコンやカブは移植を嫌うので、種から育てましょう。9月中に種まきを終えるようにします。発芽させやすいホウレンソウやスナップエンドウなども種からの栽培がおすすめです。ホウレンソウは9~10月ごろ、スナップエンドウは遅めの10~11月ごろの種まきがベストです。スナップエンドウは草丈が伸びると耐寒性が低下するので、種まきが早すぎると、うまく越冬できなくなります。
ブロッコリーやイチゴ、キャベツなどは苗から始めるのが手軽です。イチゴの収穫は春になってからなので時間はかかりますが、秋のうちに根を張ることで、大きな株に育ち、寒さに当たることで収穫量も増えます。なお、マイナス5度以下になるような場所の場合、根の周りにワラを敷くなど防寒をしましょう。
ブロッコリーやイチゴ、キャベツなどは苗から始めるのが手軽です。イチゴの収穫は春になってからなので時間はかかりますが、秋のうちに根を張ることで、大きな株に育ち、寒さに当たることで収穫量も増えます。なお、マイナス5度以下になるような場所の場合、根の周りにワラを敷くなど防寒をしましょう。
雑草対策
夏にぐんぐん成長していた雑草は、秋になると種をつけ始めます。もうすぐ枯れてしまうから、と雑草をそのままにしていると、種が落ちて来春の発芽に繋がります。種をつける前に、雑草をすっきりさせておきましょう。
ほかに植物を植えないような場所の雑草ならば、秋~冬の間に一度、種にも効くタイプの除草剤を撒いておくと、翌春以降の雑草の予防になります。
夏にぐんぐん成長していた雑草は、秋になると種をつけ始めます。もうすぐ枯れてしまうから、と雑草をそのままにしていると、種が落ちて来春の発芽に繋がります。種をつける前に、雑草をすっきりさせておきましょう。
ほかに植物を植えないような場所の雑草ならば、秋~冬の間に一度、種にも効くタイプの除草剤を撒いておくと、翌春以降の雑草の予防になります。
多年草の植え付け
多年草とは一度植えたら毎年生育する草花のこと。花が咲いたら枯れてしまう一年草とは異なり、植え替えの必要がありません。そのため、多年草は庭づくりに欠かせない植物です。
多年草の多くは春に花を咲かせますが、秋に苗を植えつけることで根が充実し、春からの開花期には見事な姿を見せてくれます。
気温の低下とともに地上部が枯れて、根だけで越冬するタイプのものはすぐに枯れてしまいますが、春の芽吹きを楽しみに待ちましょう。
多年草とは一度植えたら毎年生育する草花のこと。花が咲いたら枯れてしまう一年草とは異なり、植え替えの必要がありません。そのため、多年草は庭づくりに欠かせない植物です。
多年草の多くは春に花を咲かせますが、秋に苗を植えつけることで根が充実し、春からの開花期には見事な姿を見せてくれます。
気温の低下とともに地上部が枯れて、根だけで越冬するタイプのものはすぐに枯れてしまいますが、春の芽吹きを楽しみに待ちましょう。
庭づくりに欠かせない宿根草の定番ともいえるのが、ギボウシです。ガーデニングの本場、イギリスでもよく使われており、丈夫さと姿の美しさから「パーフェクトプランツ」とも呼ばれています。
そのほかにも、グランドカバーとして使えるヒメイワダレソウやクリーピングタイム、和の庭には欠かせないジャノヒゲなど、庭で活躍する多年草は数多くあります。
そのほかにも、グランドカバーとして使えるヒメイワダレソウやクリーピングタイム、和の庭には欠かせないジャノヒゲなど、庭で活躍する多年草は数多くあります。
肥料
寒い時期に与える肥料のことを寒肥(かんごえ)と言います。緩効性の有機肥料(油かすや牛ふん堆肥など)を使用します。有機肥料はすぐに栄養となるものではありませんが、冬の間に微生物がゆっくりと分解し、春以降の植物の生育に利用されます。寒肥を与えていると、春からの植物の姿が変わりますよ。
施肥のタイミングは12月~2月頃。冬の間に忘れずに行えるよう、秋から予定に入れておきましょう。
寒い時期に与える肥料のことを寒肥(かんごえ)と言います。緩効性の有機肥料(油かすや牛ふん堆肥など)を使用します。有機肥料はすぐに栄養となるものではありませんが、冬の間に微生物がゆっくりと分解し、春以降の植物の生育に利用されます。寒肥を与えていると、春からの植物の姿が変わりますよ。
施肥のタイミングは12月~2月頃。冬の間に忘れずに行えるよう、秋から予定に入れておきましょう。
秋こそ庭仕事を楽しもう
秋の庭仕事はいわば仕込みの作業です。庭にたくさんの「お楽しみ」を用意しましょう。秋は天候が不安定で、いつまでも暑い年もあれば、急に冷え込む年もあります。種や球根は温度の影響を受けやすいので、気温に注意しながら作業を進めてください。
気温の落ち着いた秋の庭仕事は、とても気持ちが良いものです。ぜひ、この記事を参考に、秋からの庭づくりに挑戦してみてください。
造園・ガーデンデザイナーをHouzzで探す
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