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見る人が動きを感じる「アイキャッチ」でインテリアを印象的に
インテリアコーディネーターとして活動する筆者が「記憶に残るインテリアは、アイキャッチのつくり方がポイント」というテーマで、6回にわたってそのコツをお伝えしていきます。
「アイキャッチ」とは、見る人の目線を自然に誘導して印象づけるアイテムのこと。上手に利用すれば、空間に奥行きや広がりを感じさせる効果があります。記憶に残るような素敵なインテリアには、必ずアイキャッチとなるアイテムが取り入れられています。
第3回目の今回は、見る人の視線が流れて「動き」を感じさせるアイキャッチをご紹介します。動きを感じるアイキャッチは、視線の先により大きな空間があるように錯覚を起こすため、実際の部屋以上の空間の広がりを感じさせる効果があります。また、視線の先にある物の印象をより強く感じさせ、その物に意識を集中させる効果も。インテリアのスタイルをよりいっそう印象づける効果をもたらします。
「記憶に残るインテリアは『アイキャッチのつくり方』がポイント」シリーズをもっと読む:
第1回 黒の魅力
第2回 インテリアアイテムの「相棒」をつくろう
第3回目の今回は、見る人の視線が流れて「動き」を感じさせるアイキャッチをご紹介します。動きを感じるアイキャッチは、視線の先により大きな空間があるように錯覚を起こすため、実際の部屋以上の空間の広がりを感じさせる効果があります。また、視線の先にある物の印象をより強く感じさせ、その物に意識を集中させる効果も。インテリアのスタイルをよりいっそう印象づける効果をもたらします。
「記憶に残るインテリアは『アイキャッチのつくり方』がポイント」シリーズをもっと読む:
第1回 黒の魅力
第2回 インテリアアイテムの「相棒」をつくろう
置くもので視線を動かす
つい目が留まる、印象的なカラスのオブジェ。人や動物がいったいどこを見ているのか、その視線を追うのは、人間の自然な習性です。カラスの視線の先には、天井から下げられた照明器具。クラフト感と温かみのある照明器具が、いっそう印象に残ります。
また、高い位置に視線が誘導されることも重要。インテリアアイテムの多くは床に置かれていますので、天井方向にはなかなか意識が向きません。高い場所に強く意識を向ける効果で、天井を高く、空間を大きく感じさせる効果が出ます。
つい目が留まる、印象的なカラスのオブジェ。人や動物がいったいどこを見ているのか、その視線を追うのは、人間の自然な習性です。カラスの視線の先には、天井から下げられた照明器具。クラフト感と温かみのある照明器具が、いっそう印象に残ります。
また、高い位置に視線が誘導されることも重要。インテリアアイテムの多くは床に置かれていますので、天井方向にはなかなか意識が向きません。高い場所に強く意識を向ける効果で、天井を高く、空間を大きく感じさせる効果が出ます。
画面の右側に置かれた、黄色い花をつけた大ぶりな枝。最初に目に飛び込んで来るのは、この枝ではないでしょうか。長い枝が左側に伸び、枝から先に目線を映すと、ミモザが飾られています。
ミモザのすぐ脇に、社名を表すアルファベットのオブジェが。目線が自然とこのオブジェをとらえて、印象に残ります。アルファベットは控えめな色と大きさでありながら、一番見てほしいところにさりげなく目線を誘導する、素晴らしい事例だと思います。
黄色い花の色は、ナチュラルカラーの空間の中でアクセントカラーの役割も担っています。
ミモザのすぐ脇に、社名を表すアルファベットのオブジェが。目線が自然とこのオブジェをとらえて、印象に残ります。アルファベットは控えめな色と大きさでありながら、一番見てほしいところにさりげなく目線を誘導する、素晴らしい事例だと思います。
黄色い花の色は、ナチュラルカラーの空間の中でアクセントカラーの役割も担っています。
壁一面を使って視線を動かす
大きな大きな、タンポポの綿毛が壁一面に。風に乗って、いったいどこまで飛んで行くのでしょうか。
この綿毛を見る人の視線は右上に動き、写真の部屋の外まで広がっていくようなイメージを掻き立てられます。綿毛が広がる先は空想の中の空間ですが、まるで部屋そのものが広がっていくように錯覚しませんか?
大きな大きな、タンポポの綿毛が壁一面に。風に乗って、いったいどこまで飛んで行くのでしょうか。
この綿毛を見る人の視線は右上に動き、写真の部屋の外まで広がっていくようなイメージを掻き立てられます。綿毛が広がる先は空想の中の空間ですが、まるで部屋そのものが広がっていくように錯覚しませんか?
飛び立つ黒い鳥の影。上へと視線が誘導されることで、ダークカラーでコーディネートされた2階の空間に意識が向いて、天井の高さを感じさせます。
また、キッチンの天井の上のボリュームの多い壁に鳥の影があることで、壁の存在感を軽くする効果もあります。空間を豊かに見せる効果の高い事例です。(あまりにたくさんの黒い鳥だと、ヒッチコックの映画のようでちょっぴりこわいですが!)
また、キッチンの天井の上のボリュームの多い壁に鳥の影があることで、壁の存在感を軽くする効果もあります。空間を豊かに見せる効果の高い事例です。(あまりにたくさんの黒い鳥だと、ヒッチコックの映画のようでちょっぴりこわいですが!)
岩の上で遊ぶ3人の子供たちと大きな木。女の子と目が合うこともあると思いますが、最終的に見る人の意識は、小さな男の子の目線の先と大きな男の子の飛び降りる場所へと向けられます。ソファの後ろ側に、広々とした空間が広がっているようなイメージ。この壁紙が貼られていなければ、この部屋で最初に目に留まるのはソファーの上のカラフルなクッションでしょう。やはり高い位置に意識を向けさせ、より大きな空間を感じさせる事例でもあります。
ウォールステッカーを効果的に使う
ウォールステッカーを使えば、壁一面とまではいかなくても、十分に広さを感じさせることはできます。
飛びながら遊んでいるような、小鳥の柄のステッカー。上半分の壁に余白を残すことで、空の高さが表現されています。
ウォールステッカーを使えば、壁一面とまではいかなくても、十分に広さを感じさせることはできます。
飛びながら遊んでいるような、小鳥の柄のステッカー。上半分の壁に余白を残すことで、空の高さが表現されています。
同じ鳥モチーフのステッカーです。4羽の鳥の進む方向に、やはり意識が向きます。こちらは横方向の動きで、右の余白の方向に飛んでいく様子。横の空間に広がりをもたらしています。
樹木とフクロウのかわいらしいイラストのステッカー。枝に止まったフクロウは、テーブルといすを見つめています。ここに座って欲しいと言っているような、また、座る人を見守っているようなイメージです。
ウォールステッカーは、何回か貼り直しができるので、気軽にチャレンジできます。レイアウトで仕上がりが大きく変わってきますので、一気に全部を貼るのではなく、ひとつずつ仮止めをして、何度も遠くから眺めてみるのが貼るときのコツ。絵を描くように、楽しみながら自分らしく仕上げてくださいね。
ウォールステッカーは、何回か貼り直しができるので、気軽にチャレンジできます。レイアウトで仕上がりが大きく変わってきますので、一気に全部を貼るのではなく、ひとつずつ仮止めをして、何度も遠くから眺めてみるのが貼るときのコツ。絵を描くように、楽しみながら自分らしく仕上げてくださいね。
アートで視線を動かす
暖炉の上の、花のアート。画面いっぱいに描かれた下向きの花首。この部屋で最初に目に飛び込んできますが、その後、右下に向かう花首をたどって、画面の外に意識が向きます。そこには2脚のチェアと、コーヒーテーブルの上の装飾。この部屋の主役は、アートではなくて実はこのアイテムたちだと思います。色や柄、さまざまな形。とても要素が多い空間で、最初に花のアートに意識が向くことで、ごちゃごちゃとなりすぎずにまとまっている効果があります。
暖炉の上の、花のアート。画面いっぱいに描かれた下向きの花首。この部屋で最初に目に飛び込んできますが、その後、右下に向かう花首をたどって、画面の外に意識が向きます。そこには2脚のチェアと、コーヒーテーブルの上の装飾。この部屋の主役は、アートではなくて実はこのアイテムたちだと思います。色や柄、さまざまな形。とても要素が多い空間で、最初に花のアートに意識が向くことで、ごちゃごちゃとなりすぎずにまとまっている効果があります。
矢印の持つ強い効果
人の目線を誘導する、最も効果の強いモチーフはズバリ、矢印です。正面の矢印の壁掛けがあることで、壁に同化して見落としそうな右側の扉にも意識が向きます。矢印のもつ記号性は、モダンデザインのインテリアととても相性がいいです。
人の目線を誘導する、最も効果の強いモチーフはズバリ、矢印です。正面の矢印の壁掛けがあることで、壁に同化して見落としそうな右側の扉にも意識が向きます。矢印のもつ記号性は、モダンデザインのインテリアととても相性がいいです。
同じ矢印でも、こんなデザインならモダンになりすぎずにまとまります。矢印があると視線が誘導されるだけでなく、自然に体もそちらに向かいます。
玄関や廊下などの壁にリビングに向けて飾ると、トイレに立った来客が迷わずリビングに戻れる、などという実用的な効果もありますよ。
シリーズでお届けしている、「記憶に残るインテリアは『アイキャッチのつくり方』がポイント」。次回は「差し色の効果」についてお伝えします。
玄関や廊下などの壁にリビングに向けて飾ると、トイレに立った来客が迷わずリビングに戻れる、などという実用的な効果もありますよ。
シリーズでお届けしている、「記憶に残るインテリアは『アイキャッチのつくり方』がポイント」。次回は「差し色の効果」についてお伝えします。
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