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生垣で庭を楽しむ
境界として、目隠しとして、庭に欠かせない生垣。平凡なだけの生垣ではつまらない! さまざまなアイデアで生垣を楽しんでみましょう。
舩村佳織
2016年5月18日
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています。
二児の子育て中でもあり、家族みんなが楽しめる庭造りが得意です。設計者として、主婦としての目線から、暮らしやすさに寄り添います。
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています... もっと見る
新しい家にも古い家にも、多くの庭でよく見られる生垣。庭の構成要素として昔から重要な存在です。ブロック塀などの無機質な目隠しや境界を作るよりも、植物を利用する生垣は庭に潤いを与えてくれます。しかし、人工物とは違って植物は成長するため、日頃のお手入れが重要。お手入れがめんどうくさそう……と敬遠する方もいますが、成長する植物である生垣でしか楽しめないアイデアがいっぱいあります。今回は生垣の基本的な知識と、生垣を楽しむアイデアをご紹介していきます。
「生垣」とは
生垣とは樹木を並べて植え、垣根として利用しているものを指します。庭の内側からだけでなく、街並み緑化の観点からも、生垣は重要な意味を持っています。また、生垣は葉や幹に水分を含むことから火事などで延焼防止としても役立ちます。そのため自治体によっては生垣造成に対する助成金制度があることも。
生垣とは樹木を並べて植え、垣根として利用しているものを指します。庭の内側からだけでなく、街並み緑化の観点からも、生垣は重要な意味を持っています。また、生垣は葉や幹に水分を含むことから火事などで延焼防止としても役立ちます。そのため自治体によっては生垣造成に対する助成金制度があることも。
生垣に向いている植物
生垣は整枝のため刈り込みをしますが、刈り込みの後に新しい芽が出て枝が細く分かれていくことによって生垣が作られていきます。そのため植物が新しい芽を出す力(萌芽力)が強い種類のものが生垣に適しています。
そして基本的には常緑樹が好まれます。冬に葉を落としてしまうと、目隠しや境界としての機能を果たせなくなってしまうためです。しかし、ドウダンツツジのように落葉性の樹木でも枝が非常に密につくものの場合は生垣として利用することもできます。
生垣は整枝のため刈り込みをしますが、刈り込みの後に新しい芽が出て枝が細く分かれていくことによって生垣が作られていきます。そのため植物が新しい芽を出す力(萌芽力)が強い種類のものが生垣に適しています。
そして基本的には常緑樹が好まれます。冬に葉を落としてしまうと、目隠しや境界としての機能を果たせなくなってしまうためです。しかし、ドウダンツツジのように落葉性の樹木でも枝が非常に密につくものの場合は生垣として利用することもできます。
生垣に必要な管理
生垣に使われる萌芽力の強い植物は、刈り込まれることによって新しい芽の形成が促されるため、適度な刈り込みが緻密な生垣をつくるには不可欠です。この刈り込み作業は5〜6月頃と10月頃の年二回が基本となります。伸びすぎた枝を切る程度の小規模な剪定は、時期に関係なく見た目を重視して行って大丈夫です。
また、刈り込み作業の際に、内側に枯れ込んだ葉がある場合は取り除く必要があります。この葉をそのままにしておくと、見た目が悪いだけでなく病気等の原因となることがあります。
美しい生垣には管理が必要不可欠です。しかし、一年中頑張らなくてはいけないわけではなく、気温が低い時期は成長が止まるため、冬の間は多少管理の手を抜いていても大丈夫です。
生垣の基本を押さえたところで、ここからは生垣ならではの楽しいアイデアをご紹介します。
生垣に使われる萌芽力の強い植物は、刈り込まれることによって新しい芽の形成が促されるため、適度な刈り込みが緻密な生垣をつくるには不可欠です。この刈り込み作業は5〜6月頃と10月頃の年二回が基本となります。伸びすぎた枝を切る程度の小規模な剪定は、時期に関係なく見た目を重視して行って大丈夫です。
また、刈り込み作業の際に、内側に枯れ込んだ葉がある場合は取り除く必要があります。この葉をそのままにしておくと、見た目が悪いだけでなく病気等の原因となることがあります。
美しい生垣には管理が必要不可欠です。しかし、一年中頑張らなくてはいけないわけではなく、気温が低い時期は成長が止まるため、冬の間は多少管理の手を抜いていても大丈夫です。
生垣の基本を押さえたところで、ここからは生垣ならではの楽しいアイデアをご紹介します。
壁に見立ててデコレーション
まるでおとぎの国のような不思議な生垣。鏡や絵、額縁などを枝にひっかけてデコレーションするだけ。室内の壁に何か飾るのは当たり前ですが、生垣に同じことをするだけでとても斬新な空間に早変わり。
まるでおとぎの国のような不思議な生垣。鏡や絵、額縁などを枝にひっかけてデコレーションするだけ。室内の壁に何か飾るのは当たり前ですが、生垣に同じことをするだけでとても斬新な空間に早変わり。
電飾でのデコレーションも生垣を演出するアイデアのひとつ。
付け外しも簡単なので、特別な日のサプライズな演出にもいかがでしょうか?
ケーブル状のものを枝葉にランダムにひっかけるだけでもおしゃれに見えますし、電飾を一つ一つワイヤーで固定すれば写真のような文字もできます。どんな樹種の生垣にも簡単に応用できるのでおすすめです。
付け外しも簡単なので、特別な日のサプライズな演出にもいかがでしょうか?
ケーブル状のものを枝葉にランダムにひっかけるだけでもおしゃれに見えますし、電飾を一つ一つワイヤーで固定すれば写真のような文字もできます。どんな樹種の生垣にも簡単に応用できるのでおすすめです。
蔓植物で模様を描く
つる植物を誘引して生垣をつくることもできます。ワイヤーやフェンスで土台を作れば、それに沿って植物は絡んでいくので、樹木を使った生垣では難しい形を作り出すことができます。工夫次第でいろいろな模様を作れます。
どんどん絡みついて伸びていくさまは植物の力強さそのもの。伸びすぎには注意が必要なので、こまめな管理が重要になってきます。
モッコウバラやジャスミンは萌芽力も強く、花も楽しめるおすすめの樹種です。
つる植物を誘引して生垣をつくることもできます。ワイヤーやフェンスで土台を作れば、それに沿って植物は絡んでいくので、樹木を使った生垣では難しい形を作り出すことができます。工夫次第でいろいろな模様を作れます。
どんどん絡みついて伸びていくさまは植物の力強さそのもの。伸びすぎには注意が必要なので、こまめな管理が重要になってきます。
モッコウバラやジャスミンは萌芽力も強く、花も楽しめるおすすめの樹種です。
生垣の中に秘密の抜け道
生垣の背が高くなっていけば、緑のトンネルのような抜け道をつくることもできます。冒険心をくすぐる秘密めいた雰囲気は、植物を使っているからこそ。木製の扉と合わせればナチュラルに仕上がり、ますますムード満点に。
生垣の背が高くなっていけば、緑のトンネルのような抜け道をつくることもできます。冒険心をくすぐる秘密めいた雰囲気は、植物を使っているからこそ。木製の扉と合わせればナチュラルに仕上がり、ますますムード満点に。
扉だけでなく、窓まで組み込んでしまったものがこちら。屋外ですが、生垣に囲まれたもう一つの部屋のように使えます。庭をぐるりと囲んだ生垣は単調になってしまいやすいですが、それを目新しいものに変えるユニークなアイディアです。
これらの演出には、ある程度の高さが必要となってくるため、上へ伸びていく成長が早いコニフェー系がおすすめの樹種です。コニファーは爽やかな芳香を持つものもあるので、生の葉のフレッシュな香りも楽しめます。
これらの演出には、ある程度の高さが必要となってくるため、上へ伸びていく成長が早いコニフェー系がおすすめの樹種です。コニファーは爽やかな芳香を持つものもあるので、生の葉のフレッシュな香りも楽しめます。
丸く刈り込んで立体的に
日本庭園ではサツキ等の低木を刈り込む技法が使われてきました。刈り込まれた樹木を雲海に見立てたり、波に見立てたりして景色を作っていたのです。
そんな刈り込みの技法をアレンジし、大小さまざまな刈り込みで庭にモダンな景色を作ってみましょう。自然界ではあり得ない不自然な形が、庭にユーモラスなリズムを与えてくれます。
おすすめの樹種はボックスウッドやツゲなど、細かな葉が密につく樹種。
日本庭園ではサツキ等の低木を刈り込む技法が使われてきました。刈り込まれた樹木を雲海に見立てたり、波に見立てたりして景色を作っていたのです。
そんな刈り込みの技法をアレンジし、大小さまざまな刈り込みで庭にモダンな景色を作ってみましょう。自然界ではあり得ない不自然な形が、庭にユーモラスなリズムを与えてくれます。
おすすめの樹種はボックスウッドやツゲなど、細かな葉が密につく樹種。
ツゲの中には葉が黄色いものもあり、品種を変えて色に変化を出しても面白いですね。写真はイヌツゲのゴールデンジェム。
また、葉の質感が違う樹種も取り混ぜればメリハリが出ます。ゲッケイジュ(月桂樹)のような葉が大ぶりのものも生垣として刈り込みが行えるので、部分的に混ぜてみても良いでしょう。
また、葉の質感が違う樹種も取り混ぜればメリハリが出ます。ゲッケイジュ(月桂樹)のような葉が大ぶりのものも生垣として刈り込みが行えるので、部分的に混ぜてみても良いでしょう。
質感の違う植栽と合わせて
生垣は同じ樹種を列植するため、単調になりがちです。そんなときは、違う質感を持つ植物を一緒にレイアウトすると、お互いを引き立てあう植栽となります。
生垣はシルエットがはっきりとしていて、葉の質感もしっかりしているものが多いため、全体的に固い印象になります。近くに風に揺れる柔らかい質感を持つ、グラス系の植物を配置すると抑揚のある風景となります。
グラス類のほか、ラベンダーのようなシルバーリーフを持つ植物も濃いグリーンに映えます。
生垣は同じ樹種を列植するため、単調になりがちです。そんなときは、違う質感を持つ植物を一緒にレイアウトすると、お互いを引き立てあう植栽となります。
生垣はシルエットがはっきりとしていて、葉の質感もしっかりしているものが多いため、全体的に固い印象になります。近くに風に揺れる柔らかい質感を持つ、グラス系の植物を配置すると抑揚のある風景となります。
グラス類のほか、ラベンダーのようなシルバーリーフを持つ植物も濃いグリーンに映えます。
生垣は植えてすぐに完成するものではなく、手間暇をかけることで美しい姿ができあがっていきます。
いくつかの生垣を楽しむアイディアをご紹介しましたが、時間がかかるものばかりです。じっくり気長に、完成までの時間と手間も楽しむような気持ちで、チャレンジしてみてください!
目隠しフェンスの写真をもっと見る
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ウッドフェンスの写真・デザインアイデアを見る
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