コメント
家族が快適に暮らすための「二世帯住宅」づくり、プロが配慮する7つのポイントとは?
世代の異なる家族が一つ屋根の下で暮らす「二世帯住宅」。みんなが仲良く、楽しく、快適に暮らすために家づくりにおいて気をつけたいポイントを、家づくりのプロが解説します。

Rie Horiguchi
2017年10月14日
世代の違う家族が、ひとつ屋根の下で心地よく暮らすためには、プライバシーや音、生活時間帯の違いを配慮した住まいづくりが重要です。「今は単世帯でも、将来的には一緒に暮らす予定がある」「自分たちが子世帯と暮らすかも」など、将来の暮らし方の変化をイメージできる場合、ぜひ取り入れておきたい家づくりのアイデアや、間取りの考え方をご提案します。
1.プライバシーと、コミュニケーションのバランスを配慮する
一般的な二世帯住宅というと、世帯を完全に分離させた間取りよりも、1Fと2Fで世帯を分けるスタイルや、住まいの一角に両親が暮らす部屋を設けるというスタイルが多いように感じます。
この場合、生活時間帯が違うことによる音の問題やプライバシーへの配慮が大切なポイントになります。
一般的な二世帯住宅というと、世帯を完全に分離させた間取りよりも、1Fと2Fで世帯を分けるスタイルや、住まいの一角に両親が暮らす部屋を設けるというスタイルが多いように感じます。
この場合、生活時間帯が違うことによる音の問題やプライバシーへの配慮が大切なポイントになります。
特に、和室を親世帯の寝室にする場合、空間を広く使えるように出入り口を広く設ける傾向があります。でもその一方で、リビングからプライベート空間が丸見えになったり、「音が響いて眠れない」といったデメリットも生じます。
寝室になる場所は、あくまでプライベートな空間ととらえ、
寝室になる場所は、あくまでプライベートな空間ととらえ、
- 入り口は、大きくしすぎない
- 音がもれないよう防音壁にする
- 入り口はドアを採用する
2.玄関をほどよく仕切る
二世帯住宅で気を使うことの1つに、来客時のお出迎えや対応があります。
同居とは言え、「日々の暮らしのことに干渉したくないし、されたくない」と思うのは自然なことですから、空間をほどよく仕切ることは想像以上に大切なことです。
二世帯住宅で気を使うことの1つに、来客時のお出迎えや対応があります。
同居とは言え、「日々の暮らしのことに干渉したくないし、されたくない」と思うのは自然なことですから、空間をほどよく仕切ることは想像以上に大切なことです。
たとえば、
- それぞれの世帯がリビングを通らずに、外出できる動線を確保する
- 来客時に対応できる共通の空間を作る
- 収納スペースも、世帯別に分けておく
3.あえて段差を作る
段差のないバリアフリー住宅が一般的になっていますが、二世帯住宅だからこそ、あえて段差を作ることも重要です。
私の祖母の場合も、健在だったころ、実家に遊びに来るといつも3階の寝室に滞在していたのですが、「まったく段差がない家より、階段や多少の段差があったほうが、『気をつけなきゃ!』と意識するし、運動にもなる」と、話していたものです。年配になっても体が動かせるうちは、動かすことを促してくれる空間づくりが大切です。
段差のないバリアフリー住宅が一般的になっていますが、二世帯住宅だからこそ、あえて段差を作ることも重要です。
私の祖母の場合も、健在だったころ、実家に遊びに来るといつも3階の寝室に滞在していたのですが、「まったく段差がない家より、階段や多少の段差があったほうが、『気をつけなきゃ!』と意識するし、運動にもなる」と、話していたものです。年配になっても体が動かせるうちは、動かすことを促してくれる空間づくりが大切です。
たとえば、和室を一段上げると、段差が椅子代わりになったり、一呼吸置いて上がることができるというメリットもあります。数センチの段差は気がつきにくいため、つまづく危険を伴うこともありますが、階段程度の段差はあった方がよいことも多いのです。
4.水廻りの計画は、家族のサポートが必要になったときをイメージする
健康で何事もなく過ごせるときには気にならないことですが、介護が必要になったとき水廻りの計画が不十分だと介護する側の負担は大きくなります。
自分たちが年齢を重ねたときにも、水廻りが寝室に近いと便利なことが多いです。水廻りの動線は、将来の暮らしを想像しながらしっかり計画しておきましょう。
健康で何事もなく過ごせるときには気にならないことですが、介護が必要になったとき水廻りの計画が不十分だと介護する側の負担は大きくなります。
自分たちが年齢を重ねたときにも、水廻りが寝室に近いと便利なことが多いです。水廻りの動線は、将来の暮らしを想像しながらしっかり計画しておきましょう。
5.親世帯の居室をあえて2Fに設ける
二世帯住宅をつくる場合、階段の昇り降りや将来の暮らしを考慮して、1Fに親世帯の居住スペースを設けるのが一般的です。たしかにメリットはあるのですが、「孫がいつも寝室脇のリビングにいるので、ゆっくり過ごせない」「洗濯機は1Fなのに、親世帯の洗濯物は2Fで干さなくてはいけないのがストレス」という声をいただくことが多いのも、また事実です。
実はシルバー世代の方が自分たちで終の棲家を建てる場合、自室を2Fに設けるケースは案外多いものです。2Fのほうがゆったりと落ち着ける居住空間を得られるケースも少なくありません。二世帯住宅だからといって、シニア世代の住まいを必ず1Fにしなければならないわけではないのです。
二世帯住宅をつくる場合、階段の昇り降りや将来の暮らしを考慮して、1Fに親世帯の居住スペースを設けるのが一般的です。たしかにメリットはあるのですが、「孫がいつも寝室脇のリビングにいるので、ゆっくり過ごせない」「洗濯機は1Fなのに、親世帯の洗濯物は2Fで干さなくてはいけないのがストレス」という声をいただくことが多いのも、また事実です。
実はシルバー世代の方が自分たちで終の棲家を建てる場合、自室を2Fに設けるケースは案外多いものです。2Fのほうがゆったりと落ち着ける居住空間を得られるケースも少なくありません。二世帯住宅だからといって、シニア世代の住まいを必ず1Fにしなければならないわけではないのです。
それでも、年を取ったら階段の昇り降りの不安になるのではと考える場合には、収納や吹抜を将来ホームエレベーターを設置できるスペースとして準備しておいたり、1Fの部屋を寝室として使えるよう準備しておくのもよいアイデアです。
6.家事動線を短くする
家づくりの仕事をしていると、年齢を重ねつつあるお客さまから「今までスムーズにできていたことが難しく感じたり、おっくうになった」という声をよくききます。それでも、家事は毎日、年齢とは関係なく発生しますし、毎日やるべきことをゼロにすることは不可能です。
いっぽう、二世帯住宅の子の世代も、子育てや仕事で日々忙しく過ごしていますから、家事労働をできるだけ効率よくこなせる動線を作りたいと思うのは自然なことです。どの世代においても、快適な家事動線は心地よく暮らすための大切な要素なのです。
家づくりの仕事をしていると、年齢を重ねつつあるお客さまから「今までスムーズにできていたことが難しく感じたり、おっくうになった」という声をよくききます。それでも、家事は毎日、年齢とは関係なく発生しますし、毎日やるべきことをゼロにすることは不可能です。
いっぽう、二世帯住宅の子の世代も、子育てや仕事で日々忙しく過ごしていますから、家事労働をできるだけ効率よくこなせる動線を作りたいと思うのは自然なことです。どの世代においても、快適な家事動線は心地よく暮らすための大切な要素なのです。
7.光のまぶしさ感をなくす
年齢を重ねると、ものを見るのに明るさが必要になるため、明るい照明を居室に設置することが一般的です。
ですが、その半面、年齢を重ねると光のまぶしさを感じるようになってきます。そのため、部屋の明るさ以上に大切なのは、「まぶしさをなくす」ことです。
年齢を重ねると、ものを見るのに明るさが必要になるため、明るい照明を居室に設置することが一般的です。
ですが、その半面、年齢を重ねると光のまぶしさを感じるようになってきます。そのため、部屋の明るさ以上に大切なのは、「まぶしさをなくす」ことです。
今ではLEDがすっかり普及しましたが、LEDは従来の蛍光灯や白熱灯よりギラつきやまぶしさを感じやすい光源です。間接照明のやわらかな光とスタンドライトなどのタスクライトを組み合わせて用いるなど、照明は1室多灯で計画するのがおすすめです。
こちらもあわせて
二世帯「同居」の住まいづくり、失敗しないための4つのポイントとは?
三浦半島を望む屋上テラスとウッドデッキ付き、広い地下室で繋がる二世帯住宅
Houzzツアー:曲線と直線の対比を活かした、木立を望む2世帯住宅
Houzzツアー : 親子屋根の2棟をサンルームがつなぐ、自然なコミュニケーションの2世帯住宅
Houzzツアー:海と緑を眺めて暮らす、高台に置かれた木箱のような2世帯住宅
Houzzツアー:家族の歴史を刻む実家を、3世代の暮らしの「今」を快適にする2世帯住宅に
Houzzツアー:3世帯が幸せをつむぎ、ファミリーツリーが広がる上質空間
Houzzツアーをテーマ別に読む
My Houzz/日本/北米/中南米/ヨーロッパ/北欧/中東/アジア/オセアニア/新築/リノベーション/別荘/二世帯住宅/賃貸住宅
教えてHouzz
ご感想をおきかせください。
こちらもあわせて
二世帯「同居」の住まいづくり、失敗しないための4つのポイントとは?
三浦半島を望む屋上テラスとウッドデッキ付き、広い地下室で繋がる二世帯住宅
Houzzツアー:曲線と直線の対比を活かした、木立を望む2世帯住宅
Houzzツアー : 親子屋根の2棟をサンルームがつなぐ、自然なコミュニケーションの2世帯住宅
Houzzツアー:海と緑を眺めて暮らす、高台に置かれた木箱のような2世帯住宅
Houzzツアー:家族の歴史を刻む実家を、3世代の暮らしの「今」を快適にする2世帯住宅に
Houzzツアー:3世帯が幸せをつむぎ、ファミリーツリーが広がる上質空間
Houzzツアーをテーマ別に読む
My Houzz/日本/北米/中南米/ヨーロッパ/北欧/中東/アジア/オセアニア/新築/リノベーション/別荘/二世帯住宅/賃貸住宅
教えてHouzz
ご感想をおきかせください。
おすすめの記事
日本の家
家族みんなが快適に暮らせる、気持ちのいい二世帯住宅4選
文/藤間紗花
親世帯や子世帯など、二つの世帯がともに暮らす「二世帯住宅」。Houzzで見つけた二世帯住宅の事例について、手がけた専門家が解説します。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
ナチュラル+インダストリアルなオリジナリティ溢れる二世帯住宅
文/永松典子
両親の家を一部残して増築し、同居することにした夫妻。子世帯の希望を叶え、二世帯ならではの配慮が行き届いた家をご紹介します。
続きを読む
家づくりのヒント
二世帯住宅で失敗しないために考えておきたいこと
文/志田茂
みんなが一緒に暮らせる二世帯住宅。幸せな家づくりを実現するためには、それぞれの世帯がお互いの暮らしの形について思いやることが重要です。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
2世帯7人の家族が開放的に暮らす、光あふれるコートハウス
厳しい敷地条件ながら、デザイナーのオーナーと、価値観を共にする建築家が、アイデアを出し合って一緒につくりあげた住まいです。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
人が自然と集う、開かれた道場のある家
柔道を愛する施主が建てた、道場があるユニークな二世帯住宅。家のまわりにあるベンチには、いつも地域の人たちが集っています。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
高低差を活かしたLDKと工夫のあるゾーニング。リノベーションでかなえた3世代の家
2棟だった自宅を、1軒のカリフォルニアスタイルの家にリノベーション。母屋と離れをつなげることで生じた段差や多くの梁などもプラスにとらえたプランで、唯一無二のユニークな住まいになりました。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
土地の記憶を受け継ぎ、一族が集う家。風格あるモダンな豪邸《下永谷の家》
現ご当主と次期当主が世代交代を見据えた建て替えプロジェクト。和の趣とモダン建築が見事に融合した美しい家は、家族を見守るように静かに佇む。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
三世代同居、それぞれのライフスタイルやメンテナンスに配慮した家《ウィークリンク》
二世帯住宅の各世代がストレスなく暮らせるよう、6つの切妻屋根の家を絶妙な配置でゆるやかにリンクさせた空間。省エネにも配慮した住まいです。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
三浦半島を望む屋上テラスとウッドデッキ付き、広い地下室で繋がる二世帯住宅
独立分離した親世帯と子世帯の2棟が、地下空間を共有することで、ほどよい「つかず離れずの距離感」を実現。横浜の高台に立つ、海の見える瀟洒な邸宅。
続きを読む