Houzzツアー:家族の歴史を刻む実家を、3世代の暮らしの「今」を快適にする2世帯住宅に
ご両親が住む築42年の実家をリノベーションして引っ越し。美しく住む工夫がいっぱいの、子育て真っ最中の夫婦と両親、3世代が幸せに暮らせる家ができました。
Nayo Suzuki
2015年6月8日
ライター&エディター。建築・インテリアを学んだ後、インテリアデコレーターとして働きながら、インテリアのライター業をスタート。現在はライター&エディター業に専念し、雑誌のインテリアページ、カタログ、書籍などを手がける。趣味はインテリアとアート鑑賞。
ライター&エディター。建築・インテリアを学んだ後、インテリアデコレーターとして働きながら、インテリアのライター業をスタート。現在はライター&エディター業に専念し、雑誌のインテリアページ、カタログ、書籍などを手がける... もっと見る
夫婦ともに仕事を持ち、3人の子どもを育てる…。嵐のような日々も長い人生で見ればほんの十数年ほど、過ぎてしまえばあっという間だったりもします。家族がギュッと寄り添っていられるこの貴重な時間を、どこでどう暮らすのか? と思い悩む子育て世代も多いのはないでしょうか。Aさんはご両親が長く暮らしてきた家を2世帯住宅にリノベーションし、家族で助け合いながら、子どもたちが庭で伸び伸びと遊べる暮らしを手に入れました。
ご両親の住む築42年の老朽化した家は、300平方メートル近い邸宅でありながら、使われていたのはほんの一部の部屋だけ。断熱材はもちろんサッシも古く、暖房効率が悪いため、冬はダイニングとキッチンだけを温めて暮らしていました。それでも「40年以上暮らしてきたこの家を大切にしたい」というご両親の想いを大切にし、「共働きで子育て真っ最中の自分たちにとってもベストな暮らし方なのでは?子どもたちが小さいうちに親子3代で楽しく過ごしたい」と、それまで住んでいたマンションからの引っ越しを決意したAさんご夫婦。サッシや断熱材を取り替え、一部を増築し、1階を親世帯、2階を子世帯とし、完全分離型の2世帯住宅へとリノベーションしました。
どんなHouzz?
家族構成:両親(70代)、夫婦(40代)、子ども3人
所在地:東京都渋谷区
設計:utide
施工:SAマネージメント
面積:親世帯/約160平方メートル 子世帯/約140平方メートル
構造:コンクリート造
竣工:2013年7月
撮影:ナカサアンドパートナーズ
ご両親の住む築42年の老朽化した家は、300平方メートル近い邸宅でありながら、使われていたのはほんの一部の部屋だけ。断熱材はもちろんサッシも古く、暖房効率が悪いため、冬はダイニングとキッチンだけを温めて暮らしていました。それでも「40年以上暮らしてきたこの家を大切にしたい」というご両親の想いを大切にし、「共働きで子育て真っ最中の自分たちにとってもベストな暮らし方なのでは?子どもたちが小さいうちに親子3代で楽しく過ごしたい」と、それまで住んでいたマンションからの引っ越しを決意したAさんご夫婦。サッシや断熱材を取り替え、一部を増築し、1階を親世帯、2階を子世帯とし、完全分離型の2世帯住宅へとリノベーションしました。
どんなHouzz?
家族構成:両親(70代)、夫婦(40代)、子ども3人
所在地:東京都渋谷区
設計:utide
施工:SAマネージメント
面積:親世帯/約160平方メートル 子世帯/約140平方メートル
構造:コンクリート造
竣工:2013年7月
撮影:ナカサアンドパートナーズ
子世帯
夫婦と子ども3人が暮らす子世帯のリビング。設計を担当したutideの齊藤さんは、Aさんが好きなウォームグレーを、子世帯全体のベースカラーに設定しました。Aさんがもともと持っていたのはアントニオ・チッテリオのソファやマリオ・ベリーニデザインのCABチェアなど、シャープでモダンなイタリアの家具。インテリアはそれらを生かしつつ、もう少しやわらかく温かい感じに、「たとえるならアメリカのデパート『二ーマン・マーカス』の内装のような、ちょっぴりゴージャスだけれど、子どもが走り回ってもOKな雰囲気」を目指しました。建具を框扉にし、窓枠やサッシ、幅木は白に塗装。壁にはカラーワークスが扱う「HIP」のウォームグレーのペイントを塗りました。「仕事場としても使うリビングダイニングなので、なるべく生活感を感じさせない空間に」というAさんからのリクエストに対し、子どもの制作物などをランダムに置いてもさまになる、オープン棚を提案しました。
ソファ:B&B italia
アームチェア:MAXALTO
夫婦と子ども3人が暮らす子世帯のリビング。設計を担当したutideの齊藤さんは、Aさんが好きなウォームグレーを、子世帯全体のベースカラーに設定しました。Aさんがもともと持っていたのはアントニオ・チッテリオのソファやマリオ・ベリーニデザインのCABチェアなど、シャープでモダンなイタリアの家具。インテリアはそれらを生かしつつ、もう少しやわらかく温かい感じに、「たとえるならアメリカのデパート『二ーマン・マーカス』の内装のような、ちょっぴりゴージャスだけれど、子どもが走り回ってもOKな雰囲気」を目指しました。建具を框扉にし、窓枠やサッシ、幅木は白に塗装。壁にはカラーワークスが扱う「HIP」のウォームグレーのペイントを塗りました。「仕事場としても使うリビングダイニングなので、なるべく生活感を感じさせない空間に」というAさんからのリクエストに対し、子どもの制作物などをランダムに置いてもさまになる、オープン棚を提案しました。
ソファ:B&B italia
アームチェア:MAXALTO
「使うものは使う場所に」と、収納場所も計画的に確保しました。右手前のラタンを貼った扉の中には、ダイニングで使う食器類を収納。テレビの両側の引き戸は開けると棚になっていて、Aさんの仕事道具や子どもたちの勉強道具が、1人分ずつかごに分けて収納。かごを持ってダイニングテーブルで作業をし、終わったらまたすぐに片付けられるように工夫しています。
以前から愛用しているCABチェアは、家族が増えたため新たに買い足し、同じく以前から使っているテーブルとともに、家族の歴史を刻んでいます。ダイニングとキッチンの床はヘリンボーン張りのフローリングにしました。
ダイニングテーブル:
MAXALTO
ダイニングチェア:
413CAB/カッシーナ・イクスシー
ダイニングテーブル:
MAXALTO
ダイニングチェア:
413CAB/カッシーナ・イクスシー
セミオープンのキッチン。ダイニングとの間の壁をくりぬき、イケアで購入したキッチン用の木製天板を塗装して設置。リノベーションにあたっては、断熱材やサッシなど、快適な住み心地に関係する機能的な面にはお金をかける一方で、予算を抑えられる箇所は、極力抑える工夫をしたそう。
玄関からリビングへのアプローチには、ご両親が持っていた和箪笥を置きました。仕事関係の来客も多いため、このすっきりとした状態を常に保つようにしています。実はAさん宅には玄関からダイニングへ繋がる、家族用のもうひとつのアプローチが右の壁の裏側にあり、その動線に沿って家族の靴や子どもたちのバッグ類、食品のストックなど雑多なものを収納できるようになっています。この「裏動線」を確保したことによって、不意の来客時に子どもの靴が玄関に散らばっているなどということもありません。「お子さんがいる家で、スペースに余裕がある場合は、なるべくA邸のように家族のための裏動線をつくります」とutideの齊藤さん。子どもがいてもストレスなく暮らすための工夫が詰まったプランです。
来客用のトイレには、イギリス・オズボーン&リトル(マナトレーディング扱い)のウォームグレーのサンゴ柄の壁紙を貼りました。便器は、アメリカ・コーラー社のもの。
洗面台も「ジクート」でオーダーしたオリジナル。この家の照明はデザインの種類が豊富で、手頃な値段で手に入る、アメリカの「ニーマン・マーカス」などのネットショップで購入ものがほとんどだとか。
パウダールームには、夫婦用、子ども用と2つのペデスタル型の洗面台を設置。来客用のトイレと柄違いの「オズボーン&リトル」の木の枝柄の壁紙を選びました。開けると収納になっているはめ込み式の鏡は、「ポッタリーバーン」で購入。隣にランドリールームを設け、脱ぎ着したもの、洗濯物などはそちらに。パウダールームは常に整然としています。
浴室は、壁や扉が自由に選べるTOTOのハーフユニット。建物が古く、かつ2階ということもあり、ユニットバスを採用することに。「今までずっと在来工法のお風呂だったので不安もありましたが、床も滑りにくく、小さい子どものいる家には安心で正解でした」。ウォームグレーのタイルは「ダイナワン」で。
3人の子どもたちの部屋には、芝生のようなグリーンのカーペットを敷きました。薄いグレーにペイントした壁に、グレーと白のストライプ生地のローマンシェードをあしらっています。
子ども部屋へと続く廊下は、家族のライブラリー。片側の壁が全面本棚になっています。
以前はリビングのあったスペースをワンルームのリビングダイニングとしました。北側にあった独立したキッチンを、ダイニングの横に配置し、セミオープンキッチンにすることで、カウンター越しに話をしながら料理ができるようになりました。正面のTVを置いた収納棚は、扉だけ替えて再利用。
木の温もりを感じるキッチン。右側の引き戸のついた棚には普段づかいの食器を収納しています。
親世帯の通路幅は150cm。車椅子が通れる幅を確保しておくなど、今後の暮らしの変化にも対応できるようプランニングされています。
親世帯は寝室を夫婦別にし、さらに将来に備えて予備の寝室もつくりました。お父様の寝室には書斎を設け、以前はダイニングに置かれていた書類などの置き場所も確保。
ご両親が持っていたたくさんのアートや掛け軸も飾る場所を得て、明るく生まれかわった室内を彩っています。
「子どもたちは学校や保育園から帰宅すると、祖父母の見守る庭で遊んだり、おやつを食べさせてもらったり、毎日本当に助けられています」とAさん。また週に数回は夕食を共にするなど、親子3代で助け合い、支え合いながら暮らしているそう。
子育て期にいかにストレスなく暮らすか? また高齢期にいかに快適に暮らすか? そんなヒントがいっぱい詰まった2世帯住宅です。
「子どもたちは学校や保育園から帰宅すると、祖父母の見守る庭で遊んだり、おやつを食べさせてもらったり、毎日本当に助けられています」とAさん。また週に数回は夕食を共にするなど、親子3代で助け合い、支え合いながら暮らしているそう。
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記事をご覧になって下さり、ありがとうございました。壁紙素敵ですよね。オズボーン&リトル社の壁紙はマナトレーディングさんで扱いがあるかと思います。ただし、同じものが現存するかどうかは定かではありません。ご参考までに、どうぞよろしくお願い致します。
早速ご返信ありがとうございます!マナさんのサイトやカタログには載っていないようなので、ショールームに行ってみます。
ダイニングの照明はどちらのものでしょうか?
ニーマンマーカス等ネットで探してみたのですが見当たりません。
購入先を教えていただけますでしょうか?