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記憶に残るインテリアは「アイキャッチのつくり方」がポイント/第1回 黒の魅力
インテリアコーディネーターとして活動する筆者が、印象的なインテリアのつくり方をテーマごとに6回の連載でお伝えしていきます。
記憶に残るような素敵なインテリアには、必ず「アイキャッチ」となるアイテムが取り入れられています。アイキャッチとは、見る人の目線を自然に誘導して印象づけるアイテムのこと。インテリア空間を引き締めるポイントとなるだけではなく、目線の誘導のさせ方によって、空間に奥行きや広がりを感じさせる効果があります。
この記事ではアイキャッチのつくり方について、シリーズ6回にわたってお伝えしていきたいと思います。第1回目は黒という色にフォーカスして、そのテクニックをお伝えします。
この記事ではアイキャッチのつくり方について、シリーズ6回にわたってお伝えしていきたいと思います。第1回目は黒という色にフォーカスして、そのテクニックをお伝えします。
黒は光を吸収する重厚で強い色でありながら、どんな色とも合わせることができる万能な色でもあります。初めて取り入れる人でも失敗の少ない色です。
手始めに、簡単に取り入れられる黒いクッションから。無地と大きなジオメトリック柄との組み合わせが、優しい雰囲気のインテリアにクールな味つけをしています。黒は素材のごまかしが効かない色です。手触りのいいリネンやウールなどの天然素材、立体感のあるファーやベルベットなど、質感を大事にしたファブリックを選んでくださいね。
手始めに、簡単に取り入れられる黒いクッションから。無地と大きなジオメトリック柄との組み合わせが、優しい雰囲気のインテリアにクールな味つけをしています。黒は素材のごまかしが効かない色です。手触りのいいリネンやウールなどの天然素材、立体感のあるファーやベルベットなど、質感を大事にしたファブリックを選んでくださいね。
黒いクッションと、黒いラインが入ったカバー類との組み合わせ。
このような「面とラインの組み合わせ」は、初めに面で止まった目線がラインに沿って流れることで、心理的に動きを感じさせるため、軽快な印象になります。黒は、使う分量によっては重たくなりがちな色です。覚えておくと真似しやすいテクニックですので試してみてください。
このような「面とラインの組み合わせ」は、初めに面で止まった目線がラインに沿って流れることで、心理的に動きを感じさせるため、軽快な印象になります。黒は、使う分量によっては重たくなりがちな色です。覚えておくと真似しやすいテクニックですので試してみてください。
掛け時計のリム部分と、階段の手すりなどのアイアン素材。これも面とラインの組み合わせ。細いラインが斜めに目線を誘導して、動きを感じさせます。手すりやアイアンのスタンドの繰り返すデザインは、リズム感を生み出します。
下の事例も面とラインですが、また少し違った効果が。
フロアランプのシェードから少し離れたところに置いた黒いフレーム。これがフロアランプの”相棒”となり、大きな黒い面を持つランプの存在が、唐突な印象にならずにまとまります。
下の事例も面とラインですが、また少し違った効果が。
フロアランプのシェードから少し離れたところに置いた黒いフレーム。これがフロアランプの”相棒”となり、大きな黒い面を持つランプの存在が、唐突な印象にならずにまとまります。
この事例も、”相棒”どうしの組み合わせで存在感を引き立たせ、空間に統一感をもたらしている事例です。
収納部分の黒い額縁のミラーと花器は、どちらがなくてもさびしい印象に。ワンセットでアイキャッチの役割を果たしています。
収納部分の黒い額縁のミラーと花器は、どちらがなくてもさびしい印象に。ワンセットでアイキャッチの役割を果たしています。
黒いシェルチェアのあるワークスペースです。これくらい黒の面の印象が強くなると、相棒は一組ではもたなくなります。
デスクランプだけでなく、積み上げた本やカレンダー、ペンシルなど、黒い色を全体に分散させているのが、黒の分量を多くしても重たく見せないコツです。
デスクランプだけでなく、積み上げた本やカレンダー、ペンシルなど、黒い色を全体に分散させているのが、黒の分量を多くしても重たく見せないコツです。
少量の黒を上手に分散させた事例。白と木のナチュラル色だけではぼんやりとしてしまいがちですが、控えめに黒を分散することで引き締めの効果があります。
モカベージュのワントーンのコーディネートのなかで、随所にちりばめられた黒。
広い空間の中にアイキャッチとして分散するときには、この事例のランプのシェードやセンターテーブル、奥にある壺のような、ある程度思い切った大きさのものを入れるとかっこよくまとまります。
広い空間の中にアイキャッチとして分散するときには、この事例のランプのシェードやセンターテーブル、奥にある壺のような、ある程度思い切った大きさのものを入れるとかっこよくまとまります。
オレンジ色とターコイズ色はほぼ補色の関係。派手な印象になる色の組み合わせです。ここでのアイキャッチはオレンジ色の花の写真とターコイズ色のスツールですが、強い黒の色使いによって両者を引き立て、まとめています。
こちらは面と点をうまく使った上級編です。すべてデザインが違う黒いチェアがごちゃついて見えないのは、奥に掛けられた黒い絵と、照明器具の天井についている「フランジ」部分によるもの。黒いチェアと奥の絵が空間の中に安定した三角形をつくり出しています。また、
黒いフランジは高い場所に視線を誘導するので、一枚板のテーブルの重厚な印象を和らげています。
黒いフランジは高い場所に視線を誘導するので、一枚板のテーブルの重厚な印象を和らげています。
こちらも上級編です。長方形の面で見せる、ラグに使われた黒。奥に向かって目線を誘導するので、より奥行きを感じさせます。また、窓の手前の床の色を暗く抑えたことによる対比で、窓の外の景色がより明るく、美しく見えてきます。
アイキャッチのつくり方をご紹介するこのシリーズ。次回はインテリアの中の「相棒」について、もう少し詳しくお伝えいたします。
アイキャッチのつくり方をご紹介するこのシリーズ。次回はインテリアの中の「相棒」について、もう少し詳しくお伝えいたします。
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